第138回
UHS-I高速転送対応SDカードリーダー・ライター
バッファロー BSCRSDXU3BK
(2012年1月6日購入・2013年5月13日著)



高速なメモリカードを探す

 最近、我が家ではSDカードのデータ転送の頻度もデータ量も増えている。例えばデジタルカメラの場合、1800万画素なので、1枚当たり4MB程度になる。手ぶれによる失敗や表情を選びたいため、常に連写しているため、1度出かけると結構な枚数となる。250枚なら1GBになるわけだ。また、デジタルビデオカメラだけでなくデジタルカメラでもフルハイビジョン動画が撮影できる。最高画質だと28Mbpsで、1秒当たり3.5MB消費する。1分で210MB、1時間で12.6GBである。趣味で長時間撮影をすることが多いため、10GB超えは結構多い。いずれもパソコンと本体をUSBケーブルで直接つないで転送も可能だが、私の場合SDカードに記録していることもあって、カードを本体から抜いてパソコンのSDカードリーダーに挿し込み読み込んでいる。また、携帯電話にデータを入れたり、NetWalkerに動画を入れて持ち歩いたりと言う際にも、microSDカードを使用している。そして、最近では電子書籍をSDカードに転送する機会が多くなっている。私の場合、電子書籍と言っても、実際の書籍をドキュメントスキャナを使ってスキャンした、いわゆる自炊したもので、漫画や雑誌だけでなく文字だけの小説も全て画像型式なので、それなりの容量になる。現在はバッテリ内蔵デジタルフォトフレームを電子書籍リーダーとして使用しており(ロードテスト第136回参照)、内蔵メモリは2GBと少ないが、SDカードが使用できるため、SDカードに書籍データを転送 しデジタルフォトフレームに挿して使っている。そのデジタルフォトフレームの液晶ディスプレイの解像度に合わせて1280×768ドット以下まで縮小しているため、1ページは平均200KB程度になるが、1冊200ページだとすると40MB、30冊転送すると1.2GBになる。このように、データをSDカードに転送する機会が増え、また大容量のデータを転送するとなると、転送時間が気になるようになってきた。特に動画や書籍データといったGB単位の転送の待ち時間は結構な物だ。
 しかし、高速にすると言っても非常に難しい。SDカードの内、4GB以上のSDカード規格「SDHC」と、64GB以上のカード規格「SDXC」には「スピードクラス」の表記を記述することが義務づけられるようになっており、2MB/s以上のクラス2、4MB/s以上のクラス4、6MB/s以上のクラス6、10MB/s以上のクラス10がある。クラス10のカードを何枚の速度を計測してみると、いずれも21〜23MB/s程度の速度となっていた。メーカーが独自に公開している速度もその辺りだ。また製品差はないようで、この辺りが限界のようだ。
 しかし、最近では一眼レフデジカメにも使用されるようになるなど、徐々に高速性が求められるようになり通常のスピードクラスとは別に、UHS-Iに対応しているという表記がなされた製品が出てきた。UHSとは「Ultra High Speed」の略で、これまでよりバスクロック等を高速化することで転送速度を向上させたインタフェースの規格である。UHSに対応したメモリカードと、UHSの対応したメモリカードリーダーの組み合わせでのみ、本来の速度で転送できる。UHS-Iの「I」はローマ数字の1であり、UHS-IIも登場予定であるが、現状ではUHS-Iしか存在していない。UHS-Iでは規格上は最大104MB/sまで可能だが、UHS方式での転送に対応しており、10MB/s以上で読み書きが可能ならば「UHS-I」のロゴが付けられる。従来の転送方式でも10MB/sという速度を実現していることから、実際にはUHS転送方式に対応していながら10MB/s以下という製品は無いと思われるため、「UHS-I」のロゴは、10MB/s以上の転送速度を持つという意味よりは、「UHS方式の転送に対応している」事を示すに過ぎない。そのため、メーカーでは独自に転送速度を計測し公開している。UHS-I対応のメモリカードを見ると、低価格な物でも30MB/sをうたっており、少し高価だと40〜45MB/s、最高では95MB/sなどというカードも発売されている。UHS-I対応カードを購入することで従来のSDカードを超える速度が手に入るわけである。
 ところが、前述のように、「UHS-I」高速転送対応のメモリカードリーダー・ライターとの組み合わせでなくては、この速度は出ない。UHS-I高速転送に非対応のメモリカードでも読み書きできるが、その場合は従来の転送方式となるため「UHS-I」のロゴと同時に、従来のスピードクラスの表記も行われる。ただ、UHS-Iに対応しているからと言って、Class 10になるとは限らない。UHS-Iは10MB/s以上であることを保証しているが、UHS方式では10MB/s以上でも、従来方式では速度が落ちるためである。珍しいが、UHS-I対応ながらClass 6と書かれた製品も実際に存在する。

UHS-I対応のメモリカードリーダーを探す

 高速化を目的として、UHS-I対応のSDカードを購入することに決めたが、もう一つUHS-I高速転送対応のメモリカードリーダー・ライターも購入しなければならない。UHS-I対応のメモリカードリーダー・ライターを購入する際にUSB3.0接続に対応しているかも重要だ。USB2.0の転送速度は480Mbps=60MB/s、実際には40MB/s強の転送速度になる。UHS-I対応でもUSB2.0接続だと今度はこちらかボトルネックになってしまう。UHS-Iの製品自体が出始めと言うこともあって対応機種が少なく、USB3.0対応となるとさらに少ないが、その中で選んだのがバッファローの「BSCRSDXU3BK」である。USB3.0対応のメモリカードリーダー・ライターというと、SDカード、メモリースティック、xDピクチャーカード、コンパクトフラッシュといった様々なカードに対応していることが多いが、我が家では実質SDカードしか利用しておらず、それ以外のスロットは無駄である。その点「BSCRSDXU3BK」はSDカードとmicroSDカードのスロットを持つだけとシンプルで、またUSB端子が内蔵されているので、ケーブルを挿す必要が無く、「BSCRSDXU3BK」を直接パソコンのUSB3.0ポートに挿し込んで使える。SDカードとmicroSDカードのみ対応の製品にしてはサイズが大きいが、これは高速転送に対応しているためだろう。様々なメモリカードに対応した製品より安価だったので、この製品に決定した。価格はヨドバシカメラマルチメディア梅田で2,480円(10%ポイント還元)であった。

購入した「BSCRSDXU3BK」のパッケージである。USB3.0対応であることが前面に押し出されているが、右下にはUHS-I対応であることが、その上にはベンチマークテストの結果も掲載し、とにかく高速である事を示している。

「BSCRSDXU3BK」の使い勝手は

 それでは早速「BSCRSDXU3BK」を使用してみよう。本体は、33×59×15mmで、USBメモリと比べてもかなり大きめだ。本体にはUSB端子が内蔵されているが、USBメモリのようにキャップが付いており、これを外してパソコンに挿し込む。キャップは端子と反対側につけることができるためなくす心配がないのは便利だ。USBポートに挿し込むだけで自動的にドライバが組み込まれ、使用できるようになった。特に設定は必要なく、後はカードを差し込むだけだ。ただ、本体に横幅があるため、USBポートが並んでいる場合、隣接するポートが使用できなくなる恐れがある。そこで、USB延長ケーブルが付属している。このケーブルもUSB3.0対応しているため、速度が低下することはない。

「BSCRSDXU3BK」である。SDカードにだけ対応するため、比較的コンパクトだ。USB端子は内蔵されているが、通常はキャップでフタをしておける。

「BSCRSDXU3BK」のキャップを外したところである。USB端子が内蔵されておりパソコンに直接挿すことができて便利だ。

外したキャップは、反対側に付けておくことが可能なので、なくす心配が無く安心だ。

「BSCRSDXU3BK」にはUSB3.0に対応した延長ケーブルが付属している。USBポートが後ろ側にある場合や、隣接するスロットと干渉する場合などに使用する。

 SDカードスロットとmicroSDカードスロットは独立している。そのため、SDカードもmicroSDカードもアダプタ無しで利用することができ便利だ(miniSDカードはアダプタが必要)。ただ、これらのスロットは同時には使用できないのは残念だ。SDカードを差し込んでみると、奥まで挿し込むことはできないが、書き込みロックの部分までは入るので、実用上は問題ない。むしろ引き抜きやすいという点では便利と言える。

「BSCRSDXU3BK」の側面である。上段にmicroSDカードスロット、下段にSDカードスロットを搭載する。同時に使用することはできない。


「BSCRSDXU3BK」の速度は

 それでは、速度をテストしてみよう。今回は「BSCRSDXU3BK」の速度をテストするため、3枚のカードと2つのカードリーダー・ライターを用意した。「BSCRSDXU3BK」はUSB3.0接続に加えUSB2.0接続も行っているため、3つのカードで3通りの計9種類の結果を見て、「BSCRSDXU3BK」の実力を検証してみたいと思う。
 今回用意したメモリカードの内、UHS-I対応の物はSanDiskのExtreme Pro 「SDSDXPA-008G-X46」とグリーンハウスの「GH-SDHCUA8G」である。UHS-I対応製品は価格が高く、出始めと言うこともあって製品も少ない。SanDiskは複数の「UHS-I」対応製品を発売しており、その中で「SDSDXPA-008G-J35」は読込95MB/s、書込90MB/sと超高速だが、8GBの容量ながら5,500円前後と価格もかなり高い。しかし、「SDSDXPA-008G-J35」の海外輸入パッケージである「SDSDXPA-008G-X46」がパソコンパーツショップなどでは手に入る。保証期間が短いなどの違いはあるが、読込95MB/s、書込90MB/sという点は同じで、2,980円と比較的安価に手に入る。また、グリーンハウスの「GH-SDHCUA8G」は同じUHS-Iでも半額の1,480円で手に入る。こちらは、読込40MB/s、書込12MB/sとなっており、特に書き込みが遅い。この2枚に加え、UHS-I非対応のpqiの「BSDH10-8G」も比較対象として加えている。3枚詳しいスペックは以下の通りである。

メーカー
SanDisk
グリーンハウス
pqi
型番
Extreme Pro
SDSDXPA-008G-X46
GH-SDHCUA8G
BSDH10-8G
写真番号
公称スピード
UHS-I
スピードクラス
Class 10
Class 10
Class 10
メーカー独自
最大読込:95MB/s
最大書込:90MB/s
最大読込:40MB/s
最大書込:12MB/s
150倍速
最大読込:24MB/s
最大書込:19.5MB/s
容量
8GB
8GB
8GB
購入日
2012/01/06
2012/01/09
2011/12/27
価格
2,980円
1,480円
790円

 カードリーダー・ライターとしては、「BSCRSDXU3BK」のUSB3.0接続の場合とUSB2.0接続の場合に加え、バッファロー「BSCRA38U2」でもテストを行っている。この「BSCRA38U2」は、UHS-I高速転送に対応しておらず、USB2.0接続だが、USBの高速化技術「TurboUSB」に対応しているため、USB2.0接続でUHS-I高速転送非対応のメモリカードリーダー・ライターとしては高速な部類だ。これにより、「BSCRSDXU3BK」がどの程度高速なのか、そしてUHS-Iに対応していないSDカードでも速度差があるのか検証できる。
 接続したパソコンは、ソニーのVAIO「VPCF13AGJ」で、CPUがCore i7-740QM(1.73GHz)、メモリが4GB、OSがWindows 7 Professionalである。

ベンチマークテストで検証する

 それではまず、ベンチマークテストで計測してみよう。テストはCrystalDiskMark 3.0を利用し、テストデータ1000MB、テスト回数5回でテストを実行したものを、さらに3回実行した平均値を求めている。


 まずは、シーケンシャルシード性能である。UHS-I対応カードの中で特に高速な、「SDSDXPA-008G-X46」の結果を見ると、「BSCRSDXU3BK」のUSB3.0接続の場合では85.61MB/sと、SDカードとは思えない転送速度を記録している。「SDSDXPA-008G-X46」の公称値95MB/sよりはやや遅いが、「BSCRSDXU3BK」のUHS-I対応とUSB3.0接続が十分に力を発揮した格好だ。またUHS-I対応カードの中で低速な「GH-SDHCUA8G」でも45.95MB/sと高速で、こちらはカードの公称値以上の速度を記録している。「BSCRSDXU3BK」の速さが分かる結果である。ただし、比較的低速なカードでは公称値以上の速度が出るが、高速な「SDSDXPA-008G-X46」では公称値を下回るのは気になる。もちろんSDカードのメーカーも異なるので、メーカーのテスト環境の違いにもよるだろうが、「BSCRSDXU3BK」の公式ホームページの製品情報のページに掲載されているテスト結果でも82.4MB/sと書かれているため、「BSCRSDXU3BK」自体が85MB/s前後が限界とも考えられる。
 ちなみに「BSCRSDXU3BK」をUSB2.0接続すると、「SDSDXPA-008G-X46」と「GH-SDHCUA8G」はそれぞれ34.35MB/sと34.20MBsとほぼ同じ速度となった。これはUSB2.0の転送速度がボトルネックになっているためと思われる。UHS-I対応と言うだけでなくUSB3.0対応と言うことも重要であることが分かる。また、UHS-I高速転送非対応のメモリカードリーダー・ライター「BSCRA38U2」を使用した結果では、UHS-I対応カードは共に23MB/s前後となり、UHS-I非対応カード「BSDH10-8G」と同じ速度となっている。やはり、UHS-I対応カードには「BSCRSDXU3BK」のような対応リーダーがないと意味がないことが分かる。またたとえ「BSCRSDXU3BK」をUSB2.0接続した場合でも、UHS-I高速転送非対応のメモリカードリーダー・ライターよりは高速なので、パソコンがUSB3.0に対応していなくても意味があると言える。
 ただし、UHS-I非対応のカード「BSDH10-8G」の結果を見ると、「BSCRA38U2」と「BSCRSDXU3BK」の間に速度差が見られない。「BSCRSDXU3BK」が高速といえども、UHS-I非対応のメモリカードまで高速化する力はないようだ。


 次にシーケンシャルライト性能である。UHS-I対応カードの中でも高性能な「SDSDXPA-008G-X46」は「BSCRSDXU3BK」のUSB3.0接続の場合74.50MB/sと非常に高速な結果を出した。シーケンシャルリード同様、公称値の90MB/sよりはやや劣るが、比較的カード本来の性能を発揮できていると言えるだろう。UHS-I対応カードの中で低速な「GH-SDHCUA8G」でも21.24MB/sと公称値以上の速度を記録している。UHS-I非対応のメモリカード「BSDH10-8G」と同じ速度なのでUHS-I高速転送の意味がないように見えるが、UHS-I高速転送非対応のメモリカード「BSCRA38U2」を使用すると17.51MB/sしかでないため、書き込みが遅い「GH-SDHCUA8G」がUHS-I高速転送を行う事で、他のメモリカード並みになっていると言え、十分にUHS-Iの効果は出ているといえる。
 ただしシーケンシャルリード同様、USB2.0接続にすると速度は低下する。UHS-I高速転送非対応のメモリカードリーダー・ライターを使用するよりは高速だが、29.89MB/sまで落ちてしまう。USB2.0接続ではこのくらいが限界だろう。特に高速なSDカードを使用する場合は「BSCRSDXU3BK」をUSB3.0接続する事が重要だ。また、こちらもシーケンシャルシードと同じく、UHS-I非対応のSDカード「BSDH10-8G」の速度を向上させる力は無いようだ。


 次にランダムリードの性能を見てみよう。512KB単位のランダムアクセスなので、比較的大きなサイズのランダムアクセスである。これを見るとシーケンシャルリードの時と同じような結果となっている。UHS-I対応カードとUSB3.0接続の「BSCRSDXU3BK」の組み合わせでは非常に高速になる。USB2.0接続でも、UHS-I非対応のメモリカードリーダー・ライターよりは高速だが、カードの真の性能を発揮するためにはUSB3.0接続も重要な条件だ。UHS-I非対応のSDカード「BSDH10-8G」の速度は特に高速化していない。


 次にランダムライトの性能である。こちらも512KB単位の比較的大きなサイズのランダムアクセスである。ここでは、これまでと異なる結果となっている。「SDSDXPA-008G-X46」の結果を見ると、USB3.0接続の「BSCRSDXU3BK」の場合5.597MB/sと他のメモリカードより非常に高速になっているのはこれまでと同様だ。ところがUHS-I高速転送非対応の「BSCRA38U2」を使用した場合でもも4.881MB/sとなっており、他のカードより高速になっているのである。同様にもう一枚のUHS-I対応カードの「GH-SDHCUA8G」も、UHS-I非対応の「BSDH10-8G」と比べてやや高速だが、これはUHS-I高速転送非対応の「BSCRA38U2」を使用しても同じ傾向である。結果、ランダムライトでは、「BSCRSDXU3BK」が高速と言うよりはSDカード自体の性能の差と言え、カードが高速ならばメモリカードリーダー・ライターは特に関係がないようだ。残念ながら、ランダムライトの場合「BSCRSDXU3BK」はあまり意味をなしていないことになるのは残念だ。


 4KB単位の小さなファイルサイズのランダムリードではさらに不可解である。UHS-I対応カード、非対応カードに関わらず、UHS-I高速転送に非対応のカードリーダー・ライター「BSCRA38U2」が最も高速である。しかも3種類のカードすべてであり、しかも誤差というレベルではない。「BSCRSDXU3BK」は非常に小さなサイズのランダムリードは苦手なのだろうか。何とも不思議である。


 ランダムライト4Kの結果はランダムライト512Kの結果と同傾向だ。「SDSDXPA-008G-X46」「GH-SDHCUA8G」「BSDH10-8G」の順で高速で、しかも大きな差が開いている。しかしカードリーダー・ライターによる差は出ておらず、カードリーダー・ライターがUHS-I高速転送に対応しているかどうかや接続方式に関わらず、カードの性能によるものの様だ。その点では、「BSCRSDXU3BK」を購入する意味は薄い。

転送速度を実際のファイル転送で検証する

 続いて、実際のファイルの転送にかかった時間を計り、検証してみよう。テストに使用したSDカードは同じく3種類、テストしたカードリーダーも同じく2機種3方式である。また、接続したパソコンも同じくソニーのVAIO「VPCF13AGJ」で、CPUがCore i7-740QM(1.73GHz)、メモリが4GB、OSがWindows 7 Professionalである。ただし、今回はパソコンのハードディスクとの間で実際にファイルを転送してテストを行うため、eSATA接続した3.5インチハードディスク(5400rpm、プラッタ容量750GB)との間で、実際のファイルを転送して、転送にかかった時間を計測している。同じテスト内容を3回実行し、平均値を求めている。また、テストはパソコンからSDカードとSDカードからパソコンの双方向で実施している。テストデータには、「MPEG2動画ファイル1ファイル1.6GB」「写真データ248ファイル計918MB」「画像ファイル1887ファイル計532MB」の大小3種類のファイルサイズのテストデータを用意した。


 まずは、「MPEG2動画ファイル1ファイル1.6GB」の結果である。デジタルカメラ等で撮影したビデオをパソコンに転送する場合や、パソコン上の動画ファイルをスマートフォンなどに入れて持ち出す場合を想定している。
 これを見ると、カード本来の転送速度がそのまま結果に反映されている印象だ。UHS-I高速転送対応のカードリーダー・ライター「BSCRSDXU3BK」をUSB3.0接続した場合、もっとも高速な「SDSDXPA-008G-X46」では、SDカードからパソコンが32秒、逆が39秒である。これは、UHS-I高速転送非対応のカードリーダー・ライター「BSCRA38U2」を使った場合(それぞれ78秒と80秒)と比べて、41%と49%の時間になっている。ベンチマークテストほど大きな差ではないがかなりの時間差だ。例えば、長時間のビデオ撮影をした動画が16GBだったとすると、「BSCRA38U2」では13分もかかるところ、「BSCRSDXU3BK」では5分20秒で転送できることになる。この待ち時間の差はかなりの物だ。また、ベンチマークテストで遅かった「GH-SDHCUA8G」でもカードリーダーによる差は出ている。また、「BSCRSDXU3BK」をUSB2.0接続した場合でも、52秒と73秒で、特にSDカードからパソコンへの転送が高速だ。現在USB3.0環境が無くても、とりあえずUSB2.0接続で使っても効果ははっきりと感じ取れるはずだ。


 続いて写真データである。デジタルビデオカメラで撮影した248枚の写真(JPEG形式)の転送速度である。248枚で918MBなので、平均3.7MBのファイルである。先ほどの動画データと比べると、1つのファイルサイズが小さくなっている。UHS-I対応カード「SDSDXPA-008G-X64」の結果で比較してみると、「BSCRSDXU3BK」ではSDカードからパソコンへの転送が36秒、逆が48秒である。これが「BSCRA38U2」を使うと64秒と65秒である。「BSCRSDXU3BK」ではそれぞれ56%と74%の時間で完了する。特にデジカメのデータの場合、SDカードからパソコンへの転送を行うことがほとんどだと思われるため、こちらの方がより高速なのはうれしいところだ。「BSCRSDXU3BK」をUSB2.0接続した場合でもSDカードからパソコンへの転送では高速なので、「BSCRSDXU3BK」を使う意味はあるだろう。


 最後に、小さな画像ファイルを転送するテストである。これは、自分で小説や漫画をスキャン(いわゆる自炊)したものを、電子書籍リーダーとして利用している端末の解像度である横768ドットのサイズに縮小したファイルという事である。自分でスキャンした電子書籍データをSDカードに入れて持ち歩く際の転送時間という事になる。今回は1887ファイルで計532MBなので、1ファイルは280KB程度だが、1冊200ページの本でも30冊転送しようとすると6000ファイルになるため、容量は少ないが馬鹿にはならない。
 これを見ると、カードによる差はあるものの、SDカードからパソコンとパソコンからSDカードの双方で、メモリカードリーダー・ライターによる差は見られなかった。前述のベンチマークテストのランダムライト512K/4Kやランダムリード4Kの結果とも一致する。実際に使用する上でも、小さなファイルを大量に転送するような使い方の場合は、「BSCRSDXU3BK」を使う意味はあまりないと言えるだろう。



 今回はUHS-I対応のSDカードを購入したのを機に、メモリカードリーダーも最新の物を購入した。UHS-I対応のSDカードとUHS-I高速転送対応のメモリカードリーダーの組み合わせでは、考えられないほど高速な転送を実現でき非常に満足である。また「BSCRSDXU3BK」はSDカード系しか使用できないが、その分サイズも小さくシンプルであること、そして転送速度に関してはカードの性能を十分に発揮できていることから非常に満足である。小さなファイルを大量に転送する場合は差がないのは残念だが、本体が小型なので旅行に持って行く事で、ホテルや旅館で撮影したビデオや写真の転送が高速にでき、非常に便利だろう。UHS-I対応のSDカードを持っている人で、SDカード系以外は使わないという人には、非常におすすめの製品だ。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
バッファロー http://buffalo.jp/