2021年末時点のプリンターを徹底検証 新モデルと旧モデルを徹底比較 (2021年10月19日公開)
PIXUS TS5430はPIXUS TS5330の後継機種だ。昨年は新モデルが登場しておらず、2年ぶりの新製品となる。そのため、上位モデルが昨年PIXUS TS8430やPIXUS TS7430と百の位が4になり、今年はPIXUS TS8530やPIXUS TS7530と百の位が5になったに対して、PIXUS TS5430は1年遅れで百の位が4となっている。2年ぶりの新製品のわりには、上位モデルほど本体デザインの変更などが無く、一見すると違いが分からないが、細かく見ていくと変更点がある。どこが変わったのか見てみよう。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() ![]() ![]() |
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発売日 | 2021年12月上旬発売 | 2019年9月5日 | ||
発売時の価格(税込) | 13,750円 | 12,650円 | ||
インク | 色数 | 4色 | 4色 | |
インク構成 | 顔料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
顔料ブラック シアン マゼンタ イエロー |
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カートリッジ構成 | 黒独立、カラー3色一体 | 黒独立、カラー3色一体 | ||
顔料/染料系 | 顔料(黒)/染料(カラー) (ChromaLife100) |
顔料(黒)/染料(カラー) (ChromaLife100) |
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インク型番 | 360XL/361XL(大容量) 360/361(標準容量) |
360XL/361XL(大容量) 360/361(標準容量) |
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ノズル数 | 1792ノズル | 1792ノズル | ||
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
カラー:各384ノズル 黒:640ノズル |
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最小インクドロップサイズ | N/A | N/A | ||
最大解像度 | 4800×1200dpi | 4800×1200dpi | ||
高画質化機能 | − | − | ||
印刷速度 | L判縁なし写真(メーカー公称) | 36秒 | 36秒 | |
A4普通紙カラー(ISO基準) | 6.8ipm | 6.8ipm | ||
A4普通紙モノクロ(ISO基準) | 13.0ipm | 13.0ipm | ||
(税込) |
L判縁なし写真 | 大容量:27.8円 標準:32.5円 |
大容量:27.8円 標準:32.5円 |
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A4カラー文書 | 大容量:18.5円 標準:24.9円 |
大容量:18.5円 標準:24.9円 |
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A4モノクロ文書 | N/A | N/A | ||
顔料ブラック | 大容量:400ページ 標準容量:180ページ |
大容量:400ページ 標準容量:180ページ |
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カラー | 大容量:300ページ 標準容量:180ページ |
大容量:300ページ 標準容量:180ページ |
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(税込) |
顔料ブラック | 大容量:3,212円 標準容量:2,112円 |
大容量:3,212円 標準容量:2,112円 |
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カラー | 大容量:3,135円 標準容量:2,365円 |
大容量:3,135円 標準容量:2,365円 |
まずは、販売価格を見てみよう。PIXUS TS5430の販売開始時の価格は13,750円で、PIXUS TS5330の発売時の価格12,650円より、1,100円のアップだ。とはいえ、ほぼ同じ価格を維持していると言えるだろう。 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成や印刷解像度などは全く同じだ。上位モデルでは写真の印刷速度が若干向上しているが、PIXUS TS5430は36秒で変化がない。また、上位モデルでは軒並みインクカートリッジが変更となっているが、PIXUS TS5430は引き続き 360/361番インクを使用する。そのため、印刷コスト等も変更は無い。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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対応用紙サイズ | 定型用紙 | 名刺〜A4 | 名刺〜A4 | |
長尺用紙 | 長さ676mmまで | 長さ676mmまで | ||
給紙方向 (A4普通紙セット可能枚数) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
○ (100枚/40枚/20枚) |
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前面 | 【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
【カセット】 普通紙のみ (100枚/−/−) |
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その他 | − | − | ||
排紙トレイ自動伸縮 | − | − | ||
用紙種類・サイズ登録 | ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) | ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) | ||
用紙幅チェック機能 | ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) | ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) |
続いて、PIXUS TS5430の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズから、普通紙のみの前面給紙カセット+背面給紙の組み合わせ、センサーによる用紙サイズ検知など全く同じだ。上位モデルでは、前面給紙カセットがレターサイズに非対応となったが、PIXUS TS5430ではPIXUS TS5330同様レターサイズに対応し、上位モデルと逆転現象が起こっている。日本では馴染みの無いサイズであるが、レターサイズをメインで考えている場合には便利と言えるだろう。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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自動両面印刷 | ○(普通紙のみ) | ○(普通紙のみ) | ||
自動両面 印刷速度 |
A4カラー文書 | N/A | N/A | |
A4モノクロ文書 | N/A | N/A | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 | − | − | ||
写真補正機能 | ○(自動写真補正) | ○(自動写真補正) | ||
特定インク切れ時印刷 | −(常時片方のカートリッジで印刷可能/Windowsのみ) | −(常時片方のカートリッジで印刷可能/Windowsのみ) | ||
自動電源オン/オフ | ○/○ | ○/○ | ||
廃インクタンク交換 | − | − | ||
フチなし吸収材エラー時の対応機能 | − | − |
続いてPIXUS TS5430のその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能は普通紙のみでハガキ非対応である点や自動電源オン・オフ機能など、全て同じだ。 |
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型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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原稿サイズ | A4 (216×297mm) |
A4 (216×297mm) |
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読み取り解像度 | 1200dpi(1200×2400dpi) | 1200dpi(1200×2400dpi) | ||
センサータイプ | CIS | CIS | ||
原稿取り忘れアラーム | − | − | ||
スキャンデーターのメモリカード保存 | − | − |
PIXUS TS5430のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度など、PIXUS TS5330と全く同じとなっている。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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ダイレクトプリント | メモリーカード | − | − | |
USBメモリー | − | − | ||
赤外線通信 | − | − | ||
対応ファイル形式 | − | − | ||
色補正機能 | − | − | ||
手書き合成 | − | − | ||
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ | −/− | −/− | ||
PictBridge対応 | ○(Wi-Fi) | ○(Wi-Fi) | ||
各種デザイン用紙印刷 | − | − |
PIXUS TS5430はメモリーカードからのダイレクト印刷機能を搭載していない点でPIXUS TS5330と同じである。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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スマートフォン連携 | アプリ | メーカー専用 | Canon PRINT Inkjet/SELPHY | Canon PRINT Inkjet/SELPHY |
AirPrint | ○ | ○ | ||
対応端末 | iOS 13.0以降 Android 5.0以降 |
iOS 12.0以降 Android 4.4以降 |
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スマートスピーカー対応 | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) | ||
Wi-Fi接続支援機能 | ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) | ○(QRコード読み取り(iOS)/Bluetooth(Android)) | ||
写真プリント | ○ | ○ | ||
ドキュメントプリント | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
Webページプリント | ○ | ○ | ||
スキャン | ○(PDF/JPEG) | ○(PDF/JPEG) | ||
クラウド連携 | プリント | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− |
オンラインストレージ | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) | ||
SNS | ○(Facebook・コメント付き可) | ○(Facebook・コメント付き可) | ||
写真共有サイト | ○(googleフォト/image.canon) | ○(googleフォト/image.canon) | ||
スキャン | アプリ経由/本体 | ○/− | ○/− | |
スキャンしてオンラインストレージにアップロード | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) | ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) | ||
メールしてプリント | − | − | ||
LINEからプリント | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) | ||
リモートプリント | ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ) | ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ) | ||
スキャンしてリモートプリント | − | − |
PIXUS TS5430のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは変更されておらず、クラウド関連の機能も同等だ。アプリの対応端末が、iOSがPIUXS TS8430の12.0以降からPIXUS TS5430では13.0以降に、Androidも4.4以降から5.0以降に変更されているが、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、現在はPIXUS TS5330でもiOS 13.0以降、Android 5.0以降となる。 唯一異なるのが、Wi-Fiダイレクト(ダイレクト接続)時の設定支援機能だ。手動で設定も可能だが、最近はセキュリティーキーなどを入力せずに簡単に接続出来る機能が搭載されるのが流行りだ。PIXUS TS5330は、iOS端末の場合は本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば設定が完了する。この方法はPIXUS TS5430でも同様で、エプソンの各機種も同じ方式をとっている。一方、Android端末の場合は、PIXUS TS5330ではBluetooth機能を使いあらかじめペアリングを行っておくことで、Wi-Fiダイレクト時に簡単に接続出来るようになっていたが、iOSと比べると、Bluetoothで一度接続する必要がある分二度手間であった。アプリ上でも設定項目が奥深くになっている事からも、メーカーでも大々的におすすめする機能では無かったようだ。そこで、PIXUS TS5430では、iOSと同じQRコードを読み込む方式へと変更した。エプソンでは「アプリ内で機種名を選び、本体液晶で許可を選択する」という方式を採用しており、Androidでは異なる方法を取ったことになる。ただ、エプソンの方式ではアプリの対応するAndroid 5.0以降で使用できるが、PIXUS TS5430のQRコードを読み込む方法はAndroid 10.0以降と、かなり新しい端末だけに限られる点では不便だ。とはいえ、徐々に端末の買い換えが進めば解決する問題とも言える。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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等倍コピー | ○ | ○ | ||
拡大縮小 | 倍率指定 | ○(25〜400%) | ○(25〜400%) | |
オートフィット | ○ | ○ | ||
定型変倍 | − | − | ||
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー | − | − | ||
写真焼き増し風コピー | − | − | ||
割り付け(2面/4面) | ○/− | ○/− | ||
その他のコピー機能 | 濃度調整 | 濃度調整 | ||
バラエティコピー | − | − |
PIXUS TS5430のコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小や2面割付、濃度調整など、機能はPIXUS TS5330から変更は無い。 |
型番 | PIXUS TS5430 | PIXUS TS5330 | ||
製品画像 | ![]() |
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液晶ディスプレイ | 1.44型 モノクロ有機EL (角度調整可) |
1.44型 モノクロ有機EL (角度調整可) |
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操作パネル | 物理ボタン (角度調整可) |
物理ボタン (角度調整可) |
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インターフェイス | USB他 | USB2.0×1 | USB2.0×1 | |
無線LAN | IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
IEEE802.11n/g/b (ダイレクト接続対応) |
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有線LAN | − | − | ||
対応OS | Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.13.6〜 (AirPrint使用) |
Windows 10/8.1/7 SP1 Mac OS 10.11.6〜(AirPrint利用) |
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外形寸法(横×奥×高) | 403×315×148mm (前面給紙カセット伸張時403×359×148mm) |
403×315×148mm (前面給紙カセット伸張時403×359×148mm) |
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重量 | 6.3kg | 6.3kg | ||
本体カラー | ブラック/ホワイト/ピンク | ブラック/ホワイト/ピンク |
最後にPIXUS TS5430の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。PIXUS TS5430の液晶は1.44型のモノクロ有機EL液晶でPIXUS TS5330から変化はない。ボタン配置も全く同じである。インタフェースも同等だ。対応OSには若干の違いがあり、MacOSが10.12.6以降から10.13.6以降に変更となった。Windowsに変更は無く、マイクロソフトのサポートの終了したWindows 7も引き続き対応する。本体デザインに変化が無いため、本体サイズも全く同等だ。上位モデルでは、A4/B5用紙を前面給紙カセットに入れても、カセットだけが飛び出ないデザインに変更されたが、PIUXS TS5430は引き続き、カセット部分だけが44mm飛び出す事になる。ただし、デザインは同じだが、本体カラーは若干変更された。ブラックとホワイトは同じだが、ピンクに関してはPIXUS TS5330よりも薄い色に変更された。PIXUS TS5330ほど可愛さが無くなったが、派手では無いため家庭内でも目立たない程度のカラーバリエーションとなったといえる。 PIXUS TS5430は上位モデルと異なり変更点が少なく、Android端末のダイレクト接続時にQRコード読み取り方式が使えるようになった事と、本体カラーのピンクが変更になったくらいだ。とはいえ、Android端末を使用していて、無線LAN(Wi-Fi)ルーターがない場合には非常に便利になったと言えるし、上位モデルのように印刷コストが上がったわけでは無く、本体価格もほぼ据え置きなので、単純に改良された点だけを喜べる。逆にいえば、上位モデルは印刷コストが大きく上がっており、1つ上のPIXUS TS7530はL判写真31.8円、カラー文書18.8円となった。PIXUS TS5430は、それぞれ27.8円、18.5円となっており、PIXUS TS7530より印刷コストは安くなっている。もちろん、カラー3色一体カートリッジなので、偏った色の使い方をするとPIXUS TS7530より高くなる場合もあるだろうが、印刷コストの差を気にする事は無くなった。PIXUS TS5430自体は、旧モデルから変更点が少ないが、上位モデルが落ちた分、相対的にお得感が増している。デザイン面でもPIXUS TS7530のデザインがPIXUS TS5430に近づいたので、この点でも差が縮まっている。PIXUS TS7530との大きな違いは、染料ブラックが無い4色構成で、カラー3色一体カートリッジである事、印刷速度や遅いこと、無線LANが5GHz帯に対応しないこと、本体デザインくらいのものだ。逆にPIXUS TS5430の方が前面給紙カセットがレターサイズに対応することや、液晶と操作パネルの角度調整が可能であるなど優れた点もある。それでいてPIXUS TS7530の21,450円のほぼ3分の2の価格の13,750円なのでお買い得感は高い。写真印刷はしないというユーザーには、上位モデルよりオススメできる製品と言えるだろう。 (H.Intel) 【今回の関連メーカーホームページ】 キャノンhttp://canon.jp/
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