小ネタ集
2021年末時点のプリンターを徹底検証
新モデルと旧モデルを徹底比較
(2021年10月17日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧モデル・参考モデルからの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧モデル1・参考モデル1からの変更点となります

新モデル「PIXUS TS7530」と参考機種「PIXUS TS7430」を徹底比較する

 PIXUS TS7530はPIXUS TS7430の後継機種だ。PIXUS TS6000番台が無くなった今、6色インクのPIXUS TS8530と、4色インクのPIXUS TS5430の間を埋める機種と言える。PIXUS TS7430と機能的には似ている一方、印刷コストなどに大きな変更点があった他、デザイン面でも違いが出ているなど、細かく見ていくと様々な差が見えてくる。細かく比較してみよう。

プリント(画質・速度・コスト)
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像



発売日 2021年10月14日発売
(ブルーは12月上旬)
2020年8月6日
発売時の価格(税込) 21,450円 21,450円
インク 色数 5色 5色
インク構成 顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立
顔料/染料系 染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番 300/301 380XL/380XL(大容量)
380/381(標準容量)
380s/381s(小容量)
ノズル数 4096ノズル 4096ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ N/A N/A
最大解像度 4800×1200dpi 4800×1200dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 16秒 18秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 10.0ipm 10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 15.0ipm 15.0ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 31.8円 大容量:19.0円
標準:19.0円
小容量26.1円
A4カラー文書 18.8円 大容量:10.5円
標準:10.5円
小容量15.6円
A4モノクロ文書 5.5円 大容量:3.3円
標準:3.6円
小容量5.6円
インク1本の印刷枚数
顔料ブラック 300ページ 大容量:600ページ
標準容量:400ページ
小容量:200ページ
染料ブラック 1,990ページ 大容量:6,360ページ
標準容量:3,180ページ
小容量:940ページ
カラー 350ページ 大容量:801ページ
標準容量:500ページ
小容量:250ページ
インク1本の価格
(税込)
顔料ブラック 1,430円 大容量:1,793円
標準容量:1,331円
小容量:1,012円
染料ブラック 1,540円 大容量:1,914円
標準容量:1,133円
小容量:803円
カラー 1,540円 大容量:1,914円
標準容量:1,133円
小容量:803円

 まずは、販売価格を見てみよう。PIXUS TS7530の販売開始時の価格は21,450円で、PIXUS TS7430の発売時の価格と全く同じだ。上位機種PIXUS TS8530は前モデルより価格が上がったため、上位モデルとの価格差が広がっている。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成や印刷解像度などは全く同じだ。印刷速度は、L判写真が16秒となり、PIXUS TS7430の18秒から若干の高速化が図られた。文書の印刷速度は、カラー、モノクロ共に同等だ。
 インク自体は発色などが改良された記述はなく、写真の耐保存性も「ChromaLife 100」という点で同じだが、インクカートリッジは新しくなった。PIXUS TS7430では380/381番だったが、PIXUS TS7530では300/301番となった。また、PIXUS TS7430では、大容量、標準容量、小容量の3サイズがラインナップされていたが、PIXUS TS7530では1サイズのみとなった。また、これまで5色インクのモデルは、6色インクのモデルからグレーを除いただけで、同じインクカートリッジを使うというのが通例だったが、今回は6色インクのPIXUS TS8530は330/331番となっており、PIXUS TS7530は別のインクカートリッジとなった。これはPIXUS TS7530が、上位モデルに対して画質だけで無く印刷コスト面でも差を付けるためだ。PIXUS TS7530ではL判写真は31.8円で、旧モデルPIXUS TS7430で一般的な標準容量インクを使用した場合の19.0円より67.4%も上がっている。カラー文書も18.8円、モノクロ文書は5.5円となり、PIXUS TS7430の10.5円、3.6円と比べて、それぞれ79.0%と52.8%の値上げとなっている。上位モデルPIXUS TS8530は写真が24.8円、カラー文書が12.4円、モノクロ文書が4.2円(いずれも標準容量インクの場合)なので、これと比べても大きな差が付いている。ただ、ライバル製品となるエプソンのモデルは、数年前に既に印刷コストでも上位モデルと差が付けており、写真32.5円、カラー文書18.8円となっている。PIXUS TS7430の印刷コストは、写真はほぼ同じ、カラー文書に至っては0.1円単位で同じなので、これに合わせたように思える。印刷コストを無理に安くする必要は無く、ライバル製品に劣っていなければ良いという判断だろうか。ただ、この価格帯の製品で印刷コストを重視するユーザーにとっては残念な変更点と言えるだろう。
 この原因は、印刷可能枚数の減少とインクカートリッジの価格の上昇だ。カラー文書を印刷した場合の各インクの印刷可能枚数を比較してみよう(文書印刷にほとんど使用しない染料ブラックは枚数が多いが、ここでは省いて考える)。顔料ブラックはPIXUS TS7530では300ページで、PIXUS TS7430の大容量の600ページはおろか、標準容量の400ページより少なく、小容量の200ページとの中間だ。カラーは、PIXUS TS7530では各350ページで、PIXUS TS7430の標準容量の500ページと、小容量の250ページの中間の小容量寄りだ。つまり、印刷可能枚数はかなり少なめとなっている。一方PIXUS TS7530のインクカートリッジは、顔料ブラックが1,430円、染料ブラックとカラーが各1,540円である。これはPIXUS TS7430のインクカートリッジの大容量と標準容量の間の価格になる。つまり、PIXUS TS7530では、PIXUS TS7430の大容量と標準容量の間の価格のインクカートリッジを購入して、標準容量と小容量の間の量しか印刷が出来ないのだ。これでは印刷コストが上がってしまうのは無理も無い。
 また、もう一つ残念なのはインクカートリッジの価格だ。前述のエプソンの機種はインクカートリッジ1本が990円で、6色セットでは 5,764円だ。上位モデルに比べてインクカートリッジは安いが、それ以上に印刷可能枚数が少ないので、1枚あたりの印刷コストが高くなっている。つまり、印刷枚数が少なく、インクカートリッジを推奨使用期間内に使い切れないので、1枚あたりは高くても、インクカートリッジ購入時の出費が少ない方が良いユーザー向けだ。それに対してPIXUS TS7530は、前述のようにかなり高く5色セットで6,930円と、エプソンより1色少ないわりに価格は1,000円以上高い。つまり印刷枚数が少ないユーザー向けとも言えず、単にインクカートリッジ購入時の出費が大きいだけとなってしまった。

プリント(給紙・排紙関連)
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 名刺〜A4 名刺〜A4
長尺用紙 長さ676mmまで 長さ676mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
前面 【カセット】
普通紙のみ
レターサイズ非対応
(100枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動)
用紙幅チェック機能 ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) ○(用紙セット時・用紙サイズ表示)

 続いて、PIXUS TS7530の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズから、普通紙のみの前面給紙カセット+背面給紙の組み合わせ、センサーによる用紙サイズ検知など全く同じだ。ただし、前面給紙カセットは、A4、B5、A5サイズは両機種とも対応しているが、PIXUS TS7430で対応していたレターサイズにはPIXUS TS7530は非対応となる。レターサイズは215.9×279.4mmで、A4サイズの210×297mmより横幅がわずかに大きく、これが非対応となっている。とはいえ、日本では馴染みの無いサイズであるため、それほど問題にはならないだろう。

プリント(付加機能)
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
自動両面印刷 ○(普通紙のみ) ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A N/A
A4モノクロ文書 N/A N/A
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(自動写真補正) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ ○/○ ○/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてPIXUS TS7530のその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能は普通紙のみでハガキ非対応である点や自動電源オン・オフ機能など、全て同じだ。

スキャン
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
原稿サイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度 1200dpi(1200×2400dpi) 1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存

 PIXUS TS7530のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度など、PIXUS TS7430と全く同じとなっている。

ダイレクト印刷
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式
色補正機能
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷

 PIXUS TS7530はメモリーカードからのダイレクト印刷機能を搭載していない点でPIXUS TS7430と同じである。

スマホ/クラウド対応
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 12.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
Wi-Fi接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) ○(QRコード読み取り(iOS)/Bluetooth(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/− ○/−
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive)
メールしてプリント
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ) ○(ファイルアップロード・Windows 10・IEのみ)
スキャンしてリモートプリント

 PIXUS TS7530のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは変更されておらず、クラウド関連の機能も同等だ。アプリの対応端末が、iOSがPIUXS TS8430の12.0以降からPIXUS TS7530では13.0以降に、Androidも4.4以降から5.0以降に変更されているが、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、現在はPIXUS TS7430でもiOS 13.0以降、Android 5.0以降となる。
 唯一異なるのが、Wi-Fiダイレクト(ダイレクト接続)時の設定支援機能だ。手動で設定も可能だが、最近はセキュリティーキーなどを入力せずに簡単に接続出来る機能が搭載されるのが流行りだ。PIXUS TS7430は、iOS端末の場合は本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば設定が完了する。この方法はPIXUS TS7530でも同様で、エプソンの各機種も同じ方式をとっている。一方、Android端末の場合は、PIXUS TS7430ではBluetooth機能を使いあらかじめペアリングを行っておくことで、Wi-Fiダイレクト時に簡単に接続出来るようになっていたが、iOSと比べると、Bluetoothで一度接続する必要がある分二度手間であった。アプリ上でも設定項目が奥深くになっている事からも、メーカーでも大々的におすすめする機能では無かったようだ。そこで、PIXUS TS7530では、iOSと同じQRコードを読み込む方式へと変更した。エプソンでは「アプリ内で機種名を選び、本体液晶で許可を選択する」という方式を採用しており、Androidでは異なる方法を取ったことになる。ただ、エプソンの方式ではアプリの対応するAndroid 5.0以降で使用できるが、PIXUS TS7530のQRコードを読み込む方法はAndroid 10.0以降と、かなり新しい端末だけに限られる点では不便だ。とはいえ、徐々に端末の買い換えが進めば解決する問題とも言える。

コピー機能
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー
割り付け(2面/4面) ○/− ○/−
その他のコピー機能 濃度調整 濃度調整
バラエティコピー

 PIXUS TS7530のコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小や2面割付、濃度調整など、機能はPIXUS TS7430から変更は無い。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新モデル
旧機種
型番 PIXUS TS7530 PIXUS TS7430
製品画像
液晶ディスプレイ 1.44型
モノクロ有機EL
1.44型
モノクロ有機EL
操作パネル 物理ボタン 物理ボタン
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
対応OS Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜
(AirPrint使用)
Windows 10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
外形寸法(横×奥×高) 376×350×142mm 376×359×141mm
重量 6.3kg 6.3kg
本体カラー ブラック/ホワイト/ブルー ブラック/ホワイト/ネイビー

 最後にPIXUS TS7530の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。PIXUS TS7530の液晶は1.44型のモノクロ有機EL液晶となっており、この点はPIXUS TS7430から違いは無い。ただし液晶とボタンの配置に違いがある。PIXUS TS7430では本体右端に液晶を配置し、その下に「上下カーソル」と「戻る」「OK」ボタン、更にその下に「ストップ」と「スタート」ボタンが並んでいた。PIXUS TS7530では、この配置が変更され液晶の右に、「上下カーソル」と「戻る」「OK」ボタン、更にその右に「ストップ」と「スタート」ボタンが並ぶようになった。つまり液晶下にあった操作ボタンが、液晶右に移動になったわけだ。操作パネルが本体前面に縦長に配置される独特のデザインから、横長配置という一般的な配置となった。ただし、操作パネル全体は中央では無く右寄りで、液晶の右にボタンが配置された分だけ、液晶が左にずれた程度だ。また、液晶左には「QR」ボタンと「ワイヤレスコネクト」ボタンが配置されているのはそのままだ。この配置は、下位モデルPIXUS TS5430と同じとなっている。また、排紙口の角に配置されていた電源ボタンも、一般的な丸型のボタンが液晶左に変更となった。つまり、デザイン性を重視したボタン配置は、全て一般的な形状になってしまった。ただわかりやすくなったとは言えるだろう。
 無線LAN(Wi-Fi)に関しては、機能強化されている。PIXUS TS7430ではIEEE802.11n/g/bの対応だったが、PIXUS TS7530では新たにIEEE802.11aに対応、IEEE802.11n/a使用時は5GHz帯の利用が可能になった。PIXUS TS7430が対応していた2.4GHz帯はBluetoothや無線マウス、固定電話の子機などと帯域が同じだし、電子レンジの影響を受けやすい。一方5GHz帯は、基本的に無線LANでしか使用しないため、電波干渉が起こりにくく安定する。無線LANでの接続を考えている人には、この安定性は重要な変更点だ。
 対応OSには若干の違いがあり、MacOSが10.12.6以降から10.13.6以降に変更となった。Windowsに変更は無く、マイクロソフトのサポートの終了したWindows 7も引き続き対応する。
 本体デザインは、前面を斜めにすることで、前面給紙カセットが飛び出さないデザインは引き継ぐものの、イメージは大きく変更された。またPIXUS TS7430では、排紙口の左側を少しへこませ、下部の前面給紙カセットを左端まで伸ばす事で、前面をコの字型に見せる独特のデザインだった。右端に縦長に配置した操作パネルに加えて、角が角張った直線的である事と合わせて、非常にスマートなデザインであった。PIXUS TS7530では前面中央下部に排紙口が四角く開いている、一般的なデザインとなった。また、全体的に角が丸められ、排紙口も、右上と左上の角が丸くなっているため、非常にソフトな印象になった。カラーバリエーションも、ブラックとホワイトは従来通りだが、ネイビーがブルーに変更になった。ブルーといっても水色に近く、ソフトなデザインに合わせた淡い色合いとなった。PIXUS TS7530にあった高級感は薄れ、可愛いデザインになったとも言える。
 デザインの変更に伴って、本体サイズはPIXUS TS7530では376×350×142mmとなり、PIXUS TS7430の376×359×141mmより奥行きが9mmだけ小型化している。その分、前面の傾斜角は小さくなっているため、操作パネルは、より直立しており、低い位置に置いた場合操作しにくくなっている(PIXUS TS7430も操作しやすかったわけではないが)。



 PIXUS TS7530は印刷速度やスマートフォンとのダイレクト接続の支援機能、無線LANなど、細かい点ではあるが様々な改良が行われている。本体価格は据え置きであり、その点では魅力は増したように思える。ただ、印刷コストが大幅に上がってしまったのは残念と言わざるを得ない。小容量のインクカートリッジにしてインクカートリッジの価格を下げたのであれば、印刷コストがある程度高くなっても、印刷枚数が少ないユーザー向けにという方向性が明確だ。しかし、PIXUS TS7530はインクカートリッジが高いまま印刷コストが高くなってしまった。印刷枚数が多いユーザーなら、ほぼ同じインクカートリッジ価格で印刷可能枚数が圧倒的に多い上位モデルの方が結果的にお得になるし、印刷枚数の少ないユーザーなら、インク1セットでの印刷可能枚数が多すぎて、推奨使用期間内に使い切れず、高いインクカートリッジが途中で無駄になる。対抗機種であるエプソンの機種に印刷コストを合わせたようにも見えるが、上位モデルと違う明確な方向性が打ち出せていないため、魅力が少ない。とはいえ、上位モデルPIXUS TS8530の価格が上がっており、16,500円もの差があるため、ある程度の画質で写真も年賀状も文書を印刷したいが、印刷枚数はそれほど多くないというユーザーには選択肢の一つといえるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


PIXUS TS7530BK
(ブラック)
PIXUS TS7530WH
(ホワイト)
PIXUS TS7530BL
(ブルー)