プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年1月17日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

EP-712AとEP-711Aを徹底比較する

 EP-712AはEP-711Aの純粋な後継製品だ。見た目にはほとんど変わらない両機種だが、どの点が変わったのか詳しく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
発売日
2019年8月1日
2018年9月13日
発売時の価格
17,980円
17,980円
インク
色数
6色
6色
インク構成
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
染料
(つよインク200)
インク型番
サツマイモ
イチョウ
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
各色180ノズル
各色180ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
その他高画質化機能
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
17秒
17秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
印刷コスト
L判縁なし写真
29.5円
26.5円
A4カラー文書
17.1円
15.0円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 EP-712AはEP-711Aの発売時の価格は同じで、インク構成や画質、印刷速度などは同等だ、一方、インクカートリッジは「イチョウ」型番から「サツマイモ」型番へと変更された。それに伴い、印刷コストが上がっており、L版縁なし写真は26.5円から29.5円に、A4カラー文書は15.0円から17.1円となった。もともとEP-711Aでの印刷コストは高い方だったが、さらに高くなってしまった。細かく見てみよう。

機種・インク
印刷コスト
イードル枚数(L判写真)
カートリッジ価格
L判写真フチなし
A4カラー文書
ブラック
カラー
EP-712A
サツマイモ
29.5円
17.1円
541枚
各191枚
各900円
EP-711A
イチョウ
26.5円
15.0円
624枚
各224枚
各930円

 これを見ると、カートリッジの価格は3.2%だけ安くなったが、印刷できる枚数がブラックインクは13.3%、カラーインクは14.7%減っているので、結果的に印刷コストが高くなっている。もともとEP-711Aでも印刷枚数はそれほど多くないが画質を重視するユーザー向けの製品だ。セットしたインクカートリッジは半年以内に使い切るように書かれており、1年を超えると詰まりやすくなってしまう。1年でインクカートリッジが使い切れないという人には、量が多くても差は無いので、むしろ少しでもインクカートリッジの価格が安いのは歓迎されるだろう。この印刷コストはインクジェットプリンターの中でもかなり高い方とはいえ、写真の印刷コストは、上位機種EP-882Aとの差は8.9円だ。月に10枚程度印刷すると、年に1,000円程度の差にしかならない。やはり印刷枚数が少ない人にはこれでも良いのかもしれない。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
前面
カセット(100枚)
カセット(100枚)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、EP-712AとEP-711Aの給紙、排紙機能を比較してみよう。前面1カセットととい点や、その他の機能でも、変化はない。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/○
−/○

 続いてEP-712AとEP-711Aののその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷は非対応な一方、ディスクのレーベル印刷機能は搭載している点まで、完全に同じだ。

スキャン
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 EP-712Aのスキャナー機能にEP-711Aから変化は見られない。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
カードスロット
対応メモリーカード
SD
SD
USBメモリー/外付けHDD/外付けCD/DVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDD/外付けCD/DVDへバックアップ
−/−/−
−/−/−
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
色補正機能
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト(5段階)
シャープネス(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチあり/フチなし
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト(5段階)
シャープネス(5段階)
鮮やかさ(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
手書き合成
PictBridge対応
○(Wi-Fi)
○(Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
ディスクレーベル印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)
ディスクレーベル印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)

 EP-712AとEP-711Aのダイレクト印刷機能を比較してみよう。対応メモリーカードから、細かな色補正機能まで全て同じである。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応
iOS 10.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)
○(受信のみ)

 EP-712Aのスマートフォン、クラウド関連機能にもEP-711Aから変化は無い。対応端末に関してはAndroidのバージョンは4.1から5.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 5.0/iOS 10.0以上となる。ただし、従来のアプリ「EPSON iPrint」に加えて、「Epson Smart Panel」にも対応している。「Epson Smart Panel」は、これまでばらばらのアプリで対応していた機能を集約し、さらにノズルチェック、ヘッドクリーニング、ファームウェアのアップデートなど本体の操作が行える、プリンターのリモコンのようなアプリとなっている。ただし、こちらを利用する場合は、Androidは5.0以降で同じだが、iOSは11.0以降の対応となる。
 LINEからプリントする機能は、LINE上でEP-712Aを友達登録しておき、トーク画面上でファイルを送信すると自動でプリントされる機能だ。去年の時点ではこういった機能は無かったためEP-712Aの新機能に見えるが、今年から新たに提供される新サービスであり、EP-711Aをはじめ旧機種でも使える。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
自動変倍
オートフィット
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
バラエティコピー
見開きコピー
ミラーコピー
背景除去機能
見開きコピー
ミラーコピー
背景除去機能

 EP-712Aのコピー機能もEP-711Aと同等となっており、機能の追加などはない。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
EP-712A
EP-711A
製品画像
液晶ディスプレイ
1.44型
1.44型
操作パネル
ボタン式
ボタン式
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
外形寸法(横×奥×高)
390×338×163mm
390×338×163mm
重量
5.9kg
5.9kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト

 最後にEP-712AとEP-711Aの操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。インターフェースや対応OSなどに違いはない。本体デザインも基本的に同じで、液晶サイズやボタンの配置、本体サイズなども同じだ。カラーバリエーションもホワイトのみとなる。



 EP-712AはEP-711Aから印刷コストが上がっただけのように見える。確かに今は印刷コストの安いエコタンク搭載プリンターが存在感を増してきており、それらとの差別化の意味もあるのだろう。また、元々印刷コストの高い機種だっただけに、この程度の印刷コストアップは大した問題は無いのかもしれない。それでも、唯一の進化点が、新アプリ「Epson Smart Panel」にも対応する点だけでは、残念と言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


EP-711A