小ネタ集
新旧プリンター比較
2019年春発売のプリンターを旧機種と比較する
(2019年8月16日公開)
| 表中の赤文字は旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります。 |
PX-M884Fはインクパックシステムを採用する事で、印刷コストを抑え、インクの交換回数を減らしたプリンターだ。それと共に、印刷速度はかなり高速で、机の上に置くタイプのビジネスインクジェットプリンターとしては最上位機種に当たる。発売は2018年1月25日だったが、速くも2019年5月17日に新機種PX-M885が登場した。ビジネスインクジェットプリンターとしては異例の短いスパンでの新製品登場だが、見た目は全く変化していない。どのような点が変わったのだろうか。
| プリント(画質・速度・コスト) |
|
新機種 |
参考機種 |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 発売日 |
2019年5月17日 |
2018年1月25日 |
| 発売時の価格(メーカーWeb/税抜き) |
39,980円 |
39,980円 |
| インク |
色数 |
4色 |
4色 |
| インク構成 |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
ブラック シアン マゼンタ イエロー |
| カートリッジ構成 |
各色独立(インクパック方式) |
各色独立(インクパック方式) |
| 顔料/染料系 |
顔料 |
顔料 |
| インク型番 |
IP01B(大容量) IP01A(標準容量) |
IP01B(大容量) IP01A(標準容量) |
| ノズル数 |
3200ノズル |
3200ノズル |
| 各色:800ノズル |
各色:800ノズル |
| 最小インクドロップサイズ |
N/A(3.8pl?) |
N/A(3.8pl?) |
| 最大解像度 |
4800×1200dpi |
4800×1200dpi |
| PrecisionCoreプリントヘッド |
○(ノズル自己判断システム搭載) |
○(ノズル自己判断システム搭載) |
| 印刷速度 |
L判縁なし写真(メーカー公称) |
N/A |
N/A |
| A4普通紙カラー(ISO基準) |
24.0ipm |
24.0ipm |
| A4普通紙モノクロ(ISO基準) |
24.0ipm |
24.0ipm |
| 印刷コスト |
L判縁なし写真 |
N/A |
N/A |
| A4カラー文書 |
6.1円 |
6.1円 |
| A4モノクロ文書 |
1.8円 |
1.8円 |
まずは、PX-M885F とPX-M884Fの画質や速度などを比較してみよう。ちなみにPX-M885F の価格は、PX-M884Fの発売開始時の価格と全く同じ39,980円である。
機能を比較してみると、PX-M885F はPX-M884Fと全く同じである事が分かる。印刷速度や印刷コスト、使用するインクパックも同じ物で、PrecisionCoreプリントヘッドを採用、ノズル自己判断システムを搭載しているのも同様だ。
| プリント(給紙・排紙関連) |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 対応用紙サイズ |
L判〜A4 (用紙幅64mmまで対応) (フチ無し印刷非対応) |
L判〜A4 (用紙幅64mmまで対応) (フチ無し印刷非対応) |
給紙方向 (A4普通紙セット可能枚数) |
背面 |
○(80枚) |
○(80枚) |
| 前面 |
カセット(250枚) オプションカセット増設対応(550枚・普通紙のみ) |
カセット(250枚) オプションカセット増設対応(550枚・普通紙のみ) |
| その他 |
− |
− |
| 排紙トレイ自動開閉 |
−(取り外し式) |
−(取り外し式) |
| 用紙種類・サイズ登録 |
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) |
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) |
| 用紙幅チェック機能 |
○ |
○ |
続いて、給紙・排紙関連の機能を見てみよう。ここでもPX-M885F はPX-M884Fと全く変化が無い。対応用紙サイズも同じで、前面給紙カセット250枚+背面給紙80枚で、オプションのカセットを増設する事も可能なのも同じだ。オプションカセットも同じ物が使用できる。
| プリント(付加機能) |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 自動両面印刷 |
○(普通紙のみ・湿温度センサー搭載) |
○(普通紙のみ・湿温度センサー搭載) |
| CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 |
− |
− |
| 写真補正機能 |
○(オートフォトファイン!EX) |
○(オートフォトファイン!EX) |
| 特定インク切れ時印刷 |
○(黒だけでモード・5日間のみ) |
○(黒だけでモード・5日間のみ) |
| 自動電源オン/オフ |
−/○ |
−/○ |
| 廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続 |
○/− |
○/− |
その他、プリントの付加機能を見てみよう。こらもPX-M885F はPX-M884Fと全く同じ機能となっている。
|
スキャン |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 読み取り解像度 |
1200dpi |
1200dpi |
| センサータイプ |
CIS |
CIS |
| 原稿取り忘れアラーム |
− |
− |
| ADF |
原稿セット可能枚数 |
50枚 |
50枚 |
| 原稿サイズ |
A4/B5/A5/A6/レター/リーガル |
A4/B5/A5/A6/レター/リーガル |
| 両面読み取り |
○ |
○ |
| 読み取り速度 |
カラー |
24.0ipm |
24.0ipm |
| モノクロ |
24.0ipm |
24.0ipm |
| スキャンデーターのメモリカード保存 |
○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ) |
○(JPEG/PDF・USBメモリーのみ) |
続いて、スキャン機能だが、PX-M885F はPX-M884Fと同等だ。解像度、ADFの機能やスキャン速度まで完全に同じだ。
| ダイレクト印刷 |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| カードスロット |
対応メモリカード |
− |
− |
| USBメモリー/外付けHDD/外付けDVD対応 |
○/−/− |
○/−/− |
| メモリカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ |
−/− |
−/− |
| 対応ファイル形式 |
JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ) |
JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ) |
| 色補正機能 |
赤目補正 |
赤目補正 |
| 手書き合成 |
− |
− |
| PictBridge対応 |
− |
− |
| 赤外線通信 |
− |
− |
| 各種デザイン用紙印刷 |
− |
− |
ダイレクト印刷機能を見てみよう。PX-M885F もPX-M884F同様USBメモリからの印刷のみ対応しており、JPEG/TIFFの他、スキャンしてUSBメモリーに保存する機能で作成したPDFファイルの印刷にも対応する。
| スマホ/クラウド対応 |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| スマートフォン連携 |
対応端末 |
iPhone iPod touch iPad (iOS 10.0以降) Android 4.4以降 スマートスピーカー対応 |
iPhone iPod touch iPad (iOS 10.0以降) Android 4.4以降 スマートスピーカー対応 |
| NFC対応 |
○ |
○ |
| 写真プリント |
○ |
○ |
| ドキュメントプリント |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) |
| Webページプリント |
○ |
○ |
| スキャン |
○(PDF/JPEG) |
○(PDF/JPEG) |
| クラウド連携 |
スマートフォン経由/本体 |
○/− |
○/− |
| オンラインストレージからの印刷 |
○ |
○ |
| SNSからの印刷 |
− |
− |
| 写真共有サイトからの印刷 |
− |
− |
| メールしてプリント |
○ |
○ |
| リモートプリント |
○ |
○ |
| スキャンしてリモートプリント |
○ |
○ |
スマートフォンとの連携機能もPX-M885F とPX-M884Fに違いは無い。対応する端末にも違いは無い。
| コピー機能 |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 等倍コピー |
○ |
○ |
| 拡大縮小 |
倍率指定 |
○(25〜400%) |
○(25〜400%) |
| オートフィット |
○ |
○ |
| 定型変倍 |
○ |
○ |
| CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー |
− |
− |
| 写真焼き増し風コピー |
− |
− |
| 割り付け(2面/4面) |
○/○ |
○/○ |
| バラエティコピー |
IDコピー 影消しコピー パンチ穴消しコピー |
IDコピー 影消しコピー パンチ穴消しコピー |
コピー機能を見てみよう。拡大縮小の機能や、2面/4面の割り付けコピー、IDコピー、影消しコピー、パンチ穴消しコピーなど、PX-M885F はPX-M884Fと同等だ。
| FAX機能 |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
 |
 |
| 通信速度 |
33.6kbps |
33.6kbps |
| 画質設定 |
モノクロ |
8dot/mm×3.85本/mm(標準) 8dot/mm×7.7本/mm(精細) 8dot/mm×15.4本/mm(高精細) 16dot/mm×15.4本/mm(超高精細) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) |
8dot/mm×3.85本/mm(標準) 8dot/mm×7.7本/mm(精細) 8dot/mm×15.4本/mm(高精細) 16dot/mm×15.4本/mm(超高精細) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) |
| カラー |
200×200dpi |
200×200dpi |
| 送信原稿サイズ |
A4/B5/A5 |
A4/B5/A5 |
| 記録紙サイズ |
A4/A5/リーガル/レター |
A4/A5/リーガル/レター |
| 受信ファックス最大保存ページ数 |
550枚/200件 |
550枚/200件 |
| データ保持(電源オフ/停電) |
○/○ |
○/○ |
| ワンタッチ |
− |
− |
| 短縮ダイヤル |
200件 |
200件 |
| グループダイヤル |
199宛先 |
199宛先 |
| 順次同報送信 |
200宛先 |
200宛先 |
| 自動リダイヤル |
○ |
○ |
| 発信元記録 |
○ |
○ |
| ポーリング受信/送信/予約 |
○/○/− |
○/○/− |
| ファクス/電話自動切替 |
○ |
○ |
| 見てから送信 |
○ |
○ |
| 見てから印刷 |
○ |
○ |
| PCファクス |
送受信 |
送受信 |
FAX機能もPX-M885F はPX-M884Fと全く同等だ。この表に乗っていない細かい点まで比較しても完全に同等だ。
| 操作パネル/インタフェース/本体サイズ |
| 型番 |
PX-M885F |
PX-M884F |
| 製品画像 |
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 |
| 液晶ディスプレイ |
4.3型 (75度角度調整可) |
4.3型 (75度角度調整可) |
| 操作パネル |
タッチパネル液晶+物理ボタン (75度角度調整可) |
タッチパネル液晶+物理ボタン (75度角度調整可) |
| インターフェイス |
USB他 |
USB2.0×1 |
USB2.0×1 |
| 無線LAN |
IEEE802.11ac/a/n/g/b 5GHz対応 (Wi-Fiダイレクト対応) |
IEEE802.11n/g/b (Wi-Fiダイレクト対応) |
| 有線LAN |
1000BASE-T |
100BASE-TX |
| 対応OS |
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3 MacOS 10.6.8〜 |
| 耐久枚数 |
15万枚 |
15万枚 |
| 外形寸法(横×奥×高) |
425×578×449mm |
425×578×449mm |
| 重量 |
19.1kg |
19.1kg |
| 本体カラー |
ホワイト |
ホワイト |
最後に操作パネルやインタフェース、本体サイズなどを比較してみよう。PX-M885F の見た目にはPX-M884Fと全く同じに見える。本体サイズもミリ単位で同じで、カラーデザインも同じだ。そのため、液晶サイズやボタンなども全く同じだ。対応OSにも変化が無い。唯一違うのは、無線LANだ。PX-M884FはIEEE802.11n/g/bに対応していたが、PX-M885F ではIEEE802.11ac/a/n/g/bに対応した。転送速度で言うと、PX-M884FとPX-M885F のIEEE802.11n規格は共にHT20(20MHz)にしか対応しないという事なので、仮にMIMO非対応だとすると72.2Mbpsである事になる(最大通信速度は非公表なのであくまで予測)。一方PX-M885F ではIEEE802.11acに対応している。こちらもMIMO非対応だとしても、433Mbpsとなり速度は一気に6倍となる。また、有線LANはPX-M884Fでも1000BASE-T対応で、下位モデルの100BASE-TXより速い最大1Gbpsに対応したことを考えると、無線LANの速度はあまりにも遅かった。印刷速度もADFのスキャン速度も24ipmと非常に高速なので、場合によっては転送速度が追いつかないという事もあり得た。IEEE802.11ac対応により無線LANによる速度不足が大幅に解消されることになる。もう一つ、PX-M884Fは2.4GHz帯の周波数しか利用できなかったが、PX-M885FではIEEE802.11ac/n/aは5GHz帯にも対応した。2.4GHz帯はBluetoothなどと帯域が同じだし、電子レンジの影響を受けやすい。一方5GHz帯は、基本的に無線LANでしか使用しないため、電波干渉が起こりにくく安定する。自宅に置く分にも電子レンジを使うと無線LANが切れるという事も無くなるし、飲食店のバックヤードでの電子レンジ使用しても安定して接続ができるというメリットがある。通信速度の向上と、通信の安定の2つの改良がなされたわけである。
PX-M885F はPX-M884Fの無線LANを、IEEE802.11ac/n/a/g/b対応とし、2.4GHz帯に加えて5GHz帯での通信を可能にしただけの製品だ。一見すると微妙な変更点に思われるかもしれない。しかし、高速印刷と高速スキャンに対応しており1000BASE-Tの有線LANに対応しているにに対して、無線LANはあまりにも貧弱だったといえ、その弱点を改良したと言える。自宅で使う分にも、ビジネスで使う分にも使い勝手が向上するこの変更によって、より魅力的な製品になったと言えるだろう。
(H.Intel)
【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/
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