第3回
外付けバッテリ
I・O DATA BP16-33
(2002年6月11日著)


 我が家には大容量バッテリがかかせない。もちろん使用は主に家の中である。しかしながらCD-ROMを内蔵し1.6kgという重さのサブノートである以上持ち運ぶこともあるのだ。旅行の時には持っていくことになる。ところが、このノートパソコンは標準バッテリでは55分しか動作しないのだ。もっともこの値はフルパワーで使った時の話なので、省電力機能を使用すればもう少し長く持つとも思われる。しかしながらそのためにはCPU性能を落としたり画面の光度を下げなければならない。ただでさえ300MHzと低い動作クロックを150MHzや75MHzで使う気は毛頭ない。もちろん画面の光度を下げると画面は見にくくなる。そんなことも御免である。
 そこで考えたのはメーカー純正の大容量バッテリを使うことだ。これは標準バッテリと交代で使うことになる。実は2年半前にすでに購入、使用してみた。実際駆動時間は3時間強となり、実用に十分な駆動時間を手に入れた。しかし、最近そのバッテリの動作がおかしくなり出した。100%まで充電しても1分ほど使用すると0%になってしまうのだ。そろそろ寿命かもしれない。そこで新しい大容量バッテリを買うことにした。

メーカー純正の大容量バッテリの問題点

 まず初めに考えたのはもう一つメーカー純正の大容量バッテリを買うことだ。しかし、メーカー純正の大容量バッテリにはいくつか不満があった。
 第一に形状だ。そもそもバッテリは本体の後部に取り付ける事になっている。標準バッテリなら本体に収まっているのだが、大容量バッテリは標準バッテリよりも下に出っ張った形状をしている。それを本体に取り付けると後部だけが下に出っ張るのだ。もちろん、そのことで背面が高くなりキーボードが手前に傾斜するのでキーボードは打ちやすくなる。しかし、鞄へ収納する時に非常におさまりが悪いのだ。その上もっとひどいことがある。実はこのパソコンはCD-ROMドライブが前面に付いていて、トレイは手前に引き出すタイプとなっている。ところが大容量バッテリをつけることで手前に傾き、CD-ROMドライブのトレイが机に当たり、引き出せないのだ。もちろん手で本体を持ち上げてやれば、トレイは引き出せるが使いづらいことに変わりはない。
 第2に取り付け方だ。本体にくっついている以上、毎日のように細かい放電と充電が繰り返されている。そんなことをすればバッテリの劣化は早くなってしまう(ように私は思う)。

理想のバッテリ

 上記のような問題を解決したバッテリはない物かと探してた。カタログをめくっていたその時である。理想のバッテリがカタログに載っていたのだ! その名も「BP16-33」、アイ・オー・データの製品である。この製品は「外付け」バッテリと呼ばれる製品であり、ACアダプタのコネクタに接続する汎用バッテリである。つまり、どんな……と言うほどでもないがかなり機種で使用することができる。
 もう一つの利点は上記のようにACアダプタ用のコネクタに接続することだ。つまり、標準バッテリも搭載したまま使用できるのである。BP16-33は純正大容量バッテリより容量が少ないため、単体で使う分には駆動時間は短そうだが標準バッテリと同時使用することで同程度に使えそうだ。
 ここでBP16-33の詳細をホームページで確認してみる。BP16-33は重量390gで3300mAhの容量を持つ。パソコンとの接続ケーブルは4本付属しており、様々な形のコネクタに対応するようだ。またLEDで電力残容量を表示する機能も搭載されているらしい。対応機種一覧も掲載されていたため確認する。といっても、我が家のパソコン「Let's note ace/A77」は決してよく売れた機種ではない。確かに技術的には目を見張る物も多いが、付属ソフトも少なく企業向けと言ったイメージだ。一般の人が買うならSONYとかNECや富士通を選ぶだろう。その上掲載機種は数十機種で、どうせ載っていないだろうと思いながら探していた。ところがである。奇跡的にこの機種が対応機種に入っているのである。さすがアイ・オー・データーだ。ありがとうアイ・オー・データー!
 こうして購入する機種も決まったところでいざパソコンショップへ。

BP16-33を使用してみる

 カタログでも下の方に小さく載っているだけの機種である。あくまでもキワモノ製品なのかなかなか見つからない。ようやくヨドバシカメラで商品を見つける。23,800円也。
 早速帰って箱を開けてみる。第一印象は「まあこんなものだろう」と言ったところだ。重さも予想していた程度であり、特別重くも感じない。
 製品自体は2つのパーツ+ケーブルで構成されている。大きい方の縦長の物体がバッテリ本体であり、小さい方は充電器である。その他数本のケーブルが同梱されている。
 バッテリを使うには、バッテリの右コネクタに付属のケーブルを差し、その先をパソコンのACアダプタ用コネクタに挿すだけだ。これによりパソコンはACアダプタから電源が供給されていると勘違いする訳だ。充電する際はバッテリの左のコネクタに充電器の短いケーブルを接続する。そして充電器から延びているコンセントを挿せば充電が始まる。この際に気をつけるのは充電器は左、パソコン本体は右のコネクタに挿すと言うことだ。これを間違ってはいけない。ところが、どちらも形状が同じであるため間違って挿すことも「物理的」には可能なのだ。警告シールが貼ってあるものの、間違えやすいことは確かだ。間違わないように形状を変えるなどの改良を望みたいところだ。ちなみに、充電しながら使用することもできる。
 電力残容量のLEDには驚かされた。実際にパソコンに接続して使い始めたのだが、LEDが点灯しないのである。その前に充電をした時には確かに点灯していた。故障か?と思いながら説明書を見ると、ボタンを押した時だけ数秒間点灯することが分かった。どうやら全てがLEDだと思っていたが1つはボタンだったようだ。押してみるときちんと点灯した。確かに常に点灯させていると電力を消費するので理にかなっているのだが一瞬驚いた。

PB16-33の本体。ここに容量3300mAhのリチウムイオン蓄電池が入っている。

充電している状態。下のボックスが充電器である。充電器とバッテリをつなぐコードは充電器に収納できるようになっている。100V〜240Vまで対応しているので海外でも使用できる。

バッテリ本体とパソコンを繋ぐコードは4種類付属している。様々なメーカーのパソコンで使うことができる。

パソコンとバッテリをつないだ状態。バッテリの左コネクタとパソコンをつなぐ。本体とはコードだけでつながっているため持ち運ぶ時は不便だが、コードがある程度長いためバッテリだけを鞄に入れておく事もできる。

本体の左側面(上)と右側面(下)である。どちらにもコネクタが付いている。左側面には充電器を、右側面からはパソコンにつなぐ。同じ形状で色が違うだけなので間違って挿す可能性がある。左側面に注意書きが張られているが形状を変えるなどの改善を望みたい。

左のボタン(赤丸)を押すとランプが点灯する。残量は1つなら1〜25%・2つなら26〜50%・3つなら51〜75%・4つなら76〜100%となっている。全消灯となればバッテリは0となる。0になればパソコン本体の バッテリ使用に移行する。

実際にどのくらい持つのか?

 1ヶ月後に旅行に行くことになった。これは実際の使用感を試すチャンスである。実は私は新幹線の中で映画を見るのが好きなのである。と言うことで東京から新大阪まで乗る間にどの程度持つかテストしてみる。
 17時20分発の「のぞみ83号」に乗り込む。乗り込むとすぐにパソコンを取り出して使用開始する。ちなみに使用環境はCPUパワーを100%に、液晶の光度を最大にしCD-ROMドライブにディスクは入れていない。この状態でハードディスク上のMPEG1動画(352×240ドット、1500kbps)を再生し続ける。再生ソフトはWindows Media Player6.4を使い、50分の動画を3本を順に再生した。もちろんBP16-33と本体のバッテリは100%まで充電している。
 MPEG1動画を再生するのでCPUパワーはかなりの割合で動作しており、ハードディスクからの読み込みなのでハードディスクは常に動作している。このようにかなり電力を食う設定となっている。
 東京発車と同時に映画を見始める。パソコンも快調に動作し新幹線も快調に走る。しばらくして三河安城を通過し少しした頃、急にパソコンがバッテリモードへ移行した。BP16-33を確認するとバッテリ残量が0になっていた。その5分後新幹線は名古屋に到着した。名古屋の到着時間は18時59分。つまりBP16-33で1時間34分分駆動したことになる。
 引き続き内蔵バッテリで映画を見続ける。19時01分に名古屋を発車である。新幹線もどんどん走るが、バッテリ残量もどんどんなくなる。80%になり50%になりついに10%を切った。そして、突如「ピーピー」と警告音が鳴り、バッテリ残量LEDが赤く光ると、サスペンドモードに入ってしまった。結局京都まで持たなかった。京都にはこの10分後に到着した。京都到着は18時38分。標準バッテリでの駆動はわずか34分であった。
 合計して2時間8分駆動したことになる。十分な駆動時間とは言えないが、今回は少し過酷な動作環境だった事を考えると上等だろう。文章を打つ程度の作業なら2時間30分は持つはずだ。

 BP16-33を使うことにより標準バッテリのみより大幅に動作時間は延びた。特にコネクタに挿すだけという簡単な接続で駆動時間を延ばせるのは魅力的だ。また、新しいパソコンに買い換えても使えるという汎用性も魅力的だ。2002年6月より価格が19,800円に値下げされている。バッテリ駆動時間に不満を持つ人は一度購入を考えてみてはいかがだろうか。

(H.Intel)


■今回の関係メーカー
    アイ・オー・データー  http://www.iodata.co.jp/


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