第31回
17インチ液晶ディスプレイ
ナナオ(EIZO) FlexScan M170
2005年4月18日購入・2005年9月28日公開)

 我が家のデスクトップパソコンSONY「PCV-RX66L7」の液晶ディスプレイがある日お亡くなりになった。突然画面が真っ暗になってしまったのだ。一度コンセントから抜いて差し直せばまた付くのだが、しばらくするとまた真っ暗になってしまう。そして徐々に持続時間が短くなり、1分を切ってしまった。ついているときも明るさも足りなくなってきた。
 ここでよく見てみると、暗いながらも何か映っているようだ。そのことから考えると、バックライトが消えてしまったらしい。修理することも考えたが最低でも3週間かかる上に液晶ディスプレイの修理は結構高く付くとのことなので、買い換える事にした。

どの機種にするか?

 液晶ディスプレイ単体を買うのは初めてなので、どう選ぶか悩む。そこで、とりあえず様々なメーカーの製品の比較表を作ってみることにした(下図)。これまで使っていたPCV-RX66L7付属のディスプレイは、PCVD-17SD1/Sという品番で、輝度250cd/m、応答速度40ms、視野角は上下125度、左右150度という事が分かった。一方、現行機種は250cd/m〜420cd/m程度で、応答速度も8〜16ms程度になっており、特に応答速度の面で進歩しているようだ。そこで、一つ今の製品で不満であった点を改善してみることにした。それは視野角である。パソコンの作業をしているときは支障はないのだが、テレビを見るとなると、様々な方向から見ることがあるので、暗く見えたり白飛びしたりしてしまう事が多かった。そこで、視野角160度以上の製品を中心にまとめてみた。またPCV-RX66はデジタルのDVI-D端子を持っているので、DVI端子のある機種をまず見てみることにした。アナログ接続の場合、パソコンのグラフィックボードでデジタルからアナログに変換され、液晶ディスプレイでアナログからデジタルに変換という無駄な変換が入るが、デジタル接続すればパソコンからのデジタル出力のままなので若干ながら美しいというのだから、これを使わない手はないのである(付属のディスプレイもデジタル接続されていた)。

メーカーSONYSONYSONYI・O DATASHARP
品番PCVD-17SD1/SSDM-HS75PBSDM-S74LCD-AD174CLL-172G
価格49,800円44,800円44,800円54,800円
解像度1280×10241280×10241280×10241280×10241280×1024
輝度250cd/m2420cd/m2250cd/m2300cd/m2300cd/m2
応答速度40ms8ms16ms12ms16ms
コントラスト比非公開600:1450:1500:1450:1
最大発色数1677万色1620万色1620万色1619万色1619万色
光沢
視野角(上下/左右)125度/150度160度/160度160度/160度170度/170度160度/160度
チルト角非公開0〜20度-5〜30度-5〜20度-5〜25度
スピーカー2.5W+2.5W1W+1W

メーカー三菱電機三菱電機EIZOEIZO
品番RDT1710SRDT1710VFlexScan S170FlexScan M170
価格52,800円47,800円62,800円69,800円
解像度1280×10241280×10241280×10241280×1024
輝度300cd/m2250cd/m2250cd/m2250cd/m2
応答速度12ms12ms25ms16ms
コントラスト比500:1500:11000:11000:1
最大発色数1677万色1677万色1677万色1677万色
光沢
視野角(上下/左右)160度/160度160度/160度178度/178度178度/178度
チルト角-5〜30度-5〜30度-5〜60度-5〜60度
スピーカー2W+2W

とりあえず、実際に店頭に見に行ってみる。本体のデザインを考えると、SONYがかなり良いといえる。そこで実際にSDM-HS75PBを見てみた所、明るさに問題はない。動画が表示されていたが、応答速度が良いためか残像もほとんど見えない。しかし、視野角が意外と狭く感じ、角度調節幅も小さいという問題も見えてしまった。そこで他の製品を見てみたが、どの製品も思ったより浅い角度で色が変わっている。その中で抜きに出ていたのはEIZOの2製品だ。視野角178度という広さ通り、ほとんど直角から見てもほとんど変わらず見ることが出来る。輝度は他の製品と比べて低いもののコントラスト比が抜きに出て高いので、意外と明るく見える。唯一気になるのは応答速度の遅さだ。まだ速い方のFlexScan M170でも16msである。その他の製品を見ていて、比較的良かったのはI・O DATAのLCD-AD174Cで、特に抜きに出た部分はないが、安定していると言える。ただ、魅力に欠けるので、即決する気にもならない。そこで、FlexScan M170とLCD-AD174Cの2機種に絞り、をさらにで詳しく調べてみる事にした。
とりあえず、一度パソコン雑誌やHPでFlexScan M170のことを詳しく調べてみると、応答速度に関して面白いことが分かった。一般的に液晶パネルのスペックにある「応答速度」とは黒→白→黒の応答時間を示すものであるという事だが、中間調域の反応速度はこれよりも遅くなる傾向にあるという。ところが、FlexScan M170では液晶テレビに使われているのと同等の「オーバードライブ回路」を搭載することで、中間階調間においても12msという応答速度を可能にしているというのだ。現在、応答速度が速いと言われる液晶でも中間階調間では16ms程度であるから、FlexScan M170の12msという応答速度は驚異的な値であると言えるらしい。ということは、特に劣っているわけではなく、むしろ応答速度も優れていると言える。
 あとは価格である。LCD-AD174Cなら44,800円なのに、FlexScan M170は25,000円も高い69,800円である。お金をかけてFlexScan M170か、LCD-AD174Cで妥協するか……。結局FlexScan M170の魅力に負けた。特に視野角の広さは非常に魅力だ。ヨドバシカメラで69,800円(10%ポイント還元)也。
 
実際の使い勝手は?


FlexScan M170である。デザイン的にはそれほど凝ったものではなく一見安っぽく見えるが、シンプルである。画面も非常に明るくコントラストも高い。左右の銀色部分はスピーカーである。

 購入して箱から取り出してみる。店頭で見たときは安っぽい本体に見えたが、意外と悪くない。ArcSwing 2と名付けられた新しい昇降システムは角度や高さを自由に変更できるというので、好みの高さ・角度に調整してみる。下の写真で言う所の緩やかな弧を描いている部分をスライドさせて高さを調節するのだが最初はどちらの方向に力をかければ良いのか分からなかった。しかし、分かってしまえば非常に使いやすかった。固すぎず柔らかすぎず、適度な力で変えることが出来、それでいてしっかり安定している。もちろん角度も変えることが出来、しかも60度まで倒すことが出来る。さらに左右へのスイングも行えると言うことで、角度調節機能は十分すぎるほど豊富である。

FlexScan M170を横から見た所。弧を描いている部分をスライドさせて高さを調節するArcSwing 2とというシステムで、非常に使いやすい。

 次に接続してみる。コンセントに差し込み、DVIケーブルを差し込めばすぐに表示された。画面を見てみると、店頭は蛍光灯の量が多く明るかったためそうは思わなかったのだが、家で見ると明るすぎるくらいだ。コントラスト比が高いから、デジカメの画像なども非常に綺麗に見える。画質は満点といえる。さらに視野角は非常に広く、試しにTVを見るのに使ってみたが、どこから見ても綺麗に見える。今までは床に座って何かを整理をするときは画面を下に向け、それを棚にしまうときは上を向けと角度を調節してばかりだったが、このディスプレイではそういった手間はかからないのがうれしい。

上から見たところである。かなりの角度だが、上の正面の写真と正面と全く変わらない画像が見える。前の液晶ディスプレイだと暗くなったり白飛びしたり、色の反転が起こったりしていたが、このFlexScan M170の視野角は驚くべき広さだ。

横から見たところである。同じくかなりの角度だが正面と全く変わらない。液晶ディスプレイでここまでなのは驚きだ。

特に必要はなかったのだが、スピーカーが画面の左右に付いているので、せっかくだから使ってみることにした。残念ながらこれはあまり音質が良くない。「SRS WOW」のサウンド技術を採用した高音質スピーカーシステムを搭載という売り文句だったが、ディスプレイに付いているスピーカーではやはり単体のスピーカーにはかなわない。
面白い点は2ポートのUSBハブが付いている点だ。USB 2.0にもしっかり対応しているので、背面のUSB端子からここにつないでおけば、2基に増える上アクセスしやすくなる。
左側面にUSB端子も備える。USB 2.0にも対応するので、非常に使い勝手がよい。

  面白い機能としては「BrightRegulator」がある。ディスプレイ正面の上部に搭載された外光センサーで周囲の明るさを感知し、適切な輝度に自動調整するという機能である。試しにONにしてみると明るさが調節された。ただ、思った以上に暗く調整されてしまうので、OFFにして使っている。
操作ボタンは正面下部に配置される。横一直線に配置されるので操作しやすくはないが、メニューの項目も分かりやすく、説明書を見なくても十分に設定できる。

この製品は高い金額を出す価値が十分にあると言える。この美しい画面もさることながら、視野角の広さは何物にも代え難い便利さだ。また、高さ調節機構なども非常に考えられたもので、すばらしい。買って後悔しない製品であった。

(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
   EIZO  http://www.eizo.co.jp/index.html


今回紹介した商品や、その他のハードやソフトの
ご購入はコチラでどうぞ!