小ネタ集
2022年春時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2022年5月16日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「EP-714A」と旧機種「EP-713A」を徹底比較する

 EP-714AはEP-713Aの後継機種だ。新型コロナウイルスの影響で、発売が2021年末では無く、2022年2月となったが、基本的には恒例のマイナーバージョンアップの機種と言える。どの点が変わったのか、細かく見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
発売日 2022年2月3日 2020年10月22日
発売時の価格(税込) 21,450円 20,350円
インク 色数 6色 6色
インク構成 ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
ブラック
シアン
ライトシアン
マゼンタ
ライトマゼンダ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立
顔料/染料系 染料
(つよインク200)
染料
(つよインク200)
インク型番 サツマイモ サツマイモ
ノズル数 1080ノズル 1080ノズル
各色180ノズル 各色180ノズル
最小インクドロップサイズ 1.5pl
(Advanced-MSDT)
1.5pl
(Advanced-MSDT)
最大解像度 5760×1440dpi 5760×1440dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 17秒 17秒
A4普通紙カラー(ISO基準) N/A N/A
A4普通紙モノクロ(ISO基準) N/A N/A
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 32.5円 32.5円
A4カラー文書 18.8円 18.8円
A4モノクロ文書 N/A N/A
インク1本の価格
(税込)
染料ブラック 990円 990円
カラー 各990円 各990円

 まずは、販売価格を見てみよう。EP-714Aの販売開始時の価格は21,450円で、EP-713Aの20,350円から1,100円の値上げだ。新型コロナウィルスによる世界的半導体不足や製造や輸送の問題もあって、製造コストが上がり価格が上がる事が多い中、1,000円に抑えたのはうれしいところだ。
 それでは、印刷画質や速度、印刷コストなど基本的なプリント機能を見てみよう。インク構成や印刷解像度、最小インクドロップサイズなどは全く同じで、画質は同等だ。使用するインクカートリッジにも変更が無いため、印刷コストも同等で、印刷速度にも変化はない。


プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A4 L判〜A4
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面
前面 【カセット】
(100枚/40枚/20枚)
【カセット】
(100枚/40枚/20枚)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納連動) ○(カセット収納連動)
用紙幅チェック機能 ○(印刷時)

 続いて、EP-714Aの給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズや、前面給紙1段カセットという点で全く同じだ。この項目には変化はない。ただし、印刷時に用紙の幅をセンサーでチェックし、印刷設定より小さな紙が使用されている場合に用紙外にインクを打たないようにし、プリンター内部が汚れない様にする機能は省略されている。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
自動両面印刷
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A N/A
A4モノクロ文書 N/A N/A
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(オートフォトファイン!EX) ○(オートフォトファイン!EX)
特定インク切れ時印刷 ○(黒だけでモード・5日間のみ) ○(黒だけでモード・5日間のみ)
自動電源オン/オフ −/○(指定時間) −/○(指定時間)
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能 ○(フチあり印刷継続可) ○(フチあり印刷継続可)

 続いてEP-714Aのその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷機能には非対応である点や、レーベル印刷対応、自動電源オフ機能など、変更点は無い。

スキャン
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
原稿サイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度 1200dpi(1200×2400dpi) 1200dpi(1200×2400dpi)
センサータイプ CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存 ○(JPEG/PDF) ○(JPEG/PDF)

 EP-714Aのスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度など、EP-713Aと全く同じとなっている。

ダイレクト印刷
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD SD
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG JPEG
色補正機能 写真ズーム
フチあり/フチなし
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
写真ズーム
フチあり/フチなし
赤目補正
明るさ調整(5段階)
コントラスト調整(5段階)
シャープネス調整(5段階)
鮮やかさ調整(5段階)
フィルター(モノクロ/セピア)
手書き合成
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)
ディスクレーベル印刷
フォーム印刷(罫線・マス目・便箋・スケジュール帳・五線譜)
ディスクレーベル印刷

 EP-714Aのダイレクト印刷機能を見てみよう。SDカードリーダーを搭載し、各種色補正やバラエティ印刷機能を搭載している点で変化はない。ただし、EP-713Aに搭載されていた、手書きした文字や絵と写真を合成して印刷できる「手書き合成」機能は、EP-714Aでは非搭載となった。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
Epson Smart Panel
(EPSON iPrintにも対応)
AirPrint
対応端末 iOS 11.0以降
Android 5.0以降
iOS 10.0以降
Android 5.0以降
(EPSON Smart Panel使用時のiOSは11.0以降)
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント) ○(Alexa/Googleアシスタント)
Wi-Fi接続支援機能 ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android)) ○(Bluetooth LEで自動接続(初期設定時)/QRコード読み取り(iOS)/アプリ上で選択して本体で許可(Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Instagram/Facebook・コメント付き可) ○(Instagram/Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト
スキャン アプリ経由/本体 ○/− ○/−
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/Box/OneDrive/google classroom)
メールしてプリント ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文) ○(JPEG/GIF/PNG/TIFF/PDF/Word/Excel/PowerPoint/メール本文)
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(リモートプリントドライバー) ○(リモートプリントドライバー)
スキャンしてリモートプリント ○(受信のみ) ○(受信のみ)

 EP-714Aのスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは最新のEpson Smart Panelと、従来のEPSON iPrintの両方に対応している点や、クラウド関連、リモートプリント関連の機能も同等だ。アプリの対応端末が一部変更されているが、EPSON iPrintのiOSの対応バージョンが10.0以降から11.0以降に変更され、Epson Smart Panelと同等になったためだ。ただ、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、現在はEP-713AでもiOS 11.0以降、Android 5.0以降となる。


コピー機能
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー ○(退色復元対応)
割り付け(2面/4面) ○/− ○/−
その他のコピー機能 濃度調整
背景除去機能
濃度調整
背景除去機能
バラエティコピー 見開きコピー 見開きコピー
ミラーコピー

 EP-714Aのコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小やレーベルコピー、写真焼き増し風コピー、2面割付、背景除去などはEP-713Aから変更は無い。ただし、写真を複数枚スキャナーにセットすると、それぞれを個別に認識し、色あせも補正した上で、コピーを行う「写真焼き増し風コピー」機能はEP-714Aでは非搭載となった。また、一部のアイロンプリント紙では左右を反転して印刷する必要があるが、この際に使用する「ミラーコピー」機能もEP-714Aでは非搭載となっている。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
型番 EP-714A EP-713A
製品画像
液晶ディスプレイ 1.44型
フリップ式UI
1.44型
操作パネル 物理ボタン 物理ボタン
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
IEEE802.11n/g/b
(Wi-Fiダイレクト対応)
有線LAN
対応OS Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.9.5〜
Windows 11/10/8.1/8/7/Vista/XP SP3
MacOS 10.6.8〜
外形寸法(横×奥×高) 390×338×163mm 390×338×163mm
重量 5.9kg 5.9kg
本体カラー ホワイト ホワイト

 最後にEP-714Aの操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。EP-714Aの液晶はEP-713Aと同等の1.44型で、操作ボタンも同等だ。だたし、操作性は大きく改善されている。EP-713Aでは、より大型の液晶を搭載する上位モデルEP-813A等と操作画面(UI:ユーザーインターフェース)は同じで、EP-813A等の2.4型液晶に表示する内容をそのままEP-713A等の1.44型まで縮小して表示しているだけだった(ボタンの数の関係から一部操作方法は異なるが)。しかし、表示内容が小さくなりすぎ操作性が悪かった。EP-714Aではこれが改善され、「小型の液晶用のUI」に変更された。これは同じサイズの液晶を搭載するエコタンク搭載モデル「EP-M552T」と、その後継機種「EP-M553T」で既に使用されてるUIを、EP-714Aにも適用したものだ。具体的には、ホーム画面の場合、1画面に3つのアイコンが小さく並んでいたEP-713Aから、フリップ式に変更され、1枚ずつめくるようにして機能を選んでいくので、画面いっぱいに機能名と機能アイコンが表示されるようになり、見やすくなった。また、例えばコピーを例に取ると、EP-713Aではホーム画面でコピーを選ぶと、コピーの枚数とカラー/モノクロ切り替えが並び、さらにOKボタンを押すとコピーメニューが表示され、その中で拡大縮小や2in1などの項目を選んで設定していく形であった。しかしEP-714Aでは、ホーム画面でコピーを選ぶと、次に同じくフリップ式で「カラー」「モノクロ」「A4→B5カラー」「B5→A4カラー」「2in1カラー」「応用」を選ぶようになった。「応用」以外を選ぶと、「カラー」「モノクロ」では部数を選ぶ画面が出て、あとはスタートボタンを押すだけだ。早い段階で選択肢をもうけることで、1画面に様々な設定項目が並んでしまい、表示が小さくなるのを防ぐデザインとなっている。「応用」を選べば、従来のコピーメニューに入れ、B5とA4以外の拡大縮小や、濃度調整、背景除去コピーなども行える。操作性はずいぶん分かりやすくなったといえる。
 インターフェースには変化がない。対応OSに関しては、Windowsは変わっておらず、マイクロソフトのサポートの終了したWindows 8/7/Vista/XPにも対応している。キャノンとブラザーがWindows 10/8.1/7のみとしたのとは対照的だ。MacOSはEP-713Aの10.6.8以降から、EP-714Aでは10.9.5以降と古いバージョンが一部非対応となった。とはいえ、キャノンが10.13.6以降、ブラザーが10.14.6以降としているのと比べると、対応バージョンは広いと言える。また、キャノンとブラザーがAirPrint経由での印刷となり、専用ドライバーを提供しなくなったのに対して、EP-714Aは専用ドライバーをダウンロード対応だが提供している。



 近年では特にインクカートリッジ方式の機種では、新機種と旧機種の差がほとんど無い事が恒例となっているが、EP-714Aもこの例に漏れず、大きな変化はないと言える。ただし、従来より問題となっていた、液晶が小さく操作性が悪い点が大きく改善している。液晶サイズを大型化するのはコストアップとなるため、サイズはそのままながら、UIが変更され、小さな液晶でも、見やすく、分かりやすくなった。本体でのコピー操作やSDカードからのダイレクト印刷をよく行うなら、見逃せない変更点だ。UIを分かりやすくする目的もあってか、写真の焼き増し風コピーやミラーコピー、手書き合成機能など、一部使用しているユーザーが少ない機能が省略されているが、大きな違いでは無い。価格もわずかに上がっただけだ。もちろん、不満点もいくつかあるが、前面給紙を2段としたり、自動両面印刷機能を搭載したりすると、上位モデルと差が小さくなり、コストアップにもつながる。本体サイズがやや大きいため、上位モデルと同じ本体に移行すると言う改善方法も残されているが、今回は可能な範囲で問題点を1つ改善しているため、魅力が増したのは確かだろう。

(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


EP-714A