第38回
ポータブルデジタルオーディオプレイヤー
SONY NW-E003
(2006年8月16日購入・2007年9月26日公開)



小さなデジタルオーディオプレイヤーが欲しい

 私はこれまで、デジタルオーディオプレイヤーのNW-HD3を使ってきた(ロードテスト第30回参照)。この機種は20GBのハードディスクを搭載したプレイヤーである。20GBあれば容量的にも十分だし、音質も悪くない。液晶も大きく、表示できる情報量は多い。しかし使っていると不満も出てきた。まずは本体の大きさである。ハードディスクを搭載した機種にしては小さいものの、常に持ち歩いたりポケットに入れて音楽を聞くには少し大きいと感じてしまうのだ。また、パソコンとの接続も面倒である。パソコンとの接続には専用のアダプタとUSBケーブルが必要な上、ACアダプタも接続する必要があるのだ。そこで、小型でパソコンに接続しやすい機種を購入する事にした。

希望を満たす機種は?

 さて、「小型」で「パソコンに接続しやすい」という条件を詳しく考えてみよう。「小型」と言う事なら、ハードディスクタイプでなく、フラッシュメモリの機種を選ぶのが良いだろう。また、「パソコンに接続しやすい」という点を考えれば、今回のようにACアダプタの接続が必要なのはもってのほかだが、USBケーブルもいらない方が便利だろう。つまり、本体にUSBコネクタが内蔵されている機種が良いだろう。
 デジタルオーディオプレイヤーとして、まず思いつくのは、有名なiPodだ。iPod Suffleは本体にUSBコネクタが内蔵されており、しかも小型である。しかし、この機種には液晶ディスプレイが全く無いのだ。これは不便である。そこで、同じようなタイプで液晶ディスプレイが内蔵された機種を探してみた。すると、ちょうど発売されたのが、SONYのWalkman Eシリーズである。本体にUSBコネクタが内蔵され、重量もわずか25gと非常に小さく、軽い。1行のみだが有機ELディスプレイが内蔵されており、タイトル等を表示できる。なにより、30時間連続再生と、3分充電で3時間再生という駆動時間の面で優れているのが気に入った。
 次は容量である。512MBのNW-E002と1GBのNW-E003、2GBのNW-E005の3機種がある。512MBが9,980円、1GBが12,800円、2GBが18,800円である。さすがに 512MBでは容量が少なすぎる。かといって、持っている音楽を全て入れる必要はないので、2GBまでは必要はなさそうだ。それに2GBあっても、今使っている機種の20GBと比べればずいぶん少なく感じる。価格的には、1万円台前半なら安く見える事もあって、1GBのNW-E003を購入する事とした。あとは本体の色が5種類あるため、色を選ぶ。実際に店頭で確認してみたところ、どれも捨てがたい。ブラックは普通すぎるので、それ以外から選ぶ事にした。その中でもグリーンが一番派手でも地味でもなく綺麗な色に見えたので、これに決めた。

NW-E003の使い勝手は?

 ヨドバシカメラで12,800円の10%ポイントで購入した。箱も非常に小さいが、取り出してみるとさらに軽くて小さく感じる。ただのUSBフラッシュメモリとほとんど変わらない重量で、サイズも一回り大きい程度である。先端にイヤホン端子が用意されており、正面には再生/停止ボタンと、フォルダ/HOMEボタンが、側面には曲送りと曲戻しボタンが、裏面には音量ボタンとロックスイッチが用意されている。正面には1行表示の有機ELディスプレイが用意されるので、曲名等の確認ができる。

本体正面である。正面には「再生/停止」ボタンと「フォルダ/HOME」ボタンのみが配置される。全体が透明のパネルで覆われており美しいデザインだ。

本体裏面である。ボリュームボタンと、ロックスイッチが用意される。表面と異なり、不透明のプラスチックで、色も深緑ではなく黄緑である。

本体上面である。上面には「曲送り」ボタンと「曲戻し」ボタンが配置される。

本体右側面である。イヤホン端子はここに用意される。

 さて実際に使ってみた。まず音楽の転送だが、これは非常に簡単だ。本体のキャップを取って、出てくるUSBコネクタをパソコンに差し込む。そして転送用ソフトのSonicStageを起動して音楽を転送するだけだ。USB2.0なので、転送も高速である。また、これと同時に充電が行えるので、わざわざコンセントに挿す必要も、別途ケーブルをする必要もなく簡単だ。また本体だけあればUSBから充電が行えるので、出先での充電も簡単だろう。さらに、3分挿しておけば3時間再生できるようになっているのも非常に便利だ。出かける直前にバッテリが切れているのが分かったとしても、わずか3分でとりあえずしばらくは再生できるようになるのだ。また満充電までも1時間なので、USB端子に差し込んでおけば、素早く充電できる。

本体にはUSBコネクタが内蔵されている。そのためパソコンと接続する際にケーブルなどが必要なく便利だ。まだ充電もUSB経由なので、フタを取ってパソコンに挿すだけで音楽転送と充電が行える。

 次に、再生してみた。ボタン配置がわかりやすいため、説明書を見なくても操作ができる。また、本体が小さい割にボタンはそれなりに大きめにしてあるので、押しやすく、良い感じだ。基本的には再生/停止ボタンと、早送りボタンと巻き戻しボタンを使う事になる。また、通常は曲名が表示されているが、フォルダ/HOMEボタンを押すと、フォルダモードとなり、アルバム一覧に切り替えられる。ここで、アルバムを選んで、もう一度ディスプレイ表示切り替え/メニューボタンを押すと、そのアルバム内の曲選択が行える。また、フォルダ/HOMEボタンを長く押すと、HOME画面が表示される。ここではプレイリストを作成できたり、設定画面を開けたりする。設定画面ではイコライザや、再生モード(リピートやシャッフル)などの設定ができる。また並べ替えを行う事ができ、先ほどのアルバム名順の他、アーティスト名順、アーティストごとのアルバム名順が選べる。例えばアーティスト名順では、アーティストごとにフォルダ分けされるので、アーティスト名から選ぶと、そのアーティストの曲名が選択できるようになる。
 おもしろい機能としては、スポーツタイマーが挙げられる。このスポーツタイマーは設定した時間がたつと、音が鳴るだけのシンプルな物だが、なかなか便利だ。また、人が走るようなアニメーションが表示されるのもかわいい。

本体の液晶ディスプレイである。1行表示となっており、最低限の表示内容だ。その下のバーは曲全体のどの辺りを再生しているかを表している。そのほか、再生中か停止中かと電池残量も表示する。残念ながら液晶ディスプレイは輝度が低い上に表面のガラスパネルがよく反射するため、日光などが当たると全く見えなくなる。さらに、曲名表示はできるのだが、アーティスト名表示に切り替える事ができないのは不便だ。

フォルダ/HOMEボタンを長押しすると、このようなHOME画面が表示される。ここでは、プレイリストを作成できたり、設定画面を開けたりする。

おもしろ機能のひとつ「スポーツタイマー」である。残時間が表示される他、人が走るアニメーションが表示される。停止ボタンを押すと、タイマーを一時的に止められるが、その時は人も立ち止まる凝りようだ。

 音質も良い。小さい機種なので迫力に欠けるかと思っていたが、そのような事はなく非常に良く聞こえる。
 しかし、残念な点もある。まずは液晶の表示内容である。アルバム別にフォルダ分けされ、その中から曲名を選べるのは分かりやすいが、アーティスト名を表示する事ができないのは不便だ。CDアルバムを取り込む場合なら、アルバム名にアーティスト名を入れておけるが、私のように様々なアーティストのシングル曲を集め、アルバム名欄に発売年月を入力していると不便なのだ。並び替えで、「アーティスト名順」にしておけば、曲名とアーティスト名が切り替えられるが、これではアーティスト順にしか聞く事ができないので、意味がない。せめてスイッチで切り替えられるようにして欲しかった。また、この液晶は明るさにも問題がある。この機種は液晶の部分を含めて、色つきの透明プラスチックが表面を覆っているので、液晶の文字にまで色が付いてしまっている。つまり今回の場合、緑っぽい黒地に、薄い緑色の文字が表示される事になるのでイマイチ見にくいのだ。このことは購入前から分かっていたが、室内では多少見にくい程度でそれほど問題ではない。ところが屋外の太陽光の当たる部分だと、表面に光が反射して何も見えなくなるのだ。見えにくいのではなく、どんなに目をこらしても表示している様に見えないのだ。手で覆うくらいではほとんど意味がない。つまり、この液晶は「太陽光が当たらない」という条件下でしか使えないのだ。
 これは不満ではないのだが、本機に付属のSonicStage4.0では、なぜか転送する時に表示されるNW-E003内の曲が、アーティスト別になってしまうのだ。転送した曲をアルバム単位で消したいと思っても、アーティスト別の中から、アルバム名を見て、一つずつ消していかなければならないのだ。しかし、Sonic Stage CP 4.3にバージョンアップしてみると、アルバム順に並べられる様になり、急に使いやすくなった。しかし、そのSonicStage4.0でも、以前使っていたNW-HD3ではアルバム名順に並べられた事を考えるとソフトの問題では無いようだ。なぜそのような事になるのか謎である。

 このように液晶の表示内容や明るさに不満はあるものの、サイズや使い勝手、音質などは満足以上の物であった。この手軽なサイズなら、常にカバンに入れておいても負担にならないし、一度充電しておけばしばらく電池が保つ点もうれしい。もし行く直前に電池切れに気づいても、3分あれば3時間再生できるようになる。これまでのMDプレイヤーやNW-HD3(ロードテスト第30回)にはなかったこの手軽さが手に入ったのが何よりもうれしい買い物であった。

NW-E003用クリップ「CLP-NWE001」

 さて、ついでに購入したパーツがNW-E003用のクリップ「CLP-NWE001」である。NW-E003はポータブルMDプレイヤーのリモコンを一回り大きくしたようなサイズだが、残念ながらクリップがついていない。胸ポケットなどがある服なら良いのだが、何もない場合はクリップがあったほうが便利だ。
 価格は1,980円である。本体価格を考えると高価なパーツだが、悪くないだろう。このクリップは本体のUSB端子の根本部分と、反対側にあるストラップ用の穴に引っかけて取り付ける形になっており、取り付け自体は簡単である。
 ところで、このCLP-NWE001にはクリップ本体以外に、USBキャップが3つも付属している。NW-E003にはちゃんとキャップが付いているのに、なぜここに付属しているかというと、クリップを取り付けた分だけUSB端子の根本部分が出っ張ってしまい、NW-E003に付いていたキャップが使えなくなってしまうためだ。そこで、クリップのパーツ部分だけ欠けた形状のキャップが付属しているわけである、3色付属しているのは、色を変えて楽しめる様にと言う事らしい。しかし、おもしろいのは、3色の中に元々付いていたキャップと同じ色の物が無い事だ。キャップの色を変えて楽しめるが、元の色のままという選択肢がないのである。
 さて、このクリップは非常に便利だった。クリップは結構強いので服やカバンにくっつける事ができるのだ。しかし不満点もある。クリップが取り付けられる裏側にある音量ボタンとHOLDスイッチが極端に押しにくくなるのだ。それなりによく使うボタンなので残念である。まあ、この大きさでクリップを取り付けるとこうなるのは仕方がないし、逆に言えばクリップを付けてもボタンが隠れてしまわないようにうまく配置されているともいえる。それにボタンが多少押しにくくなっても、クリップがあるのは便利だ。

別売りのクリップ「CLP-NWE001」である。

クリップを横から見たところである。

「CLP-NWE001」にはクリップ以外にキャップが3色付属している。クリップを取り付けると、取り付けるためのパーツの分飛び出てしまい従来のキャップは取り付けられなくなる。左端が元々NW-E003に付属しているキャップで、残り3つがCLP-NWE001付属のキャップである。3種類のキャップでデザインを変えて楽しめるのは良いとして、元のものと同じ色がないのは不思議である。

左がNW-E003のキャップ、右がCLP-NWE001に付属しているキャップである。右のキャップは左に比べて上の面の下の方だけ少し欠けている事が判る。クリップを取り付けると従来より飛び出てしまう部分だけ切り欠けているのである。

NW-E003にクリップを取り付けたところである。クリップのパーツが出ている部分が、クリップに付属のキャップの切り欠けにピッタリである。

クリップが途中から細くなっているのは、ボリュームボタンとロックスイッチを隠さないようにするためである。しかし、確かに隠してはいないものの、クリップが邪魔をしてかなり押しにくくなってしまう。


(H.Intel)


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