第46回
HDDビデオカメラ
SONY DCR-SR62
(2007年3月18日購入・2007年7月2日公開)



ビデオカメラを買い換えよう

 我が家のビデオカメラはいよいよ限界となってきた。我が家のビデオカメラはCCD-TR11であるが、1995年9月9日に購入したもので、すでに11年半が経過しているのだ。もちろんデジタルなんて洒落た物ではなく、アナログのHi8カセット方式のビデオカメラである。もちろん液晶画面はなく、ビューファインダーを覗いて撮る機種だ。しかも、テープというだけでも不便なのに、巻き戻しや早送りが非常に遅く、120分テープの早送りや巻き戻しに8分もかかる代物だ。ズームは光学10倍、デジタル20倍だが、デジタルズーム時の画質劣化はひどく、通常時の画質も鮮明さに欠け、それほど良くない。サイズもそれなりに大きく重い。その上最近では撮影した画像が乱れるようになってきた。さらに、撮影時に手を通すための「ベルト」が割れてしまい、撮影時に落としてしまう危険が出てきた。そこで、まだ動くうちにDVDレコーダーに映像を転送してDVD化し、新しいビデオカメラを購入することにした。

希望を満たす機種は?

 とりあえず、改善したい部分を考えてみた。
   1、光学ズーム倍率
   2、画質
   3、パソコンへの転送や保存のしやすさ
   4、録画時間
   5、液晶ディスプレイ
   6、本体サイズと重量
の6点となる。この内、「5、液晶ディスプレイ」に関しては今の機種はどれも搭載されているので機種選びの上では気にすることはないだろう。問題は、「3、パソコンへの転送や保存のしやすさ」と「4、録画時間」である。これはイコール「記録メディアの種類」という事になってくるだろう。前回購入時はテープしか無かったが、今は「miniDVテープ」「DVD」「ハードディスク」の3種類があるのだ。この内、miniDVテープはその名の通り「テープ」である。デジタルデータとして記録はされるが、早送り・巻戻しという「アナログ的」な操作が必要になるのはイマイチだ。という事で、今回はminiDVは外すこととした。長時間録画と言うことを考えるとハードディスクが良い。30GB〜60GBという大容量のものを搭載しているので、高画質モードでも7時間以上記録できるのである。しかし、DVD化するためにはいったんパソコンに転送する必要がある。また記録メディアが内蔵されてしまっているので、記録メディアのまま保存しておき、次の記録メディアに交換することができないというデメリットはある。次に、DVDであるが、DVDといっても8cmタイプを使用することになるため、1層ディスクで高画質で撮ると20分程度しか記録できない。しかし、ディスクを入れ替えれば次々と撮っていくことができるし、記録したものはそのまま置いておくことができる。また、DVDプレイヤーに入れてすぐに再生できるのも利点である。しかしテープの時に問題だった「テープの入れ替えのタイミングが難しい」という問題が悪化している(テープなら120分は入れ替えなくて良いが、今回は20分だ)。パソコンへ転送するのもそれほど面倒だとは思わないので、今回はハードディスクタイプに決めたいと思う。また、改善点6の「本体サイズ」の点でも、ディスクのサイズ(直径8cmの円)が必要なDVDタイプよりもハードディスクタイプの方が小型のようだ。
 続いて改善点2の「画質」に関しても2つの選択肢がある。つまりスタンダード画質かハイビジョン画質かである。スタンダード画質の場合は720×480ドットで録画され、ハイビジョン画質の場合は1440×1080または1920×1080ドットで録画される。画質はもちろんハイビジョンの方が上だが、ここで「本体価格」「編集・再生のしにくさ」「必要なのか」という3点が問題となるわけである。まず、本体価格はスタンダード画質の機種が5〜10万円位なのに対して、ハイビジョン画質の機種は最低でも10万円はするのだ。そしてハイビジョンタイプは編集・再生しにくいという問題もある。例えばHDDタイプなら、パソコンでの編集はハイビジョン編集に対応したパソコンでしかできないのである。幸い、少し前に購入したデスクトップパソコンVGC-RM50が対応しているが、編集後できたとして、それを保存するためのメディアが難しい。DVD-R等へも記録できるが、ハイビジョンの動画を記録したDVD-Rは正式なDVDではないので、DVDプレイヤー/レコーダーでは再生できないのだ。Blu-rayディスクプレイヤー/レコーダーなら再生できるが機械が高価なため、結局パソコンで再生するしかないという事になる。DVD記録の機種であれば、DVDプレイヤー/レコーダーでは再生できないのは同じながら、メディアのまま保存しておけるので、しばらくはビデオカメラを利用して再生し、Blu-rayディスクプレイヤー/レコーダーを購入するまで待つ方法もあるが、ディスク1枚に15分しか記録できない。miniDVテープに記録すればそれなりに長時間だし、再生も本体でできるので安心だが、前途の理由でminiDVテープにはしたくない。このように、まだまだ扱いが難しいハイビジョンビデオカメラだが、その扱いづらさや価格の高さに目をつぶってまで必要なのかという疑問がわく。ハイビジョンテレビを持っていればまだしも、我が家はただのブラウン管テレビだ。その上ハイビジョン録画の機種は本体が大きくなりがちなので、改善点6に反する可能性がある。今のHi8ビデオカメラと比べればスタンダード画質でも十分高画質に見えるはずなので、とりあえず安いスタンダード画質の機種に決めた。
 改善点1の「光学ズーム倍率」が、実は一番重要視する点だ。今の10倍では足りず、すぐにデジタルズームを使ってしまうのだが、それでは画質が低下してしまう。そこで、光学ズームは10倍を超えるもの、できれば20倍以上が望ましい。ところがこれまでも時々カタログを見ていたのだが10倍の機種ばかりだった。しかしここにきて25倍や32倍ズームの機種が増えてきているのだ。しかも、ハイビジョン録画の機種ではなくスタンダード画質の機種、しかもその中でも一番下の機種に高倍率のズームが搭載されているのはうれしいところだ。逆にハイビジョン録画の機種は未だに10倍ズームまでなので、ハイビジョン画質の機種をやめる理由の一つにもなった。改善点6の「本体サイズや重量」は、最近の機種は全体に小型軽量化しているが、やはり上位機種は大きくなる傾向にある。それを考えると、下位機種の方が良いと言える。
 ここで候補になりそうな機種をリストに挙げてみた。

メーカー SONYVictor
品番 DCR-SR62DCR-SR300GZ-MG155GZ-MG255GZ-MG555
イメージセンサー 1/6型CCD1/2.9型CMOS1/6型CCD1/3.9型CCD1/2.5型CCD
F値 F1,8〜F3.2F1.8〜F2.9F1.8〜F4.5F1.2〜F2.0F3.5
有効画素静止画 100万画素304万画素100万画素200万画素504万画素
動画 69万画素171万画素69万画素123万画素398万画素
ズーム光学 25倍
(f=43〜1,075mm)
10倍
(f=49〜490mm)
32倍
(f=43mm〜1376mm)
10倍
(f=45.7〜457mm)
10倍
(f=43〜430mm)
デジタル 2000倍20倍200倍200倍200倍
ビューファインダー
液晶モニタ 2.7型
12.3万画素
タッチパネル
2.7型
21.1万画素
タッチパネル
2.7型
11.2万画素
最低被写体照度 8ルクス3ルクス18ルクス12ルクス15ルクス
手ぶれ補正 電子式光学式電子式
記録メディア動画 30GB HDD40GB HDD30GB HDD
SDカード
静止画 メモリースティックDuo
HDD
SDカード
HDD
映像記録 MPEG2
HQ:9Mbps
SP:6Mbps
LP:3Mbps
MPEG2
ウルトラファイン:9Mbps
ファイン:6Mbps
ノーマル:4.5Mbps
エコノミー:1.7Mbps
音声記録 ドルビーデジタル
(2ch)
ドルビーデジタル
(5.1ch)
ドルビーデジタル
編集機能 削除/分割削除/分割
レンズカバー 内蔵(手動)内蔵(自動)内蔵(手動)
ライト フラッシュLEDライトフラッシュフラッシュ/LED
低照度時撮影機能 ナイトショット(最低0ルクス・白黒撮影)ナイトアイ(最低1ルクス)
入出力端子 映像・音声出力映像・音声入力/出力
バッテリ実撮影時間
(付属)
45分45分45分40分40分
実撮影時間
(別売・最長)
4時間20分
(重量+150g)
3時間00分
(重量+115g)
2時間20分
(重量+80g)*1
1時間55分
(重量+80g)*1
1時間55分
(重量+80g)*1
充電時間
(付属)
2時間5分2時間15分1時間30分1時間30分1時間30分
外形寸法
(付属バッテリ装着時)
73×72×115mm76×78×149mm66×71×110mm66×71×110mm74*72×118mm
本体質量
(付属バッテリ装着時)
395g560g370g400g470g
*1 ベルトタイプは除く

 とりあえず、候補になりそうな機種をリストにしてみた。ここで気になるのは、SONYもビクターも最下位の機種のみズーム倍率が高いことだ。つまり、画素数の高いものを選ぼうとすると光学ズーム倍率は10倍で我慢しなければならないし、ズーム倍率の高い物を選ぼうとすると、画素数は最低ランクで我慢しなければならない。ここで前述の改善点の内、「光学ズーム倍率」と「画質」のどちらを取るかが重要になる。しかし、画質に関しては、画素数が上がることで改善されるのは、動画より静止画の方だ。動画は720×480ドットなのだから、約35万画素相当にしかならない。それ以上の解像度があっても動画の画質のはほとんど影響しないのだ。もちろんデジタルズームなどの際に画質の劣化が抑えられる場合もあるそうだが、光学ズームが元々大きい方が良いのは言うまでもない。ということは、300万や500万という画素は静止画を撮るためと言えるのだ。しかし私の場合は静止画はデジカメで撮るつもりなので、画素数はそれほど重要ではないという結論で良いだろう。つまり光学ズーム倍率が高い、下位機種を選ぶ事となる。
 さて、以上からSONYのDCR-SR62とビクターのGZ-MG155の2機種が最終候補となった。この2機種は似たところが多く、静止画が100万画素、動画が69万画素で、1/6型CCDを使用している。液晶は2.7型でビューファインダーは無く、手ぶれ補正は電子式を採用している。音声はドルビーデジタルである。レンズカバーも内蔵しているが開け閉めは手動となる。実撮影時間は45分というのも一緒だ。本体サイズはGZ-MG155の方が小さく、重量も軽いが、それほどの差ではない。では、どこが違うかと言うと、まずズーム倍率だ。DCR-SR62は光学25倍/デジタル2000倍で、GZ-MG155は光学32倍/デジタル200倍である。光学ズームはGZ-MG155が上だが、DCR-SR62はデジタルズームが大きい。また、DCR-SR62は液晶ディスプレイがタッチパネルとなっている。GZ-MG155はナイトアイで1ルクスまで撮影でき、DCR-SR62はナイトショットを利用すると赤外線を照射し0ルクスでも撮影ができる。静止画記録用のメディアもDCR-SR62はメモリースティック、GZ-MG155はSDカードである。このような違いがあるが、これらが決定的な差にはならないような気がする。そこで、実機を見て決める事にした。
 実機を見た感想は、大きさはほとんど同じに見えるという事だ。しかし、デザイン的にはDCR-SR62はシルバーでかっこいい感じなのに対して、GZ-MG155はピンク又はブルーでかわいいという感じだ。雰囲気的にはDCR-SR62の方が好きである。実際に持ってみるとGZ-MG155の方が若干小さめに感じたが、DCR-SR62の方が手で当たる部分が曲面になっており、手になじむ感じで、安定しやすく感じた。
 さんざん迷ったあげく、デザインと持ちやすさでDCR-SR62を選んだ。コジマ電気で特価になっており、76,800也。

実際に使ってみる

 早速箱から出して使ってみよう。本体はかなり小さく、また、先ほど書いたように、手で包み込む部分が曲面になっているため、非常に持ちやすそうだ。本体を前から見てみるとレンズ部分が大半を占めているように見える。それだけ本体が小さいという事だろう。レンズの左横にレンズに沿うようにレンズカバーの開閉レバーが付いている。
 次に側面であるが、液晶の裏には何のボタンもなく、非常にシンプルなデザインである。上面にはナイトショットのON/OFFスイッチやズームレバー、静止画シャッターボタンの他、前の方には外付けのマイクやライトなどが取り付けられる「アクティブインターフェースシュー」が配置されていた。また、光学25倍ズームを表す「25x」の文字が書かれている。ちなみに側面にはデジタルズーム2000倍の「2000x」の文字も書かれている。
DCR-SR62を前面から見たところである。右側は液晶ディスプレイが内蔵されているためまっすぐだが、左側は手にフィットするように曲面となっている。

DCR-SR62の側面である。

DCR-SR62の上面である。ナイトショットのON/OFFスイッチやズームレバー、静止画シャッターボタンの他、前の方には外付けのマイクやライトなどが取り付けられる「アクティブインターフェースシュー」も見える。

 それでは、使う準備に入ろう。まずはバッテリを取り付ける。これまで使っていたCCD-TR11はバッテリが本体に収納できたが、DCR-SR62は外に飛び出る形となる。外見上はスマートではないが、厚みの制限が無いので、より大きな大容量バッテリが取り付けられる利点があるのだろう。また、取り付け部はへこんでいるため、標準のバッテリを取り付けた場合はそれほど出っ張らない。

DCR-SR62の背面である。ここにバッテリを取り付ける事となる。電源レバーや録画スタート/ストップボタンも見える。また、光学ズーム倍率の「25x」の文字も見え、側面にデジタルズーム倍率の「2000x」の文字も見える。

 ちなみに、今まで持っていたビデオカメラ、CCD-TR11と比べてみた。小さいとは思っていたが、並べてみてその違いに改めて驚いた。まるで大人と子供である。このサイズであれば日々持ち歩く事も可能だろう。

DCR-SR62とCCD-TR11の上の面からの比較である。11年の間にずいぶん小型化したものである。

DCR-SR62とCCD-TR11の側面の比較である。大人と子供のような差がある。

 ではいよいよ撮影だ。本体前方のレバーを下げてレンズカバーを開く。そして電源スイッチを一度左にひねると電源が入って撮影モードに入る。もう一度左にひねると再生モードになるかと思いきや、静止画撮影モードに入った。逆に右にひねると電源が切れる。レンズカバーが手動なのは若干面倒だが、レンズカバーのレバーや電源スイッチがどちらも自然に使いやすい位置に用意されているので、不満はない。電源スイッチを入れてから撮影が可能になるまで5秒ほどかかり、デジカメなどと比べると遅く感じるが、そんなに焦ってビデオを撮りたいという事もないと思われるのでそれほど気にならないだろう。ただし、レンズカバーを開けたまま電源を切った場合、次回電源を入れた際に「レンズカバーが閉まっている」という誤ったメッセージが数秒表示される事があったのは気になった。
 それでは実際に撮影してみよう。本体にビューファインダーはないので液晶画面を見ながら撮影する事になる。我が家のビデオカメラ初の液晶画面である。この液晶画面は通常の正面から上に180度、下に90度回転させられるので、使いやすい角度で撮影ができて便利だ。また、180度回した時は表示の上下が自動的に切り替わるようになっている。液晶は視野角も広く画面も明るいので、屋外でも画面が見にくいと感じる事も無かった。低価格モデルになので不安だったが十分合格点だ。しかし、上位機種と比べると画面の解像度が低いので、撮影や再生時の詳細さは若干欠ける事になる。
 撮影のスタート/ストップのボタンはちょうど右手の親指の場所にあるため押しやすい。一度押すと撮影スタート、もう一度押すとストップである。またズームレバーはちょうど右手の人差し指のあたりに来るので、しっかりと持ったままで撮影開始やズーム操作が行える。ズームも高速なので、素早く被写体に寄る事ができる。また、自分撮り用に、液晶の横のボタンでも撮影スタート/ストップやズームが行えるボタンが用意される。ただし、ここのズームボタンでのズームは極端に遅いので少しじれったい。ともあれ、撮影時の使いやすさは合格点と言える。

撮影時にはこうして液晶ディスプレイを開く事になる。手前の赤い印のボタンが「撮影スタート/ストップ」で、上部の銀色の奥にあるレバーがズームレバーである。

 では再生はと言うと、電源が入った状態で、液晶画面に表示される再生ボタンか、本体左側面の再生ボタンを押す事で、再生モードに入る。動画のサムネイルが表示され、しかも撮影日別にページが分けられているので、目的のビデオが見つけやすい。また操作は、タッチパネル式の液晶を採用しているだけ合って直感的な操作が行える。しかし、このタッチパネルの感度は少し悪いようで、タッチが軽かったり、少しずれていたりすると反応しない事があった。目的のビデオのサムネイルをタッチすると即再生され、一時停止、早送り、巻き戻し操作も行える。液晶が美しいので再生されるビデオも綺麗に見える。しかし、液晶の解像度が上位機種より低いので、よく見るとビデオの細かいところが見えない。またそれよりも問題は、再生モードへの入り方だ。電源を入れるためには電源レバーを左にひねるしかないが、そうするとまずは撮影モードに入ってしまう。そして、撮影が可能な状態になってから初めて再生モードに切り替えられる。デジカメなどでは撮影か再生かを選んだ状態で電源が入れられるため、この「まず撮影モードで電源を入れてから切り替え」という方法は不便だといえる。例えば電源スイッチを逆にひねるなどで、電源を切った状態から直接再生モードに入れるようにして欲しかった。

液晶ディスプレイの内側にはスピーカーの他、再生モードへの切り替えボタンや逆光補正、ワイド切り替えなどのボタンが配置されている。メモリースティックスロットもここにある。

 続いて画質を見てみよう。今までのHi8ビデオカメラと比べると明らかに綺麗である。撮影時のビットレートが3Mbps、6Mbps、9Mbpsの切り替えられるが最高の9Mbpsにしておけば激しくカメラを動かしてもブロックノイズもほとんど発生せず綺麗だ。確かにハイビジョンビデオカメラなどと比べると劣るのだろうが、普通に使う分にはこれでも十分だ。一点だけ気になるとすると、、薄暗いところで撮影した時に、カメラを大きく動かすと、若干フレーム数が減り、スムーズさが無くなるように思える点だ。しかし、基本的には満足のいく画質である。

1倍10倍前後25倍100倍前後
(デジタルズーム)

 次にDCR-SR62の売りの一つであるズームについて見てみよう。上記の画像は実際に動画で撮影した物を静止画として切り出したものだ。ズームの度合いが具体的に分かってもらえるだろう。またデジタルズームの画像の荒れも参考にしてもらいたい。ただし、ガラス越しであった(しかも少し汚れていた)事と、遠くは少しかすんで見える日に撮影したため、色のメリハリなどは無視して考えて頂きたい。
 まず、25倍までは光学ズームなので、画質の低下無く撮影が可能である。実際に25倍あればかなり近寄れるので、実用上は十分だろう。デジタルズームはと言うと、50倍程度までならそれほど画質低下を感じない。人の表情でも十分読み取れるだろう。実際に設定項目ででデジタルズームの倍率を「なし」と「X50」「X2000」が選べるため、画質を低下させたくなければ「X50」を選べば良いだろう。またそれ以上でも、さすがに2000倍まで行くと何がなんだか分からないほど荒れてしまうが、500倍程度なら大きな柄(建物の上の大きな看板など)は読み取れる。さらに150倍程度なら表情などは分からないものの、十分に何が映っているか分かるので、使っても問題なさそうだ。
 最後に、最大の2000倍ズームから1倍までひいてくる動画を見て頂きたい。前述のようにガラス越しである事と、本来の映像を、低ビットレートのWMV形式に再圧縮しているので、画質は低下している。あくまで2000倍ズームのすごさを見るためのサンプルと思って頂きたい。

2000倍から1倍まで引いてくる動画である。画像をクリックすると再生する。WMV形式に圧縮しているので、画質は本来の物より低下しているが、ズームの雰囲気を味わって頂きたい。

 そのほかの機能として、ナイトショットを試してみた。こちらはかなり優秀である。試しに押し入れの中で試してみたのだが、通常のモードでは何も映らないどころか、肉眼でも何も見えない状態でも、ナイトショットをオンにするとちゃんと細部まで撮影できるのだ。これは色々と使えそうである。残念ながら白黒での撮影になってしまうが、何も映らないよりはよっぽど良い。ただし赤外線の距離が短いので、あまり遠い物は撮影できないようである。

ナイトショットOFF
ナイトショットON

 

画像をクリックすると元サイズの画像を表示します。
ナイトショットの有無での違いを試すため、押入の中にリモコンと時計とスルッとKansaiカードを置いて静止画撮影してみた。ナイトショット無しでは全くつらない状態でも、ナイトショット有りだとしっかり映っている。白黒の画像だし、赤外線ライトの照射範囲も狭いが、細部まで鮮明に写っているといえる。

 さらに静止画撮影も試してみた。静止画撮影は100万画素になるので、デジカメなどと比べるとそれほど綺麗ではない。ただ本来は動画を撮るためのカメラにしては、静止画も結構綺麗に撮影できていると言える。また光学25倍ズームを利用できるので、遠くの物を撮影するには便利だ。私の持っているデジカメは720万画素で光学3倍ズーム。これを25倍相当までまで切り出すと、86万画素相当になってしまうのである。遠くの物を撮影するなら、DCR-SR62も活躍できそうだ。

各種接続

 それでは、録画した映像をパソコンに転送してみよう。パソコンとの接続はUSBである。ハンディーカムステーションとパソコンをUSBケーブルで繋いでおき、その上にDCR-SR62を置く。その際にハンディーカムステーションにACアダプタを接続しておけば、これで充電ができる。非常に簡単だ。さて、ハンディーカムステーションに置いた状態で電源を入れると、DCR-SR62の液晶に「パソコンとの接続」画面が出てくる。ハードディスク内のデータの転送かメモリースティック内のデータの転送かを選ぶ。ここでハードディスクの方を選ぶと、パソコンと接続され、パソコンの方でも自動的に転送ソフトが起動する。この転送ソフトを使わずに、マイコンピュータからでもハードディスク内のデータを見られるが、こちらのソフトを使えば日付別にサムネイル表示され、転送もできるので非常に分かりやすい。

付属のハンディーカムステーションである。

ハンディーカムステーションの背面である。USBケーブルと電源ケーブル、テレビ出力ケーブルが接続できる。

ハンディーカムステーションにDCR-SR62を置いたところである。携帯電話感覚で充電が行える他、パソコンへの転送時もこの形で行う事になる。

 さて、ここで表示されるサムネイルで、転送したいビデオにチェックを付ける。そして「取り込み」をクリックすると、パソコンに転送されるのである。また、削除する場合は、左端の「削除」ボタンで削除画面にしてからチェックを付けて消す事になる。この方法はあまり便利とは感じない。サムネイルから選択する方法が同じにもかかわらず、転送と削除で別画面なのは分かりにくいのだ。転送ボタンと削除ボタンを並べて配置し、サムネイル画面でチェックしてからどちらかのボタンを押すようにしてくれた方が分かりやすく感じるのだ。また、パソコンへの転送先フォルダはあらかじめ登録したフォルダにしか転送ができないのも不便である。たしかにパソコンになれていない人にはこの方が良いのかもしれないが、「フォルダ選択」ボタンをクリックしたら、普通にどのフォルダも選択できた方が便利である。
 また、パソコンを使ってバックアップを取るのは難しいという人向けに、ワンタッチでディスクが作成できる機能も用意される。パソコンのDVD書き込みができるドライブにDVD-R等を入れ、DCR-SR62とパソコンを接続し、ハンディーカムステーションの前面にある「ワンタッチディスク」ボタンを押すと、一切のパソコン操作をせずにDVDが作成が完了するという仕組みだ。最後に、もう一枚作るか終了かを選ぶ画面が表示されるのが、唯一のパソコンの操作である。残念ながら、どのビデオをディスクに入れるか選択はできないのだが、そういった操作をさせるとまた難しくなるので、「ワンタッチ」ディスクはこれでよいのだろう。ちなみにできあがったDVDにはメニュー画面も自動的に作成され、日付別に選択して再生できるようになっている。ただし、同じ日付のビデオのどれを再生するかというメニューは無い。HDDビデオカメラはDVDビデオカメラの様に「録画メディア=保存メディア」となっていない点で、ビデオ保存作業が難しいとされているが、このワンタッチディスク機能があればかなり改善されたと言える。
 さらに、DVD書き込みができるパソコンを持っていないという人には、別売りのDVDライター「VRD-MC5」を購入する方法もある。パソコン無しでDVD書き込みができるという製品だが、液晶画面が内蔵されており、どのビデオをDVDに書き込むか選択できるのが便利である。

ワンタッチディスクボタンを押すと、パソコンにはこのような画面が表示される。表示はされるが、何かのパソコン操作は最後まで必要ない。

 本体の端子にも残念な点がある。本体に電源ケーブルとビデオ出力ケーブルを挿す事はできるが、USBケーブルは差し込めないのである。つまりパソコンと接続するためにはハンディーカムステーションが必要になるのだ。旅行先などでパソコンに繋ぎたい場合は、ハンディーカムステーションを持って行かなければならないのは面倒である。その上旅行先で充電したい場合は、ACアダプタも必要となってしまう。本体にはUSB端子を用意し、そちらからも充電できるようにしてくれると便利だったのだが。

 このように、久々に購入したビデオカメラだったが、非常に満足である。最も安いモデルでも撮影されたビデオは十分綺麗だし、なにより光学ズーム倍率が高いのが良い。またコンパクトなので気軽に持ち歩けるのもうれしい所だ。ハードディスクタイプなので、巻き戻しや早送りの手間もなく、長時間撮影ができる点も満足である。安い価格でありながら私の要望をかなえる機種であった。

(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
   SONY  http://www.sony.co.jp/ 

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