プリンター徹底比較
2020年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2020年12月17日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・現行機種1からの変更点となります。

新機種「PX-M6010F」と旧機種「PX-M5080F」を徹底比較する

 PX-M6010Fは、A3ノビプリントとA3スキャンに対応したインクカートリッジ方式のビジネス向け複合機だ。型番は大きく変わったがPX-M5080Fの直接の後継モデルとなる。ちなみに前面給紙カセットが2段のPX-M6011Fと、1段のPX-M6010Fがラインナップされており、それぞれ2段のPX-M5081Fと、1段のPX-M5080Fの後継モデルとなっている。5000番台から6000番台となり、型番上も大きく進化したのを伺わせるPX-M6010Fだが、旧モデルPX-M5080Fとどこが進化したのか、細かく検証する。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
発売日
2020年10月8日
2017年10月6日
発売時の価格(税別)
32,500円
32,980円
インク
色数
4色
4色
インク構成
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成
各色独立インクカートリッジ
各色独立インクカートリッジ
顔料/染料系
顔料
(文書キャビネット保存400年)
顔料
(つよインク200X)
インク型番
IB07B番(大容量)
IB07A番(標準容量)
76番(大容量)
74番(標準容量)
ノズル数
1568ノズル
1568ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
カラー:各256ノズル
黒:800ノズル
最小インクドロップサイズ
N/A(3.8pl(MSDT)?)
2.8pl(MSDT)
最大解像度
4800×2400dpi
4800×2400dpi
PrecisionCoreプリントヘッド
○(600dpi)
○(600dpi)
印刷速度
L判縁なし写真(メーカー公称)
N/A
N/A
A4普通紙カラー(ISO基準)
12.0ipm
(最速22枚/分)
10.0ipm
(最速20枚/分)
A4普通紙モノクロ(ISO基準)
25.0ipm
(最速32枚/分)
18.0ipm
(最速32枚/分)
印刷コスト
(税別)
L判縁なし写真
N/A
N/A
A4カラー文書
8.5円
7.6円
A4モノクロ文書
2.6円
2.5円
インク1本の印刷枚数
ブラック
2,200ページ
2,200ページ
カラー
1,100ページ
1,100ページ
インク1本の価格
(税別)
ブラック
5,860円
4,830円
カラー
各2,120円
各1,930円
同梱インク
セットアップ用インクカートリッジ各色1本
セットアップ用インクカートリッジ各色1本

 まずは販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はPX-M6010Fが32,500円で、PX-M5080Fの32,980円とほぼ同価格だ。型番上は6000番台となり、性能が上がった事が分かるため、多少価格が上がることもあり得たが、同価格を維持しているのはうれしい事だ。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インクは顔料4色インクというのは同じだが、「つよインク200X」の名称が付けられていたインクは、ただの顔料インクとなった。「つよインク200X」では写真保存時に、アルバム保存300年、耐光性45年、耐オゾン性30年と高くなっていた。しかし、今回は写真の耐保存性は明言されなくなった代わりに「文書のキャビネット保存400年」がうたわれている。顔料4色構成では画質上、写真印刷向きでは無く、文書印刷がメインになると思われるため、写真の耐保存性が高いより文書の耐保存性が高い方が合っているといえる。
 インクの変更に伴って、PX-M5080Fでは76番(大容量)又は74番(標準容量)だったインクカートリッジは、PX-M6010FではIB07番となった。IB07の後ろに色の記号(K/C/M/Y)が付き、その後ろがBなら大容量、Aなら標準容量となる。
 最小インクドロップサイズに関しては、PX-M6010Fは非公表ながら、同性能の海外のモデルでは3.8plとなっており、おそらく3.8plとなる。PX-M5080Fでは2.8plだったので、ドットは若干大きくなったが、写真や年賀状印刷ならともかく、普通紙への印刷ではそれほど画質は変わらない。文章中のグラフや写真で若干ざらざら感が増している程度だろう。一方PrecisionCoreプリントヘッドは引き続き採用し、普通紙にも600dpiの高解像度で印刷が出来るので、細かい文字や図面なども綺麗に印刷できる。
 印刷速度に影響するノズル数は、PX-M6010Fはカラー各256ノズル、ブラック800ノズルで、これはPX-M5080Fと同等だ。それでもPX-M5080FではA4カラー文書が10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷枚数。数字が大きいほど高速)、A4モノクロ文書が18.0ipmだったが、PX-M6010Fではそれぞれ12.0ipmと25.0ipmへと高速化している。特にモノクロプリントの高速化が顕著だ。
 一方、印刷コストに関してはやや高くなった。PX-M5080FではA4カラー文書が7.6円、A4モノクロ文書が2.5円だったが、PX-M6010Fではそれぞれ8.5円と2.6円となった。モノクロはほぼ同等だが、カラーは約12%高くなっている。インクカートリッジ1セットでA4カラー文書を印刷した場合の枚数は、ブラック、カラー共に変化していない。ただしカートリッジ自体の価格は、ブラックインクが4,830円から5,860円に、カラーインクが1,930円から2,120円に上がっている。それぞれ21%と10%の値上げだ。ブラックインクの値上げ幅が大きいのに対して、モノクロ印刷コストはほぼ変わっておらず、逆にカラー印刷コストが大きく上がっているのが不思議だが、モノクロ印刷主体なら、1枚あたりの印刷コストは気にしなくても良いといえる。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
対応用紙サイズ
定型用紙
L判〜A3ノビ
(用紙幅64mmまで対応)
L判〜A3ノビ
長尺用紙
長さ1,200mmまで
長さ1,200mmまで
給紙方向
(セット可能枚数(普通紙/ハガキ/写真用紙))
背面

(50枚/20枚/20枚)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
前面
【カセット】
A3まで
(250枚/65枚/50枚)
【カセット】
(250枚/50枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
○(A4/A3伸張量自動調整)
用紙種類・サイズ登録
○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動)
○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能
○(印刷時)
○(印刷時)

 続いて、PX-M6010Fの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙は最大はA3ノビ、最小はL判という点では共通だ。しかし、PX-M6010Fは用紙幅はL判の89mmより小さな64mmまで対応している。このサイズは、B6ハーフサイズのプライスカードに用いられ、小売店などで重宝されそうだ。
 給紙に関しては、前面給紙カセット1段+背面給紙という点では同じだ。ただ、PX-M5080Fの背面給紙は1枚ずつの手差しだったのに対して、PX-M6010Fでは連続給紙が可能なトレイ式へと進化した。普通紙は50枚、ハガキや写真用紙は20枚までセットできる。もちろんA3ノビ対応だ。また、前面給紙カセットは250枚セットできるが、B4やA3サイズをセットする場合はカセットを伸ばす必要があり本体から飛び出す点は、PX-M5080Fと同じだ。ただ、PX-M5080FではA3ノビまで対応していたが、PX-M6010FではA3までとなり、A3ノビに非対応となった。つまりA3ノビは背面給紙のみとなる。一方の給紙枚数は、普通紙は250枚で同じだが、ハガキはPX-M5080Fの50枚からPX-M6010Fでは65枚に、写真用紙は10枚から50枚に増えた。合計の給紙枚数は、普通紙は251枚から300枚に、ハガキは51枚から85枚に、写真用紙は11枚から70枚に増え、交換の手間が軽減されたことになる。
 また、排紙トレイはPX-M5080Fでは手動で引き出す必要があったが、PX-M6010Fでは自動伸縮するようになった。引き出し忘れて印刷した用紙が床に落ちてしまう心配が無くなった。また、A4とA3で伸張量が調整されるようになっており、A4サイズの印刷なのに最大まで伸びで邪魔になるという事がないように工夫されている。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書
9.0ipm
6.0ipm
A4モノクロ文書
16.0ipm
8.7ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
○(オートフォトファイン!EX)
○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷
○(黒だけでモード・5日間のみ)
○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ
−/○
−/○
廃インクタンク交換
○(メンテナンスボックス交換可)
○(メンテナンスボックス交換可)
フチなし吸収材エラー時の対応機能
○(フチあり印刷継続可)

 続いてPX-M6010Fのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能はPX-M6010FもPX-M5080Fも搭載しているが、その速度に若干の向上が見られる。また、廃インクタンク(メンテナンスボックス)のユーザーによる交換はPX-M6010FもPX-M5080F同様対応しているが、新たに「フチなし吸収材エラー」時に印刷が継続できる機能も搭載された。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これがフチなし吸収材だ。このフチなし吸収材エラーが満タンになると、多くの機種では、一切のプリントが止まってしまう。一方、PX-S6710Tでは、この吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになった。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。


自動両面印刷速度
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
A4カラー文書
印刷速度
片面
12.0ipm
10.0ipm
両面
9.0ipm
6.0ipm
片面印刷との速度割合
75%
60%
A4モノクロ文書
印刷速度
片面
25.0ipm
18.0ipm
両面
16.0ipm
8.7ipm
片面印刷との速度割合
64%
48.3%

 これを見ると、PX-M6010Fは片面の印刷速度の向上に加えて、両面印刷時の速度低下率が抑えられている事がわかる。カラーの場合PX-M5080Fでは片面印刷の60%の速度だが、PX-M6010Fでは75%の速度が出ている。両面印刷でも48.3%から64%にアップしている。両面印刷の速度が片面に対して劣る理由は2つある。両面印刷の場合、表の印刷後に、そのままもう一度プリンター内に吸い込まれ、前面給紙の場合と同じくプリンター後方で180度方向転換することで裏返しているわけだが、その反転動作に時間がかかる事が1点。もう一つは印刷内容によっては内部にインクが付いてしまわないよう、乾燥させる時間がかかる事がある。両面印刷の高速化は、この反転動作が高速化したのか、インクの乾きが速くなったのかのどちらかだろう。どちらにしても、両面印刷をよく使うユーザーには注目ポイントだ。
 それでは自動両面印刷機能以外の部分も見ていこう。廃インクタンク(メンテナンスボックス)のユーザーによる交換はPX-M6010FもPX-M5080F同様対応しているが、新たに「フチなし吸収材エラー」時に印刷が継続できる機能も搭載された。フチなし印刷を行う場合、用紙のフチギリギリに印刷するのは用紙の微妙なズレなどを考えると難しいため、少し大きめに印刷し用紙からはみ出す部分は吸収材で吸収させるという方式をとっている。用紙が通る部分のプラスチックが一部欠けておりその下にクッションのような吸収材が見えるが、これがフチなし吸収材だ。このフチなし吸収材エラーが満タンになると、多くの機種では、一切のプリントが止まってしまう。一方、PX-M6010Fでは、この吸収材にインクが落ちることがない「フチあり」印刷に関しては印刷を継続できるようになった。フチなし印刷はできないとはいえ、フチなし印刷はとりあえず置いておいて、急を要するフチあり印刷を行い、余裕のあるときに修理に出すという事ができるわけだ。

スキャン
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
原稿サイズ
最大A3
(297×431.8mm)
最大A3
(297×432mm)
読み取り解像度
1200dpi
1200dpi
センサータイプ
CIS
CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF
原稿セット可能枚数
50枚
35枚
原稿サイズ
A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル
A3/B4/A4/B5/A5/レター/リーガル
両面読み取り
読み取り速度
カラー
9.0ipm
5.5ipm
モノクロ
26.0ipm
11.0ipm
スキャンデーターのメモリーカード保存
○(JPEG/PDF/PDA/A/TIFF)
○(JPEG/PDF/TIFF)

 続いてPX-M6010Fのスキャナー部を見てみよう。スキャナーの解像度やCISセンサーという点は同じで、ADFも搭載しているが、ADFにセットできる原稿の枚数が、PX-M5080Fの35枚から、PX-M6010Fでは50枚に強化されている。一度にスキャン・コピー・ファクスが連続で行えるため便利だ。さらに、そのADFを利用した場合のスキャン速度も向上している。カラー原稿の場合、PX-M5080Fは5.5ipmだったが、PX-M6010Fでは9.0ipmと、約1.6倍速になった。モノクロ原稿の場合は11.0ipmから26.0ipmとなり、こちらは約2.4倍だ。これは利便性が非常に高まっており、特にコピー時には効果を発揮するだろう(詳しくは後述)。
 また、本体だけでスキャンしてUSBメモリーに保存する機能は引き続き搭載するが、PX-M5080FではJPEG、PDF、TIFF形式で保存できたが、PX-M6010Fではこれらに加えてPDA/A形式での保存も可能となった。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
ダイレクトプリント
メモリーカード
メモリーカードリーダー対応
USBメモリー

(外付けHDD対応)
赤外線通信
対応ファイル形式
JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ)
JPEG/TIFF/PDF(スキャン to 外部メモリー機能で作成したPDFのみ)
色補正機能
フチなし/フチあり
赤目補正
フチなし/フチあり
赤目補正
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ
−/−
−/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷

 PX-M6010FとPX-M5080Fのダイレクト印刷機能を比較してみよう。両機種とも写真印刷向きのプリンターではないが、ダイレクト印刷機能も搭載している点では同等だが、機能面では若干違いがある。PX-M6010FもPX-M5080Fも、メモリカードリーダーは搭載せず、USBポートのみも搭載している点は同等だ。ただ、PX-M5080FではUSBメモリーのみ対応であった。一方、PX-M6010FはUSBメモリーだけでなく、外付けHDDを接続できる。さらに、パソコン用のメモリーカードリーダーを挿し込むことで、SDカードをはじめとする各種メモリーカードに対応できる。対応するメディアが格段に増えたと言えるだろう。一方、対応ファイル形式や、色補正機能などは同等となっている。

スマートフォン/クラウド対応
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
スマートフォン連携
アプリ
メーカー専用
EPSON iPrint
EPSON Smart Panel
EPSON iPrint
AirPrint
対応端末
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応
○(Alexa/Googleアシスタント)
○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能
○(QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン
○(PDF/JPEG)
○(PDF/JPEG)
クラウド連携
プリント
アプリ経由/本体
○/−
○/−
オンラインストレージ
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
SNS
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン
アプリ経由/本体
○/○
○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive)
(OneDriveはアプリからのみ)
メールしてプリント
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント
○(リモートプリントドライバー)
○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント

 PX-M6010Fのスマートフォン、クラウド関連機能を見ていこう。専用のアプリは従来のEPSON iPrintに加えて、他の最新機種にならって、EPSON Smart Panelにも対応した。対応端末に変化は無いが、EPSON Smart Panelの場合は、iOSは11.0以降となる。
 その他、PX-M6010Fでは、Wi-Fiダイレクト接続時の接続支援機能が変更されている。PX-M5080Fでは、NFCを搭載しており、タッチすることで簡単に接続ができたが、Android限定で、しかもNFCに対応した端末のみだった。そこで、PX-M6010Fでは、iOSの場合は本体の液晶に表示されるQRコードを読み込めば接続が完了し、Androidの場合は一覧から選んで、本体の液晶にメッセージが表示されるので接続の許可を選べば接続が完了するようになった。セキュリティーキーの入力などが不要なまま、iOSでもAndroidでも利用できるようになった。その他、クラウド関係の機能等は同等だ。

コピー機能
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
等倍コピー
拡大縮小
倍率指定
○(25〜400%)
○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面)
○/○
○/○
その他のコピー機能
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
プレビュー
濃度調整
背景除去機能
コントラスト調整
鮮やかさ調整
色調補正(レッド・グリーン・ブルー個別)
シャープネス調整
色相調整
バラエティコピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー
IDコピー
影消しコピー
パンチ穴消しコピー
見開き→2ページコピー
ソート(1部ごと)コピー

 PX-M6010Fのコピー機能を見てみよう。機能面では変化が無く、プレビューや各種色調整が可能なほか、IDコピーを初めとする多様なコピーが行える。
 ただ、スキャナー部で説明した様に、ADFの速度が向上したことにより、コピーでの利便性も向上しているといえる。同じ原稿の連続コピーなら良いのだが、ADFを利用して、複数の原稿をコピーする場合、スキャンとプリントの遅い方の制限を受けることになる。PX-M5080Fの場合、プリントはモノクロ18.0ipm、カラーが10.0ipmなのに対して、ADFはモノクロ11.0ipm、カラー5.5ipmなので、こちらがボトルネックとなり、それ以上の速度が出ない。それに対して、PX-M6010FのADFはカラーが9.0ipm、モノクロが26.0ipmである。モノクロのプリント速度は25.0ipmなので、理論上はスキャンがボトルネックにならず、プリント速度がフルに発揮できる。カラーのプリント速度は12.0ipmなので、ADFの方が遅いが、それでもPX-M5080Fと比べると高速にコピー出来ることになる。ADFを利用したコピーが多いなら、かなり使いやすくなったと言えるだろう。

ファクス機能
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
通信速度
33.6kbps
33.6kbps
画質設定
モノクロ
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
8dot/mm×3.85line/mm(標準)
8dot/mm×7.7line/mm(精細)
8dot/mm×15.4line/mm(高精細)
16dot/mm×15.4line/mm(超高精細)
カラー
200×200dpi
200×200dpi
送信原稿サイズ
A3〜A5
A3〜A5
記録紙サイズ
A3ノビ/A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター
A3/B4/A4/B5/A5/リーガル/レター
受信ファクス最大保存ページ数
550枚/100件
550枚/100件
データー保持(電源オフ/停電)
○/○
○/○
ワンタッチ
アドレス帳
200件
200件
グループダイヤル
199宛先
199宛先
順次同報送信
200宛先
200宛先
自動リダイヤル
発信元記録
ポーリング受信/送信
○/○
○/○
ファクス/電話自動切替
見てから送信
見てから印刷
受信ファクスを
メール送信
共有フォルダ保存
外部メモリー保存
○(USBメモリー・各種メモリーカード(カードリーダー接続時))
○(USBメモリー)
PCファクス
送受信
送受信

 続いて、PX-M6010Fのファクス機能を見てみよう。基本的にはほぼ同じ機能である。唯一記録紙サイズとしてA3ノビが選べる点ぐらいしか違いは無い。元々受信したファクスのメール送信や共有フォルダ保存と言った機能まで搭載しており、卓上タイプでは十分に高性能といえるだろう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番
PX-M6010F
PX-M5080F
製品画像
液晶ディスプレイ
4.3型
(角度調整可)
4.3型
(角度調整可)
操作パネル
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス
USB他
USB2.0×1
USB2.0×1
無線LAN
IEEE802.11ac/n/a/g/b
5GHz対応
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
100BASE-TX
100BASE-TX
対応OS
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
Windows 10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
耐久枚数
15万枚
15万枚
外形寸法(横×奥×高)
>515×460×285mm
567×452×340mm
重量
17.8kg
18.7kg
本体カラー
ホワイト
ホワイト

 最後にPX-M6010Fの操作パネルやインターフェース、本体サイズなどを見てみよう。液晶は同じ4.3型でタッチパネル式となっている点は同じだ。本体前面に取り付けられ、起こして角度調整が可能なのも同じだ。収納時(垂直時)でも、本体から飛び出ていて、後付けのようなイメージのあったPX-M5080Fと比べると、本体に完全に収納され周囲とフラットになるPX-M6010Fの方がすっきりして見える。
 インターフェースはUSB2.0に加えて、無線LANと有線LANにも対応しネットワーク接続出来るのは同じだ。しかし無線LANに関しては機能強化されている。PX-M5080FではIEEE802.11n/g/bのみ対応だが、PX-M6010FはIEEE80.211ac/aにも対応し、5GHz帯にも対応する。IEEE802.11acはIEEE802.11nと比べると通信速度が圧倒的に速いため、無線LAN接続時でも待たされる心配が無い。さらに、IEEE802.11ac/n/a通信時は、5GHz帯の電波を使用できる。PX-M5080Fやその他の多くの機種は2.4GHz帯のみ対応するが、これはBluetoothや電話の子機と同じ帯域で、電子レンジなどの影響も受けやすい。一方、5GHz帯は無線LAN専用といえるので、通信が安定する。このように無線LANでの安定性が大幅に強化されている。
 対応OSに変化はない。マイクロソフトのサポートの終わったWindows XPやVistaにも引き続き対応し、MacOSも10.6.8以降と比較的古いバージョンから対応する。
 本体サイズは、PX-M6010Fは515×460×350mmで、PX-M5080Fの567×452×418mmと比べるとかなり小型化している。幅が52mm、高さも68mm小さくなっており、かなりコンパクトな印象だ。耐久枚数に関しては、15万枚で据え置きとなる。



 PX-M6010FはPX-M5080Fと比べると大幅な機能強化がなされている事が分かる。印刷速度が向上に加えて、給紙性能の向上や、排紙トレイの自動伸縮、自動両面印刷の高速化、ADFの高速化、無線LANの強化と多岐にわたって改良されており、それでいて大幅に小型化しているのも見逃せない。その割に本体価格は同等を維持しており、大幅に魅力が増したといえる。欠点が少なくなったが、唯一残念なのが印刷コストが上がってしまったことだろう。とはいえ、カラーで0.9円、モノクロで0.1円なので、1万枚印刷して9,000円と1,000円の差だ。特にモノクロ印刷が主体なら問題ないし、この差が気になるほど印刷枚数が多いなら、エコタンクモデルのPX-M6711FTなどを選んだ方がトータルではお得になるため、その点は印刷枚数によって棲み分けがなされていると言える。
 PX-M5080Fも完成度は決して悪くは無い製品だったが、PX-M6010Fは様々な面で高性能になり、より魅力が増したと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
エプソンhttp://www.epson.co.jp/


PX-M6010F