小ネタ集
2021年末時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2021年9月21日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・現行機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「DCP-J4140N」と参考機種「DCP-J988N」を徹底比較する

 DCP-J4140NはDCP-J988Nの後継機種だ。ギガタンク搭載機種としては2世代目となり、3年ぶりの新機種となる。本体カラーを除くとデザインはかなり近いが、内部はかなり高性能化が図られている。どのような点が進化したのか、徹底的に比較してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
発売日 2021年9月上旬 2018年9月中旬
発売時の価格(税込) 40,700円 39,500円+税
(消費税10%換算で43,450円)
インク 色数 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 ファーストタンク方式
(カートリッジ方式・各色独立)
ファーストタンク方式
(カートリッジ方式・各色独立)
顔料/染料系 顔料 染料(カラー)/顔料(黒)
(アルバム保存100年/耐光性50年)
インク型番 416XL(超・大容量)
416(大容量)
3135(超・大容量)
3133(大容量)
ノズル数 840ノズル N/A(840ノズル?)
全色:各210ノズル N/A(全色:各210ノズル?)
最小インクドロップサイズ 2pl 1.5pl
最大解像度 1200×4800dpi 1200×6000dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 14秒 14秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 19.0ipm 10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 20.0ipm 12.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー
5.9秒
8.5秒
A4普通紙モノクロ
5.8秒
8.0秒
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 超・大容量:12.5円 超・大容量:11.0円
A4カラー文書 超・大容量:4.1円 超・大容量:4.1円
A4モノクロ文書 超・大容量:0.8円 超・大容量:0.8円
インク1本の印刷枚数
ブラック 超・大容量:6,000ページ
大容量:3,000ページ
超・大容量:6,000ページ
大容量:3,000ページ
カラー 超・大容量:5,000ページ
大容量:1,500ページ
超・大容量:5,000ページ
大容量:1,500ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 超・大容量:4,400円
大容量:3,300円
超・大容量:4,400円
大容量:3,300円
カラー 超・大容量:各5,500円
大容量:各2,750円
超・大容量:各5,500円
大容量:各2,750円
同梱インク セットアップ用インクカートリッジ セットアップ用インクカートリッジ

 まずは、販売価格を見てみよう。販売開始時の価格はDCP-J4140Nは40,700円となっている。DCP-J988Nが発売時は消費税が8%で、10%になる前に値下げしているが、発売当初の値段に消費税を10%とすると43,450円となる。DCP-J4140Nは2,750円の値下げと言うことになる。もっとも、新モデル登場直前のDCP-J988Nの価格は36,850円なので、やや上がったとも言えるが、新モデルでこの程度の差であればお得感は十分といえる。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。DCP-J4140Nは4色インク構成で、DCP-J988Nと同じに見える。しかしDCP-J988Nではブラックが顔料インク、カラーが染料インクという構成だったが、DCP-J4140Nでは全色顔料インクとなった。A3対応モデルでは全色顔料インクモデルがあるが、こちらはマゼンダの一部に染料インクが含まれているという注意書きがあったが、DCP-J4140Nでは晴れて完全な全色顔料となった。顔料インクは普通紙に印刷した際に滲みが少なく、文字や線がクッキリ出て、中抜き文字なども潰れにくい。また耐水性が高く、濡れた手で触ったりマーカーを引いても滲まないというメリットもある。DCP-J988Nでは、ブラックインクのみ顔料インクであるため、カラーインクを使用する部分に関してはメリハリのある印刷や高耐水ではなかった。特に黒色と言っても、完全な黒ではない部分やカラーの中の黒色に関しては、顔料ブラックが使えず染料カラーを用いて表現する場合もあり、顔料インクの恩恵は限られていた。DCP-J4140Nでは全色顔料インクとなった事で、モノクロ、カラー問わず高画質・高耐水の印刷が行える様になった。一方でデメリットもある。写真用紙やファイン紙など普通紙以外に印刷する場合、顔料インクは染料インクに比べて発色が悪くなってしまう。また、写真用紙に印刷した場合に、用紙の表面にインクが定着するため、用紙本来の光沢感が薄れてしまうのもデメリットだ。さらに、光沢年賀状をはじめとする一部の光沢紙やフィルム紙、アイロンプリント紙などに顔料インク非対応の用紙が少なからず存在する。対応用紙はこれまでより多少気を遣う事になる。ただ、DCP-J988Nで写真印刷や年賀状の通信面の印刷を行う場合、染料インクでの印刷となり、顔料ブラックが使えない事から、カラー3色を重ねて黒を表現していた。これでは完全な黒にはならず、濃い茶色や濃いグレーとなっており、全体にメリハリが薄く見える他、影の中や夜景の表現などが苦手な傾向があった。DCP-J4140Nでは、全色顔料であるため、カラーも含めて発色自体は悪いが、黒インクが使えるようになった点では有利と言える。とはいえ、写真印刷に向いているかと言えばノーである。また、写真の耐保存性は、DCP-J988Nではアルバム保存100年、耐光性50年となっていたが、DCP-J4140Nでは写真の耐保存性の表記は無くなったため、これより劣る可能性が高い。DCP-J4140Nは文書印刷やコピーに特化した機種へと舵を切った形だ。
 画質に関係している点として、最小インクドロップサイズがある。ドットの大きさに影響するもので、小さいほどドットが目立たず、ザラザラした感じ(粒状感)を感じない印刷が出来る。DCP-J988Nでは1.5plと、インクジェットプリンターでも最小クラスだったが、DCP-J4140Nでは2plへとやや大きくなった。ただ、この程度の差では、画質への影響はそこまで大きくないことに加え、そもそも写真印刷向けのインク構成ではなく、文書印刷では最小インクドロップサイズは写真ほど影響が大きくないため、問題ないだろう。印刷解像度も1200×6000dpiから1200×4800dpiへと低下しているが、これは最小インクドロップサイズが大きくなったためとも言え、画質への影響は軽微だ。
 全色顔料インクとなったため、インクカートリッジも変更となった。DCP-J988Nでは超・大容量が3135番、大容量が3133番だったが、DCP-J4140Nでは、両サイズとも416番に統一され、超・大容量は後ろに「XL」が付く様になった。型番は憶えやすくなったと言えるだろう。
 ノズル数はDCP-J4140Nで各色210ノズルとなっている。DCP-J988Nでは非公表だが、海外の同機能のモデルから、各色210ノズルと思われるため、ノズル数は変化していない。そのため、写真の印刷速度は14秒のままだ。一方、文書の印刷速度は、DCP-J988Nではカラー文書が10.0ipm(image per minute:1分あたりの印刷面数)だったが、DCP-J4140Nでは19.0ipmに、モノクロ文書は12.0ipmが20.0ipmに大きく向上した。最小インクドロップサイズが大きくなったことも影響しているだろうが、給紙や紙送りなど、何らかの改良がなされたと思われる。カラー19.0ipm、モノクロ20.0ipmというのは、卓上のインクジェットプリンターとしてはかなり高速な部類だ。1枚目の印刷時間であるファーストプリント速度も、DCP-J988Nのカラー文書8.5秒、モノクロ文書8.0秒から、DCP-J4140Nでは5.9秒と5.8秒に高速化し、数枚の印刷を頻繁に行うような使い方でも便利になっている。
 インクカートリッジは新しくなったが、印刷可能な枚数は変化しておらず、またインクカートリッジの価格も据え置きだ。そのため、カラー文書、モノクロ文書共に印刷コストは全く変化していない。ただし、写真印刷に関してはDCP-J988Nの11.0円からDCP-J4140Nでは12.5円へと高くなっている。印刷コストの測定条件は変更されていないので、最小インクドロップサイズの変化か、全色顔料インクになった事により、インクの使用量が増えたと考えられる。

プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ355.6mmまで 長さ355.6mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
○手差し
(1枚/1枚/1枚)
(0.52mm厚紙対応)
前面 【カセット】
(150枚/50枚/20枚)
【カセット】
(150枚/50枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、DCP-J4140Nの給紙、排紙機能を比較してみよう。DCP-J4140Nは、DCP-J988Nと全く同等だ。150枚給紙の前面給紙カセットと、背面手差し給紙となっている。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 10.0ipm 3.0ipm
A4モノクロ文書 11.0ipm 3.0ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能
特定インク切れ時印刷 ○(クロだけ印刷・最大30日) ○(クロだけ印刷・最大30日)
自動電源オン/オフ −/○(USB接続・単体使用時) −/○(USB接続・単体使用時)
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてDCP-J4140Nのその他のプリント機能を比較してみよう。DCP-J4140Nは自動両面印刷対応、レーベル印刷非対応という点ではDCP-J988Nから変化はない。ただし、自動両面印刷の速度は大幅に向上した。DCP-J988Nではカラー、モノクロ共に3.0ipmだったが、DCP-J4140Nではカラーが10.0ipmに、モノクロが11.0ipmに高速化している。片面印刷速度が高速化したので当たり前に思えるかもしれないが、片面印刷速度からの低下率で言うと、DCP-J988Nは、カラーが30%、モノクロが25%まで低下していた。しかし、DCP-J4140Nではカラーが52.6%、モノクロが55%となっており、自動両面印刷時に速度が低下しにくくなっている。自動両面印刷を多用するならうれしい改善点だ。

スキャン
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
原稿サイズ A4
(215.9×297mm)
A4
(215.9×297mm)
読み取り解像度 1200dpi
(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
1200dpi
(1200×2400dpi)
ADF使用時は1200×600dpi
センサータイプ CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
ADF 原稿セット可能枚数 20枚 20枚
原稿サイズ 215.9×355.6mm〜148×148mm 215.9×355.6mm〜148×148mm
両面読み取り
読み取り速度 カラー N/A N/A
モノクロ N/A N/A
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF/TIFF) ○(JPEG/PDF/TIFF)

 DCP-J4140Nのスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度、ADFの原稿セット可能枚数なども全く同じとなっている。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG JPEG
色補正機能 フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
フチあり/フチなし
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/−
PictBridge対応
各種デザイン用紙印刷

 DCP-J4140Nのダイレクト印刷機能を見てみよう。DCP-J988NではSDカードとUSBメモリーに対応していたが、DCP-J4140NではUSBメモリーだけとなり、SDカードリーダーは非搭載となった。ビジネス向けの機種ではUSBメモリーのみと言うのが一般的で、全色顔料化にともなって、ビジネス向けという位置づけになったようだ。ただ、ビジネス向けの機種ではPDF形式に対応している事が多いが、DCP-J4140NではJPEGのみとなる。この機種では写真印刷というより、スキャンしてUSBメモリーに保存したデーターの再印刷が目的となるが、スキャンした際にPDF形式で保存してしまうと、DCP-J4140Nだけで再印刷ができなくなってしまう点は注意が必要だ。写真印刷向けではないが、フチあり・フチなしの設定の他、明るさとコントラストを5段階から調整できる機能は残されており、画質を気にしなければ写真印刷も可能だ。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Brother Mobile Connrct Brother iPrint&Scan
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 11.0以降
Android 4.03以降
スマートスピーカー対応
Wi-Fi接続支援機能 ○(NFC(Android)) ○(NFC(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
SNS
写真共有サイト
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/OneNote)
メールしてプリント ○Eメールプリント
(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT/メール本文)
○メール添付印刷
(JPEG/GIF/PNG/TIFF/BMP/PDF/Word/Excel/PowerPoint/TXT)
本体でのプリント操作必要
LINEからプリント
リモートプリント
スキャンしてリモートプリント

 DCP-J4140Nのスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは「Brother iPrint&Scan」から「Brother Mobile Connect」へと変更された。エプソンの場合は新アプリ「Epson Smart Panel」へ移行後も、新モデルで旧アプリ「Epson iPrint」を利用できるが、DCP-J4140Nでは「Brtoher iPrint&Scan」は使用できない。対応OSもiOSが11.0以降から13.0以降に、Androdiが4.03以降から5.0以降に変更されているので注意が必要だ。
 アプリが変更になり、操作方法は大きく変わったが、機能面では同等だ。写真や文書ファイル、Webページのプリントと、スキャンが行える。クラウドへのアクセスも、本体上とアプリ上の両方で可能なのも同じだ。変更になった点として、メールを利用したリモートプリント機能で、「メール添付印刷」機能が「Eメールプリント」機能へと変更された。昨年のモデルより変更されており、DCP-J4140Nでも変更になった。従来の「メール添付印刷」では、送信すると専用のクラウド上に保存されるため、24時間以内にプリンター本体からの操作でクラウドにアクセスし、送信元のメールアドレスを選択してプリントという手順が必要だった。「Eメールプリント」では、本体の操作が必要なく、メールを送信すると、自動的にプリントされるようになった。また、「メール添付印刷」ではWord、Excel、PowerPoint、PDF、TXT、BMP、GIF、JPG、PNG、TIFF形式に対応しているが、添付ファイルのみの印刷でメール本文は印刷されなかった。「Eメールプリント」では対応ファイル形式は同じながら、メール本文を印刷するか選べるようになった。これらの設定は、ブラウザ上から行え、ドキュメントと画像でそれぞれ画質と用紙サイズ、さらにドキュメントは両面印刷をするかどうかも設定できるようになった。ソフトウェア的な変更のみだが、同機能の使い勝手は大きく向上している。

コピー機能
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○
その他のコピー機能 濃度調整
地色除去コピー
濃度調整
地色除去コピー
裏写り除去コピー
インク節約モードコピー
バラエティコピー 2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)
2in1IDカードコピー
ブックコピー
透かしコピー
ソートコピー
ポスターコピー(3×3/2×2/1×2)

 DCP-J4140Nのコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小や2面/4面割付は同等だ。一方、その他のコピー機能として、濃度調整と、地色除去コピーは搭載しているが、裏写り除去コピーとインク節約モードが無くなっている。インク節約モードは全体に色を薄くするのでは無く、文書の文字はそのまま残しつつ、見出しなどの大きな文字や、グラフ、色囲みなどは、輪郭だけを残して内側の色を薄くすることで、見やすさを落とさずにインク使用量を減らすことができるという、エプソンやキャノンには無い機能だったが、省かれてしまった。2in1IDカードコピーやブックコピー、透かしコピー、シートコピー、ポスターコピーといったバラエティコピー機能は引き続き搭載されている。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番 DCP-J4140N DCP-J988N
製品画像
液晶ディスプレイ 2.7型
(角度調整可)
2.7型
(角度調整可)
操作パネル タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.14.6〜
(AirPrint使用)
Windows 10/8.1/8/7 SP1
Mac OS 10.11.6〜
耐久枚数 10万枚 N/A
外形寸法(横×奥×高) 435×343×180mm 435×341×195mm
重量 8.8kg 8.7kg
本体カラー ホワイト ホワイト&グレー

 最後にDCP-J4140Nの操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。DCP-J4140Nの液晶のサイズは2.7型と変更されておらず、タッチパネル液晶で、液晶右に物理ボタンを3つ搭載する点も同じだ。液晶内の操作方法も変更されていないが、背景色が黒から白へと変更され、明るい印象になった。インターフェースは同じだ。
 対応OSには変更点がある。Windowsの場合、DCP-J988NではWindows 7 SP1以降となっており、DCP-J4140Nでもこの点は変わっていない。ただし、Windows 8が非対応となり、Windows 8.1にアップデートしないと使えなくなった。MacOSも10.11.6以降から、10.14.6以降となり、より新しいOSのみ対応となっただけでなく、専用ドライバーが提供されなくなり、OS標準のAirPrintを利用したプリントとなった。これにより用紙厚さ設定などが利用できない他、一部の設定は本体で行う必要がでている。耐久枚数はDCP-J988Nでは非公開で、印刷枚数が多い用途に向いている機種ながら、家庭向けの機種と同等(1万〜1万5000枚程度)の可能性があった。DCP-J4140Nでは10万枚と公表された。かなり高耐久である事がわかり安心感が増している。
 本体デザインは、操作パネルの位置やADFの形状、インクカートリッジの取り付け部だけ横幅が大きくなっているなど、大きくは変わっていない。見た目で一番変わったのは、本体色だろう。DCP-J988Nではホワイトをベースに操作パネルだけがグレーという特徴的なデザインだった。DCP-J4140Nでは、操作パネルもホワイトとなり、前述の液晶の背景色がホワイトとなった事と合わせて、スッキリしたデザインとなった。細かい点では、インクカートリッジ取り付け部のカバーの形状が変更されたことや、前面給紙カセットの持ち手がDCP-J4140Nでは大きくなり引き出しやすくなったこと、DCP-J988NではADFの左側だけ高さが大きくなっていたが、DCP-J4140Nでは他と同じ高さになった事などが挙げられる。本体サイズもDCP-J4140Nは435×343×180mmで、DCP-J988Nの435×341×195mmと比べると、ほぼ同じだ。高さは15mm小さくなったのは前述のADF部の高さが小さくなったことによるものだろう。一方。MFC-J4540Nは前面給紙カセットが2段となっている事もあって、高さが250mmへと70mm(DCP-J988Nとの比較では55mm)大きくなっている他、奥行きも355mmと12mm(同14mm)大きくなっている。



 DCP-J4140Nは、旧モデルのDCP-J988Nから、よりビジネス向けにシフトした印象だ。インクが全色顔料になっただけでなく、普通紙印刷速度や自動両面印刷速度が大幅に向上して、より使いやすくなった。顔料ブラック+染料カラーのDCP-J988Nでは、同じインク構成のエプソンのEW-M630Tや、キャノンのG6030と比べると、印刷コストの高さが問題になっていた。しかし、全色顔料となった事で、同じインク構成のライバル機はエプソンのPX-M791FTや、キャノンのGX6030となる。エプソンやキャノンでは、全色顔料の機種は、顔料ブラック+染料カラーの機種より印刷コストが上がっている一方、DCP-J4140Nでは印刷コストが上がっていない。結果、印刷コスト面でも対抗しやすくなり、カラー印刷はまだ差が大きいが、モノクロ印刷に関しては同等となった。また、耐久枚数の公表なども、ビジネス用として購入する上での安心材料となっている。SDカードリーダーを廃して、USBメモリーのみに絞ったのも、コストダウンを図りつつ、ビジネス向け機能を残したと言える。一方でインク節約モードコピーなど一部の機能が無くなった点は残念だ。ビジネス用として見ると、ADFの枚数が少なく片面スキャンであること、無線LANが5GHz帯に非対応である事、PDFファイルのダイレクト印刷に対応していないなど、完全とは言えないが、価格をやや下げつつここまでの高性能化が実現されたのは驚くべき事だ。低印刷コストの文書印刷向けのプリンターを、できるだけ低価格で探している人にとって、新たな有力な選択肢となるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


DCP-J4140N