小ネタ集
2022年春時点のプリンターを徹底検証
新機種と旧機種を徹底比較
(2022年5月16日公開)

表中の背景が黄色になっている項目は、旧機種・参考機種からの変更点です。なお3機種で比較している場合は、旧機種1・参考機種1からの変更点となります

新機種「PIXUS XK500」と旧機種「PIXUS XK90」、参考機種「PIXUS XK100」を徹底比較する

 PIXUS XK500はPIXUS XK90の後継機種である。2021年末には同じPIXUS XKシリーズからPIXUS XK100が登場しているが、こちらはPIXUS XK90の後継機種では無く、派生機種となる。正式な後継機種は今回発売となるPIXUS XK500である。PIXUS XK90の機能を基本としつつ、PIXUS XK100で新たに搭載された機能などに対応し、印刷コストもさらに下げた製品だ。その分価格は上がっている。どのような違いがあるのか見ていこう。

プリント(画質・速度・コスト)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
発売日 2022年3月中旬 2021年10月14日 2020年8月27日
発売時の価格(税込) 51,150円 45,650円 40,150円
インク 色数 6色 6色 5色
インク構成 顔料ブラック
染料ブラック
フォトブルー
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
フォトブルー
シアン
マゼンタ
イエロー
顔料ブラック
染料ブラック
シアン
マゼンタ
イエロー
カートリッジ構成 各色独立 各色独立 各色独立
顔料//染料系 染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
染料(黒+カラー)/顔料(黒)
(ChromaLife100)
インク型番 N20/N21 N10XL/N11XL(大容量)
N10/N11(標準容量)
N20/N21
ノズル数 6656ノズル 6656ノズル 4096ノズル
C/M:各1536ノズル
PB/Y/染料BK/顔料BK:各1024ノズル
C/M:各1536ノズル
PB/Y/染料BK/顔料BK:各1024ノズル
C/M/顔料BK:各1024ノズル
Y/染料BK:各512ノズル
最小インクドロップサイズ N/A N/A N/A
最大解像度 4800×1200dpi 4800×1200dpi 4800×1200dpi
高画質化機能
印刷速度 L判縁なし写真(メーカー公称) 10秒 10秒 16秒
A4普通紙カラー(ISO基準) 10.0ipm 10.0ipm 10.0ipm
A4普通紙モノクロ(ISO基準) 15.0ipm 15.0ipm 15.0ipm
印刷コスト
(税込)
L判縁なし写真 10.8円 大容量:13.7円→14.1円
標準:16.3円→16.9円
9.8円
A4カラー文書 4.0円 大容量:6.3円→6.5円
標準:7.8円→8.2円
3.9円
A4モノクロ文書 1.6円 大容量:2.2円→2.3円
標準:2.8円→2.9円
1.5円
インク1本の印刷枚数
顔料ブラック 600ページ 大容量:600ページ
標準:400ページ
600ページ
染料ブラック 4,590ページ 大容量:4,590ページ
標準:2,280ページ
6,546ページ
カラー 802ページ 大容量:802ページ
標準:501ページ
802ページ
インク1本の価格
(税込)
顔料ブラック 825円 大容量:1,166円→1,230円
標準:1,012円→1,060円
825円
染料カラー 627円 大容量:1,045円→1,090円
標準:781円→820円
627円
カラー 各627円 大容量:各1,045円→1,090円
標準:各781円→820円
各627円

 前述のように、 昨年末にPIXUS XKシリーズにPIXUS XK100という新製品が登場したが、これはPIXUS XK90の後継製品では無く、画質や操作性などを落とす一方で印刷コストを下げた派生製品だった。そもそもPIXUS XKシリーズは、エプソンの「カラリオ Vエディション」EP-30Vに対抗する形で登場した。2017年末のことで、従来より写真印刷が綺麗で、印刷コストが安いという点で同じ方向性の製品だった。エプソンのエコタンク方式はようやくバリエーションが増えだしてきた頃で、キャノンのギガタンク方式はまだ無い頃だったため、当然EP-30VもPIXUS XKシリーズもカートリッジ方式だった。その後、エプソンではエコタンク方式が機種を増やし、5色インクで写真がある程度綺麗な一方、小型のエコタンクにより本体がカートリッジ方式に近いEW-M752Tが登場、さらに、EP-30Vの後継として、6色インクで大型エコタンクを搭載したEW-M873Tが登場した。こうなるとPIXUS XKシリーズは、印刷コスト面で劣ることとなってしまった。そこで、昨年末に登場したPIXUS XK100は、5色インクとする一方で、印刷コスト面でエコタンク方式に対抗できるようにインクカートリッジの価格をさらに下げた機種で、EW-M752Tの後継機種EW-M754Tに対抗する製品に進化した。そして、今回のPIXUS XK500は、6色インクのまま、PIXUS XK100と同じインクカートリッジを採用することで、印刷コストを下げ、EW-M873Tに対抗できる製品としている。
 まずは、販売価格を見てみよう。PIXUS KX500の販売開始時の価格は51,150円で、PIXUS XK90の45,650円より4,500円高くなっている。新型コロナウイルスによる半導体不足などの影響により、プリンターの価格は軒並み上がっているため、その影響もあるだろうが、PIXUS XK500はPIXUS XK90より印刷コストを下げたたために、本体価格が上がったと考えるのが妥当だろう。ギガタンク方式の機種では印刷コストが極端に低いが、機能のわりに価格は高いのと同じで、機能が同等なら印刷コストと本体価格は反比例となる。ちなみにPIXUS XK100よりは11,000円高く、これが上位・下位機種の差となっている。
 PIXUS XK500の画質はPIXUS XK90から変化はない。PIXUS TSシリーズの6色インクと異なり、フォトブルーインクを含む6色インク構成で、顔料ブラックと、染料ブラック+カラーの組み合わせなのは同じだ。ノズル数にも変化が無く、印刷速度も同等だ。異なるのはインクカートリッジだ。これまでN10/N11インクを使用していたが、PIXUS XK100と同じN20/N21インクとなった。なお、PIXUS XK90には印刷コストとインク1本の価格が2つ書かれているが、これは2022年4月1日よりインクカートリッジが値上げされた事により、印刷コストが上がっているためだ。改訂後の価格で見ると、N10/N11の大容量インクでは顔料ブラックは1,230円、染料ブラックとカラーが各1,090円だったが、N20/N21インクでは、それぞれ825円と627円まで下がっている。一方、印刷可能枚数は同等なので、印刷コストが下がった。L判写真で14.1円から10.8円に、A4カラー文書は6.5円から4.0円に、A4モノクロ文書は2.3円から1.6円となっている。なお、従来の大容量インクと同じ印刷可能枚数で、従来の標準インクより安価になったため、大容量と標準容量のバリエーションは無くなっている。
 ちなみに、同じインクを採用するPIXUS XK100と比べると、L判写真で1.0円、カラー文書とモノクロ文書で0.1円上がっているが、これはインク色数が増えたためだ。またライバル製品とされるエプソンのEW-M873TはL判写真は7.6円、カラー文書は1.8円、モノクロ文書は0.7円となる。L判写真は写真用紙代4.7円を含むので、純粋なインク代だけではPIXUS XK500では6.1円、EW-M873Tでは2.9円となる。これを見ると、PIXUS XK500はEW-M873Tの倍以上の印刷コストとなっており、カートリッジ方式のまま低価格化しても、タンク方式の機種には敵わない事になる。ただ、PIXUS XK500はインク1セット3,960円で顔料ブラックが600ページ、カラーが各802ページ印刷可能だが、EW-M873Tではインク1セット12,276円で顔料ブラックが6,700ページ、カラーが各6,200ページとなる。インクの価格も、印刷可能枚数も全く違っており、EW-M873Tでは大容量すぎるという人がターゲットとなるだろう。


プリント(給紙・排紙関連)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
対応用紙サイズ 定型用紙 名刺〜A4 名刺〜A4 名刺〜A4
長尺用紙 長さ676mmまで 長さ676mmまで 長さ676mmまで
給紙方向
(A4普通紙セット可能枚数)
背面

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)

(100枚/40枚/20枚)
前面 【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ
(100枚/−/−)
【カセット】
普通紙のみ<
(100枚/−/−)
その他
排紙トレイ自動伸縮
用紙種類・サイズ登録 ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動) ○(給紙口カバー閉じ(背面)連動)
用紙幅チェック機能 ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) ○(用紙セット時・用紙サイズ表示) ○(用紙セット時・用紙サイズ表示)

 続いて、PIXUS XK500の給紙、排紙機能を比較してみよう。対応用紙サイズから、普通紙のみの前面給紙カセット+背面給紙の組み合わせ、センサーによる用紙サイズ検知など全てPIXUS XK90から変化はない。またPIXUS XK100とも同等となっている。

プリント(付加機能)
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
自動両面印刷
(インクジェット光沢郵便ハガキ非対応)
自動両面
印刷速度
A4カラー文書 N/A N/A N/A
A4モノクロ文書 N/A N/A N/A
CD/DVD/Blu-rayレーベル印刷 ○(ネイル印刷対応) ○(ネイル印刷対応) ○(ネイル印刷対応)
写真補正機能 ○(自動写真補正) ○(自動写真補正) ○(自動写真補正)
特定インク切れ時印刷
自動電源オン/オフ ○/○ ○/○ ○/○
廃インクタンク交換
フチなし吸収材エラー時の対応機能

 続いてPIXUS XK500のその他のプリント機能を比較してみよう。ハガキ対応の自動両面印刷、ネイル印刷対応のディスクレーベル印刷機能、自動電源オン/オフなど、機能は全てPIXUS XK90を継承している。PIXUS XK100では自動両面印刷はハガキには対応する物の、インクジェット光沢郵便ハガキのみ非対応となったが、PIXUS XK500はこれも問題なく対応している。

スキャン
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
原稿サイズ A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
A4
(216×297mm)
読み取り解像度 2400dpi(2400×4800dpi) 2400dpi(2400×4800dpi) 2400dpi(2400×4800dpi)
センサータイプ CIS CIS CIS
原稿取り忘れアラーム
スキャンデーターのメモリカード保存

 PIXUS XK500のスキャナー機能を見てみよう。原稿サイズや解像度など、PIXUS XK90と全く同じとなっている。

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ダイレクト印刷
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
ダイレクトプリント メモリーカード SD SD SD
USBメモリー
赤外線通信
対応ファイル形式 JPEG/TIFF JPEG/TIFF JPEG/TIFF
色補正機能 トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
クリエイティブフィルター(明るく/暗く/モノクロ/セピア/アンティーク調/ビンテージ調/鮮やか/温かく/シネマ調)
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
トリミング
フチなし/フチあり
赤目補正
手書き合成 ○(ディスクレーベル対応) ○(ディスクレーベル対応) ○(ディスクレーベル対応)
メモリーカードからUSBメモリー/外付けHDDへバックアップ −/− −/− −/−
PictBridge対応 ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi) ○(Wi-Fi)
各種デザイン用紙印刷 カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
ディスクレーベル印刷
組み込みパターンペーパー
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
ディスクレーベル印刷
組み込みパターンペーパー
カレンダー印刷
定型フォーム印刷(レポート用紙、原稿用紙/スケジュール用紙、方眼紙、チェックリスト、五線譜、漢字練習帳)
ディスクレーベル印刷
組み込みパターンペーパー

 PIXUS XK100のダイレクト印刷機能を見てみよう。SDカードスロットを搭載し、写真用紙へのダイレクト印刷が可能な他、カレンダーや各種定型フォーム、ディスクレーベル、組み込みパターン印刷が可能な点では、PIXUS XK90やPIXUS XK100と同等だ。ただし、写真印刷時の色補正機能として、トリミングやフチなし・フチあり切り替え、赤目補正に加えて、PIXUS XK500では「クリエイティブフィルター」機能を搭載している。これは初代PIXUS XKシリーズの上位モデルPIXUS XK70に搭載されていた機能で、その後のPIXUS XKシリーズには非搭載となっていた機能だ(これは後継機種がPIXUS XK70の下位モデルという位置づけだったこともあるが)。今回、久しぶりに復活となった。とはいえ、機能面では進化はない。エプソンの各機種では、明るさやコントラスト、シャープネス、鮮やかさが5又は9段階で調整でき、さらにライバルと言えるEW-M873Tでは色調をレッド、グリーン、ブルーを独立して9段階で調整が出来るが、PIXUS XK500のクリエイティブフィルターは簡易的な物だ。フィルターとしては「明るく」「暗く」「モノクロ」「セピア」「アンティーク調」「ビンテージ調」「鮮やか」「温かく」「シネマ調」となり、「明るく」「暗く」「鮮やか」なども、調整量を設定したりはできない。あくまで簡単に写真印刷をする事を目的としており、ダイレクト印刷で細かな色調整を行う事は考えていないようだ。

スマホ/クラウド対応
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
スマートフォン連携 アプリ メーカー専用 Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY Canon PRINT Inkjet/SELPHY
AirPrint
対応端末 iOS 13.0以降
Android 5.0以降
iOS 12.0以降
Android 4.4以降
iOS 13.0以降
Android 5.0以降
スマートスピーカー対応 ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova) ○(Alexa/Googleアシスタント/LINE Clova)
Wi-Fi接続支援機能 ○(QRコード読み取り(iOS/Android)) ○(QRコード読み取り(iOS)/Bluetooth(Android)) ○(QRコード読み取り(iOS/Android))
写真プリント
ドキュメントプリント ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(PDF/Word/Excel/PowerPoint)
Webページプリント
スキャン ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG) ○(PDF/JPEG)
クラウド連携 プリント アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○
オンラインストレージ ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom) ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
SNS ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可) ○(Facebook・コメント付き可)
写真共有サイト ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon) ○(googleフォト/image.canon)
スキャン アプリ経由/本体 ○/○ ○/○ ○/○
スキャンしてオンラインストレージにアップロード ○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
○(Dropbox/Evernote/googleドライブ/OneDrive/google classroom)
(OneDrive/google classroomはアプリからのみ)
メールしてプリント
LINEからプリント ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint) ○(JPEG/PNG/PDF/Word/Excel/PowerPoint)
リモートプリント ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ) ○(ファイルアップロード・Windows 11/10のみ)
スキャンしてリモートプリント

 PIXUS XK500のスマホ、クラウド関連機能を見ていこう。対応アプリは変更されておらず、クラウド関連の機能も同等だ。アプリの対応端末が、iOSがPIXUS XK90の12.0以降からPIXUS XK500では13.0以降に、Androidも4.4以降から5.0以降に変更されているが、これは製品発表時のアプリの対応バージョンであり、現在はPIXUS XK90でもiOS 13.0以降、Android 5.0以降となる。
 唯一異なるのが、Wi-Fiダイレクト(ダイレクト接続)時の設定支援機能だ。手動で設定も可能だが、最近はセキュリティーキーなどを入力せずに簡単に接続出来る機能が搭載されるのが流行りだ。PIXUS XK90は、iOS端末の場合は本体の液晶に表示されるQRコードを、標準カメラアプリで読み込めば設定が完了する。この方法はPIXUS XK500でも同様で、エプソンの各機種も同じ方式をとっている。一方、Android端末の場合は、PIXUS XK90ではBluetooth機能を使いあらかじめペアリングを行っておくことで、Wi-Fiダイレクト時に簡単に接続出来るようになっていたが、iOSと比べると、Bluetoothで一度接続する必要がある分二度手間であった。アプリ上でも設定項目が奥深くになっている事からも、メーカーでも大々的におすすめする機能では無かったようだ。そこで、PIXUS XK500では、iOSと同じQRコードを読み込む方式へと変更した。エプソンでは「アプリ内で機種名を選び、本体液晶で許可を選択する」という方式を採用しており、Androidでは異なる方法を取ったことになる。ただ、エプソンの方式ではアプリの対応するAndroid 5.0以降で使用できるが、PIXUS XK500のQRコードを読み込む方法はAndroid 10.0以降と、かなり新しい端末だけに限られる点では不便だ。とはいえ、徐々に端末の買い換えが進めば解決する問題とも言える。

コピー機能
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
等倍コピー
拡大縮小 倍率指定 ○(25〜400%) ○(25〜400%) ○(25〜400%)
オートフィット
定型変倍
CD/DVD/Blu-rayレーベルコピー
写真焼き増し風コピー ○(色あせ補正対応) ○(色あせ補正対応) ○(色あせ補正対応)
割り付け(2面/4面) ○/○ ○/○ ○/○
その他のコピー機能 プレビュー
濃度調整
プレビュー
濃度調整
プレビュー
濃度調整
バラエティコピー 枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
枠消しコピー
IDコピー
コピー予約
大判原稿コピー

 PIXUS XK500のコピー機能を見てみよう。各種拡大縮小やレーベルコピー、写真焼き増し風コピー、2面/4面割付など、PIXUS XK90と同等となっている。またPIXUS XK100で追加された「大判原稿コピー」(A4より大きなサイズの原稿を左右2回に分けて読み取る事で、結合して1枚の用紙に印刷する機能)は PIXUS XK500では搭載されなかった。コピー機能に関しては上位・下位機種で逆転現象がわずかながら発生していることになる。

操作パネル/インターフェース/本体サイズ
新機種
旧機種
参考機種
型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100
製品画像
液晶ディスプレイ 4.3型
(90度角度調整可)
写真プリントに便利なホーム画面
かんたんモード搭載
4.3型
(90度角度調整可)
2.7型
(90度角度調整可)
仕事/学習モード搭載
操作パネル タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶
(90度角度調整可)
タッチパネル液晶+物理ボタン
(90度角度調整可)
インターフェイス USB他 USB2.0×1 USB2.0×1 USB2.0×1
無線LAN IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
IEEE802.11n/a/g/b
5GHz帯対応
(ダイレクト接続対応)
有線LAN
対応OS Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜
(AirPrint使用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.12.6〜(AirPrint利用)
Windows 11/10/8.1/7 SP1
Mac OS 10.13.6〜
(AirPrint使用)
外形寸法(横×奥×高) 372×345×142mm 373×319×141mm
(前面給紙カセット伸張時373×364×141mm)
372×345×142mm
重量 6.6kg 6.6kg 6.6kg
本体カラー ダークシルバーメタリック ダークメタリックシルバー シルバーメタリック

 最後にPIXUS XK500の操作パネルやインタフェースなどを見てみよう。PIXUS XK500の液晶のサイズは4.3型でタッチパネルとなっている点でPIXUS XK90を踏襲している。PIXUS XK100では2.7型に小型化したが、ここで差別化が図られている事になる。ただし、UI(ユーザーインターフェース)は一部変更となっている。ここで、ホーム画面のデザインを、PIXUS XK500、PIXUS XK90、PIXUS XK100に加えて、PIXUS TSシリーズ最上位のPIXUS TS8530と比較してみよう。

型番 PIXUS XK500 PIXUS XK90 PIXUS XK100 PIXUS TS8530
標準モード PIXUS XK500_display_xk500_normal.jpg"> PIXUS XK500_display_xk90_normal.jpg"> PIXUS XK500_display_xk100_normal.jpg"> PIXUS XK500_display_ts8530_normal.jpg">
特殊モード かんたんモード
PIXUS XK500_display_xk500_easy.jpg">
仕事/学習モード
PIXUS XK500_display_xk100_work.jpg">
かんたんモード
PIXUS XK500_display_ts8530_easy.jpg">

 まずPIXUS XK500では、デザインがブラックをベースにしたものに変更された。暗めのシルバーの本体カラーと合わせて、高級感のあるデザインになっている。また、写真プリントに力を入れた機種であるためか、他機種ではホーム画面を左にスワイプした2ページ目にあった「写真プリント」ボタンが1ページ目に配置された。また、従来は「コピー」「スキャン」「プリント」のボタンが3分の1ずつとなっていたが、「写真プリント」が全体の半分を占めており、残る半分を縦に3等分して、従来の「コピー」「スキャン」「プリント」ボタンを配置する形となった。また、PIXUS TS8530で搭載された、「かんたんモード」を新たに搭載している。ホーム画面左下の「かんたんモード」を押すと、ホーム画面が「コピー」「はがきコピー」「SDカード印刷」の大きなボタンと、「お手入れ」「インク」ボタンだけとなる。また、それぞれのボタンを押した場合も、通常のコピーやSDカードからの印刷メニューに入るのでは無く、基本的な機能に限定することでステップ数を減らしたメニューとなっている。例えば「コピー」は、普通紙への片面印刷となり、用紙サイズは自動検知となる。設定できるのはコピー枚数、濃度、倍率のみだ。「はがきコピー」は手書きの年賀状を、はがきにコピーが出来る機能で、設定できるのは枚数と濃度調整のみだ。「SDカード印刷」は、写真を写真用紙またははがきへ印刷が出来る機能だ。写真を1枚ずつスワイプして選んだ後、用紙設定では、サイズは「L判」「2L判」「はがき」のみ、用紙種類は例えば「L判」を選んだ場合「プラチナグレード」「光沢ゴールド」「光沢スタンダード」「マットフォト」の4種類のみに厳選されている。用紙サイズや用紙種類を絞ることで、選びやすくした他、似た名称の間違った用紙を選択するミスを減らせるようになっている。機能的にはかなり大胆に限定しており、もう少しこの機能も使えた方がと思う部分もあるだろう。しかし、それをすると本来の「かんたん」モードからは遠ざかってしまうため簡単さを重視し、もう少し機能が欲しいという人には標準モードを使ってもらうというスタンスだろう。高齢者や機械が苦手なユーザーに向けた新たな試みと言える。また「かんたんモード」だけでなく、従来の「標準モード」も搭載しており、ボタン一つで切り替えられるので、家族内で使い分ける事もできそうだ。一方、PIXUX XK100では、「かんたんモード」ではなく「仕事/学習モード」を搭載しており、ホーム画面が「コピー」「書類を送る」「クラウドプリント」「定型フォーム」の画面に切り替わる。文書印刷やコピー向けのPIXUS XK100と、写真印刷向けのPIXUS XK500で、UIを変更している点は、ユーザーの事を考えた細やかな親切さといえるだろう。
 PIXUS XK500のインターフェースはPIXUS XK90と同等だ。対応OSには若干の違いがあり、MacOSが10.12.6以降から10.13.6以降に変更となった。Windowsに変更は無く、マイクロソフトのサポートの終了したWindows 7も引き続き対応する。
 本体サイズはPIXUS XK500では372×345×142mmで、PIXUS XK90の373×319×141mmと比べて、幅と奥行きは変わらないものの、奥行きが大きくなったように見える。しかし、これは前面給紙カセット部のデザイン変更によるものだ。キャノンでは2016年末にPIXUS MGシリーズからPIXUS TSシリーズに移行した際に本体を大幅に小型化したが、奥行きを小型化しすぎたためか、前面給紙カセットにA4/B5用紙をセットすると、完全に本体に収納できなくなった。PIXUS XK90でも45mm飛び出してしまうため、この場合の奥行きは364mmとなる。前面給紙カセットは普通紙専用である事を考えると、A4かB5用紙をセットするユーザーが大半と考えられ、カセットが飛び出した状態が実質的な標準形態となる。そのため、奥行きが364mmの状態で使うことになる上に、デザイン面でスマートさに欠けるという問題があった。PIXUS XK500では、カセット部だけで無く、その左右の部分も同じ奥行きとなるデザインに変更された。とはいえカセット小型化する事はできないので、逆に左右も同じ位置まで飛び出すように変更したのである。そのため、本体の下部が液晶や操作パネルより前に飛び出すデザインになっている。しかし、これでカセット「だけ」が飛び出しているのではなく、本体の横幅いっぱいまでツライチとなった他、飛び出し部分も曲面でデザインすることで、従来より飛び出している事が気にならなくなりスッキリしたデザインとなった。奥行き自体もPIXUS XK90でカセットを伸ばした場合の364mmと比べると、PIXUS XK500では345mmとなっており、実質やや小型化したと言えるだろう。ちなみに、これはPIXUS XK100と同じデザインで、昨年末の新機種からこのデザインに移行しており、PIXUS XK500もそれにならった形となる。
 本体カラーは、PIXUS XK90ではダークメタリックシルバーから、PIXUS XK500ではダークシルバーメタリックとなっている。シルバーとメタリックが逆になった形だが、実際の色はほぼ同じなので、表現の違いと言える。PIXUS XK100がシルバーメタリックとなっているため、これをダークにしたものという事で、表現を揃えたという事だろう。ただし、操作パネルに施されていたヘアライン加工は、PIXUS XK500では無くなっている。



 PIXUS XKシリーズは、元々はエプソンのカラリオ V-editionと呼ばれるEP-30VAなどに対抗した製品であった。しかしエプソンはさらなる低印刷コストを追求したエコタンク搭載モデルに移行しており、状況が変わってきていた。そんな中、昨年末に登場したPIXUS XK100は、インクカートリッジ方式ながら、エコタンク方式に対抗できる印刷コストを実現した。エコタンク方式の中でも小型のタンクで手軽さを重視した一方で多少印刷コストは高めのEW-M754Tに対抗するのがやっとではあったが、キャノンのギガタンクは4色インクモデルしか無い中で、状況に合わせた製品と言えた。そして、PIXUS XK500では、PIXUS XK100と同じ、より低印刷コストのインクに変更しつつ、6色インクとする事で、画質と低印刷コストを両立してきたといえる。PIXUS XK90から、デザインやスマートフォンとのQRコードを利用した簡単設定機能、前面給紙カセットの飛び出しが目立たないデザイン、かんたんモードの搭載など、他の最新モデルに合わせた変更も行っており、印刷コストを除いても魅力は増している。低印刷コスト化によって、本体価格が4,500円上がっているが、新型コロナウイルスの影響もあり、実際印刷コストがやや上がったPIXUS TS8530でも、本体価格は2,200円上がっているため、実質PIXUS XK500は2,000円程度の価格アップで、低印刷コストを実現していると言える。ライバルとなる同じ6色インクのEW-M873Tは、大容量のタンクを備えた本格的エコタンクモデルであるため、印刷コストでは敵わないが、EW-M873Tは本体価格が66,000円とさらに高く、インクも1セット12,000円以上で、代わりに6,200ページ以上印刷が可能という、かなりの大量印刷をする人向けとなっている。インク購入時に1度の出費が大きく、6,200ページも多すぎるというユーザーには、1セット3,300円で1,000ページ以上印刷可能というEW-M754Tもあったが、こちらは5色インクで機能的にもやや劣る。画質や機能面では妥協したくないが、一方でインク購入時の負担も印刷コストもこだわりたいというユーザー向けの製品は、空白地帯であった。そこを埋める製品としてPIXUS XK500は魅力的な製品と言えるだろう。


(H.Intel)


【今回の関連メーカーホームページ】
キャノンhttp://canon.jp/


PIXUS XK500