2021年春時点のプリンターを徹底検証 新機種と旧機種を徹底比較 (2021年7月11日公開)
GX7030は新たに登場したGXシリーズの製品だ。GXシリーズはギガタンク搭載の従来のGシリーズとは異なり、完全ビジネス向けの製品となっている。その点ではMAXIFYシリーズをギガタンク化した製品とも言え、海外ではMAXIFYの名称が付けられているが、国内ではMAXIFYシリーズには属していない。そこで、比較対象として、同じビジネス向けの製品で前面給紙カセットが2段のMAXIFY MB5430との違いを比較すると共に、同じギガタンク搭載でファクス機能を搭載するG7030とも比較したいと思う。 |
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シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
シアン マゼンタ イエロー |
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(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式) |
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式) |
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(MAXIFY用新顔料インク) |
新顔料ブラック |
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2300番(標準容量) |
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黒:1280ノズル |
黒:1280ノズル |
黒:640ノズル |
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(税込) |
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(税込) |
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インクボトル(ブラック)2本 |
まずは、GX7030の販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はGX7030が79,750円で、MAXIFY MB5430が32,868円だった事を考えると2.5倍近い価格設定だ。また、同じギガタンク搭載機のG7030の49,478円と比べても、1.6倍の価格となっている。ギガタンク搭載機は低印刷コストである代わりに本体価格は高く設定されており、MAXIFY MB5430は高性能なためやや高価であるため、両方の特徴を併せ持ったGX7030は、かなり高めの価格設定となっている。 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。GX7030のインク構成はMAXIFY MB5430と同じく4色で、全色顔料インクだ。その点では普通紙印刷に特化しており、写真印刷などは苦手という点でも同じである。MAXIFY MB5430は「MAXIFY用新顔料インク」という名称が付けられているが、GX7030にはそのような名称は無い。とはいえ、MAXIFY MB5430は専用の高画質インクなのに対して、GX7030は普通のインクで画質的に劣るという意味かどうかは分からない。わざわざ名称を付けていないだけという事も考えられる。 プリントエンジンに関してはGX7030はMAXIFY MB5430と同等のものを使用しているようで、ノズル数から最大解像度、印刷速度まで全く同じだ。ただし、MAXIFY MB5430には、1枚目の印刷中に2枚目を重ねて搬送する「重ね連送」機能を搭載する事で印刷速度の高速化を図っていたが、カタログなどでも、この機能はMAXIFYシリーズにしか書かれていない。GX7030にも搭載されているのか、他の方法で同等の速度を実現しているのかは不明だ。 最小インクドロップサイズについては、MAXIFY MB5430は海外のモデルより、カラーが5pl、ブラックが11plとかなり大きくなっていたが、GX7030は今のところ海外モデルでも情報は無い。とはいえ、ノズル数や最大解像度、印刷速度が同等なので、おそらく最小インクドロップサイズについても同等ではないかと推測される。唯一、ファーストプリントの速度が、GX7030の方が1秒遅くなっているが、大きな差では無いだろう。 画質や印刷速度面では変化のないGX7030だが、やはり一番の大きな違いはインクの方式だ。MAXIFY MB5430ではインクカートリッジ方式だったのが、GX7030ではギガタンク方式となっている。つまり、MAXIFY MB5430では、インクがなくなった場合、インクの入ったカートリッジごと交換していたが、GX7030では本体内蔵のインクタンクに、インクボトルからインクを補充する方式となった。インクボトルから補充と言うと難しく感じるが、第2世代のギガタンク方式なので、インクの注入口にインクボトルを挿し込むと注入が始まり、満タンになると自動ストップするため、あふれさせる心配は無い。また、インクボトル自体は、注入口に挿し込まないとインクが出にくい構造となっており、インクをこぼす心配も少ない。さらに色ごとに注入口の形状が異なっているため、別の色のタンクに誤って注入する心配も無い。インクカートリッジの交換と手間や難易度は大して変わらない。それでいてメリットが3つある。1つはインクボトルの方が大容量である事だ。MAXIFY MB5430もインクカートリッジ方式としては大容量で、A4カラー文書を印刷した場合、ブラックインクは2,500ページ、カラーインクは各1,500ページの印刷が可能であった。しかし、GX7030では、ブラックインクは6,000ページ、カラーインクは各14,000ページと圧倒的に大容量だ。これによりインクの交換回数が減り、手間が軽減される。また2つ目のメリットとして、インクタンクにはインクボトル1本が丸々入る様になっているが、空にならなければ補充できないわけでは無い。大量印刷前に、途中でインク切れにならないように補充しておく事も可能だし、インク補充が出来る人が暇なときに補充しておけば、他の人はインク切れを気にする必要が無い。ボトルに残ったインクは蓋を閉めておけばまた置いておけるし、2台以上同じインクボトルの機種を使っているなら、2台以上でシェアすることも可能だ。 3つめのメリットが最も重要だ。それは印刷コストが圧倒的に安いことだ。MAXIFY MB5430もインクカートリッジ方式としては非常に安価であった。それでもA4カラー文書が6.8円、A4モノクロ文書が2.0円であった。それに対してGX7030は、それぞれ2.2円と0.8円となっており、カラー文書は3分の1以下、モノクロ文書も5分の2の印刷コストとなっている。もちろんこれは卓上タイプのレーザープリンター(カラー文書は9円〜18円、モノクロ文書は1.6円〜4円が一般的)などと比べても圧倒的に安価で、大量印刷に向いていると言える。インク1本の価格は、ブラックはGX7030とMAXIFY MB5430は共に4,730円だが、前述のように印刷枚数が倍以上となっているため、印刷コストが安くなる。カラーインクはMAXIFY MB5430の各2,409円に対して、GX7030は各6,160円と2.5倍以上の価格となっているが、印刷可能枚数が9倍以上となっているため、1枚あたりの印刷コストが下がるという事になる。ちなみに、MAXIFY MB5430では同梱のインクカートリッジはセットアップ用となっており、セットアップ時のインク充填に使うとあまり枚数が残らない。それに対して、GX7030は、製品と同じインクボトルが各1本同梱するため、まずはギガタンクが満タンの状態からインク充填に使用される形となる。インク充填である程度使用するが、それでもこの印刷可能枚数なので、かなりの量が残ると予想される。MAXIFY MB5430との本体価格の差は、最初に同梱するインクで使用できる枚数分だけは縮まるとも言える。 ちなみに同じギガタンクを採用するG7030と比較してみよう。まず、インク構成が異なっており、同じ4色ながら、全色顔料のGX7030に対して、G7030はブラックが顔料、カラーが染料インクとなる。写真用紙への印刷などでは染料インクの方が発色が良く、用紙本来の光沢感が出るため向いている他、光沢年賀状をはじめとする一部の光沢紙や、フィルム紙、アイロンプリント紙などで、顔料インクが非対応の用紙もあるため、用紙の制限が少ない。これはG7030が家庭やホームオフィス向けであるためだろう。逆に、普通紙への印刷は顔料インクの方がメリハリのある印刷が行え、水濡れにも強いという特徴があるため、GX7030はカラー、モノクロ問わずこのメリットを得られるが、G7030はブラックインクを使う部分だけだ。この点でもGX7030はビジネス向けの製品と言える。印刷解像度や最小インクドロップサイズ(の予測)は、G7030の方が高性能なので、写真印刷や年賀状印刷などでの粒状感ではGX7030は劣るが、そもそもGX7030はそういった用途の製品では無いといえる。逆にノズル数はGX7030の方が多いため、印刷速度はカラー文書は倍以上、モノクロ文書も倍近い速度となっている。また、同じギガタンク方式だが、G7030は発売が古いため、注入口の形状が色ごとに変えられておらず、間違ったタンクに入れてしまう危険性がある。一方で印刷コスト面ではG7030は安価である。ボトル1本の印刷枚数と価格を見てみると、ブラックインクは同じ6,000ページプリントが可能ながらGX7030の方が倍以上の価格で、カラーインクはGX7030の方が倍近い印刷枚数だが、4.4倍の価格となっている。結果、カラー文書はGX7030は2.2円のところG7030は1.0円、モノクロ文書も0.8円のとこと0.5円とG7030の方が安価だ。同梱インクもブラックインクボトルが2本同梱する分さらにお得になっている。GX7030は性能面ではG7030を圧倒しているが、印刷コスト面ではやや高くなっているといえる(とはえいMAXIFY MB5430よりは圧倒的に安いが)。ちなみに、インク1本での印刷枚数がブラックはGX7030とG7030で同等だが、カラーはGX7030の方が倍近くなっている。これはインクボトル(=ギガタンク)の容量を見ると分かりやすい。G7030では、ブラックインクが170ml、カラーインクが各70mlとなっている。GX7030では現段階では容量は公開されてないが、同機能の海外モデルを参考にすると、ブラックインクが170ml、カラーインクが各135mlとなっており、カラーのタンクが大型化していることが分かる。 |
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(フチ無し印刷非対応) |
(フチ無し印刷非対応) |
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(A4普通紙セット可能枚数) |
(100枚/40枚/20枚) |
名刺〜A4 (100枚/40枚/20枚) |
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普通紙のみ A4/B5/A5/レター(250枚/−/−) 【カセット下段】 普通紙のみ・A4/レター (250/−/−) |
(250枚/40枚/20枚) 【カセット下段】 普通紙のみ・A4/レター/リーガル (250/−/−) |
A5〜A4 普通紙のみ (250枚/−/−) |
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続いて、GX7030の給紙、排紙機能を比較してみよう。GX7030の対応用紙はL判〜A4までで、フチなし印刷に非対応と言う点では、MAXIFY MB5430と同等だ。G7030はより小さい名刺サイズにも対応し、フチなし印刷も対応してるため、GX7030はビジネス向けに機能を限定したといえるだろう。GX7030の進化点として、長尺用紙への印刷が挙げられる。MAXIFY MB5430は355,6mmまでで、G7030も676mmまでだったが、GX7030では1,200mm(1.2m)まで対応した。縦長・横長の掲示物などの作成に便利だろう。 給紙に関してはMAXIFY MB5430では前面給紙のみだったが、GX7030では前面給紙に加えて背面給紙にも対応している。前面給紙は2段となっており、普通紙を各250枚ずつセット可能という点で、MAXIFY MB5430と同等だ。両方に同じサイズの用紙をセットして500枚の連続給紙に対応しても良いし、B5とA4のように2種類の用紙をセットして使い分けることができる。一方でMAXIFY MB5430では下段はA4/レター/リーガルサイズの普通紙のみだったが、上段はハガキや写真用紙、ファイン紙などもセットできた。それに対してGX7030は、上段も普通紙のみとなり、普通紙以外は背面給紙からとなった(MAXIFY MB5430は背面給紙が無いため、当たり前とも言えるが)。上段はA4以外にB5とA5サイズにも対応しているため、B5とA4のような組み合わせは可能だが、ファイン紙と普通紙や、ハガキと普通紙というような組み合わせはできなくなった。普通紙以外を常時セットしておきたい人は不便になったと言える。背面給紙は普通紙なら100枚、ハガキなら40枚、写真用紙なら20枚までセットできる。ハガキと写真用紙のセット可能枚数はMAXIFY MB5430の前面給紙カセット上段と同等で、その点では不便にはなっていない。また、G7030との比較では、背面給紙がある点では同じだが、G7030は前面給紙カセットが1段なに対して、GX7030は2段という点で便利と言える。 |
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印刷速度 |
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続いてGX7030のその他のプリント機能を比較してみよう。普通紙のみ対応の自動両面印刷機能という点ではMAXIFY MB5430と同等だ。対応用紙サイズもA4とレターサイズのみで、B5やA5サイズに非対応なのも同等だ。ちなみにG7030はA4、B5、A5、レターサイズの自動両面印刷に対応する。GX7030の自動両面印刷時の印刷速度は、カラーは10.0ipmと、MAXIFY MB5430の9.5ipmより微妙に高速化したが、使っていて分かるほどの差では無いだろう。モノクロは同等だ。自動電源オンと自動電源オフについては、これまで2種類あった。自動電源オンとして一般的なのは、印刷が実行される(印刷データーがプリンターに送られる)と自動的に電源が入りプリントされるという機能だ。自動電源オフは、指定した時間、プリントやスキャンが実行されず、本体での操作もない場合に自動的に電源が切れる機能だ。これはG7030に搭載されている。一方、MAXIFY MB5430は一風変わっており、指定した時刻になると電源が入り、指定した時刻に電源が切れるという機能だ。オフィスの始業・終業に合わせたり、店の開店と閉店に合わせて自動的に電源をオン・オフできる点でビジネス向けとしては、こちらの方が便利な場合もあった。GX7030では、この両方の自動電源オンと自動電源オフ機能を搭載している。使い方に合わせた方を選択できる。 また、GX7030のもう一つ便利な機能が、廃インクタンク(メンテナンスカートリッジ)をユーザーが交換できる機能だ。廃インクタンクはクリーニングの際に排出されるインクを貯めておくタンクで、MAXIFY MB5430やG7030では満タンになるとメッセージが表示され修理に出して交換するまで一切のプリントが止まってしまう。一方、GX7030はインクカートリッジなどと一緒に交換用メンテナンスカートリッジが売られており、交換すれば印刷が再開できる。メンテナンスカートリッジは2,640円と安価で、MAXIFY MB5430やG7030では修理料金19,800円がかかる事を考えると、かなり安く済む。また、修理となるとプリンターが手元に無い期間が出てしまうが、メンテナンスカートリッジの使用量は、本体液晶などで確認ができるため、交換が近くなってきたら購入しておけば、交換してすぐに印刷を再開できる。印刷枚数が多いと思われる機種だけに、非常に便利だ。 |
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(216×297mm) |
(216×297mm) |
(216×297mm) |
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(1200×1200dpi) |
(1200×1200dpi) |
(1200×2400dpi) |
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(22.6ipm(両面時)?) (22.1ipm(片面時)?) |
16.0ipm(片面時) |
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(23.2ipm(両面時)?) (22.1ipm(片面時)?) |
16.0ipm(片面時) |
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GX7030のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや読み取り解像度、CISセンサーである点は、MAXIFY MB5430やG7030と同じだ。MAXIFY MB5430は搭載していなかった原稿撮り忘れアラームにGX7030は対応している。GX7030は当然ADFも搭載しており、50枚までで同時両面読み取りが可能である点や、対応原稿サイズなどはMAXIFY MB5430と同等だ。ちなみにG7030は原稿取り忘れアラームは搭載しているが、ADFは30枚までで片面読み取り、A4より小さい原稿には対応しないため、GX7030の方がかなり高性能だ。また、GX7030のADFの読み取り速度は非公開ながら、海外の同機能のモデルを参考にすると、両面読み取り時はMAXIFY MB5430とほぼ変わらないのに対して、片面読み取りはかなり高速化している。ちなみに読み取り速度は「ipm」で表しており「image per minute」なので、スキャンできる「面数」である。両面読み取りは1枚スキャンすると2面読み取ったことになるので、枚数で見ると半分となる。つまりMAXIFY MB5430は両面時は11.5枚/分で、片面時は16枚/分だったのが、GX7030では両面時は11.3枚/分(カラー)又は11.6枚/分(モノクロ)で、片面時は22.1枚/分となった。MAXIFY MB5430でも片面スキャンの方が、枚数で見ると高速だったが、GX7030ではより高速になったと言える。 |
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組み込みパターンペーパー |
GX7030のダイレクト印刷機能を見てみよう。GX7030はUSBメモリーのみ対応という点ではMAXIFY MB5430と同等だ。対応ファイル形式は、JPEGやTIFFに加えてPDFファイルにも対応している点がビジネス向けらしい部分だ。とはいえ、PDFファイルは以下の3つの方法で作成されたものに限定される。1つはGX7030を使ってスキャンしてUSBメモリーにPDF形式で保存する機能を使って作成したPDF、2つめは、GX7030に受信したファクスをPDF形式でUSBメモリーに保存したもの、3つめはパソコン用のスキャンソフト「Canon IJ Scan Utility」を使ってPDF形式でスキャンしたものである。つまり、WordやExcelなどのファイルをPDF化したものはプリントできず、あくまでGX7030でスキャンもしくは受信したファクスをPDF形式に変換しただけ、つまり画像をPDF化してまとめただけのファイルしか扱えない。この点はMAXIFY MB5430と同じ制限だ。GX7030が新たに搭載した機能として、定型フォーム印刷と組み込みパターンペーパー印刷機能がある。前者は、レポート用紙や原稿用紙、スケジュール帳、方眼紙、チェックリストなどGX7030本体だけでプリントできる機能だ。後者はカラフルなパターンをGX7030だけでプリントできる機能で、スクラップブックの台紙やブックカバーなどに使えるというものだ。ちなみにG7030定型フォーム印刷機能は搭載するが、USBメモリーからのプリントには対応しない。MAXIFY MB5430とG7030それぞれの機能が、両方搭載されたことになり、ビジネス用途に便利になったと言えるだろう。 |
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Android 4.4以降 |
Android 4.0以降 |
Android 4.4以降 |
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(OneDriveはアプリからのみ) (OneDriveはアプリからのみ) | |||||
GX7030のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリには変化は無い。対応端末が、MAXIFY MB5430のiOS 7.0以降、Android 4.0以降からGX7030ではiOS 12.0以降、Android 4.4以降に変化しているが、これはプリンター発売時点のアプリの対応端末なので、現在ではMAXIFY MB5430もiOS 12.0以降、Android 4.4以降となっている。 まず異なるのはWi-Fiダイレクト時の接続設定についてだ。MAXIFY MB5430ではプリンターを選んでセキュリティーキーを入力して接続するという、昔ながらの方法しか用意されていなかった。それに対して、GX7030ではiOSの場合、本体液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込むだけで接続が完了となる機能が追加された。セキュリティーキーの入力などが不要で、設定は簡単になっている。ただし、Androidについては従来のセキュリティーキーを入力する方法しかなく改善されていないことになる。 もう一点、クラウドからのプリント機能が、MAXIFY MB5430ではスマホのアプリ上からアクセスしてプリントするしか無かったが、GX7030は本体からもアクセスできるようになった。実際の操作性はスマートフォンからの方が上だが、本体だけで手軽にアクセスできる方法と、操作性が良いアプリ上で行う方法が選べるという点ではGX7030の方が便利だ。またGX7030ではリモートプリント機能が売りの一つとなっているが、それが「PIXUSトークプリント」と「PIXUSでリモートプリント」機能だ。「PIXUSトークプリント」はLINE上でプリンターを友達登録し、トーク画面から写真や文書ファイルを送信すると印刷される機能だ。一方、「PIXUSでリモートプリント」は、専用サイトからプリントしたいファイルをアップロードすると、離れた場所にあるGX7030でプリントが出来るという機能だ。ただし、対応フォーマットはPDFとWord、Excel、PowerPointで、ファイルサイズ20MB、99ページ以内という制限がある。2in1や両面印刷設定も可能だが、対応用紙はA4又はB5普通紙のみだ。またWindows 10のみ対応で、対応ブラウザもInternet Explorerのみと、EdgeやChromeは非対応だ。似たような機能としてエプソンがずいぶん前より「リモートプリントドライバー」を提供しているが、こちらは通常のプリントドライバーのリモートプリント版であるため、各ソフトから普通にプリント操作をする方法のまま、リモートプリントが可能だ。プリント時にプリンターの選択項目でリモートプリントを選ぶだなので、プリントの出来るソフトであれば形式を問わないし、ソフト上で印刷範囲選択や拡大縮小を行って印刷する事も可能だ。印刷設定も細かく行える。通常のプリント操作と変わらず実行できるエプソンと比べると、「PIXUSでリモートプリント」は機能は少なく手間がかかると言える。 |
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濃度調整 |
濃度調整 |
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枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
枠消しコピー IDコピー コピー予約 |
GX7030のコピー機能はMAXIFY MB5430と同等だ。各種拡大縮小や2面/4面割付、プレビューや部単位コピーやIDコピーなどの機能まで全く同等だ。G7030も近い機能となっているが、GX7030はプレビュー機能を搭載しているため、原稿のセットミスの確認が行える他、プレビューを元に拡大縮小を調整できる点で便利だ。 |
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8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) 300×300dpi(ファインEX) |
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 300×300dpi(ファインEX) |
8dot/mm×7.7本/mm(ファイン) 8dot/mm×7.7本/mm(写真) 300×300dpi(ファインEX) |
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続いて、GX7030のファクス機能を見てみよう。基本的にはMAXIFY MB5430の機能を踏襲している。受信ファクスの保存件数やアドレス帳件数、受信ファクスの共有フォルダやUSBメモリーへの保存機能なども同じだ。唯一異なるのが画質設定で、標準とファイン、ファインEXの3段階の画質
に加えて、GX7030はファインと同じ解像度だが、写真を含む原稿に適した写真モードが追加されている。ちなみにG7030と比べると、画質設定は同じだが、受信ファクスの保存件数やアドレス帳の件数などが多くなっている。G7030ではかなり件数が少なく、本格的に使うには物足りなかったが、GX7030なら、本格的にファクスを多用する場合でも対応できるレベルとなっている。 |
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(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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(角度調整可) |
(90度角度調整可) |
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5GHz帯対応 (ダイレクト接続対応) |
(ダイレクト接続対応) |
(ダイレクト接続対応) |
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Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用) MacOS 10.8.5〜 Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用) | |||||
(前面給紙カセット伸張時463×459×351mm) |
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最後にGX7030の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。GX7030の液晶のサイズは2.7型と、MAXIFY MB5430の3.5型から小さくなったといえる。しかし、MAXIFY MB5430では液晶と操作パネルは前面から上面にかけて大きく面取りされた部分に配置されており、角度調整が出来なかったのに対して、GX7030では本体前面に取り付けられ、持ち上げて角度調整が可能となった。水平までとはいかないが、70〜80度程度まで調整できる。MAXIFY MB5430でも斜めになっているために、どの角度からでも操作できるようにはなっていたが、GX7030の方が正面を向けられる点では操作しやすい。液晶は小さくなったとは言え操作性はむしろ上がったと言える。GX7030の液晶はタッチパネルとなっており、ほとんどの操作は液晶内に表示されるメニューなどを直接タッチして操作する。ファクス用のテンキーも液晶内に表示される。この点はMAXIFY MB5430と同じだ。ファクスを多用する人にはテンキーは物理的なボタンの方が操作しやすいという意見もあるが、ファクス機能をそれほど使わない、もしくは電話帳に登録されたものを使うというのであれば、物理キーが少ない方が操作時に迷いにくく、見た目にもスッキリして見える。なお、タッチパネル操作が主体だが、一部物理ボタンも用意される。液晶左に、上から「電源ボタン」「ホームボタン」「戻るボタン」、液晶右に「ストップボタン」「モノクロボタン」「カラーボタン」となる。使う頻度の高いボタンだけ物理ボタンとして用意することで、操作性を高めている。MAXIFY MB5430もでは縦一列では無いが、液晶の左右にあるボタンは同じものだ。この点で、GX7030の操作性はMAXIFY MB5430と変わらないと言える。ただし液晶内に表示されるメニュー構成は、黒色がベースの旧世代のものから、明るい色がベースの最新の家庭向け複合機と同様のデザインとなっている。なおG7030との比較では、G7030は液晶と操作パネルが前面に搭載され角度調整が可能な点ではGX7030と同等だが、G7030の液晶は、モノクロの文字表示2行でバックライトも無い。当然タッチパネルでは無いため、テンキーを含めキーがかなり多くなり煩雑な一方、カーソルキーは4方向では無く左右しか無いため、メニューの階層が深くなりがちで操作性が悪い。液晶の見やすさ、操作性の両面で、GX7030はG7030とは一線を画している。 インターフェースでは、USB、無線LAN、有線LANに対応している点では、GX7030はMAXIFY MB5430やG7030と同等だ。ただし、無線LANに関しては強化されている。MAXIFY MB5430やG7030は、IEEE802.11n/g/bに対応しているが、これは2.4GHz帯の電波を使用する。2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、電話の子機などと同じ電波帯で、電子レンジの影響も受けやすい。GX7030ではこれに加えてIEEE802.11aにも対応し、IEEE802.11n/a使用時は5GHz帯の電波を使用できる。5GHz帯は無線LAN専用とも言えるので、安定した通信が行える。 対応OSに関してはMAXIFY MB5430ではWindows Vista SP2以降に対応していたが、GX7030ではWindows 7 SP1以降となった。Windows Vistaに対応しないだけで無く、Windows 8も非対応(Windows 8.1は対応)なので注意が必要だ。MacOSに関しても、MAXIFY MB543010.8.5以降だったが、GX7030では10.12.6以降となっただけでなく、キャノンから専用ドライバーが提供されなくなった。AirPrintを利用する形となるが、メンテナンスカートリッジ残量や一部の印刷設定、本体の動作設定ができない点でWindowsと比べると不便となっている。少なくとも、これまでより対応OSが狭くなっているので、使用するパソコンのOSに注意したい。 本体の耐久枚数は15万枚と、家庭向けプリンターが1万から1万5000枚である事を考えるとかなり強く作られている。MAXIFY MB5430もビジネス向けの機種である事からある程度耐久性は高いものと推測されたが、具体的な数値は示されておらず、GX7030では15万枚と公表された点で、安心感は増している。またG7030は6万枚なので、これと比べても2.5倍の耐久性となる。 GX7030の本体サイズは399×410×314mmで、MAXIFY MB5430の463×394×351mmと比べると横幅は64mm、高さも37mm小型化され、かなりコンパクトになった印象だ。本体カラーも全体がブラックだったMAXIFY MB5430と比べると、ADF部と排紙トレイ、操作パネル部だけをアクセントとしてブラックにし、それ以外をホワイトとしたため、重い印象がなくなり、オフィスにおいても存在感が少なくなっている。奥行きに関しては16mm大きくなったように思えるが、まずGX7030は液晶部分だけが飛び出ているため、これを除くと395mmで、MAXIFY MB5430と同等になる。さらにMAXIFY MB5430は前面給紙カセットに用紙をセットする場合は、カセットを伸ばす必要があり、本体から65mm飛び出す事になる。本体にカセットが完全に収納できるGX7030と比べると、用紙をセットした際はMAXIFY MB5430の方が49mm大きくなるため、GX7030の方が小さいと考えても良さそうだ。ただし、GX7030は背面給紙があり、これを利用する場合は後方にスペースが必要だ。なおG7030との比較では、幅はほぼ同等だが、奥行きは41mm、高さは80mm大きくなる。とはいえ、前面給紙カセットが2段で、ADFの給紙枚数や同時両面スキャン対応である事を考えると、高さが大きくなるのは仕方が無いだろう。奥行きも液晶部を除けば26mm大きくなるだけだ。かなりの高性能化を果たした割には、コンパクトに収めていると言えるだろう。 GX7030はブランドこそMAXIFYを冠してはいないが、ビジネス向け顔料4色という点ではMAXIFYの流れをくむ製品で、MAXIFY MB5430と似た点も多い。一方で最新機種らしく、長尺印刷対応やメンテナンスカートリッジの交換対応、スキャナーの高速化、定型フォーム印刷対応、クラウドやリモートプリントの強化、無線LANの強化など、様々な点が高性能化されている。その一方で小型化している点も見逃せない。なにより、ギガタンク方式となった事で、カートリッジ方式としては印刷コストがかなり安かったMAXIFY MB5430と比べても圧倒的に低印刷コストとなった。本体価格は 46,882円高くなったが、印刷コストはカラー文書で4.6円、モノクロ文書で1.2円安くなったので、カラー文書なら約10,000枚、モノクロ文書なら約39,000枚で元が取れる。本体の耐久枚数15万枚を考えれば、印刷枚数が多い人には十分得になる計算だ。4色顔料であるだけでなく、印刷解像度も低く、フチなし印刷が非対応である点はMAXIFYを引き継いでいるため、良くも悪くも文書印刷専用といった機種だ。万人に勧められる機種では無いが、レーザープリンターを使っている人や、文書印刷やコピーを多用する人にはお勧めの製品となっている。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 キャノンhttp://canon.jp/
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