第9回
デスクトップパソコンにメモリを増設する
〜VAIO PCV-RX66にRD800/4を増設する〜
(2003年7月20日著)


メモリが足りないっ!

 VAIO PCV-RX66は非常に高性能で、購入後1年経った今でも性能面で不満は全くない。そして、テレビチューナ機能を使ってTV録画をしたり、ビデオ編集をしたりしている。ネットゲームや3Dゲームなども楽しんでいる。しかし、ここで2つ不満が出てきた。
 1つはメモリだ。購入時の256MBのままである。ネットやメール程度なら256MBで十分だが、ビデオ編集を行うには少な目だ。そしてもう1つ、ハードディスクである。標準で120GBあるが、TV番組等を録画していくと、どんどんと無くなっていき、残り10GBを切ってしまった。そこで、購入からちょうど1年経った今、メモリとハードディスクの増設を行い、より満足のいくパソコンにしてみようと思う。

 ハードディスクについては、ロードテスト第10回で書く事にし、今回はメモリ増設について話をしたいと思う。
 PCV-RX66はチップセットにIntel850Eを採用しているため、メモリはDirectRDRAMが採用されており、2本1組で増設する必要がある。PC800タイプで良いが、このIntel850Eは今回のようにFSB533MHzのPentium4と組み合わせる場合は、tRACが40nsのものでなくてはいけない点は注意が必要だ。今回は、互換性を重視して、PCV-RX66に正式対応しているメルコ製のメモリを購入する事にした。あとは256MBか512MBかを決めなくてはならない。
 必要な容量を増設すればよいと思うかもしれないが、価格と今後の事を考えると悩んでしまうのである。なにしろ、パソコン購入時には4スロットある内2スロットに128MBが2枚挿されている。つまり残りは2スロットだが、2枚1組で増設する以上一回しか増設できないという事だ。いや、増設できない事はないが、その際は標準もしくは増設いずれかのメモリを外して、そこに増設しなくてはならない。256MB増設してみて、今後不足した場合、増設したメモリが無駄になってしまう。
 価格は256MBで2万円、512MBで3万6000円だ。今後の事を考えると512MB増設したいところだが、今回はハードディスクも増設するため、メモリだけで3万6000円というのは少々痛い。また、合計して512MBならとりあえずは満足であろうと予想して、今回は256MBを増設することにした。
 早速店頭に赴き、メルコ製「RD800/4-128M×2」を1万9800円で手に入れた。以下に写真付きで増設の手順を掲載した。

メモリを増設する

【1】本体背面。赤丸の部分のレバーを手前に引くと写真右側(前面から見た場合左側面)の全体がはずれる。前のデスクトップがネジを5つ外さなくてはならず、ケースを外すにも軽く持ち上げ後ろへ引くという作業が必要だった事を考えると、便利になった物だと感心する。 【2】これが左側面がはずれたところである。左側面全体が開くので、作業は行いやすい。

【3】左側面から見たところ。左側の真ん中にある四角い物は電源で、これを外さなくてはメモリソケットが見えない。 【4】電源ユニットのアップ。左の赤丸のネジを外し、上の赤丸のレバーを手前に引き、電源を上へと持ち上げる。ここで初めてネジの登場であるのは、前の機種とは大違いだ。

【5】電源ユニットに繋がるケーブルが短いので、ケースの外に置く事が出来ない。赤丸の部分がメモリソケットであるが、電源を外してもCPUファン、ハードディスク、FDドライブに囲まれており、かなり狭い。 【6】真上からの写真で見にくいが、メモリソケットである。左から1、3番目にはすでにメモリが挿さっている。今回は2、4番目に増設する事になる。なお、ここにはC-RIMMと呼ばれる、ダミーモジュールが挿さっている。DirectRDRAMは直列に繋がるため、空き巣ロットにも配線を連続させるためのメモリチップの載っていないモジュールが挿さっている。

【7】写真5・6とは反対向きのアップ写真である。写真6の一番右のC-RIMMは狭いながらも簡単にはずせたが、写真6の左から2番目のC-RIMM(この写真では右から2番目)は、AGPスロットに挿さっているグラフィックカード(写真奥、写真5、6では手前に映っている)が邪魔をし、クリップを押す事が出来ない。 【8】そこで、邪魔をしているグラフィックカードを、一時的にAGPスロットから抜くことで、無事C-RIMMを外す事に成功した。なお、そのことがマニュアルの手順には書かれておらず、初心者の人は悩んでしまうのではないかと心配される。

【9】無事、128MBメモリを2枚増設した。その後、抜いたグラフィックカードを忘れずにAGPスロットへ挿す。あとは電源を元の位置に戻し、ケースの蓋を閉めて完了だ。 【10】システムのプロパティで、しっかり増設できたか確認。512MBと表示され、増設は成功だ。

効果はあったか?

 さて、無事メモリの増設が完了したところで、どの程度効果があるか計測してみた。計測内容は次の3つである。

【HDBENCH】
ベンチマークテストとして非常に有名なHDBENCHを使ってテストを行った。

【Click&Createベンチマークテスト2】
せっかく自分で作ったベンチマークテストがあるのだから、これも計測してみた。

【動画圧縮時間】
Ulead VideoStudio 7を使用し、「解像度720×480ドット・ビットレート8MbpsのMPEG2動画」を次の2通りで圧縮する時間を計測する。
・解像度320×240ドット・ビットレート1.5MbpsのMPEG1動画へ変換する。
・「古いフィルムフィルタ」をかけ、右下に「テスト」という赤文字を入れ、元と同じ解像度、ビットレートのMPEG2の再圧縮する。

さて、結果を見てゆこう。

【HDBENCH】

 結果を見ると、誤差としか思えない程度の差しか現れていない。またメモリ関連の値が若干落ちているが、メモリ増設を行った際には起こりえることだと聞くのでそれほど気にはしていない。増設前から予想は立っていたが、やはりメモリを増設したところでCPUやグラフィック関係のベンチマークテストには影響がないようである。

【Click&Createベンチマークテスト2】

 さて、自作ベンチマークテストの「Click&Createベンチマークテスト2」の登場である。若干数値が上がっている物の、誤差とも取れる程度の物だ。メモリ増設によってClick&Createの動作速度が向上することはないようである。

【動画圧縮時間】

 これまでのテストと異なり、動画圧縮はある程度の効果が得られる。メモリの増設はこういったメモリを大量に使う場面で効果が現れやすいことは分かっていたため予想通りの結果といえる。また、もともとメモリ増設を行ったのは動画編集の際の快適さを求めてのことであり、ひとまず効果があったようで安心だ。
 それにしても、MPEG1圧縮で約18%、フィルタ+文字で28%の性能向上となかなかのものだ。6分の動画なので数分から10分程度の差だが、これが1時間の動画となるとフィルタ+文字で終了までの時間が1時間50分も短縮される。これはかなり大きい。


 結局、今回のメモリ増設は目的を果たせたと言って良いだろう。結果には現れていないが、動画編集ソフトでの編集中の動作が機敏になったり、一部のゲームソフトの動作が快適になるなどの効果もあり、2万円出した甲斐があったというものだ。また、増設作業自体も、旧型のデスクトップパソコンとは随分異なり、増設しやすいようねじを無くしたり、ワンタッチであったりといろいろ考えられている点は驚かされ、非常に面白い体験であった。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
   メルコ  http://www.melcoinc.co.jp/


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