2020年末時点のプリンターを徹底検証 新機種と旧機種を徹底比較 (2021年5月28日公開)
G3360はG3310の後継モデルだ。G3310の後継モデルとしては2019年11月にG6030が登場しているが、G3310は下位モデルとして継続販売されてきた。しかし、インクの補充方法やMacに非対応であることなど、あまりにも劣る点が多いことから、改めて下位モデルとしての後継モデルが登場した形となる。そのため、G3310を基本に、最新モデルに合わせた一部変更がなされている他、G6030の機能も一部取り入れられ、そしてG6030も対応していない機能も一部搭載している。G3310と比べて、どの点が進化したのか徹底的に比較すると共に、上位モデルG6030も参考モデルとして掲載している。 |
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シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式) |
(オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
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新顔料ブラック |
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黒:640ノズル |
黒:320ノズル |
黒:640ノズル |
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(税別) |
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(税別) |
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インクボトル(ブラック)2本 |
インクボトル(ブラック)2本 |
インクボトル(ブラック)2本 |
まずは、G3360の販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はG3360が26,500円で、G3310が39,980円だった事を考えると、かなりの低価格で登場したことになる。とはいえ、前述の通り、G3310は上位も下位もない唯一のギガタンク搭載複合機として登場し、その後G6030の登場と共に下位モデルとなった経緯がある。はじめから下位モデルとして登場したG3360とは、販売開始時の価格が異なるのは当たり前と言える。実際、G6030が登場した後、G3310は29,980円まで価格を下げている。とはいえ、それと比べても、3,480円安い価格設定だ。新モデルとなったにも関わらず、価格が下がった点で、お買い得感は増したといえる。 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成は同じ4色で、ギガタンク方式である点も同じだが、インクの補充方式は大きく進化した。キャノンのギガタンクやエプソンのエコタンクの1世代目の製品は、ボトル先端に対して大きな注入口が開けられており、ここに先端を挿し込み、ボトルを握るなどして目視で満タンまで注入する形であった。あふれさせてしまう危険性もあるし、インク自体もボトルからこぼれやすく、扱いには注意が必要だった。G3310はこの第1世代のギガタンクである。エプソンはタンク方式で先行していたこともあり、キャノンがG3310を発売する前に、第2世代のエコタンクに移行していた。2世代目では、注入口は穴では無く注入用の管が出ており、そこにボトルを挿し込むと注入が始まり、満タンになると自動ストップするようになっている。インクをあふれさせる心配が無く、さらにボトル自体もインクがこぼれにくくなり、格段に手軽になった。さらにボトルの先端と挿し込み口の形状を色ごとに変えてあるため、間違えた色のタンクに注入してしまう危険性が無くなった。その後、キャノンのギガタンクも、G6030の登場により第2世代へと移行し、満タンで自動ストップし、インクもこぼれにくいボトルとなった。ところが、ボトル先端の形状は各色が同じで、挿し間違いに対する対策が無い点でエコタンクに対して劣っていた。G3360では、色ごとに形状を変更し、挿し間違いを防ぐ構造が取られたため、エコタンクと同等となった。G3360のこのインクの補充方式の進化は、G3310に対して圧倒的に便利になっただけで無く、上位モデルのG6030よりも便利になる逆転現象が起こっている。 G3360の印刷解像度はG3310と同等で、最小インクドロップサイズも非公表ながら、同等ではないかと思われる。そのため画質面での進化はない。なおG6030では「新顔料ブラック」という名称が付けられているが、G3360にはその記述はない。ただし、画質的に劣るかどうかは不明だ。一方、印刷速度に関係するノズル数は、G3360ではG3310よりも増やされている。具体的にはカラーは各384ノズルで同等だが、ブラックはG3310の320ノズルから、G3360では640ノズルに倍増されている。これにより、L判写真がG3310の51秒から、G3360では37秒に、カラー文書は5.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数)から6.0ipm、モノクロ文書は8.8ipmから10.8ipmに高速化している。なお、このノズル数はG6030と同等になっており、L判写真の印刷速度は同等になっているが、G6030はカラー文書が6.8ipm、モノクロ文書は13.0ipmで、G3360よりさらに高速だ。G3360はG6030と同等のノズル数に引き上げられているが、印刷速度には差が付いている事になる。 G3360の印刷コストは、カラー文書が0.9円、モノクロ文書が0.4円で、G3310よりどちらも0.1円高くなり、G6030と同等になっている。エプソンでもエコタンクが第2世代に移行した際に、同様の変化が起こっており、ボトル形状の複雑化によるコストアップだろうか。とはいえ、1万枚印刷して1,000円の差なので、気にするほどの差ではないだろう。ちなみに使用するインクは31番である。G3310とはもちろん異なるが、G6030とも補充方式が異なる事から別となっている。印刷可能枚数は、ブラックはG3310と同等で6,000枚だが、カラーは7,700枚と、G3310より1割増えている。ただし、インクボトルの価格も、G3360用はブラックが1,800円、カラーが各1,400円で、G3310用の1,720円と1,120円よりやや高くなっている。一方でG6030と比べると、カラーは同等だが、ブラックはG6030用が2,100円なので、G3360ではやや安い価格設定だ。「新顔料ブラック」でない点が、差になっているのかもしれない。 |
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(A4普通紙セット可能枚数) |
(100枚/40枚/20枚) |
(100枚/40枚/20枚) |
名刺〜A4 (100枚/40枚/20枚) |
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A5〜A4 普通紙のみ (250枚/−/−) |
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続いて、G3360の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙は定型サイズは同等だが、長尺印刷の場合、G3310の676mmから、G3360では1,200mm(1.2m)までの対応となり、より長尺の印刷が可能となっている。なおG6030も676mmまでなので、この点でも下位モデルであるG3360の方が機能で上回る逆転現象となっている。給紙は背面給紙のみと言う点はG3310を引き継ぐ。ただし、用紙の種類とサイズの登録機能が追加されており、背面給紙の給紙口カバーを閉じると登録画面が表示される。この登録内容と印刷設定が異なる場合、エラーメッセージが表示され、無駄に間違った用紙に印刷することが無いようになっている。
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