第71回
CF型SDHCアダプタ
PhotoFast CR-7000
(2009年2月24日購入・2009年3月18日公開)



Zaurus SL-C3200でSDHCカードを使う

 私はPDAのZaurus(ザウルス)SL-C3200を使用しており(ロードテスト第40回参照)、非常に便利である。小型軽量で持ち歩いても苦にならず、電源を押せばすぐに起動する手軽さもあって、様々なことに使っている。例えば家でスキャンした漫画を読んだり、変換した動画を見たり、購入した小説読んだりしている。さらに、通信カードを利用してネットを閲覧したり、文章作成やゲームなどもしている。そういった使い方の中で、1つ問題が出てきたのだ。
 それが漫画や動画と言ったファイルサイズの大きくなるデータの保存先である。例えば、スキャンした漫画はザウルスでも高速に表示できるように、長辺が640ドットになるよう縮小変換したものを別に作っているため1枚のファイルは100KB強である。しかし塵も積もれば山となる状態で、1枚のファイルサイズは小さくても、1000ページで110MB程度になる。外出先の暇な時に好きな漫画が選べるようにと、様々なシリーズを持ち歩くと結構な容量になるのある。また、動画もザウルスで再生できるものと言うことで700kbpsとそれほど高ビットレートではないものの、1時間で315MBなので、例えば2時間映画なら630MBになる。こちらも複数持ち歩こうとすると結構な容量である。
 幸い最近ではSDカードの価格も安くなってきて、2GBのものがつい最近1000円を切ったかと思えば、今や600円程度で購入できる。最近ではこれらに保存してきたが、容量が不足する度に買い足していると、いつの間にか2GBのSDカードを3枚と以前から持っていた512MBのCFカードと256MBのCFカードを持つことになってしまった。しかしカード枚数が増えると、どのカードに保存したのか分からなくなるという問題があるし、容量ぴったりに使う事はなかなかできないため、どうしても各カードに無駄が発生してしまう。それならばより大容量のSDカードに買い換えれば良いのだが、ここで問題なのが、SL-C3200はSDHCカードに対応していないことだ。SDカードは、2GBまではSDカードとして販売されているが、4GB以上はSDHCというより大容量に対応した規格になっており、機器側が対応していないと利用することが出来ない。つまり、SL-C3200では実質2GBのSDカードが最高容量になってしまう訳である。
 もちろん2GBのSDカードを買い足していく方法もあるが、これ以上枚数が増えるのは避けたいし、なにより2GBのSDカードが600円、4GBのSDHCカードが980円、8GBのSDHCカードが1580円と、容量が増えるほど容量単価が安くなるため、SDHCカードの方がお得である。それでは、大容量のカードでも規格の変わらないCFカードの8GBや16GBのものを利用することも考えたが、SL-C3200が壊れた場合、CFカードでは使い道がなさそうなのが問題である。できればSDHCカードを利用したい。
 そこで今回購入したのが、PhotoFastの「CR-7000」である。この製品は、SDHCカードをCFカードスロットに挿す事が出来るアダプタである。つまりSL-C3200に元からあるSDカードスロットはあきらめ、CFカードスロットを利用して、SDHCカードに対応するという訳である。CR-7000は正式に16GBまでのSDHCカードへの対応を謳っているため、その点では安心だ。ただZaurus用のアダプタとして販売されているわけではないので、SL-C3200で動作するか分からない点では不安である。しかし、2GBのSDカードを何枚も持ったり、使い道のないCFカードを購入するよりは、今後のことを考えれば良い選択肢だろうと思えるため、思い切って購入してみることにした。Amazon.comで2,639円であった。3,000円以上でないと送料無料にならないため、ついでにTranscendの8GBSDHCカード「TS8GSDHC6」を1,580円で購入した。

今回購入したCF型SDHCアダプタ「CR-7000」である。SDHCカードをCFカードスロットに挿し込めるようにするアダプタなので、SDHCカードに対応しないZaurus SL-C3200にはもってこいである。

同時に購入したSDHCカードTranscendの「TS8GSDHC6」である。このカードをCR-7000に挿し込んで使う。8GBで1,580円であった。

CR-7000をSL-C3200で使ってみる

 夜に注文したが、2日後にはAmazon.comから届けられた。早速CR-7000を見てみよう。CR-7000自体は通常のCFカードと変わらない形状をしている。ただし、TypeII規格の製品で、CFカードよりは厚くなるため、TypeIにしか対応していない機器では使用できない。Zaurus SL-C3200はTypeIIに対応しているので問題ない。右側面にスリットがあり、SD/SDHCカードはここに挿し込む。カードは完全に中に隠れてしまうが、飛び出ているとCFカードスロットに挿し込めないので当然である。CR-7000と同時に購入したSDHCカードを挿し込んでみると、適度な堅さがあり簡単に抜ける感じではない。一方で、カード表面の右側が丸く欠けているため、挿し込んだSD/SDHCカードの取り出しも簡単に行える。ちなみに、右側面から挿し込む形となるため、SR-7000を機器に挿し込んだままSD/SDHCカードだけを抜き差しする事はできない。
 もう一つ、Zaurus SL-C3200に挿し込む際には、セロハンテープなどを利用して、カードを引っ張れるようなものを付けておく事が必要だ。というのもZaurus SL-C3200にTypeIIのCFカードを挿すと、きつくなりすぎてしまい、小さな切り欠きだけではカードが非常に抜きにくなってしまう。結果、挿し込んだカードのわずかな引っかかりに爪を立てて引っ張ることになるため、最悪の場合カードが破損することもありそうなのだ。そのため、セロハンテープを付けて引っ張れるようにしておくと便利だ。

今回購入したCF型SDHCアダプタ「CR-7000」である。右側がSD/SDHCカードの差し込み口である。

CR-7000の右側面である。ここにSD/SDHCカードを挿し込むが、適度な堅さがあり自然に抜けることはなさそうである。カード表面が丸く欠けているため、挿し込んだカードは簡単に抜き出せる。

CR-7000に同時に購入したSDHCカードを挿し込んだ所である。

CR-7000(左)とCF型メモリカード(右)の厚みである。CR-7000はTypeIIの製品なので、TypeIのメモリカードと比べると厚くなる。

Zaurus SL-C3200に挿し込む場合は、そのままでは引き抜きにくいので、裏側にセロハンテープを貼るなどして引っ張れるようにしておくと安心である。

 それでは実際にZaurus SL-C3200に挿し込んで使ってみよう。ちなみに、CR-7000はZaurusで動作する事をうたっているわけではない。本来は、CFカードの一眼レフデジタルカメラ等でSDHCカードを利用できるようにする事を想定していると思われる。実際にはCFカードとして認識すると思われるが、パソコンとは違って相性問題等が発生するとも限らない。
 さて、実際に挿し込んでみると、何の問題もなく動作した。しばらく使ってみても、Zaurusu SL-C3200がフリーズするという事も、カードを認識しなくなると言うこともなかった。また、SDカードやCFカードと比べて読み込みが遅いという感じも受けず、使用感も上々である。また、システム情報を見ると、CFカードの欄に「7,821,824 KB」と表示されており、容量も問題なく認識していることが分かる。

CR-7000をZaurus SL-C3200に挿し込んだ所である。何の問題もなく動作した。

Zaurus SL-C3200のシステム情報を見るとCFカード欄に、SDHCカードの容量が正常に表示されている。CR-7000が使えるだけでなく、容量までしっかり認識されている。

CR-7000の読み書き速度を計測する

 では、実際にCR-7000を使用した場合にどの程度の読み書き速度になるのかを調べるために、ベンチマークテストと実際のファイル転送にかかる時間を計ってみた。今回テストしたのは、今回購入したSDHCカード「TS8GSDHC6」を挿し込んだCR-7000と、そのSDHCカード単体に加え、これまで使ってきたSDカードでとCFカードを比較対象としている。なおそれらのカードの詳しい仕様は以下の通りである。

カード種類メーカー品番容量速度規格
SDHCカードTranscendTS8GSDHC68GBClass 6(6MB/s以上)製品
SDカードSILICON POWERSP002GBSDC045V102GB45倍速(6.75MB/s)製品
CFカードLEXERCF512-231J512MB8倍速(1.2MB/s)製品

 これらのカードを、デスクトップパソコンVGC-RM50内蔵のメモリカードスロットに差し込みテストした。また、参考としてZurusu SL-C3200をUSB接続し、内蔵ハードディスクの転送速度も計測している。

左から順にCFカード型SDHCカードアダプタ「CR-7000」、SDHCカード「TS8GSDHC6」、SDカード「SP002GBSDC045V10」、CFカード「CF512-231J」である。



 まず分かることは、CR-7000はSDカードやSDHCカードと比べるとかなり遅いと言うことだ。しかし、CFカードとほぼ同等か若干上回る速度を示している。また、Zaurus SL-C3200内蔵のハードディスクと比べると高速なので、Zaurusで使う分にはそれほど遅い方ではないと思われる。また、今回購入したSDHCカードはSDカードを若干上回る速度を示している事もうれしい所だ。
 ちなみに、CrystalDiskMarkの結果を見ると、SDカードが13MB/s、SDHCカードが15MB/sと、それぞれ6.75MB/s又は6MB/s以上というカードのスペックを大きく上回る速度を示している。一方、CR-7000に取り付けたSDHCカードでは、読み込みが2.9MB/s、書き込みが2.4MB/sにとどまる。CR-7000のパッケージ裏面には「転送レート:Read 6MB〜9.5MB/s・Write 2MB〜4MB/s」と書かれているが、読み込み速度に関してはそれを下回る結果である。ただし、カードの問題ではなく、VGC-RM50内蔵のメモリカードスロットの速度が遅いという事も考えられるため、一概にCR-7000が遅いとは言えない。



 続いて、実際のファイルの書き込みにかかる時間を計測したのが上記の結果である。ビデオと漫画を転送する場合を想定し、156MBの動画ファイル1つを書き込む場合と、640×480ドット程度の小さなJPEGファイルを578個、合計45.6MBの書き込みにかかる時間を計測した。これを見るとCR-7000は、大きなファイルではCFカードを若干下回る結果であるが、小さなファイルを大量に転送する場合はSDカードに迫る結果となっている。またどちらのテストでもSDHCカードが最も速い事も分かる。
 実際の使用環境を考えるとこの結果は非常に満足いくものである。というのも、パソコン内の動画や漫画データをSDHCカードに転送する場合は大量のデータ転送が一度に発生するものの、わざわざCR-7000を使用する必要はないので、SDHCカードを直接パソコンのSDカードスロットに挿し込む事になる。つまり、SDHCカード本来の速度で高速にデータを転送できるわけである。そして、書き込んだデータをZaurus SL-C3200で読み込む場合は、CR-7000を介してとなるものの、それほど読み込み速度を必要とするわけではない。例えばビデオの場合は再生が止まらない程度の速度があれば十分で、漫画の場合は1ページずつ順に開いていくため100KB程度の画像がさっと読み込める程度の速度で十分である事を考えると、CFカード並の速度が出ているため十分実用的である。

 このようにCR-7000なかなか満足のいく製品であった。Zaurus SL-C3200で全く問題なく使用できたのはもちろんだが、Zaurus SL-C3200でSDHCカードが使えるようになり、より大容量で容量単価の安いカードが使用できるようになった事はうれしいことだ。また、メモリカード自体はSDHCカードなので、Zaurus SL-C3200で使用しなくなっても他に流用しやすくなる。さらに大容量のCFカードを購入する場合と比べて、パソコンからメモリカードへのデータ転送時間が短縮できるのもメリットである。
 このように、アダプタを介してまでSDHCカードを使うのは一見すると面倒なように思えるが、様々なメリットを得ることが出来た。Zaurusを使用されている方には、ぜひCR-7000をオススメしたい。
(H.Intel)



■今回の関係メーカー・ショップ
PhotoFast http://www.photofast.co.jp/
「CR-7000」のページ http://www.flashmemory-japan.com/photofast/b1024.html



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