s プリンター徹底比較 2019年末時点のプリンターを徹底検証(新機種と旧機種を徹底比較)
プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年1月17日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

EP-982A3とEP-979A3を徹底比較する

 EP-982A3はEP-979A3の純粋な後継製品だ。見た目にはほとんど変わらない両機種だが、A4複合機と異なり3年ぶりの新製品となる。どの点が変わったのか詳しく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
発売日
2019年8月1日
2016年9月15日
発売時の価格
32,980円
35,980円
インク
色数
6色
6色
インク構成
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
染料
(つよインク200)
インク型番
80L(増量)
80(標準)
80L(増量)
80(標準)
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
各色180ノズル
各色180ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
その他高画質化機能
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
13秒
13秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
印刷コスト
L判縁なし写真
20.6円
20.6円
A4カラー文書
12.2円
12.0円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 EP-982A3は価格は32,980円で、登場当時のEP-979A3と比べると3,000円安い価格設定だ。また、同時期発売のほぼ同性能のA4複合機EP-882Aは31,980円なので、1,000円差でA3対応となる価格設定である。
 それでは、プリントの基本機能である、画質と速度、印刷コストを見てみよう。インクの色数や最小インクドロップサイズには変化がなく、ノズル数も同等であることから印刷速度にも変化はない。インクカートリッジもA4複合機は、番号だけからクマノミやカメといった物の名前へと変更されているが、EP-982A3はEP-979A3と同じく80番インクを使用している。ただし、普通紙での文書中の写真の画質がより鮮やかになる様にドライバーレベルの改善されている。A4複合機では去年から適用された改善項目で、A3複合機でも同レベルになっている。印刷コストはL判写真は同等、A4カラー文書だけ12.0円から12.2円へとなったが、これも普通紙の写真画質の向上に関係があるのかもしれない。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A3
L判〜A3
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(1枚手差し/A3まで/0.6mm厚まで)
○(1枚手差し/A3まで/0.6mm厚まで)
前面
カセット下段(100枚/A4以下)
カセット上段(2L/ハイビジョン以下)
カセット下段(100枚/A4以下)
カセット上段(2L/ハイビジョン以下)
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、EP-982A3とEP-979A3の給紙、排紙機能を比較してみよう。前面に大小2段のカセットとA3対応の背面手差し給紙機能を備えている点で変更は無い。背面手差しは0.6mm厚の厚紙に対応する点や、排紙トレイの自動開閉など、機能は全く同じだ。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
自動両面印刷
○(A4まで・ファイン紙対応)
○(A4まで)
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
○/○
−/−

 続いてEP-982A3とEP-979A3ののその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷に関してはEP-979A3も搭載していたが、普通紙とハガキのみの対応であった。EP-982A3では、あらたにファイン紙の両面印刷にも対応した。ファイン紙には両面印刷時に裏移りしないような両面対応の用紙が多く売られており、綺麗に両面印刷する場合によく使われるが、その反面自動両面印刷が利用できないという問題があったが、これも改善された。A4複合機では2年前から搭載されていたが、ようやく同等機能が搭載された。
 その他、ディスクのレーベル印刷機能、自動電源オン/オフ機能などは同じだ。写真の自動補正機能「オートフォトファイン!EX」は名称は同じだが、より精度が向上し、「逆光モード」が搭載されたことで逆光の写真の補正機能が特に上がっているという。
 一方、EP-982A3になって追加された機能が、廃インクタンク(メンテナンスボックス)のユーザー自身での交換機能と、「フチなし吸収材エラー時の印刷継続」機能だ。インクジェットプリンターのインクの吸収材は2種類ある。1つは電源を切った際にインクカートリッジが戻る位置の下あたりにある、廃インクタンクである。クリーニングなどを実行した際に出るインクを吸収するものだ。一方、用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これはフチなし吸収材だ。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。これがフチなし吸収材だ。これまでのプリンターはどちらかが一杯になると警告が表示されてプリンターが一切動かなくなり、修理するしか方法がなかった。今回、廃インクタンクに関しては980円で販売されており、ユーザー自身で簡単に交換できるようになった。これにより、修理に出して4,000円程度の修理費を出す必要も、修理の期間プリンターが手元に無いという事態も無くなり、非常に便利になった。廃インクタンクの残量はインク残量と共に、本体液晶やパソコンから確認が取れる。一方の「フチなし吸収材」に関しては簡単に交換できる構造にはできない。そこで、この吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようにしたのだ。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。これら機能は、新機種では徐々に対応機種が増えていただけに、EP-982A3でようやく並んだと言えるだろう。

スキャン
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×4800dpi)
4800dpi(4800×4800dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 EP-982A3のスキャナー機能を見てみよう。センサーの読み取り解像度がEP-979A3の4800×4800dpiからEP-982A3では1200×4800dpiに低下している。正確には、副走査(センサーの移送する方向、長辺方向)は4800dpiで同等である物の、主走査(センサーの一列に並んでいる方向、短辺方向)は1200dpiに低下した事になる。主走査はセンサー自体の解像度だが、副走査は移動の細かさなので、移動時の細かさは維持しつつ、実際に搭載するセンサーを4800dpiから1200dpiに変更したことになる。機能的には大幅な機能低下だが、実用上は大きくは変わらない。というのも、紙などの反射原稿しかスキャンできないため、1200dpiでも十分だからだ。一般的に文書なら200〜300dpi、写真なら300〜600dpiで、よほど詳細にスキャンする場合でも1200dpiがせいぜいだ。実際写真サイズを2400dpiで取り込むと約8,400×12,000ドットとなり1億画素相当、4800dpiだと、約16,800×24,000ドットとなり4億画素相当となる事から、ファイルサイズが大きくなりすぎてパソコンでは扱いにくい。1200dpiでも2500万画素相当で読み取れるため、際印刷したりスマートフォンやタブレットで見たりという用途でも十分だ。読み取り解像度が高く設定できるに越したことは無いが、不要な高スペックにコストがかかるのも考え物だ。その意味では実用的な範囲でコストダウンを図ったと言えるだろう。それ以外の機能には違いが無い。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
カードスロット
対応メモリーカード
SD
SD
MS Duo
CF
USBメモリー/外付けHDD/外付けCD/DVD対応
○/○/○
○/○/○
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
○/○
○/○
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
色補正機能
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4書類・フチ太さ4段階)
赤目補正
色調補正(RGB独立 +4〜-4)
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(+4〜-4)
鮮やかさ調整(+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
編集した写真の別名保存
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4書類・フチ太さ4段階)
カラーフレーム
赤目補正
色調補正(RGB独立 +4〜-4)
明るさ調整(+4〜-4)
コントラスト調整(+4〜-4)
シャープネス調整(+4〜-4)
鮮やかさ調整(+4〜-4)
フィルター(モノクロ/セピア/レトロ調/ハイキー/デイドリーム/トイフォト/ポップ/クロスプロセス)
編集した写真の別名保存
手書き合成
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
フォトブック印刷
ディスクレーベル印刷

 EP-982A3とEP-979A3のダイレクト印刷機能を比較してみよう。メモリーカードとUSBメモリーや外付けHDD、外付けCD/DVDドライブ、さらに赤外線通信で印刷可能な点は同等だが、対応するメモリーカードがSDカードのみとなっている。EP-979A3はSDカード、メモリースティック、コンパクトフラッシュに対応していたが、EP-982A3のA4版と言うべきEP-882Aは早くからSDカードのみとなっており、合わせた格好だ。最近ではSDカードと、その小型版のmicroSDにほぼ統一されているので、いよいよ不要ということもあるだろう。どうしてもという場合はUSBポートにパソコン用のメモリーカードリーダーを接続すれば読み込むことができる。
 色補正機能はほぼ同じだ。トリミングや赤目補正に加えて、明るさやコントラストなどを+4〜-4の9段階で調整できる点や、8種類のフィルターを搭載しているのも同等だ。加えて、赤・緑・青も独立して9段階で調整が可能で、色補正機能がかなり豊富だ。さらに、編集した写真を別名で保存する機能も変わっていない。フチあり、フチなしに関しては、フチありの場合フチの太さを4段階から選べ、さらにフチの種類も、黒フチと黒フチに加えて、写真の周囲に細い白フチの入った黒フチ、細い黒フチの入った白フチなど4種類から選べるのも同等だ。唯一違うのは、EP-979A3に搭載されていたカラーフレームが搭載されなくなった点だ。細かい違いと言えよう。
 一方、各種デザイン用紙の印刷機能は、最新の機種に合わせて機能が増やされている。メモリーカード内の写真を利用した塗り絵印刷、フォーム印刷、フォトブック印刷、ディスクレーベル印刷機能は同等だ。EP-982A3ではさらに、3種類の証明写真サイズの写真印刷ができる「証明写真印刷」、ラベル用紙に印刷して複数面のシールにできる「シール印刷」、背景柄や複数の写真を組み合わせられる「写真コラージュ」、複数枚の写真を使ってCDのジャケットを作成できる「CDジャケット印刷」などが追加されている。また、ラッピングやブックカバーに使える前面模様の用紙を印刷できる「デザインペーパー」の印刷機能も備えている。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応
iOS 10.0以降
Android 4.1以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 EP-982A3のスマートフォン、クラウド関連機能はEP-979A3から変化は無い。対応端末に関してはAndroidのバージョンは4.1から5.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 5.0/iOS 10.0以上となる。ただし、従来のアプリ「EPSON iPrint」に加えて、「Epson Smart Panel」にも対応している。「Epson Smart Panel」は、これまでばらばらのアプリで対応していた機能を集約し、さらにノズルチェック、ヘッドクリーニング、ファームウェアのアップデートなど本体の操作が行える、プリンターのリモコンのようなアプリとなっている。ただし、こちらを利用する場合は、Androidは5.0以降で同じだが、iOSは11.0以降の対応となる。
 LINEからプリントする機能は、LINE上でEP-982A3を友達登録しておき、トーク画面上でファイルを送信すると自動でプリントされる機能だ。去年の時点ではこういった機能は無かったためEP-982A3の新機能に見えるが、今年から新たに提供される新サービスであり、EP-979A3をはじめ旧機種でも使える。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
自動変倍
オートフィット
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
バラエティコピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
A3原稿二つ折りコピー
背景除去機能
BOOKコピー
ミラーコピー
BOOK2アップ
塗り絵コピー
A3原稿二つ折りコピー
背景除去機能

 EP-982A3とEP-979A3のコピー機能を比較してみよう。基本的な拡大縮小や割り付け機能などに違いはない。バラエティコピーの機能が、A4複合機と同じ機能になり、一部追加されている。追加されたのは「IDコピー」と「リピートコピー」である。「IDコピー」は免許証などのコピー時に、裏と表を2回スキャンすると、1枚の用紙に上下に並べてコピーできるという機能だ。一方、「リピートコピー」は一般的な割り付けとは異なり、同じ内容を割り付ける機能だ。例えばA4やA5の原稿を、A4に2面や4面割り付けるといった使い方だ。チラシや手書きメモをコピーする際などに便利だ。また、定型でない原稿でも原稿サイズを認識し、用紙に並べて印刷するという「自動」割り付けも行える。名前シールのコピーなどに便利だ。A4複合機の共通化のコピー機能に機能アップされた一方、プリントはA3対応スキャンはA4対応という事でEP-979A3でも搭載されていた、「A3原稿二つ折りコピー」は引き続き搭載する。これは、A3原稿を2つ折りにして半分ずつスキャンすることで、A3用紙にプリントする機能で、A4原稿をA3用紙に2面割り付けする場合と比べて、とじ目部分ができるだけ隙間無く並べられるので、A3コピーに近い仕上がりとなる物である。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
EP-982A3
EP-979A3
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz帯対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
外形寸法(横×奥×高)
479×356×148mm
479×356×148mm
重量
8.5kg
8.8kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト

 最後にEP-982A3とEP-979A3の操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。見た目は電源ボタンの形状などに若干の違いはある物の、基本的にはそっくりである。本体サイズも変わっていない。液晶ディスプレイも同サイズである。USB2.0に加えて、有線LANと無線LANに対応するのも同じだ。ただし、無線LANについては機能がアップしている。EP-979AではIEEE802.11n/g/bに対応していたが、EP-982A3ではIEEE802.11ac/a/n/g/bに対応した。転送速度で言うと、EP-979A3やEP-982A3のIEEE802.11n規格は共にHT20(20MHz)にしか対応しないという事なので、仮にMIMO非対応だとすると72.2Mbpsである事になる(最大通信速度は非公表なのであくまで予測)。一方EP-982A3でIEEE802.11acで接続した場合、同じくMIMO非対応だとしても、433Mbpsとなり速度は一気に6倍となる。もう一つ、EP-979A3は2.4GHz帯の周波数しか利用できなかったが、EP-982A3ではIEEE802.11ac/n/aは5GHz帯にも対応した。2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、固定電話の子機などと帯域が同じだし、電子レンジの影響を受けやすい。一方5GHz帯は、基本的に無線LANでしか使用しないため、電波干渉が起こりにくく安定する。通信速度と安定性の2つの面で改良が施されたことになる。



 EP-982A3はEP-979A3からの見た目の変化は少なくマイナーチェンジの感じを受ける。しかし、3年ぶりの新機種と言うこともあって、この間にA4複合機で搭載してきた機能を追加しつつ、さらに強化してきた印象だ。例えば、廃インクタンク(メンテナンスボックス)の交換に対応したほか、自動両面印刷はファイン紙に対応、デザイン用紙印刷やコピー機能も強化している。一方で、オーバースペック気味だったスキャン解像度を下げ、使用頻度が下がったメモリースティックとコンパクトフラッシュリーダーを省くことで、機能が上がった分のコストアップを吸収し、さらに価格を下げている。無線LANの強化も見逃せない所だ。確実に完成度が高まった一方、A4複合機EP-882Aとの価格差も1,000円しか無く、本体サイズさえ気にならなければ非常にお得な製品へと進化している。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


EP-982A3