プリンター徹底比較
2019年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年1月17日公開)

表中の赤文字は旧機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1からの変更点となります。

EW-052AとPX-049Aを徹底比較する

 EW-052AはPX-049Aの純粋な後継製品だ。下一桁が9から12(EW-052AはEW-050Aシリーズでは無く、EW-040Aシリーズの下一桁が12なので、4が1上がって5になっている)なので、3年ぶりの新製品となる。見た目にはほとんど変わらない両機種だが、どの点が変わったのか詳しく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
発売日
2019年8月1日
2016年9月15日
発売時の価格
7,980円
10,980円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
顔料(黒)/染料(カラー)
顔料
(つよインク200X)
インク型番
マグカップ
リコーダー
リコーダーL(増量・黒のみ)
ノズル数
357ノズル
357ノズル
カラー:各59ノズル
黒:180ノズル
カラー:各59ノズル
黒:180ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A(3pl?)(MSDT)
3pl(MSDT)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
その他高画質化機能
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
74秒
74秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
印刷コスト
L判縁なし写真
25.7円
27.5円
A4カラー文書
13.2円
13.8円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 EW-052Aの価格は7,980円と、PX-049Aの発売時より3,000円安く設定されている。ただし、PX-049Aは発売から3年継続販売されており、店頭価格が7,000円台から6,000円台後半に落ちていたため、その価格を引き継ぐ形である。なお、上位モデルEW-452Aが12,980円でラインナップされている関係で、EW-052Aは更に下の価格帯からスタートしたとも言える。
 まずはプリントの基本機能である印刷画質、速度、コストを比較してみよう。EW-052AはPX-049Aと同じ4色インクで、各色独立インクカートリッジである点は同等だ。印刷解像度や印刷速度は変わらず、最小インクドロップサイズも非公表ながら、海外の同機能・同デザインの製品では3plであるため、PX-049Aと同じと思われる。しかし、型番がPXからEWに変更されていることから分かるように、インク構成に変更が加えられた。PX-049Aは全色顔料インクだったが、EW-052Aでは黒が顔料インク、カラーが染料インクとなった。顔料インクは普通紙印刷時にインクが用紙上で広がりにくく、クッキリした印刷が行えるほか、耐水性が高いため、全色顔料インクのPX-049Aは文書印刷には向いているがとは言える。反面光沢紙やフィルム用紙、アイロンプリント紙など一部に使えない用紙があり、年賀ハガキも写真用(光沢のあるタイプ)には印刷できないなど、制限もあった。また、写真用紙に印刷した際に発色が悪く光沢感が薄れるなど、あまりにも普通紙特化というイメージであった。そこで、カラーインクを染料とする事で、文章の黒文字は綺麗なまま、染料インクしか使えない用紙への印刷や、写真用紙への印刷画質を向上させる方向に変更されている。確かに家庭向けの機種は一つの用途に特化しているより、幅広く使える方が好まれる傾向はあるだろう。その点では、文書も写真も年賀状もそれなりに綺麗に印刷できるという、家庭用の下位モデルらしい仕様といえるだろう。
 なお、インクの種類が変更されたので、当然インクカートリッジも新しくなった。PX-049Aではリコーダー型番だったが、EW-052Aではマグカップ型番となった。一方、印刷コストはL判写真でPX-049Aの27.5円から25.7円に、文書印刷も13.8円から13.2円に若干安くなっている。なお、PX-049Aでは黒のみ増量タイプが用意されていたが、EW-052Aには無くなっている。ちなみにインクカートリッジの価格を見てみると、リコーダーインクはブラックもカラーも各1.030円で、増量ブラックは1,760円、4色パック(ブラックは標準容量)は4,000円だったが、マグカップインクはカラーが740円、ブラックが1,690円で、4色セットで3,790円となっている。これを見ると、マグカップインクはブラックだけ価格が高いことから、ブラックは「増量が無くなった」のではなく、「増量のみになった」という方が正しいだろう。それと共に、インクカートリッジの価格はカラーが38%、ブラックがリコーダーは増量との比較で4%安くなっているが、印刷コストも4%ほどしか下がっていないため、カラーインクの印刷可能な枚数は減っていると予想される。とはいえ、交換回数が増えるだけで印刷コストは安いし、インク購入時の金額的な負担も小さくなっているのはうれしいところだろう。また、インクはセットしてから半年以内に使うことが推奨されており、1年を超えると詰まりやすくなるが、この価格帯のユーザーは印刷枚数がそれほど多くないと予想されるため、印刷枚数が少ない方が使い切りやすくて良いと言える。ユーザー層に合わせた変更と言えるだろう。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
対応用紙サイズ
L判〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○(50枚)
○(50枚)
前面
その他
排紙トレイ自動開閉
用紙種類・サイズ登録
用紙幅チェック機能

 続いて、EW-052AとPX-049Aの給紙、排紙機能を比較してみよう。背面給紙で給紙枚数は普通紙50枚、ハガキ20枚と上位機種より少ない点でも同等だ。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
自動両面印刷
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
廃インクタンク交換/フチなし吸収材エラー時の印刷継続
−/○
−/−

 続いてEW-052AとPX-049Aののその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能やレーベル印刷機能に非対応である点などは同じだが、フチなし吸収材エラー時の印刷継続機能が追加された。インクジェットプリンターのインクの吸収材は2種類ある。1つは電源を切った際にインクカートリッジが戻る位置の下あたりにある、廃インクタンクである。クリーニングなどを実行した際に出るインクを吸収するものである。一方、用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これはフチなし吸収材だ。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。これがフチなし吸収材だ。これまでのプリンターはどちらかが一杯になると警告が表示されてプリンターが一切動かなくなり、修理するしか方法がなかった。前者に関しては、上位機種とは異なりユーザー自身が交換できるようにはなっておらず修理対応となる。一方、後者の「フチなし吸収材」に関しては、簡単に交換できる構造にはできないが、満タンになった場合でもこの吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになっている。写真などをフチなし印刷していた場合、とりあえずそちらは中断してしまっても、年賀状や文書などの急ぐものは印刷してしまって、時間に余裕のある時に修理に出せるようになった。

スキャン
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリーカード保存

 EW-052Aのスキャナー機能にPX-049Aから変化は見られない。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
カードスロット
対応メモリーカード
USBメモリー/外付けHDD/外付けCD/DVD対応
−/−/−
−/−/−
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDD/外付けCD/DVDへバックアップ
−/−/−
−/−/−
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
PictBridge対応
赤外線通信
各種デザイン用紙印刷

 EW-052AもPX-049Aも、ダイレクト印刷機能は一切搭載しない点で同じである。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
スマートフォン連携
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応
iOS 9.0以降
Android 4.1以降
スマートスピーカー対応
NFC対応
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
スマートフォン経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージからの印刷
SNSからの印刷
○(コメント付き可)
○(コメント付き可)
写真共有サイトからの印刷
メールしてプリント
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント
○(受信のみ)

 EW-052Aのスマートフォン、クラウド関連機能にもPX-049Aから変化は無い。対応端末に関してはiOSのバージョンが9.0から10.0、Androidのバージョンは4.1から5.0になっているが、これは本体の発売時のアプリの対応バージョンなので、現在のアプリの対応バージョンは両機種ともAndroid 5.0/iOS 10.0以上となる。ただし、従来のアプリ「EPSON iPrint」に加えて、「Epson Smart Panel」にも対応している。「Epson Smart Panel」は、これまでばらばらのアプリで対応していた機能を集約し、さらにノズルチェック、ヘッドクリーニング、ファームウェアのアップデートなど本体の操作が行える、プリンターのリモコンのようなアプリとなっている。ただし、こちらを利用する場合は、Androidは5.0以降で同じだが、iOSは11.0以降の対応となる。
 LINEからプリントする機能は、LINE上でEW-052Aを友達登録しておき、トーク画面上でファイルを送信すると自動でプリントされる機能だ。去年の時点ではこういった機能は無かったためEW-052Aの新機能に見えるが、今年から新たに提供される新サービスであり、PX-049Aをはじめ旧機種でも使える。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
等倍コピー
○(A4普通紙フチありのみ)
○(A4普通紙フチありのみ)
拡大縮小
倍率指定
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
−/−
−/−
バラエティコピー

 EW-052Aのコピー機能もPX-049Aと同等で、液晶ディスプレイが無いため、A4普通紙へのフチありで等倍コピーのみとなる。コピーボタンを連続で押すことで20枚までコピー枚数を指定できるのも同等だ。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
EW-052A
PX-049A
製品画像
液晶ディスプレイ
操作パネル
物理ボタン式
物理ボタン式
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
有線LAN
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
外形寸法(横×奥×高)
390×300×146mm
390×300×145mm
重量
4.0kg
3.9kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト

 最後にEW-052AとPX-049Aの操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。液晶ディスプレイを搭載せず、前面のボタンでの操作となる点も変わらない。ボタンの配置も、左から「電源ボタン」「Wi-Fiボタン」「ネットワークステータスシートボタン」「モノクロコピーボタン」「カラーコピーボタン」「ストップボタン」となっているのも同じだ。ボタン形状が四角から丸に変更されている事と、ボタンの周囲に隙間の無いタイプに変更され、若干すっきりした印象を受けるくらいだ。また、インク残量と用紙のエラーランプの位置がストップボタンの下から右に、Wi-Fi関連のランプが電源ボタンの左から右に移動したくらいの微々たる変化だ。ただし、Wi-Fiの状態を示すランプは、 PX-049Aでは緑のNW1とオレンジのNW2で、2つのランプの組み合わせで状態を示していたが、EW-052Aでは両方緑で、「無線LAN」と「Wi-Fiダイレクト」を示すものに変更されている。
 インターフェースもUSB2.0と無線LANという点では同じだが、新たにスマートフォンやタブレットとの「Wi-Fiダイレクト」接続が可能となった。PX-049Aは必ず無線LAN(Wi-Fi)ルーターなどのアクセスポイントを経由する必要があったが、これが不要となっている。ただし、液晶ディスプレイが無いため、接続用のSSIDやセキュリティーキーは印刷して確認することになる。また、無線LANルーターがAOSSやWPSのプッシュボタン接続に対応している場合は簡単に接続できるが、非対応の場合や、その方法では接続できず、手動でセキュリティーキーを入力する場合は、一度USBでパソコンと接続するなどの方法が必要となる。
 対応OSは同じで、本体サイズも高さが1mm大きくなっただけで、ほぼ同じと言える。カラーバリエーションもホワイトのみとなる。



 EW-052AはPX-049Aと比べると家庭での利用がしやすくなったと言える。全色顔料から、顔料ブラック+染料カラーへの変更は、文書印刷をメインにしつつ、様々な用紙に対応できる点で家庭向けだし、印刷コストやインクカートリッジの価格が下がったのも、この機種のユーザー層を考えると良いと言える。また、ブラックインクが大容量のみで、4色パックでも大容量が購入できるのも、文書印刷がメインと思われるこの機種に合っている。さらにWi-Fiダイレクトに対応するなど、低価格機の範疇で、様々な点で改良した印象だ。見た目には大きな変化が無く、実際に搭載される機能は少ないため、機能面でも驚くような変化は無いが、細かな点を改良したと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


EW-052A