小ネタ集
2020年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年12月17日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「EP-883A」と旧機種「EP-882A」を徹底比較する

 EP-883Aはカラリオシリーズでは最上位となるモデルである。EP-882Aの後継モデルで、例年の法則に従って数字が1上がっている。近年ではエコタンクモデルに力が入っており、カートリッジ方式のカラリオシリーズにはあまり変化がないが、今回はどのような変更点があるのか、検証してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像




発売日
2020年10月22日
2019年8月1日
発売時の価格(税別)
32,500円
31,980円
インク
色数
6色
6色
インク構成
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立
各色独立
顔料/染料系
染料
(つよインク200)
染料
(つよインク200)
インク型番
カメL(増量)
カメ(標準)
カメL(増量)
カメ(標準)
ノズル数
1080ノズル
1080ノズル
各色180ノズル
各色180ノズル
最小インクドロップサイズ
1.5pl(AdvancedMSDT)
1.5pl(AdvancedMSDT)
最大解像度
5760×1440dpi
5760×1440dpi
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
13秒
13秒
A4普通紙カラー(ISO基準)
N/A
N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
N/A
N/A
印刷コスト
(税別)
L判縁なし写真
20.6円
20.6円
A4カラー文書
12.0円
12.0円
A4モノクロ文書
N/A
N/A

 まずは、EP-883Aの販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はEP-883Aが32,500円で、EP-882Aが31,980円だったので、520円だけアップと言うことになる。ほぼ同価格を維持していると言えるだろう。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成や使用するインク、印刷速度、印刷コストなどは全く同等だ。この項目には変化がない。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
対応用紙サイズ
定型用紙
名刺〜A4
(127×127mmスクエア用紙対応)
名刺〜A4
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.6mm厚紙対応)
前面
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
【カセット下段】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット上段】
2L/ハイビジョン以下
(−/20枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能
○(印刷時)
○(印刷時)

 続いて、EP-883Aの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙は最小が名刺サイズ、最大がA4と言う点では同等だが、新たに127×127mmのスクエア用紙に対応した。スクエア用紙は、近年SNSなどで使われる真四角の写真の印刷に便利で、キャノンでは数年前より対応していたサイズだ。ただし、キャノンでは89×89mm(L判の短辺の長さのスクエア)と、127×127mm(L判の長辺の長さのスクエア)の2種類に対応しているが、EP-883Aは127×127mmのみである。その他、前面2段給紙カセット+背面手差しという点や、排紙トレイの自動伸縮など機能面は同等だ。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
自動両面印刷
○(ファイン紙対応)
○(ファイン紙対応)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
N/A
N/A
A4モノクロ文書
N/A
N/A
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
○/○
○/○
廃インクタンク交換
○(メンテナンスボックス交換可)
○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能
○(フチあり印刷継続可)
○(フチあり印刷継続可)

 続いてEP-883Aのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能やレーベル印刷機能、自動電源オン・オフや、メンテナンスボックスがs交換が可能な点まで変化はない。

スキャン
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
最大スキャンサイズ
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度
1200dpi(1200×4800dpi)
1200dpi(1200×4800dpi)
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存
○(JPEG/PDF)
○(JPEG/PDF)

 EP-883Aのスキャナー機能もEP-882Aから変化はない。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
ダイレクト
プリント
メモリーカード
SD
SD
USBメモリー

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)

(外付けHDD/外付けDVDドライブ対応)
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG
JPEG
色補正機能
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
トリミング
フチなし/フチあり(フチ4種類・フチ太さ4段階)
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
○/○
○/○
PictBridge対応
○(USB/Wi-Fi)
○(USB/Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷
塗り絵印刷
フォーム印刷(カレンダー・罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜・メッセージカード)
デザインペーパー
証明写真印刷
シール印刷
フォトブック印刷
写真コラージュ
ディスクレーベル印刷
CDジャケット印刷

 EP-883Aのダイレクト印刷機能を見てみよう。ダイレクトプリントが可能なのはSDカードとUSBメモリーとなっており、EP-882Aが対応していた赤外線通信が省略された。赤外線通信はガラケーなどからのプリントに使われて来たが、最近ではスマートフォンの普及と、ガラケーがAndroidベースのガラホとなり赤外線通信が省略される機種が出てくるなど、需要が少なくなったという判断だろう。その他、色補正機能や、各種デザイン用紙印刷機能に変化はない。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能
○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
○(リモートプリントドライバー)
○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント

 EP-883Aのスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。アプリは変更が無く、プリントやスキャン、さらにはクラウド関連の機能や、メールやLINEでプリントする機能、リモートプリントなどの機能まで同等だ。ただし、Wi-Fi接続設定に新たな機能が追加されている。EP-882Aでも、Wi-Fiダイレクト接続時の簡単設定機能が搭載されており、iOSの場合は本体液晶に表示されるQRコードを、iOS標準のカメラアプリで読み取るだけで接続が出来、Androidの場合はアプリ上でプリンターを選択すると、本体液晶に許可を求めるメッセージが表示されるので、許可を選択するだけで接続が出来た。従来のようにセキュリティーキーの入力などが不要で、非常に簡単になっていた。EP-883Aではこれらの機能は引き継ぎつつ、Bluetooth LEを利用した初回セットアップの簡略化機能が搭載された。スマートフォン用アプリ「Epson Smart Panel」起動し「新規セットアップ」を選択する。そして、初期設定を行っていないEP-883Aの電源をオンにすると、EP-883Aが一覧に表示される。これを選ぶとBluetooth LEを使用してEP-883Aに自動接続される。そして、設置からインクの取り付け方法などを対話形式でスマートフォン上で案内し、最後にEP-883Aをスマートフォンと同じネットワークのWi-Fiに接続して終了となる。自動接続されるため非常に簡単なほか、インクの取り付け方法なども表示されて非常に分かりやすい上に、ネットワーク接続設定まで行ってくれるので、初期セットアップのハードルが大きく下がっている。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
○(退色復元対応)
○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面)
○/−
○/−
その他のコピー機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
バラエティコピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー
見開きコピー
IDコピー
ミラーコピー
塗り絵コピー
リピートコピー

 EP-883Aのコピー機能もEP-882Aから変化はない。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
EP-883A
EP-882A
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
(90度角度調整可)
4.3型
(90度角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
耐久枚数
N/A
N/A
外形寸法(横×奥×高)
349×340×142mm
349×340×142mm
重量
6.8kg
6.8kg
本体カラー
ホワイト/ブラック/レッド
ホワイト/ブラック/レッド

 最後にEP-883Aの操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。液晶のサイズや対応OS、本体サイズに違いは無い。ただし、インタフェースに関してはEP-882AがUSB2.0と無線LAN、有線LANに対応していたのに対して、EP-883Aでは有線LANが省略された。一方で、他機種のように無線LANがIEEE802.11acに対応したり、5GHz帯が使用できるようになるなどの強化はなされていない。通信の安定性や設定の簡単さ、無線LANの電波が入りにくい場所で使う場合など、有線LANを使うという人には注意が必要だ。



 家庭用インクジェットプリンターでは新モデルと言ってもほぼ変わりが無い状態が続いている近年だが、EP-883Aも進化したのはスクエア用紙対応とBluetooth LEを使用した初期セットアップの簡略化機能の追加だ。逆に赤外線通信と有線LAN接続が廃止されている。一部機能が無くなったのは残念だが、初期セットアップは慣れているないユーザーには不安が大きいと思われるだけに、簡単に行える機能が追加された事でハードルが下がったと言えるだろう。少しでも使いやすくしようという細かな機能の追加は素直に歓迎したい。



(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


EP-883AW
(ホワイト)
EP-883AB
(ブラック)
EP-883AR
(レッド)