2021年春時点のプリンターを徹底検証 新機種と旧機種を徹底比較 (2021年7月11日公開)
GX6030は新たに登場したGXシリーズの製品だ。GXシリーズはギガタンク搭載の従来のGシリーズとは異なり、完全ビジネス向けの製品となっている。その点ではMAXIFYシリーズをギガタンク化した製品とも言え、海外ではMAXIFYの名称が付けられているが、国内ではMAXIFYシリーズには属していない。そこで、比較対象として、GX6030とは異なりファクス機能を搭載しているが、同じビジネス向けの製品で前面給紙カセットが1段という点で似ているMAXIFY MB5130との違いを比較すると共に、同じギガタンク搭載でファクス機能を搭載しない点で似ているG6030とも比較したいと思う。 |
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シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
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(MAXIFY用新顔料インク) |
新顔料ブラック |
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2300番(標準容量) |
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黒:1280ノズル |
黒:1280ノズル |
黒:640ノズル |
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(税込) |
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(税込) |
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インクボトル(ブラック)2本 |
まずは、GX6030の販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はGX6030が73,050円で、MAXIFY MB5130が27,368円だった事を考えると2.5倍以上の価格設定だ。また、同じギガタンク搭載機のG6030の43,868円と比べても、1.67倍の価格となっている。ギガタンク搭載機は低印刷コストである代わりに本体価格は高く設定されており、MAXIFY MB5130は高性能なためやや高価であるため、両方の特徴を併せ持ったGX6030は、かなり高めの価格設定となっている。 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。GX6030のインク構成はMAXIFY MB5130と同じく4色で、全色顔料インクだ。その点では普通紙印刷に特化しており、写真印刷などは苦手という点でも同じである。MAXIFY MB5130は「MAXIFY用新顔料インク」という名称が付けられているが、GX6030にはそのような名称は無い。とはいえ、MAXIFY MB5130は専用の高画質インクなのに対して、GX6030は普通のインクで画質的に劣るという意味かどうかは分からない。わざわざ名称を付けていないだけという事も考えられる。 プリントエンジンに関してはGX6030はMAXIFY MB5130と同等のものを使用しているようで、ノズル数から最大解像度、印刷速度まで全く同じだ。ただし、MAXIFY MB5130には、1枚目の印刷中に2枚目を重ねて搬送する「重ね連送」機能を搭載する事で印刷速度の高速化を図っていたが、カタログなどでも、この機能はMAXIFYシリーズにしか書かれていない。GX6030にも搭載されているのか、他の方法で同等の速度を実現しているのかは不明だ。 最小インクドロップサイズについては、MAXIFY MB5130は海外のモデルより、カラーが5pl、ブラックが11plとかなり大きくなっていたが、GX6030は今のところ海外モデルでも情報は無い。とはいえ、ノズル数や最大解像度、印刷速度が同等なので、おそらく最小インクドロップサイズについても同等ではないかと推測される。唯一、ファーストプリントの速度が、GX6030の方が1秒遅くなっているが、大きな差では無いだろう。 画質や印刷速度面では変化のないGX6030だが、やはり一番の大きな違いはインクの方式だ。MAXIFY MB5130ではインクカートリッジ方式だったのが、GX6030ではギガタンク方式となっている。つまり、MAXIFY MB5130では、インクがなくなった場合、インクの入ったカートリッジごと交換していたが、GX6030では本体内蔵のインクタンクに、インクボトルからインクを補充する方式となった。インクボトルから補充と言うと難しく感じるが、第2世代のギガタンク方式なので、インクの注入口にインクボトルを挿し込むと注入が始まり、満タンになると自動ストップするため、あふれさせる心配は無い。また、インクボトル自体は、注入口に挿し込まないとインクが出にくい構造となっており、インクをこぼす心配も少ない。さらに色ごとに注入口の形状が異なっているため、別の色のタンクに誤って注入する心配も無い。インクカートリッジの交換と手間や難易度は大して変わらない。それでいてメリットが3つある。1つはインクボトルの方が大容量である事だ。MAXIFY MB5130もインクカートリッジ方式としては大容量で、A4カラー文書を印刷した場合、ブラックインクは2,500ページ、カラーインクは各1,500ページの印刷が可能であった。しかし、GX6030では、ブラックインクは6,000ページ、カラーインクは各14,000ページと圧倒的に大容量だ。これによりインクの交換回数が減り、手間が軽減される。また2つ目のメリットとして、インクタンクにはインクボトル1本が丸々入る様になっているが、空にならなければ補充できないわけでは無い。大量印刷前に、途中でインク切れにならないように補充しておく事も可能だし、インク補充が出来る人が暇なときに補充しておけば、他の人はインク切れを気にする必要が無い。ボトルに残ったインクは蓋を閉めておけばまた置いておけるし、2台以上同じインクボトルの機種を使っているなら、2台以上でシェアすることも可能だ。 3つめのメリットが最も重要だ。それは印刷コストが圧倒的に安いことだ。MAXIFY MB5130もインクカートリッジ方式としては非常に安価であった。それでもA4カラー文書が6.8円、A4モノクロ文書が2.0円であった。それに対してGX6030は、それぞれ2.2円と0.8円となっており、カラー文書は3分の1以下、モノクロ文書も5分の2の印刷コストとなっている。もちろんこれは卓上タイプのレーザープリンター(カラー文書は9円〜18円、モノクロ文書は1.6円〜4円が一般的)などと比べても圧倒的に安価で、大量印刷に向いていると言える。インク1本の価格は、ブラックはGX6030とMAXIFY MB5130は共に4,730円だが、前述のように印刷枚数が倍以上となっているため、印刷コストが安くなる。カラーインクはMAXIFY MB5130の各2,409円に対して、GX6030は各6,160円と2.5倍以上の価格となっているが、印刷可能枚数が9倍以上となっているため、1枚あたりの印刷コストが下がるという事になる。ちなみに、MAXIFY MB5130では同梱のインクカートリッジはセットアップ用となっており、セットアップ時のインク充填に使うとあまり枚数が残らない。それに対して、GX6030は、製品と同じインクボトルが各1本同梱するため、まずはギガタンクが満タンの状態からインク充填に使用される形となる。インク充填である程度使用するが、それでもこの印刷可能枚数なので、かなりの量が残ると予想される。MAXIFY MB5130との本体価格の差は、最初に同梱するインクで使用できる枚数分だけは縮まるとも言える。 ちなみに同じギガタンクを採用するG6030と比較してみよう。まず、インク構成が異なっており、同じ4色ながら、全色顔料のGX6030に対して、G6030はブラックが顔料、カラーが染料インクとなる。写真用紙への印刷などでは染料インクの方が発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため向いている他、光沢年賀状をはじめとする一部の光沢紙や、フィルム紙、アイロンプリント紙などで、顔料インクが非対応の用紙もあるため、用紙の制限が少ない。これはG6030が家庭やホームオフィス向けであるためだろう。逆に、普通紙への印刷は顔料インクの方がメリハリのある印刷が行え、水濡れにも強いという特徴があるため、GX6030はカラー、モノクロ問わずこのメリットを得られるが、G6030はブラックインクを使う部分だけだ。この点でもGX6030はビジネス向けの製品と言える。印刷解像度や最小インクドロップサイズ(の予測)は、G6030の方が高性能なので、写真印刷や年賀状印刷などでの粒状感ではGX6030は劣るが、そもそもGX6030はそういった用途の製品では無いといえる。逆にノズル数はGX6030の方が多いため、印刷速度はカラー文書は倍以上、モノクロ文書も倍近い速度となっている。また、同じギガタンク方式だが、G6030は発売が古いため、注入口の形状が色ごとに変えられておらず、間違ったタンクに入れてしまう危険性がある。一方で印刷コスト面ではG6030は安価である。ボトル1本の印刷枚数と価格を見てみると、ブラックインクは同じ6,000ページプリントが可能ながらGX6030の方が倍以上の価格で、カラーインクはGX6030の方が倍近い印刷枚数だが、4.4倍の価格となっている。結果、カラー文書はGX6030は2.2円のところG6030は1.0円、モノクロ文書も0.8円のところ0.5円とG6030の方が安価だ。同梱インクもブラックインクボトルが2本同梱する分さらにお得になっている。GX6030は性能面ではG6030を圧倒しているが、印刷コスト面ではやや高くなっているといえる(とはえいMAXIFY MB5130よりは圧倒的に安いが)。ちなみに、インク1本での印刷枚数がブラックはGX6030とG6030で同等だが、カラーはGX6030の方が倍近くなっている。これはインクボトル(=ギガタンク)の容量を見ると分かりやすい。G6030では、ブラックインクが170ml、カラーインクが各70mlとなっている。GX6030では現段階では容量は公開されてないが、同機能の海外モデルを参考にすると、ブラックインクが170ml、カラーインクが各135mlとなっており、カラーのタンクが大型化していることが分かる。 |
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(フチ無し印刷非対応) |
(フチ無し印刷非対応) |
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(A4普通紙セット可能枚数) |
(100枚/40枚/20枚) |
名刺〜A4 (100枚/40枚/20枚) |
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普通紙のみ A4/B5/A5/レター(250枚/−/−) |
(250枚/40枚/20枚) |
A5〜A4 普通紙のみ (250枚/−/−) |
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続いて、GX6030の給紙、排紙機能を比較してみよう。GX6030の対応用紙はL判〜A4までで、フチなし印刷に非対応と言う点では、MAXIFY MB5130と同等だ。G6030はより小さい名刺サイズにも対応し、フチなし印刷も対応してるため、GX6030はビジネス向けに機能を限定したといえるだろう。GX6030の進化点として、長尺用紙への印刷が挙げられる。MAXIFY MB5130は355,6mmまでで、G6030も676mmまでだったが、GX6030では1,200mm(1.2m)まで対応した。縦長・横長の掲示物などの作成に便利だろう。 給紙に関してはMAXIFY MB5130では前面給紙のみだったが、GX6030では前面給紙に加えて背面給紙にも対応している。前面給紙は1段で、普通紙を250枚セット可能という点で、MAXIFY MB5130と同等だ。一方で、MAXIFY MB5130では普通紙に加えてハガキや写真用紙、ファイン紙などもセットできたが、GX6030は普通紙専用となり、普通紙以外はは背面給紙からとなった(MAXIFY MB5130は背面給紙が無いため、当たり前とも言えるが)。背面給紙は用紙をセットしたままだとホコリが積もってしまい、その状態で給紙すると故障の原因になるため、使わないときは取り除くことが望ましい。そう考えると、頻繁に使用する場合、用紙は前面給紙カセットにセットしておく方が便利だが、普通紙以外を常時セットしておきたい人は不便になったと言える。背面給紙は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットできる。ハガキと写真用紙のセット可能枚数はMAXIFY MB5130の前面給紙カセットと同等で、その点では不便にはなっていない。また、この普通紙専用の前面給紙カセット+背面給紙という点や給紙枚数は、G6030と同等である。 |
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印刷速度 |
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続いてGX6030のその他のプリント機能を比較してみよう。普通紙のみ対応の自動両面印刷機能という点ではMAXIFY MB5130と同等だ。対応用紙サイズもA4とレターサイズのみで、B5やA5サイズに非対応なのも同等だ。ちなみにG6030はA4、B5、A5、レターサイズの自動両面印刷に対応する。GX6030の自動両面印刷時の印刷速度は、カラーは10.0ipmと、MAXIFY MB5130の9.5ipmより微妙に高速化したが、使っていて分かるほどの差では無いだろう。モノクロは同等だ。自動電源オンと自動電源オフについては、これまで2種類あった。自動電源オンとして一般的なのは、印刷が実行される(印刷データーがプリンターに送られる)と自動的に電源が入りプリントされるという機能だ。自動電源オフは、指定した時間、プリントやスキャンが実行されず、本体での操作もない場合に自動的に電源が切れる機能だ。これはG6030に搭載されている。一方、MAXIFY MB5130は一風変わっており、指定した時刻になると電源が入り、指定した時刻に電源が切れるという機能だ。オフィスの始業・終業に合わせたり、店の開店と閉店に合わせて自動的に電源をオン・オフできる点でビジネス向けとしては、こちらの方が便利な場合もあった。GX6030では、この両方の自動電源オンと自動電源オフ機能を搭載している。使い方に合わせた方を選択できる。 また、GX6030のもう一つ便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、MAXIFY MB5130やG6030では満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、GX6030はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスカートリッジが売られており、交換すれば印刷が再開できる。メンテナンスカートリッジは2,640円と安価で、MAXIFY MB5130やG6030では修理料金19,800円がかかる事を考えると、かなり安く済む。また、修理となるとプリンターが手元に無い期間が出てしまうが、メンテナンスカートリッジの使用量は、本体液晶などで確認ができるため、交換が近くなってきたら購入しておけば、交換してすぐに印刷を再開できる。印刷枚数が多いと思われる機種だけに、非常に便利だ。 |
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(216×297mm) |
(216×297mm) |
(216×297mm) |
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(1200×1200dpi) |
(1200×1200dpi) |
(1200×2400dpi) |
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(16.9ipm?) |
16.0ipm(片面時) |
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(22.2ipm?) |
16.0ipm(片面時) |
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GX6030のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや読み取り解像度、CISセンサーである点は、MAXIFY MB5130やG6030と同じだ。MAXIFY MB5130は搭載していなかった原稿撮り忘れアラームにGX6030は対応している。GX6030は当然ADFも搭載しており、50枚までで連続読み取りが可能である点や、対応原稿サイズなどはMAXIFY MB5130と同等だ。ただし、MAXIFY MB5130は、フラットベッドスキャナと共通のCISセンサーとは別に、反対面にもCISセンサーを搭載しているため、両面原稿を同時にスキャンが可能だ。その一方で、GX7030はフラットベッドスキャナと共通のCISセンサーのみなので、片面読み取りとなる。一部の機種にあるような、片面をスキャンしたあと、自動的に反転して裏面をスキャンするような機能も無いため、両面をスキャンする場合は手動で裏向きにセットする必要がある。両面原稿のスキャン・コピーなどをする人には不便になったと言える。また、GX6030のADFの読み取り速度は非公開ながら、海外の同機能のモデルを参考にすると、カラーは16.9ipm(=image per minute:スキャンできる面数)、モノクロは22.2ipmで、MAXIFY MB5130の片面読み取りはカラー、モノクロ共に16.0ipmである事と比べ、カラーは同等、モノクロは高速化している。片面スキャンに関してはむしろ便利になったとも言える。ちなみにG6030はADFを搭載していないため、その点でコピーなどは便利だと言える。 |
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組み込みパターンペーパー |
GX6030のダイレクト印刷機能を見てみよう。GX6030はUSBメモリーのみ対応という点ではMAXIFY MB5130と同等だ。対応ファイル形式は、JPEGやTIFFに加えてPDFファイルにも対応している点がビジネス向けらしい部分だ。とはいえ、PDFファイルは以下のの方法で作成されたものに限定される。GX6030を使ってスキャンしてUSBメモリーにPDF形式で保存する機能を使って作成したPDF、又はパソコン用のスキャンソフト「Canon IJ Scan Utility」を使ってPDF形式でスキャンしたものである。つまり、WordやExcelなどのファイルをPDF化したものはプリントできず、あくまでGX6030でスキャンしてPDF形式に変換しただけ、つまり画像をPDF化してまとめただけのファイルしか扱えない。この点はMAXIFY MB5130と同じ制限だ。ただしMAXFY MB5130はファクス機能を搭載しているため(後述)、受信したファクスをPDF形式でUSBメモリーに保存したものもプリント可能だが、画像をPDF化したファイルしか対応しない点で同じ事である。GX6030が新たに搭載した機能として、定型フォーム印刷と組み込みパターンペーパー印刷機能がある。前者は、レポート用紙や原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリストなどGX6030本体だけでプリントできる機能だ。後者はカラフルなパターンをGX6030だけでプリントできる機能で、スクラップブックの台紙やブックカバーなどに使えるというものだ。ちなみにG6030は定型フォーム印刷機能は搭載するが、USBメモリーからのプリントには対応しない。MAXIFY MB5130とG6030それぞれの機能が、両方搭載されたことになり、ビジネス用途に便利になったと言えるだろう。 |
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Android 4.4以降 |
Android 4.0以降 |
Android 4.4以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) |
(OneDriveはアプリからのみ) |
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GX6030のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリには変化は無い。対応端末が、MAXIFY MB5130のiOS 7.0以降、Android 4.0以降からGX6030ではiOS 12.0以降、Android 4.4以降に変化しているが、これはプリンター発売時点のアプリの対応端末なので、現在ではMAXIFY MB5130もiOS 12.0以降、Android 4.4以降となっている。 まず異なるのはWi-Fiダイレクト時の接続設定についてだ。MAXIFY MB5130ではプリンターを選んでセキュリティーキーを入力して接続するという、昔ながらの方法しか用意されていなかった。それに対して、GX6030ではiOSの場合、本体液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込むだけで接続が完了となる機能が追加された。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定は簡単になっている。ただし、Androidについては従来のセキュリティーキーを入力する方法しかなく改善されていないことになる。 もう一点、クラウドからのプリント機能が、MAXIFY MB5130ではスマホのアプリ上からアクセスしてプリントするしか無かったが、GX6030は本体からもアクセスできるようになった。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点ではGX6030の方が便利だ。またGX6030ではリモートプリント機能が売りの一つとなっているが、それが「PIXUSトークプリント」と「PIXUSでリモートプリント」機能だ。「PIXUSトークプリント」はLINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書ファイルを送信すると印刷される機能だ。一方、「PIXUSでリモートプリント」は、専用サイトからプリントしたいファイルをアップロードすると、離れた場所にあるGX6030でプリントが出来るという機能だ。ただし、対応フォーマットはPDFとWord、Excel、PowerPointで、ファイルサイズ20MB、99ページ以内という制限がある。2in1や両面印刷設定も可能だが、対応用紙はA4又はB5普通紙のみだ。またWindows 10のみ対応で、対応ブラウザもInternet Explorerのみと、EdgeやChromeは非対応だ。似たような機能としてエプソンがずいぶん前より「リモートプリントドライバー」を提供しているが、こちらは通常のプリントドライバーのリモートプリント版であるため、各ソフトから普通にプリント操作をする方法のまま、リモートプリントが可能だ。プリント時にプリンターの選択項目でリモートプリントを選ぶだなので、プリントの出来るソフトであれば形式を問わないし、ソフト上で印刷範囲選択や拡大縮小を行って印刷する事も可能だ。印刷設定も細かく行える。通常のプリント操作と変わらず実行できるエプソンと比べると、「PIXUSでリモートプリント」は機能は少なく手間がかかると言える。 |
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濃度調整 |
濃度調整 |
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枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
IDコピー コピー予約 |
GX6030のコピー機能はMAXIFY MB5130と同等だ。各種拡大縮小や2面/4面割付、プレビューや部単位コピーやIDコピーなどの機能まで全く同等だ。G6030も近い機能となっているが、GX6030はプレビュー機能を搭載しているため、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる点で便利だ。 |
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8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 300×300dpi(ファインEX) |
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続いて、GX6030のファクス機能を見てみよう。GX6030はファクス機能を搭載しておらず、その点ではMAXIFY MB5130とは異なる点だ。GXシリーズには前面給紙カセットが1段でファクス機能を搭載した機種は無いため、どうしてもファクス機能が必要なら、前面給紙カセットが2段のGX7030を、どうしても前面給紙カセットは1段で良いなら、ファクス機能を諦めるしかない。 |
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(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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5GHz帯対応 (ダイレクト接続対応) |
(ダイレクト接続対応) |
(ダイレクト接続対応) |
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Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用) MacOS 10.8.5〜 Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用) | |||||
(前面給紙カセット伸張時463×459×291mm) |
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最後にGX6030の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。GX6030の液晶のサイズは2.7型と、MAXIFY MB5130の3.5型から小さくなったといえる。しかし、MAXIFY MB5130では液晶と操作パネルは前面から上面にかけて大きく面取りされた部分に配置されており、角度調整が出来なかったのに対して、GX6030では本体前面に取り付けられ、持ち上げて角度調整が可能となった。水平までとはいかないが、70〜80度程度まで調整できる。MAXIFY MB5130でも斜めになっているために、どの角度からでも操作できるようにはなっていたが、GX6030の方が正面を向けられる点では操作しやすい。液晶は小さくなったとは言え操作性はむしろ上がったと言える。GX6030の液晶はタッチパネルとなっており、ほとんどの操作は液晶内に表示されるメニューなどを直接タッチして操作する。直接タッチできるだけでなく、使わないボタンは表示されない点で操作が分かりやすい事に加え、バックライトのある液晶内に表示されるので暗いところでも操作しやすい。なお、タッチパネル操作が主体だが、一部物理ボタンも用意される。液晶左に、上から「電源ボタン」「ホームボタン」「戻るボタン」、液晶右に「ストップボタン」「モノクロボタン」「カラーボタン」となる。使う頻度の高いボタンだけ物理ボタンとして用意することで、操作性を高めている。MAXIFY MB5130もでは縦一列では無いが、液晶の左右にあるボタンは同じものだ。この点で、GX6030の操作性はMAXIFY MB5130と変わらないと言える。ただし液晶内に表示されるメニュー構成は、黒色がベースの旧世代のものから、明るい色がベースの最新の家庭向け複合機と同様のデザインとなっている。なおG6030との比較では、G6030は液晶と操作パネルが前面に搭載され角度調整が可能な点ではGX6030と同等だが、G6030の液晶は、モノクロの文字表示2行でバックライトも無い。当然タッチパネルでは無いため、キーがかなり多くなり煩雑な一方、カーソルキーは4方向では無く左右しか無いため、メニューの階層が深くなりがちで操作性が悪い。液晶の見やすさ、操作性の両面で、GX6030はG6030とは一線を画している。 インターフェースでは、USB、無線LAN、有線LANに対応している点では、GX6030はMAXIFY MB5130やG6030と同等だ。ただし、無線LANに関しては強化されている。MAXIFY MB5130やG6030は、IEEE802.11n/g/bに対応しているが、これは2.4GHz帯の電波を使用する。2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、電話の子機などと同じ電波帯で、電子レンジの影響も受けやすい。GX6030ではこれに加えてIEEE802.11aにも対応し、IEEE802.11n/a使用時は5GHz帯の電波を使用できる。5GHz帯は無線LAN専用とも言えるので、安定した通信が行える。 対応OSに関してはMAXIFY MB5130ではWindows Vista SP2以降に対応していたが、GX6030ではWindows 7 SP1以降となった。Windows Vistaに対応しないだけで無く、Windows 8も非対応(Windows 8.1は対応)なので注意が必要だ。MacOSに関しても、MAXIFY MB5130は10.8.5以降だったが、GX6030では10.12.6以降となっただけでなく、キャノンから専用ドライバーが提供されなくなった。AirPrintを利用する形となるが、メンテナンスカートリッジ残量や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsと比べると不便となっている。少なくとも、これまでより対応OSが狭くなっているので、使用するパソコンのOSに注意したい。 本体の耐久枚数は15万枚と、家庭向けプリンターが1万から1万5000枚である事を考えるとかなり強く作られている。MAXIFY MB5130もビジネス向けの機種である事からある程度耐久性は高いものと推測されたが、具体的な数値は示されておらず、GX6030では15万枚と公表された点で、安心感は増している。またG6030は6万枚なので、これと比べても2.5倍の耐久性となる。 GX6030の本体サイズは399×410×254mmで、MAXIFY MB5130の463×394×291mmと比べると横幅は64mm、高さも37mm小型化され、かなりコンパクトになった印象だ。本体カラーも全体がブラックだったMAXIFY MB5130と比べると、ADF部と排紙トレイ、操作パネル部だけをアクセントとしてブラックにし、それ以外をホワイトとしたため、重い印象がなくなり、オフィスにおいても存在感が少なくなっている。奥行きに関しては16mm大きくなったように思えるが、まずGX6030は液晶部分だけが飛び出ているため、これを除くと395mmで、MAXIFY MB5130と同等になる。さらにMAXIFY MB5130は前面給紙カセットに用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、本体から65mm飛び出す事になる。本体にカセットが完全に収納できるGX6030と比べると、用紙をセットした際はMAXIFY MB5130の方が49mm大きくなるため、GX6030の方が小さいと考えても良さそうだ。ただし、GX6030は背面給紙があり、これを利用する場合は後方にスペースが必要だ。なおG6030との比較では、幅はほぼ同等だが、奥行きは41mm、高さは59mm大きくなる。とはいえ、ADFを搭載している事に加えて、高性能でギガタンクも大型化している事を考えると、性能差のわりには、コンパクトに収めていると言えるだろう。 GX6030はブランドこそMAXIFYを冠してはいないが、ビジネス向け顔料4色という点ではMAXIFYの流れをくむ製品で、MAXIFY MB5130と似た点も多い。一方で最新機種らしく、長尺印刷対応やメンテナンスカートリッジの交換対応、スキャナーの高速化、定型フォーム印刷対応、クラウドやリモートプリントの強化、無線LANの強化など、様々な点が高性能化されている。その一方で小型化している点も見逃せない。なにより、ギガタンク方式となった事で、カートリッジ方式としては印刷コストがかなり安かったMAXIFY MB5130と比べても圧倒的に低印刷コストとなった。本体価格は45,682円高くなったが、印刷コストはカラー文書で4.6円、モノクロ文書で1.2円安くなったので、カラー文書なら約10,000枚、モノクロ文書なら約38,000枚で元が取れる。本体の耐久枚数15万枚を考えれば、印刷枚数が多い人には十分得になる計算だ。一方で、MAXIFY MB5130と比べて注意点が2つある。それはファクス機能が非搭載である点と、ADFの同時両面スキャンに非対応となった点だ。これらのどちらかが必要なら、前面給紙カセットが2段となるGX7030を選ぶ事になる。ちなみにG6030との比較では、全色顔料インクとなり、印刷速度も向上、メンテナンスカートリッジの交換対応や、ADF搭載、無線LANと耐久性のアップと、多岐にわたり、価格差が納得できる高性能さだ。一方で全色顔料インクで印刷解像度も低くため普通紙印刷に特化しており、フチなし印刷も出来ない事や、印刷コスト面ではG6030に劣る事になる。ある意味、MAXIFYを引き継いだギガタンクモデルであるため、良くも悪くも文書印刷専用といった機種だ。万人に勧められる機種では無いが、レーザープリンターを使っている人や、文書印刷やコピーを多用する人にはお勧めの製品となっている。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 キャノンhttp://canon.jp/
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