第129回
USB3.0&eSATA接続対応ハードディスク用クレードル
センチュリー 裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)
(2011年7月31日購入・2012年2月11日著)



3TBのHDDに対応したクレードルを購入する

 ロードテスト第107回で購入した「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」は非常に便利で重宝してきた。この製品は簡単に言えば、内蔵用のSerialATAハードディスクを立てるだけで外付けハードディスクとして使用できるスタンドの様な物だ。ハードディスクは半分以上が剥き出し状態なので、常時この状態で使用するわけには行かないが、これを使えばハードディスクケースに入れるよりも簡単に、パソコンと接続できるわけである。
 「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」は、例えばデスクトップパソコンの内蔵ハードディスクを交換する際に重宝する。ハードディスクを交換するとなると、中のデータをコピーしなければならないため、一時的に新旧のハードディスクを同時に接続する必要がある。ところがハードディスクベイ4基は既に埋まっているため、一時的に5台接続する事になる。こんな時、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」を使ってeSATAまたはUSB2.0接続し、データを転送する事ができるわけである。また、我が家では膨大になったデジタルカメラやデジタルビデオカメラで撮影した写真やビデオ、スキャンした漫画や雑誌の他、メインで使っているノートパソコンのデータは定期的に丸ごとバックアップしている。写真やビデオは500GBを超えているし、漫画や雑誌のスキャンデータは1TBを超えている。ノートパソコンのデータは外付けハードディスクの分も合わせると1TB近くなる。Blu-rayディスクを使ってもとうていバックアップできる量ではない。そこで、安価で大容量な内蔵用ハードディスクを購入し、普段は保管ケースに入れておき、バックアップの際には「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」を使って接続する方法をとっている。前述の様にデスクトップパソコンにはこれ以上内蔵用ハードディスクを取り付ける余裕はないし、ノートパソコンはそもそも外付け化しなければ取り付けられないため、この方法になったのである。
 しかしバックアップするデータは増える一方であるため、今回安くなってきた3TBのハードディスクWestern Digital「WD30EZRX」を購入した。ところが、これが「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」では使用できなかったのである。2.2TBを超えるハードディスクはそもそも使用できるOSに制限があり、データドライブとして使用する場合でもWindows 7かWindows Vistaに限られる。またパソコンに内蔵する場合はSerialATAインタフェースが対応している必要があり、外付け化する場合はその機器が対応している必要がある。対応していないと2.2TB以上の領域が使用できなかったり、746.5GBしか認識しなかったり、そもそも認識しなかったりと言った問題が起こる。今回「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」を使用して、ノートパソコンSONY「VPCF13AGJ」に接続してみた。OSはWindows7 Professional 64bit版であるため、OSの対応は問題ない。まずeSATA接続であるが、残念ながらドライブ自体が認識されなかった。eSATAはSerial ATAの外付け規格なので、eSATA接続の場合、特別変換チップなどを通していないと思われるため、パソコンのSerial ATAポートが2.2TB以上に対応していれば使えると思われるが、残念ながら「VPCF13AGJ」では使用できなかった。「VPCF13AGJ」自体がそれほど古いパソコンでないのだが、認識しなかった理由は謎である。それでは速度が遅くなっても良いので、USB2.0接続してみたが、こちらはドライブを認識はする物の、容量を746.5GBと認識してしまう。これは2.2TB以上に対応していない時の典型的な症状で、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」は2.2TB以上のハードディスクには対応していないことが分かった。
 このままではせっかくの3TBハードディスクが使用できないので、2.2TB以上に対応した製品に買い換えることとした。類似した製品は、「裸族のお立ち台」シリーズ以外にもいくつかあるが、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」の使い勝手や性能、品質に満足していたので、今回も裸族のお立ち台シリーズから選びたいと思う。ホームページを見てみると、3TBに対応た製品が掲載されていた。いくつかあるが、USB3.0に対応した製品が良さそうだ。USB3.0のみに対応した製品、USB3.0のみだが、USBハブが内蔵された製品、USB3.0に加えてeSATA接続にも対応した製品がある。USBハブ内蔵の製品は便利そうだが、価格が7,980円と高価である事と、ハブは別に単体で製品を持っていた方が便利そうだ。パソコン側のポートの空きによってはeSATA接続もできる方が便利だと考え、USB3.0とeSATA接続に対応した、「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」を選んだ。ヨドバシカメラマルチメディア梅田で5,980円(10%ポイント還元)である。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」を使用する。

 「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」は、見た目はこれまで使ってきた「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」そっくりである。違いと言えば、背面のUSBポートがUSB3.0対応の形状になっている事くらいだ。ずっしりと重みがあり、ハードディスクを挿しても倒れる心配が無いのは安心だ。また、角が丸くなっていて側面には継ぎ目がないすっきりとした優秀なデザインは継承されている。ハードディスクの挿し込み口にはカバーがあり、3.5インチハードディスクの場合は、カバーを押し込みながら挿せば使用できる。一方カバーには切り欠きがあり、2.5インチハードディスクの場合はこの切り欠き部分に挿し込めば使用できる。3.5インチハードディスクの場合は挿し込み口全体で、2.5インチハードディスクの場合はカバーによって支えられるので、どちらのハードディスクでもぐらつく心配がないのはうれしいところだ。欲を言えば、2.5インチハードディスク用の切り欠き部分にももう一段内折れ式のカバーが付いていれば、未使用時に挿し込み口が完全にフタができホコリが入る心配がなかったのだが。差し込み口の前方には、「ドライブ取り出し補助ボタン」がついている。これを押せば、差し込んだハードディスクが内部のSerialATAコネクタから抜けた状態まで持ち上がる。ハードディスクを持って引っ張るよりも簡単で端子も痛めなさそうだ。ちなみに、付属品には、USB3.0ケーブルとeSATAケーブルの両方が付属しているので、わざわざ用意する必要がなく親切だ。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」本体である。重みがあるためハードディスクを立てても倒れる心配がない。側面に継ぎ目がなくすっきりとしたデザインなのは好感が持てる。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」を上から見たところである。ハードディスクの挿し込み口にはカバーがあり、3.5インチハードディスクの場合は、カバーを押し込みながら挿し、2.5インチハードディスクの場合は切り欠き部分に挿し込む形となる。差し込み口の手前にあるのが「ドライブ取り出し補助ボタン」、右側の楕円のは電源ランプ兼アクセスランプである。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」の背面である。左から順に電源ボタン、電源コネクタ、USB3.0コネクタ、eSATAコネクタである。USBコネクタが、縦に長く青色に塗られているのが、USB3.0対応になったとわかる部分だ。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」に3.5インチハードディスクを挿し込んだところである。差し込み口全体で支えられるのでぐらつくことはない。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」に2.5インチハードディスクを挿し込んだところである。カバーが奥に押し込まれず、ハードディスクがカバーで支えられるため、こちらもぐらつくことはない。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」の本体と付属品である。USB3.0ケーブルとeSATAケーブルの両方が付属しており、別途用意する必要がないのは親切だ。

 上部には丸くボタンの様になっているが、これはボタンではなく、LEDランプだ。左半分は青色に光り電源オンを意味し、右半分は赤色に光りハードディスクへのアクセスを意味する。前面と側面には何も無い。背面にはUSB3.0ポートとeSATAポート、さらに電源コネクタと電源ボタンが配置される。電源コネクタには付属のACアダプタを接続する。2.5インチハードディスクの様な消費電力が低いドライブでもUSBバスパワー動作はできず、かならずACアダプタが必要だ。まあ、本体自体が重く、携帯する様な物ではないため、安定動作のためにもACアダプタを繋ぐのは当然と言えるだろう。ちなみにこのACアダプタも、これまで使ってきた「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」と同じようだが、実は違うところがある。ACアダプタとコンセントを繋ぐケーブルのACアダプタ側が、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」では丸を二つくっつけた様なコネクタ形状で中に丸形の端子が2つある、通称メガネ型と呼ばれる形状であった。これはパソコンのACアダプタなどにも使われる事の多い一般的な物だ。一方、今回の「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」では、六角形のコネクタ内に板状の端子が3つある形状の物に変更されている。ACアダプタにはメガネ方の丸を3つにした通称ミッキー型のコネクタが使われることもあるが、今回のコネクタは、デスクトップパソコンの電源や液晶ディスプレイに接続する時に使われる物だ。なぜこの形に変更されたのかは謎ではあるが、とりあえずACアダプタの流用や共通利用はしない方が良さそうだ。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」が動作している状態である。手前で光っているのは電源ランプ兼アクセスランプである。青色は電源ランプ、赤色がアクセスランプとなる。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」(左)と、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」(右)の比較である。形や色などそっくりである。唯一USBポートがUSB3.0対応になっているのが違いである。

「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」(左)と、「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」(右)のACアダプタである。サイズが若干異なるほか、「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」(右)では、コネクタが大型になり、デスクトップパソコンなどで見かける形状のものへ変更されている。


3TBハードディスクを使用する

 それでは目的であった3TBのハードディスクを使用してみることにしよう。接続するパソコンはVPCF13AGJで、OSはWindows 7 Professionalなので問題ない。「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」ではeSATA接続ではハードディスクが認識されなかったことから、USB3.0接続をする。すると、今度は問題なくハードディスクを認識した。そこでフォーマットを実行する。ディスクの管理上でフォーマットを行う際にパーティションスタイルを「GPT」でフォーマットを行うことが注意点だ。さすがに3TBもの容量なので、フォーマットには十数時間かかってしまう。ようやくフォーマットも終え、ドライブのアイコンも無事に表示された。これで3TBのハードディスクを無事に使える様になったわけである。
 ちなみに「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」でeSATA接続を試してみると、こちらもあっけなく認識された。パソコン側のeSATAポートの問題ではなく、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」自体が接続方式に関係なく2.2TB以上のハードディスクが使用できないだけだった様だ。

「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」の転送速度を計測する

 それでは、「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」の転送速度を計測してみよう。接続したのはSONYのノートパソコン「VPCF13AGJ」である。CPUはCore i7-740QM(1.73GHz)、メモリが4GB、OSはWindows 7 Professionalである。USB3.0ポートとeSATAポートの両方を搭載しているので、テストにはもってこいである。テストはCrystalDiskMark 3.0を使用し、テストデータ1000MB、テスト回数5回でベンチマークテストを実行したものを、さらに3回行った平均値としている。
 今回の「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」では、USB3.0接続とeSATA接続の両方で計測し、インタフェースによる差があるかを調べた。さらに、これまで使っていた「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」のUSB2.0接続とeSATA接続でもテストを行い、製品間での差も調べた。また、一般的な外付けハードディスクケースと比べるため、USB3.0対応の製品「3.5”はい〜るKIT Super Speed USB3.0(NV-HS310U3)」の結果も掲載している。なお、旧製品でもテストを行うため、搭載するハードディスクは両方で使える2TBのWD20EARSを使用している。667GBプラッタで5400rpm、64MBキャッシュと速度よりも低騒音、低消費電力をうたった製品ではあるが、ある程度の指標にはなるだろう。また、今回の購入目的であった3TBのハードディスク「WD30EZRX」が、「WD20EARS」と比べて速度アップしているかも比較を行っている。


 それでは、まず「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」自体の速度を見てみよう。eSATA接続では、さすがの速度でシーケンシャルリードが127.03MB/s、シーケンシャルライトが124.93MB/sとなっている。これはパソコンに内蔵した場合とほぼ同じ速度なので、十分な速度が出ていると言えるだろう。また、「裸族のお立ち台eSATAプラス(CROSU2)」のeSATA接続との比較でも、若干ながら差が出ているのがおもしろい。実際に使用する上で差を感じる程かどうかは分からないが、新製品だけあって、若干のスピードアップを果たしているのはうれしいところだ。そして、今回新たに対応したUSB3.0接続ではあるが、こちらはeSATA接続と比べると残念な結果だ。シーケンシャルリードは124.73MB/sと1.8%ほど遅いだけだが、シーケンシャルライトは88.47MB/sと29.2%も遅い。これは実用上のかなりの差になりそうだ。パソコンのインタフェースの問題かと思い、別のノートパソコン「VGN-SZ94S」にUSB3.0インタフェースカード「IFC-EC2U3/UC」を取り付けたパソコンにも接続して計測したが同じ結果となった。また、ハードディスクとの相性が悪いのかと思い、サムスンの「HD204UI」を搭載して計測したが、シーケンシャルライトが遅いという傾向は変わらなかった。USB3.0接続の場合、デジカメの写真や動画データの保存場所といったような、保存したデータを読み込むのが主ならeSATA接続と変わらない使い勝手だが、書き込みを行う場合は若干遅くなると言う事は覚えておいた方が良さそうだ。ただ、USB3.0接続の一般的な外付けハードディスクケース「3.5”はい〜るKIT Super Speed USB3.0(NV-HS310U3)」でも同様の傾向が見られたため、「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」のUSB3.0接続が他製品と比べて劣るわけではなさそうだ。むしろ、「3.5”はい〜るKIT Super Speed USB3.0(NV-HS310U3)」に比べてシーケンシャルリードで6.8%、シーケンシャルライトで12.1%高速なので、前述のeSATA接続の場合と併せて「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」は、簡易的に内蔵ハードディスクを外付け化できる製品だが、性能は本格的であることが分かる。


 それでは、3TBハードディスク「WD30EZRX」と2TBハードディスク「WD20EARS」で速度差を見てみよう。前述の様にUSB3.0接続ではライト性能が低下するため、eSATA接続でテストを行っている。両製品とも、回転数は5400rpmで、キャッシュは64MBというのは同等だが、プラッタ容量は「WD20EARS」が667GBなのに対し、「WD30EZRX」では750GBと若干アップしている。この点がどの程度速度に影響するかが鍵となる。
 テスト結果を見ると、シーケンシャルリード・ライト性能に関しては若干向上しているものの、シーケンシャルリードが2.0%、シーケンシャルライトが2.4%とわずかな差にとどまっている。たしかに回転数やキャッシュ容量が変わらず、プラッタ容量が12.4%上がっただけではこの程度の差だろう。ランダムリードに至っては性能差はないに等しいといえる。一方、ランダムライトの性能には大きな差が出ている。512Kのテストで20.8%、4Kのテストで36.8%もスピードアップしている。理由は不明だが、小さなデータを大量に書き込み場合は、うれしい結果ある。



 今回は3TBのハードディスクに対応するのを一番の目的として製品を買い換えた。その3TBへの対応が無事に行えたのもうれしいところだが、同時にUSB3.0に対応できたため有意義であった。USB3.0での接続はeSATA接続と比べると書き込み速度が物足りないが、読み込み速度に関してはほぼ同等で、使い勝手に大きな影響はないと思われる。また、USB2.0接続と比べると雲泥の差になっているため、USB3.0接続する理由は十分にある。今回購入した「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」は製品の質や使い勝手の良さもさることながら、USB3.0とeSATAという高速な接続方法を選べるのがメリットだ。価格は若干高めだが、今後使っていくことを考えれば、USB3.0とeSATAの両対応の「裸族のお立ち台 USB3.0eSATAプラス(CROSEU3)」をおすすめしたい。
(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
センチュリー http://www.century.co.jp/
ハードディスク接続キットのページ http://www.century.co.jp/products/pc/hdd-kit/