小ネタ集
2020年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年1月17日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「DCP-J987N」と旧機種「DCP-J982N」を徹底比較する

 DCP-J987NはDCP-J982Nの直接の後継モデルだ。ファーストタンク搭載のDCP-J988Nと1違いの型番となり分かりにくいが、例年の法則に則って、型番の数字が5上がっている。今年は下位モデルのDCP-J582Nの後継モデルが登場しておらず(実際には一部ネット販売専用モデルとしてDCP-J587Nが登場している)、ブラザーのファクス無しの家庭用複合機では唯一のモデルとなった。どのような違いがあるのか見てみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像

発売日
2020年10月下旬
2019年9月上旬
発売時の価格(税別)
19,500円
23,000円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存100年/耐光性50年)
染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存100年/耐光性50年)
インク型番
3111
3111
ノズル数
N/A
N/A
N/A
N/A
最小インクドロップサイズ
1.5pl
1.5pl
最大解像度
1200×6000dpi
1200×6000dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
14秒
14秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
10.0ipm
10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
12.0ipm
12.0ipm
印刷コスト
(税別)
L判縁なし写真
18.6円
18.6円
A4カラー文書
8.4円
8.4円
A4モノクロ文書
2.7円
2.7円

 まずは、DCP-J987Nの販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はDCP-J982Nが23,000円、DCP-J987Nが19,500円と3,500円下がっている。より買いやすい価格となっている。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成や使用するインク、印刷速度、印刷コストなどは全く同等だ。この項目には変化がない。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
対応用紙サイズ
定型用紙
L判〜A4
L判〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面
【カセット下段】A4〜A6/ハガキ
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
L判/ハガキ/ポストカードのみ
(−/20枚/20枚)
手動切り替え
【カセット下段】A4〜A6/ハガキ
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
L判/ハガキ/ポストカードのみ
(−/20枚/20枚)
手動切り替え
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動・下段のみ)
○(カセット収納連動・下段のみ)
用紙幅チェック機能

 続いて、DCP-J987Nの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズや、前面2段給紙カセット+背面手差しという点など全く同じだ。前面2段給紙の切り替えが手動である点も引き継いでいる。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
3.0ipm
3.0ipm
A4モノクロ文書
3.0ipm
3.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
特定インク切れ時印刷
○(クロだけ印刷・最大30日)
○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてDCP-J987Nのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能やレーベル印刷機能、自動電源オフやなどの機能も変化はない。

スキャン
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
最大スキャンサイズ
A4
(215.9×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度
1200dpi(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
1200dpi(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
センサータイプ
CIS
CIS
ADF
原稿セット可能枚数
20枚
20枚
原稿サイズ
148×148〜215.9×355.6mm
148×148〜215.9×355.6mm
両面読み取り
読み取り速度
カラー
N/A
N/A
モノクロ
N/A
N/A
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF/TIFF)
○(JPEG/PDF/TIFF)

 DCP-J987Nのスキャナー機能もDCP-J982Nから変化はない。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
ダイレクト
プリント
メモリーカード
SD
SD
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
色補正機能
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷

 DCP-J987Nのダイレクト印刷機能を見てみよう。ダイレクトプリントが可能なのはSDカードとUSBメモリーとなっており、フチありとフチなしの切り替えと明るさ・コントラストの調整が可能である点も全く同じだ。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
Brother iPrint&Scan
Brother iPrint&Scan
AirPrint
対応端末
iOS 11.0以降
Android 4.03以降
iOS 11.0以降
Android 4.03以降
スマートスピーカー対応
Wi-Fi接続支援機能
○(NFC(Android))
○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/○
○/○
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS
写真共有サイト
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント
○Eメールプリント(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
○メール添付印刷(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
本体でのプリント操作必要
LINEからプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 DCP-J987Nのスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。基本的なスマートフォンからのプリント・スキャン機能、クラウド関連の機能は同等だ。ただし、ここで唯一と言えるDCP-J987NとDCP-J982Nの異なる点がある。それが「メール添付印刷」機能が「Eメールプリント」機能へと変更された事だ。これは、スマートフォンやパソコンから、DCP-J987Nにメールを送信すると、本文と添付ファイルを印刷してくれるという機能だ。従来の「メール添付印刷」では、送信すると専用のクラウド上に保存されるため、24時間以内にプリンター本体からの操作でクラウドにアクセスし、送信元のメールアドレスを選択してプリントという手順が必要だった。「Eメールプリント」では、本体の操作が必要なく、メールを送信すると、自動的にプリントされるようになった。また、「メール添付印刷」ではWord、Excel、PowerPoint、PDF、TXT、BMP、GIF、JPG、PNG、TIFF形式に対応しているが、添付ファイルのみの印刷でメール本文は印刷されなかった。「Eメールプリント」では対応ファイル形式は同じながら、メール本文を印刷するか選べるようになった。これらの設定は、ブラウザ上から行え、ドキュメントと画像でそれぞれ画質と用紙サイズ、さらにドキュメントは両面印刷をするかどうかも設定できるようになった。ソフトウェア的な変更のみだが、同機能の使い勝手は大きく向上している。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
○/○
○/○
その他のコピー機能
濃度調整
地色除去コピー
裏写り除去コピー
インク節約モードコピー
濃度調整
地色除去コピー
裏写り除去コピー
インク節約モードコピー
バラエティコピー
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 DCP-J987Nのコピー機能もDCP-J982Nから変化はない。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
DCP-J987N
DCP-J982N
製品画像
液晶ディスプレイ
2.7型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶+物理ボタン
(度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜
Windows 10/8.1/8/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜
耐久枚数
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
400×341×172mm
レーベル印刷時は後方に10cm以上のスペースが必要
400×341×172mm
レーベル印刷時は後方に10cm以上のスペースが必要
重量
8.6kg
8.6kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト/ブラック

 最後にDCO-J987Nの操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。液晶のサイズや操作性、インタフェース、本体サイズや本体デザインには変更はない。ただし対応OSに関しては、古いOSが一部対象外となった。Windowsの場合Windows 8が非対応となった。(Windows 8.1には対応)。MacOSはDCP-J982Nの10.12.6以降から、DCP-J987Nでは10.13.6以降となった。また、本体カラーのバリエーションもDCP-J982Nではホワイトとブラックから選べたが、DCP-J987Nではホワイトのみとなっている。ただし、型番上はDCP-J987N-Wとホワイトを区別する文字が付いており、一部量販店ではブラックモデルのDCP-J987N-Bが販売されている。



 家庭用インクジェットプリンターでは新モデルと言ってもほぼ変わりが無い状態が続いている近年だが、DCP-J987Nもほぼ変化がない状況だ。それでも、「メール添付印刷」が「Eメールプリント」へと進化して使い勝手が良くなった。エプソンの同機能は、当初より操作無しでプリントされており、この点が劣っていただけに、使う人にはうれしい変更点だろう。また、価格が下がり、下位モデルが無くなったため、上位モデルと下位モデルの中間的な機種となり、機能が一部省略される事でコストダウンが図られて価格が下がるというパターンが多い中、機能面を一切落とさずに価格が下がったのも歓迎される点だろう。



(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
ブラザーhttps://www.brother.co.jp/


DCP-J987N-W