第39回
AIR-EDGE用CF型通信カード
SII AH-S405C
(2006年2月22日購入・2008年3月16日公開)



電話型からカード型へ

 私はロードテスト第33回でAIR-EDGEに加入し、屋外でもザウルスやパソコンでインターネットに接続できる様にしていた。この際、端末として購入したのが、携帯電話型のAH-K3001Vであった。携帯電話型にしたのは、データ通信だけでなく電話できるのが便利ではないかと考えた事と、AH-K3001Vだけでもホームページ閲覧ができる事である。ところが実際に使ってみると色々な問題が発生した。
 まず、端末の接続が面倒であることだ。AH-K3001Vでホームページ閲覧ができるとは言っても、解像度が320×240ドットしかないため不便である。実際にはパソコンやザウルスに接続して使うことが多い。しかし、これが不便なのだ。パソコンとの接続はUSBケーブル一本なのでまだしも、ザウルスとの接続はロードテスト第34回でお伝えしたように、コンパクトフラッシュ型のCS64CFと専用のケーブルをAH-K3001Vに接続し、コンパクトフラッシュをザウルスに挿すことになる。さらに、ケーブルの先に本体が付くので、ザウルスとAH-K3001Vの両方を手に持つことになり、この点でも面倒なのである。
 さらに、充電の問題もある。パソコンとの接続なら、パソコンから充電も行えるが、ザウルスと接続する際には特殊な接続方法である事から充電できないため、AH-K3001Vも充電しておく必要がある。ザウルスとAH-K3001Vのどちらか一方でも電源が切れると使えないのは面倒だ。
 また通信速度の問題もある。AH-K3001Vは「1X」での通信しか行えず、通信速度は最高32kbpsしかない。さすがに遅すぎるのだ。
 そこで、今回これらの問題点を改善してみたいと思う。

端末変更+4X対応+コース変更

 まずは、通信速度の改善のために4Xの通信に対応したコースに変更したいと思う。そのためには契約コースの変更だけでなく端末の変更も必要になる。では、まずは契約コースを考えてみよう。その場合は次の二つがある。
  ・つなぎ放題[4x]  7,938円(年間契約+A&B割の場合)
  ・ネット25  3,969円(年間契約+A&B割の場合)
となる。現在のコースは「つなぎ放題」で4,263年(年間契約+A&B割の場合)となる。今の「使い放題」のままで4Xに変更するなら、「つなぎ放題[4x]」だが、月額で3600円以上高くなってしまう。しかし、現状ではせいぜい週に1〜2日ほど2時間程度接続し、それ以外は簡単な調べものなどで、数分程度の接続となる。月でもせいぜい15時間程度しか使っていない。ということは、最大25時間の「ネット25」コースでも十分という事だ。「ネット25」なら、4Xコースにしながら今よりも300円近く安くできる。
 続いて端末である。ここでもカード型と携帯電話型のどちらにするかという問題が発生する。AH-K3001Vを購入したときには、携帯電話型端末は選択肢がこれしかない状態だったが、今では4Xに対応した携帯電話型端末も数機種登場している。しかし、前記のような不便さがある上に、ザウルスに接続するためのCS64CFが4X対応携帯電話型端末での動作検証がなされていないこと、端末価格が2万円前後である事を考えると、カード型が良いと思える。
 カード型ということでも、ザウルスに接続することを考えるとコンパクトフラッシュ型でなければならない。そこで、「AH-S405C」に機種変更することにした。

AH-S405を接続する

 AH-S405Cへの機種変更をヨドバシカメラで行った。端末価格は4,800円。これに機種変更手数料の2,100円が別途かかることとなる。機種変更の依頼を行って1時間程度で機種変更は完了した。
 それでは早速設定をしてみよう。まずパソコンの設定だ。AH-S405CにはドライバCD-ROMと一緒にUSBフラッシュメモリが同梱されている。ドライバCD-ROMを利用しても良いのだが、モバイルパソコンなどでCD-ROMドライブが無い場合を考えてか、USBフラッシュメモリにも同じ物が入っている。これをパソコンに差し込むと、CD-ROMと同じく自動的にインストール画面が表示される。流れに従って進めていき、途中でAH-S405CをPCカードスロットに差し込めば簡単に設定は完了した。ちなみに、AH-S405SCはコンパクトフラッシュ型の通信カードだが、付属のアダプタを取り付ければPCカードスロットに差し込めるようになる。また、接続先電話番号は利用するプロバイダにより決められている。私の場合はBIGLOBEを利用するので、「0570-570-536##64」とする。これで、AH-S405Cで無事に通信できるようになった。
 次に、ザウルスでも通信できるようにしよう。これまでとは異なり、通信カードが直接差し込めるので非常に簡単だ。設定は、「設定」タブの「ネットワークの設定」で手動設定を行うことになる。接続の種類を「ダイヤルアップ接続」にした上で、「セットアップ」をクリックする。そして、ユーザ名とパスワード、接続先電話番号を入力する。さらに、プライマリーDNSを「202.225.94.247」に、セカンダリーDNSに「210.147.240.193」を入力する。ここまではBIGLOBEのホームページにも乗っているのだが、この後注意するのはザウルスがSL-C760の場合、「モデム」タブの「初期化コマンド」に「AT&F&C1&D2&K3&S0E0#A1」を入力しなければならない事だ。
 ちなみに、この後ザウルスも最新機種SL-C3200を購入するのだが、こちらの場合は、「セットアップ」をクリックした時点でAH-S405SCを挿入していると、「挿入されているカードを使ってネットワーク設定を行います」というメッセージが表示されるので、「はい」を選択すると、契約コースを選択する画面が表示されるので「AIR-EDGE [AH-S405C] ネット25(128Kパケット)」を選択する。次にプロバイダ名一覧が表示されるので、BIGLOBEを選択する。次に電話番号を入力し、次の画面でユーザIDと接続パスワードを入力する。そしてメールアカウント、プライマリーDNS、セカンダリーDNSを入力する。このように通信カードを自動認識し、順に進んでいくことで設定できるようになっている。

通信速度は向上するのか

 さて、実際の通信速度はどうなのだろうか。パソコンで接続し、通信速度が計測できるサイトで計測した。1Xから4Xに向上したのだから単純計算で4倍になるはずだが、そこまで上手くいくものだろうか。


 まずは受信速度である。つなぎ放題コース(1X)では18〜26Mbpsだった通信速度が、ネット25(4X)では62〜90Mbpsになっている。3倍から4倍に向上している計算だ。理論値通りの向上度合いになっているのは驚きである。また、この通信速度であればISDNと同等かそれ以上である。実際の体感速度でいうと、これまでのつなぎ放題コース(1X)であればあまりにも遅く、インターネットをするのがいやになるくらいである。例えばgoogleでの検索結果が表示されるのにも、5秒近くかかり、メーカーのページを見ようとすると、リンクをクリックしておいて、他の作業でもしていないと待っていられないほどだった。ところが、ネット25(4X)になると、googleでの検索結果はすぐに表示されるようになり、その他のページも遅いながらも何とか使用に耐えうるレベルになっていると感じた。


 さらに送信速度も計測してみた。こちらも42Mbps前後まで向上している。受信速度ほどではないが、こちらも確実にスピードアップしている。

 以上から、AH-S405Cに切り替えたことで2重に便利になっている。まず1点目は、携帯電話型からカード型に切り替えたことで、ザウルスやパソコンに差し込むだけになり、接続が簡単になった事だ。充電も必要ない。さらに2点目は、通信速度が大幅に向上し、遅いながらも使えるレベルに達した事だ。
 今回は通信機器の購入代金と機種変更手数料だけで、月額料金も変えずに便利にすることが出来た。工夫次第で色々と改善できるものである。

(H.Intel)


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