第11回
通信速度向上計画
〜フレッツADSLモア24化〜
(2003年9月23日公開)


それは一通の葉書から始まった

 7月某日、我が家に一通の葉書が送られてきた。差出人はNTT西日本である。NTT西日本はこの度、より高速な「フレッツADSLモア24」サービス(以下モア24)が始まるのである。その名と通り、理論上24Mbpsで通信できるサービスで、これまでの「フレッツADSLモア」(以下モア)の12Mbpsよりも高速である。もちろんこれまで同様、必ずしも24Mbpsで通信できるわけではないが、現在より高速になるハズである。ちなみに、「実際には必ずしも24M/26Mbpsで通信する訳ではない」ので「24M」「26M」という表記は問題があるのではと言うことで、サービス名から「24M」や「26M」を外すところが増えているが、NTT西日本では「フレッツADSLモア24」という名称を使う。またNTT東日本では「フレッツADSLモアII」という名称であり、若干混乱するところではある。
 さてさて、この葉書には興味深いことが書かれていた。もちろん、フレッツADSLモア24への変更を薦める内容なのだが、注目するのは「今ならご利用開始月を含む最大2ヶ月間、月額使用料無料」ということである。さて、ここで計算してみよう。ちなみにマイラインプラスに加入しているため、通常料金より安くなっている。
 このまま12Mだと、毎月2610円かかる。ところが24Mに移行すると、加入月と翌月は0円になる。そのため最大5220円お得だと考えられる。ただし、プラン変更工事料として3050円取られるので、実際には「24Mに移行すると最初の2ヶ月間で2170円安くつく」計算となる。その後は12Mのままだと引き続き2610円(マイラインプラスでない場合は2900円)、24Mに移行すると2682円(同2980円)となり、毎月72円ずつ高くなる。移行すると2170円安くつき、その後72円ずつ高くなるので、30ヶ月使用して、同料金となる。
 もっとも移行月は、一ヶ月丸ごと無料ではなく移行した日からなので、30ヶ月という事は無いともいえるが、この程度ならば通信速度が向上する魅力が大きい。早速申し込み葉書に必要事項を書き込み、ポストへと投函した。

モデムを設置する

 7月中には工事日の連絡があり、その後モデムとスプリッタが送られて来るという風に、順調に進んだ。そして8月6日、電話局側の工事が数分で終了し無事「フレッツADSLモア24」が開通した。 早速、古いモデムを取り外し、新しいモデムと交換する。

左が今回のMS-III(モア24用)で右がMN-II(モア用)だ。新しいモデムは、従来モデムよりかなり小型になっており、全体に角張ったイメージだ。前面に状態表示ランプがついているのは同様だ。

左がMS-III(モア24用)で右はMN-II(モア用)である。側面から見ると奥行きもかなり小さくなっていることが分かる。

 上の写真を見て貰えば分かるのだが、今回のモア24用モデム(MS-III・左)は従来のモア用モデム(MN-II・右)と随分イメージが変わっている。また、随分と小さくなっている。しかし、よく品番を見ると、「II」が「III」になっただけではなく、「MN」が「MS」になっている。
 実は、モアの際には「MS-II」と「MN-II」の2製品があったが、それらがモア24サービス開始時に、それぞれ「MS-III」と「MN-III」に切り替わったようだ。MS-IIとMS-III、MN-IIとMN-IIIは同じMS/MNが付いているだけあって、非常によく似た形状をしている。つまり今回はMN→MSとシリーズが変わったので外見が大きく変化したのだ。これまでMS-IIを使っていたり、今回がMN-IIIだったなら「よく似たモデムが送られてきた」という事になっていたのだろう。
 ちなみに、モアの際はNTT西日本/東日本のどちらのホームページにも「MS-II」と「MN-II」の2種類のモデムが掲載されていた。ところが、今回はNTT西日本のホームページには「MS-III」のみが、NTT東日本のホームページには「MN-III」のみが掲載されているのである。

スプリッタである。左は今回の24M用モデムに付属していた物、右は12M用のモデムに付属していた物だ。サイズは変わっていない物の、モデムとは逆に角が丸くなり柔らかいイメージになった。

モデムを実際に接続して動作させた状態。

 さて実際の設置だが、通信速度が変わるだけなので本当に「モデムを取り替える」だけだ。もともとルーターを使っているため、パソコン側からの設定も必要なく、これまで繋がっていたLANケーブル・電話線をつなぎ変えるだけで、無事通信が行えるようになった。

通信速度はどの程度向上したのか?

 肝心の通信速度はどの程度向上したのだろうか。我が家では以下の図のようになっている。

つまり、ルーター(メルコ製、WBR-B11)を使い2台のパソコンがインターネットに繋がっている状態だ。デスクトップパソコンとは100BASE-TXの有線LANで、ノートパソコンとはIEEE802.11b規格の無線LANで繋がっている。
 有線の方は良いとして、無線LANの方は理論値でも最大11Mbpsであり、無線LANアクセスポイント兼ルーターであるG11とは多少の距離があるため、ノートパソコンではこちらの転送速度が問題でADSLの速度がフルに発揮できない可能性もある。これらも一緒に検討する。
 なお、今回の実験では、目的のパソコン以外の通信が影響を与えないように、デスクトップパソコン(有線)の通信速度を測るときはノートパソコンの電源を切り、ノートパソコン(無線)の通信速度を測るときは、デスクトップパソコンの電源を切ってある。また、計測は平日の昼間に行った。また3日間に3回ずつ、計9回計測し平均を出すことで、その日の回線状況に影響されないようにしている。
デスクトップパソコンノートパソコン
パソコン〜ルーター間の回線有線LAN
(100BASE-TX)
無線LAN
(IEEE802.11b)
CPUPentium4-2.26GHzモバイルPentiumIII-1.13GHz-M
メモリ512MB(DirectRDRAM)512MB(PC133 SDRAM)
OSWindowsXP HomeEditionWindowsXP Professional

デスクトップ(有線)の通信速度


 さて、まずはデスクトップ(有線)のダウンロード速度だ。これによって「モア」と「モア24」の差が分かるはずだ。
 グラフを見ると、1〜2Mbps程度は確実に速度が向上していることが分かる。モア24時でも10Mbpsを超えることはなく、理論値の24Mbpsの半分にも満たないし、モアからモア24へは理論値は2倍になっているのに、実際は最大でも3割増し位にしかなっていないが、わずか90円でメガ単位の速度向上が得られれば満足といえる。思えば、少し前のADSLは1.5Mbpsであった。つまり、90円で一昔前のADSL一回線分向上したのである。そう考えればすごいことである。


 続いてアップロード速度である。NTTの発表している理論値は、モアが1Mbps、モア24で1Mbpsと同じである。つまりアップロード速度に関しては高速化していないハズである。
 ところが実際に計測してみると、750kbpsから1000kbpsへと高速化しているのである。1000kbpsといえば1Mbps、理論値と同等の速度が出ているのである。基地局からの距離やノイズなどで理論値が出ることは非常にマレであるが、何度計測しても結果が変わらない上、実際にファイルをアップロードした際も同等の速度が出ていることから、確かに高速化したようである。理由は不明だが、期待していなかったアップロード速度まで高速化しているのは思ってもいなかった喜びだ。また、理論値と同等というのも何となく嬉しい。

ノート(無線)の通信速度


 続いてノートパソコン(無線)の通信速度だ。モアの時点から有線より速度が出ておらず、3〜4Mbps程度となっている。その為、この辺りがIEEE802.11b準拠の無線LANの限界ではないかと思われる。やはりモア24になっても転送速度はほとんど向上していない。つまり、ADSL回線の限界の前に無線LANが限界となってしまっている様だ。


 アップロードの速度はダウンロードの場合よりも遅いため、無線LANの限界である3〜4Mbpsよりも遅い。そのため、モアからモア24へに変わったことで、デスクトップと同等の向上が見られる。

 今回のフレッツADSLモア24化はまずまずの成功といえるだろう。ダウンロード速度の向上に加えアップロード速度も向上したのは予想外の嬉しさだ。基地局からの距離によってはこれ以上の向上がある場合も、ほとんど向上しない場合もあるだろうが、少しでも高速な回線を目指す人は是非変更して貰いたい。


(H.Intel)


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