小ネタ集
2022年春時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2022年5月16日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「GX5030」と参考機種「GX6030」「G5030」を徹底比較する

 GX5030はギガタンク搭載プリンターに新たに追加された機種である。スキャナーやコピー機能を持たないプリンター(プリント単機能機)である。ギガタンク搭載の単機能プリンターとしては、これまでG1310と、その後継機種G5030があったが、それぞれ複合機であるG3310とその後継G6030からスキャナーを外したような製品であった。それに対して、GX5030は「GX」が示すように、ビジネス向けの「GXシリーズ」に属し、複合機GX6030から、スキャナーを外したような製品である。そこで、ベースとなっているGX6030と、GX5030に搭載している「プリント機能」及び「スマホ・クラウド機能」「操作パネル/インターフェース/本体サイズ」の各項目のみ徹底的に比較し、スキャナーとコピー機能が無い以外に違いがあるのか検証した。また、同じ単機能プリンターのG5030も参考として並べている。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
参考機種
参考機種
型番 GX5030 GX6030
(プリンター部のみ)
G5030
製品画像
発売日 2022年3月中旬 2021年5月中旬日 2019年6月6日
発売時の価格(税込) 60,500円 72,050円 32,868円
インク 色数 4色 4色 4色
インク構成 ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・色ごとに形状変更・オフキャリッジ式)
ギガタンク方式
(挿して注入・満タン自動ストップ・オフキャリッジ式)
顔料//染料系 顔料 顔料 顔料(黒)/染料(カラー)
新顔料ブラック
インク型番 36番 36番 30番
付属インクボトル インクボトル各色1本 インクボトル各色1本 インクボトル(カラー)各色1本
インクボトル(ブラック)2本
ノズル数 4352ノズル 4352ノズル 1792ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各1024ノズル
黒:1280ノズル
カラー:各384ノズル
黒:640ノズル
最小インクドロップサイズ N/A N/A N/A
最大解像度 600×1200dpi 600×1200dpi 4800×1200dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) N/A N/A 37秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 15.5ipm 15.5ipm 6.8ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 24.0ipm 24.0ipm 13.0ipm
ファーストプリント速度 A4普通紙カラー 8.0秒 8.0秒 14.0秒
A4普通紙モノクロ 7.0秒 7.0秒 9.0秒
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 N/A N/A 9.8円
A4カラー文書 2.2円 2.2円 1.0円
A4モノクロ文書 0.8円 0.8円 0.5円
インク1本の印刷枚数
ブラック 6,000ページ 6,000ページ 6,000ページ
カラー 各14,000ページ 各14,000ページ 各7,700ページ
インク1本の価格
(税込)
ブラック 4,730円 4,730円 2,310円
カラー 各6,160円 各6,160円 各1,540円

 前述のように、GX5030はGX6030の単機能プリンター版とも言うべき製品だ。その分価格は下がっており、GX6030が72,050円なのに対して、GX5030は60,500円となる。11,550円安くなるため、ビジネス向けの低印刷コストのプリンターが欲しいが、スキャナーやコピー機能は不要というユーザーにとっては、少しでも安く買える点はメリットだ。ちなみに、同じギガタンクの単機能プリンターであるG5030は32,868円なので、これよりは27,632円も高くなる。
 GX5030の基本的なプリント機能はGX6030を継承している。4色の全色顔料インクで、36番インクを使用する。ギガタンク方式で、挿すと注入が始まり、満タンで自動ストップし、色ごとに注入口とボトル先端の形状が違うため、間違った色のタンクに注入する事も無い。同じインクを使用するため、印刷可能枚数や印刷コストも同等だ。ノズル数、印刷解像度、印刷速度も同じである。ちなみにG5030との比較では、ブラックが顔料インクでカラーが染料インクのG5030に対して、全色顔料のGX5030は普通紙への印刷画質が高く、逆に写真用紙などへは劣るという違いがある。当然使用するインクも異なるが、GX5030の方がインクボトルの価格が高く、印刷コストでは、カラー文書で2.2倍、モノクロ文書で1.6倍となる。印刷速度は、GX5030の方がかなり高速で、カラー文書で約2.28倍、モノクロ文書で約1.85倍となるなど、普通紙印刷に特化し、かなり高性能化していることが分かる。


プリント(給紙・排紙関連)
新機種
参考機種
参考機種
型番 GX5030 GX6030
(プリンター部のみ)
G5030
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
L判〜A4
(フチ無し印刷非対応)
名刺〜A4
長尺用紙 長さ1,200mmまで 長さ1,200mmまで 長さ676mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
前面 【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ
(250枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)/用紙セット(背面)連動) ○(カセット収納(前面)・カバー(背面)連動)
用紙幅チェック機能

 続いて、GX5030の給紙、排紙機能を比較してみよう。L判からA4サイズに対応しており、フチなし印刷は非対応、給紙は普通紙のみの前面給紙カセット+背面給紙の組み合わせという点で、GX6030から変化はない。G5030との比較ではG5030はフチなし印刷に対応しており、L判より小さい名刺サイズに対応しているが、長尺印刷は676mmまでとなり、GX5030の方が1,200mmまで対応する点で便利と言える。
 GX5030とGX6030は全く同じように見えるが、実は細かく見ると異なる点がある。GX5030もGX6030もフチし印刷に非対応である点は同じだが、フチあり印刷時の余白が違うのだ。詳しくは次の表を見て頂きたい。


用紙ごとの余白
単位:mm
GX5030 GX6030 G5030
A4 5.0 5.0 5.0 5.0 3.0 5.0 3.4 3.4 3.0 5.0 3.4 3.4
A5
A6
B5
レター 3.0 5.0 4.0 4.0 3.0 5.0 6.4 6.3
リーガル
L判 3.0 5.0 3.4 3.4 3.0 5.0 3.4 3.4 3.0 5.0 3.4 3.4
2L判
KG
六切
スクエア(127mm) 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0
スクエア(89mm) 5.0 5.0 5.0 5.0
ハガキ 3.0 4.0 3.4 3.4 3.0 4.0 3.4 3.4 3.0 5.0 3.4 3.4
往復ハガキ
洋形4号封筒 8.0 12.7 5.6 5.6 8.0 12.7 5.6 5.6 8.0 12.7 5.6 5.6
洋形6号封筒
長形3号封筒 8.0 5.0 5.6 5.6 8.0 5.0 5.6 5.6 8.0 5.0 5.6 5.6
長形4号封筒
DL封筒 12.7 12.7 5.6 5.6 12.7 12.7 5.6 5.6 8.0 12.7 5.6 5.6
商用10号封筒

 これを見るとGX5030とGX6030では、ほとんどの余白サイズは同じなのだが、普通紙として一般的なサイズであるA4、A5、A6、B5、レター、リーガルサイズで、GX5030の方が余白が大きくなっている。GX6030は用紙端から上は3mm、下は5mm、左右は3.4mm(リーガル・レターは4mm)まで印刷が可能だが、GX5030ではいずれも5mmまでしか印刷できない。違いがあると言うことは、何らかの設計が変更になったと考えられるが、GX6030のプリント機能を流用している様に見えて、わざわざこの点だけ変更した、しかも改悪されたのは不思議だ。また、機能上、GX5030は5mmまでしかプリントできなくなったのかと思えば、L判や2L判などでは、GX6030と同じく上は3mm、下は5mm、左右は3.4mmまでプリント可能なのだから、ますます不思議と言える。とはいえ、GX6030とGX5030を両方導入したオフィスなどでは、GX6030に合わせて余白をギリギリまで設定して作成すると、GX5030では一部が切れてしまう事になるなど注意が必要だ。またG5030とも一部の余白が異なっており、GX5030の方が余白が大きい用紙と、小さい用紙がある。

プリント(付加機能)
新機種
参考機種
参考機種
型番 GX5030 GX6030
(プリンター部のみ)
G5030
製品画像
自動両面印刷 ○(普通紙のみ・A4/レターのみ) ○(普通紙のみ・A4/レターのみ) ○(普通紙のみ)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 10.0ipm 10.0ipm 2.8ipm
A4モノクロ文書 13.0ipm 13.0ipm 2.9ipm
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷
写真補正機能 ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し) ○(印刷実行/時刻指定)/○(指定時間操作無し/時刻指定) ○(印刷実行)/○(指定時間操作無し)
廃インクタンク交換 ○(メンテナンスカートリッジ交換可能) ○(メンテナンスカートリッジ交換可能)
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてGX5030のその他のプリント機能を比較してみよう。自動両面印刷は搭載するものの、A4、レターサイズの普通紙のみ対応である点や、その自動両面印刷の速度は、GX6030と全く同じだ。廃インクタンクをメンテナンスカートリッジとして交換可能な点も同じだ。ただし、自動電源オン・オフ機能には違いがある。一般的に他社も含めて自動電源オン機能というと、印刷が実行されると自動的に電源がオンになる機能だ。これはGX5030もGX6030も搭載している。GX6030はこれに加えて、指定した時刻に自動的に電源が入るようにも設定できる。これはGX5030には搭載されていない。自動電源オフも、一般的には指定時間プリントや本体での操作がない場合に自動的に電源が切れる機能で、これはGX5030もGX6030も搭載しているが、GX6030は指定時刻に電源が切れるようにも設定できる。指定時刻の自動電源オン・オフはオフィスの就業時刻や、商店の営業時間に合わせてオン・オフできるので便利だが、GX5030ではこの機能が使えないのは注意が必要だ。

スマホ/クラウド対応
新機種
参考機種
参考機種
型番 GX5030 GX6030
(プリンター部のみ)
G5030
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 12.0以降
Android 4.4以降
iOS 10.0以降
Android 4.4以降
スマートスピーカー対応 N/A N/A ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
Wi-Fi接続支援機能 ○(QR(iOS・iPadOS)) ○(Bluetooth)
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/− ○/○ ○/−
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
メールしてプリント
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 GX5030のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは変更されておらず、基本的なプリント機能やクラウド関連の機能は同等だ。アプリの対応端末が、iOSがGX6030の12.0以降からGX5030では13.0以降に、Androidも4.4以降から5.0以降に変更されているが、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、現在はGX6030でもiOS 13.0以降、Android 5.0以降となる。
 ただし、異なる点が2点ある。1つはWi-Fiダイレクト(ダイレクト接続)時の設定支援機能だ。手動で設定も可能だが、最近はセキュリティーキーなどを入力せずに簡単に接続出来る機能が搭載されるのが流行りだ。GX6030は、iOS端末の場合は本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば設定が完了する。しかし、GX5030はこの機能は搭載されていない。また、2点目はクラウドへのアクセス方法で、GX6030はアプリからアクセスする方法と、本体の液晶からアクセスする方法の両方に対応する。アプリからの方が操作性は上だが、わざわざスマートフォンを接続すること無く、本体だけでアクセスできるのは便利だ。GX5030はアプリ上からのアクセスのみで、本体ではアクセスできない。この2点はいずれも、搭載される液晶が、GX6030では一般的なカラー液晶であった所が、GX5030ではモノクロの文字表示だけの小型液晶に変更されたこと(詳しくは後述)が原因だ。QRコードの表示は不可能だし、クラウドアクセスは搭載できなくはないものの、2行の文字表示ではさすがに操作性が悪すぎる。これらの機能が必要な人は、スキャナーやコピー機能は不要でもGX6030を選ぶしかなくなってしまう。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
参考機種
参考機種
型番 GX5030 GX6030
(プリンター部のみ)
G5030
製品画像
液晶ディスプレイ 2行モノクロ 2.7型
(角度調整可)
2行モノクロ
操作パネル 物理ボタン
(角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(角度調整可)
物理ボタン
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/g/b
(ダイレクト接続対応)
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX 100BASE-TX
対応OS Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.10.5〜(AirPrint利用)
耐久枚数 15万枚 15万枚 6万枚
外形寸法(横×奥×高) 399×416×238mm
(操作パネル部含む)
399×410×254mm
(操作パネル部含まず)
403×369×166mm
重量 9.0kg 11.6kg 6.5kg
本体カラー ホワイト&ブラック ホワイト&ブラック ブラック

 最後にGX5030の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。GX5030の液晶のサイズは2行表示のモノクロ液晶で、2.7型のカラー液晶を搭載していたGX6030からかなり簡略化されている。液晶サイズはハッキリとは書かれていないが、GX6030は実測で横5.5cm、高さ4.1cmなのに対して、GX5030は横4.5cm、高さ1.2cm程度だ。面積比で4分の1以下のサイズとなってしまう。また、モノクロ表示と言うだけで無く、バックライトが入っていないので、暗い場所での視認性はかなり低い。またGX6030ではタッチパネル液晶であったため、ボタンは最小限であったが、GX5030ではタッチパネルでは無いため、ボタン数が増えている。液晶の視認性が悪く、ボタン操作となたたため、本体での操作性はかなり低下しているが、本体でコピー操作などを行うわけでは無いため、これで十分と考えたのだろう。しかし、そのデザインには少し疑問が残る。以下が詳しく比較した物である。

型番 GX5030 GX6030 G5030
液晶と操作パネル

 これを見ると、GX5030の操作パネル部全体の大きさは、GX6030と同じ物を使用していることが分かる。GX6030で液晶が内蔵されていた箇所がそのまま一段へこんでおり、そこからさらに一段奥に小さなモノクロ液晶を搭載する形となっている。つまり、「タッチパネル液晶」の代わりに「モノクロ液晶と5つのボタン」というパネルがはめ込まれている事になる。いかにも流用した感が否めない。ではGX6030の液晶の周囲にあるボタンは、GX5030でも同じかと言えば、そうでは無く、「ホーム」や「カラースタート」「モノクロスタート」は省略され、「ワイヤレスコネクトボタン」を新設、電源ボタンと、エラーランプの位置は変更されている。「戻る」ボタンは、GX6030で液晶のあったへこみの中に移動した。つまり、液晶以外のパーツは流用されていそうで、実はGX5030専用となっているのだ。しかし、この配置を見ているとある事が分かる。同じギガタンクの単機能プリンターG5030と全く同じ配置なのだ。電源ランプがGX6030の丸ではなく、G5030と同じ四角になっている事からも、同じ物であることが分かる。つまり、GX6030と同じ大きさの操作パネル部に、G5030をそのまま内蔵した事になる。コストダウンを追求したといえるだろう。ただ、GX6030と同じく、角度調整が可能なので、その点ではG5030よりも見やすい角度の調整できる点で優れている。
 その他、インターフェースはGX6030と同等だ。対応OSはには若干の違いがあり、MacOSが10.12.6以降から10.13.6以降に変更となった。Windowsに変更は無く、マイクロソフトのサポートの終了したWindows 7も引き続き対応する。
 本体サイズはGX5030では399×416×238mmで、GX6030の399×410×254mmと比べて、スキャナー部が無い分、高さが低くなっている。また、スキャナー部が無くなったことで、背面給紙トレイの方が高くなってしまい、この部分が238mmとなっている。つまり、プリンター後部だけが飛び出た形となり、それ以外の部分は210mm前後とさらに低くなる。スキャナー以外が同じであるため、当然横幅は同じだが、奥行きがGX5030では416mmと、GX6030の410mmより6mmだけ大きくなっているのは不思議だ。しかし、細かく見るとGX6030は飛び出している操作パネル部を除く寸法、GX5030は含む寸法となっているためで、実際には同じサイズと考えられる。耐久枚数は同じで、家庭向けのものよりかなり高耐久に作られている。G5030との比較では、無線LANが5GHz帯に対応しているため、電子レンジや電話の子機、Buetoothなどと干渉しないで安定する他、耐久枚数も2.5倍となっているなど、より印刷枚数の多い環境での利用に向いた製品となっている。



 GX5030はGX6030からスキャナーを外し、スキャンとコピー機能を省いただけに思えるが、実際には細かな違いがある。そのほとんどは操作パネルの簡略化に伴う物だ。ただ、コストダウンを図るためとはいえ、6万円を超える比較的高価な機種のわりに、この操作パネルは劣って見える。印刷速度や給紙機能、無線LANや耐久枚数などの面で高性能なだけに、見劣りするのだ。確かにプリント単機能機であるため、本体の操作は少ないとは言え、GX6030と同じか、せめてタッチパネルでは無くてもカラー液晶を搭載していれば、本体でのクラウドアクセスや、QRコードでのスマートフォンとの接続が可能だったといえる。もしかすると、指定時刻の自動電源オン・オフ機能も搭載できたかもしれない。特に、ビジネス向け製品であるので、これらの機能を搭載するために液晶に少しコストをかけても良かったのでは無いかと思ってしまう。
 ただ、その点を除くと、ビジネス向けのプリント単機能機としては、非常に良い製品と言える。全色顔料で印刷も高速、印刷コストも安いため、大量印刷に向いている。給紙枚数も多く、インクも1回の補充での印刷可能枚数が多い点、耐久性が高いのも、大量印刷でも便利だ。無線LAN機能も5GHz帯に対応する一方、有線LANも選べるなど、ビジネス利用に向いている。エプソンのエコタンク方式や、ブラザーのファーストタンク方式(こちらは大容量カートリッジだが)には、A4単機能プリンターは無く、それを希望するユーザーにはキャノンしか選択肢が無い。これまでG5030やG1310はあったとは言え、本格的なビジネス用途には心許ない部分もあった。その点で、A4カラーレーザープリンターからの置き換えなど、こういった機種を望んでいたユーザーには、ベストな機種が登場したと言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


GX5030