小ネタ集
新旧プリンター比較
2019年春発売のプリンターを旧機種と比較する
(2019年8月16日公開)
表中の赤文字は旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります。 |
GM2030 はキャノンのインクタンク方式のプリンターとしては初のモノクロプリンターとなる。インクジェットプリンター全体で見てもキャノン初になるのではないだろうか。エプソンからもモノクロエコタンクモデルがプリンター4機種、複合機が3機種発売されており、キャノンとしても対抗した形だ。しかし、エプソンのモノクロ機とは一風変わった機種となっている。キャノン初のモノクロ機なので、参考機種との比較ができないため、ベースとなる機種G5030と比較してみよう。
プリント(画質・速度・コスト) |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
発売日 |
2019年4月25日 |
2019年4月25日 |
発売時の価格 |
21,880円 |
29,880円 |
インク |
色数 |
4色 |
4色 |
インク構成 |
ブラック(顔料) 【カラーのインクカートリッジを装着時】 シアン マゼンタ イエロー |
ブラック(顔料) シアン マゼンタ イエロー |
カートリッジ構成 |
ギガタンク(黒) (挿して注入・満タン自動ストップ) 一体型カートリッジ(カラー) |
ギガタンク (挿して注入・満タン自動ストップ) |
顔料/染料系 |
顔料(黒)/染料(カラー) 新顔料ブラック |
顔料(黒)/染料(カラー) 新顔料ブラック |
インク型番 |
30番(黒) 341XL(カラー・大容量)/341(カラー・標準容量) |
30番 |
ノズル数 |
1792ノズル カラーインク未装着時は640ノズル |
1792ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
最小インクドロップサイズ |
N/A(2pl?) |
N/A(2pl?) |
最大解像度 |
600×1200dpi |
4800×1200dpi |
印刷速度 |
L判縁なし写真(メーカー公称) |
非対応 |
51秒 |
A4普通紙カラー(ISO基準) |
6.8ipm |
6.8ipm |
A4普通紙モノクロ(ISO基準) |
13.0ipm |
13.0ipm |
印刷コスト |
L判縁なし写真 |
非対応 |
N/A |
A4カラー文書 |
7.2円(大容量) 11.1円(標準容量) |
0.9円 |
A4モノクロ文書 |
0.4円 |
0.4円 |
まず説明しておきたいのは、GM2030 はカラー印刷もできるモノクロプリンターである。意味不明な表現だが、順に説明していこう。GM2030 のギガタンクは本体左側のブラックインクタンクしか無く、カラーモデルにG5030ある、本体右側のカラー3色のタンクは存在していない。これだけを見るとモノクロプリンターという感じだ。一方、G5030のフタを開けてみると、内部に左右に動くヘッドの上に、インクカートリッジの様な物が2つ取り付けられており、ここにギガタンクからチューブがつながっている形になる。このインクカートリッジはプリントヘッドとなっており、黒とカラーのプリントヘッドをそれぞれ取り付ける。さながらインクの入っていないインクカートリッジのようなもので、ここにギガタンクからインクが送り込まれて印刷される。さて、GM2030 のフタを開けてみると、確かにチューブは黒のギガタンクからしかつながっていない。しかし、インクヘッドを取り付ける部分はブラック用だけで無くカラー用もちゃんと用意されている。そこで、ここに対応のカラー3色のインクカートリッジを取り付けるとカラープリントも可能となるわけである。もちろんギガタンクでは無いので、カラーの印刷コストは高く、またGM2030のWebページやカタログには、カラーカートリッジ装着後は速やかに使い切る事を推奨している。速やかにというのが、普通のカートリッジ方式のプリンター程度(半年〜1年)なのか、もっと短い期間なのかは不明だ。とりあえず、基本はモノクロのギガタンク搭載プリンターだが、カラーカートリッジを取り付ける事でカラープリントが可能な機種という事は分かった上で、比較していこう。
GM2030 はギガタンクがモノクロのみという事で、G5030の下位モデルに当たるため、価格はG5030の29,880円に対してGM2030 は21,880円と、8,000円安い。
インク構成は、顔料のブラックのみだが、カラーのインクカートリッジを取り付けた場合は染料のシアン、マゼンダ、イエローの4色構成となる。この構成はG5030と同じだ。ギガタンクもブラックインク用しか無いが、G5030と同じくインクボトルを注入口に挿し込むと注入が始まり、満タンになると自動で注入がストップする方式となっている。カラーは前述の通り3色一体型カートリッジだ。ブラックは顔料、カラーは染料という組み合わせは同じだ。対応インクは、ブラックに関してはG5030と同じ30番インクを使用する。一方カラーは341番インクで、大容量の341XLと標準容量の341がある。341番インクは、カートリッジ方式の複合機PIXUS TS5130Sなどで使用されるカラーインクである。印刷解像度はG5030の4800×1200dpiに対して、GM2030 では600×1200dpiと低く設定されてる。しかし、G5030でも普通紙印刷時は4800×1200dpiより低い解像度になるはずだ。GM2030 は普通紙やハガキ、封筒にしか印刷できず、写真用紙などには非対応なので(詳しくは後述)、普通紙印刷用の解像度を印刷解像度に記載しているだけで、普通紙印刷時の解像度がG5030に劣る訳では無い可能性が高い。
GM2030 のノズル数はカラーもG5030と同等だ。そのため、印刷速度もA4カラー文書、A4モノクロ文書共に同等だ。印刷コストに関してはA4モノクロ文書は、G5030と同じ0.4円で非常に安価だ。一方カラーに関してはギガタンク方式では無く、普通のインクカートリッジ方式なので、G5030では0.9円の所、GM2030 では大容量インク使用で7.2円、標準容量使用で11.1円となる。ちなみにカラーは同じ341番インクを使用し、ブラックもカートリッジ方式のPIXUS TS5030Sは大容量インク使用で13.1円、標準容量インクで20.2円なので、ブラックだけでもギガタンク方式というだけでも、GM2030 の方がカラーも安く印刷はできる。
プリント(給紙・排紙関連) |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
対応用紙サイズ |
名刺〜A4 (フチなし印刷非対応・対応用紙は普通紙・ハガキ(光沢タイプでないもの)、封筒のみ) |
名刺〜A4 |
給紙方向 (A4普通紙セット可能枚数) |
背面 |
○(100枚) |
○(100枚) |
前面 |
カセット(250枚/普通紙のみ) |
カセット(250枚/普通紙のみ) |
その他 |
− |
− |
排紙トレイ自動開閉 |
− |
− |
用紙種類・サイズ登録 |
− |
○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動) |
用紙幅チェック機能 |
− |
− |
続いて、GM2030 とG5030の給紙、排紙機能を比較してみよう。基本的には同じ本体なので、対応用紙サイズや給紙方式は同じだ。ただし、GM2030 はG5030と同じ名刺〜A4サイズには対応するが、フチなし印刷には対応しない。また対応用紙に制限があり、普通紙とハガキ、封筒にしか対応せず、G5030の様に写真用紙や光沢紙、アイロンプリント紙、フィルム用紙などの特殊紙には対応しない。また、ハガキは「郵便はがき」「インクジェット郵便はがき」「郵便往復はがき」「キヤノン写真はがき・マット」と書かれており、「インクジェット写真用はがき」や「キヤノン写真はがき・光沢」には非対応だ。つまり、表面が写真のように光沢した用紙には対応しない。カラーインクカートリッジを取り付ける事でカラー印刷を可能にしても、あくまで普通紙やはがきなどにカラー印刷ができるだけで写真印刷ができるわけでは無い点は注意が必要だ。
給紙などの機能はG5030と同等だ。唯一、用紙の種類やサイズを登録して、印刷時に用紙設定と異なっている場合にメッセージが表示される機能は搭載されない。これは液晶を搭載していないため(後述)仕方が無いところだろう。
プリント(付加機能) |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
自動両面印刷 |
○(普通紙のみ) |
○(普通紙のみ) |
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 |
− |
− |
写真補正機能 |
N/A |
N/A |
特定インク切れ時印刷 |
− |
− |
自動電源オン/オフ |
○/○ |
○/○ |
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続 |
−/− |
−/− |
続いて、GM2030 とG5030のその他のプリント機能を比較してみよう。両面印刷機能を搭載する点や、自動電源オン/オフ機能を備える点など、GM2030 はG5030と同等だ。
ダイレクト印刷 |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
カードスロット |
対応メモリカード |
− |
− |
USBメモリ/外付けHDD/外付けDVD対応 |
−/−/− |
−/−/− |
メモリカードからUSBメモリ/外付けHDD/外付けDVDへバックアップ |
−/−/− |
−/−/− |
対応ファイル形式 |
− |
− |
色補正機能 |
− |
− |
手書き合成 |
− |
− |
PictBridge対応 |
− |
○(Wi-Fi) |
赤外線通信 |
− |
− |
各種デザイン用紙印刷 |
− |
− |
GM2030 もG5030と同じくSDカードスロットなどは無くダイレクト印刷機能は搭載していない。ただし、GM5030ではPictBridgeのWi-Fi方式に対応していたが、GM2030 は搭載していない。そもそも写真用紙への印刷ができないので、機能的に意味が無いとの判断だろう。
スマホ/クラウド対応 |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
スマートフォン連携 |
対応端末 |
iPhone iPod touch iPad (iOS 10.0以降) Android 4.4以降 |
iPhone iPod touch iPad (iOS 10.0以降) Android 4.4以降 スマートスピーカー対応 |
NFC対応 |
− |
− |
写真プリント |
○ |
○ |
ドキュメントプリント |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
Webページプリント |
○ |
○ |
クラウド連携 |
スマートフォン経由/本体 |
○/− |
○/− |
オンラインストレージからの印刷 |
○ |
○ |
SNSからの印刷 |
○(コメント付き可) |
○(コメント付き可) |
写真共有サイトからの印刷 |
○ |
○ |
メールしてプリント |
− |
− |
リモートプリント |
− |
− |
スキャンしてリモートプリント |
− |
− |
続いて、GM2030 とG5030のスマホ、クラウド対応を比較しよう。G2030のスマホ関係、クラウド関係の機能は基本的にはG5030と同等だ。対応する端末も同等で、写真印刷にも対応している。写真用紙への印刷はできないが、撮影した紙原稿を印刷する事でコピー風に使うこともできるし、スマホでスキャンしてJPEG形式で保存した物を印刷したりといった使い方ができるだろう。
唯一G5030と異なる点はスマートスピーカーに非対応である点だ。AlexaとGoogleアシスタント対応端末で、声だけでナンプレ、ぬりえ、レポート用紙、チェックリスト、五線譜などの印刷と、プリンターの状態の確認が行える機能だが、GM2030 は非搭載だ。
操作パネル/インタフェース/本体サイズ |
|
新機種 |
参考機種 |
型番 |
GM2030 |
G5030 |
製品画像 |
 |
 |
液晶ディスプレイ |
− |
2行モノクロ |
操作パネル |
− |
ボタン式 |
インターフェイス |
USB他 |
USB2.0×1 |
USB2.0×1 |
無線LAN |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
有線LAN |
100BASE-TX |
100BASE-TX |
対応OS |
Windows 10/8.1/7 SP1 |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) |
外形寸法(横×奥×高) |
403×369×166mm |
403×369×166mm |
重量 |
6.0kg |
6.5kg |
本体カラー |
ブラック |
ブラック |
最後にGM2030 とG5030の操作パネルやインタフェース、本体サイズなどを見てみよう。G5030では2行のモノクロ液晶を搭載しており、各種設定やエラー内容の確認が行えたが、GM2030 は搭載していない。ボタンも、「電源」ボタンの他は、「ワイヤレスコネクト」「ネットワーク切り替え」「インフォメーション」「リセット」の4つのボタンのみとなる。
一方でインタフェースは同等で、本体サイズも全く同じである。注意が必要なのが対応OSだ。G5030ではWindows10/8.1/7 SP1とMac OS 10.10.5以上に対応している。Mac OSは専用ドライバは用意されず、AirPrintでのプリントだが、対応はしている。一方GM2030 はMac OSには完全非対応だ。Windows 10/8.1/7 SP1のみの対応である点は注意したい。
GM2030 はG5030のからカラーインク用のタンクを除いた一方、内部のヘッド部はそのままとすることで、いざというときはカラーカートリッジを取り付けてカラー印刷が可能という面白い製品となった。確かにカラー印刷はしないと考えていても、完全にモノクロ専用というのも不安である。いざという時、印刷コストはカラーもギガタンク方式のG5030には劣るが、カラー印刷ができるというのは大きなメリットだ。それでいて、カラーのプリンターと異なり、カラーカートリッジを取り付けなくてもモノクロプリントが可能だ。また給紙関係の機能や自動両面印刷、インタフェースなどはG5030と同等となっており印刷速度もモノクロ13.0ipmというのは十分高速だ。
モノクロプリント専用で、印刷コストが安いプリンターを探している人にはおすすめできる製品であると共に、次にプリンターを買い換えるまでに状況が変化してカラープリントも必要な機会があるかもしれないと感じている人にもお勧めの機種になっていると言える。
(H.Intel)
【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/
|