第153
ハードディスク5台収納外付けケース
センチュリー 
裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA
(CRSJ535EU3)
(2012年8月25日購入・2014年8月29日著)



5台収納の外付けHDDケースが故障した

 ロードテスト第84回でセンチュリーの「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」を紹介した。この製品は、ハードディスクが5台収納可能な外付けハードディスクケースで、1台ずつ外付けハードディスクケースに入れるよりもスペースが小さく見た目もスマートで、電源ケーブルもパソコンとの接続ケーブルも1本ずつで良いなど、非常に便利であった。しかし、最近になって、起動に失敗したり、突然データにアクセスできなくなってしまう事が出てきたのである。ケーブルを替えても症状は変わらず、ハードディスクを取り出して、別の方法でパソコンと接続すると正常に使用できるので、ハードディスクの故障ではない。そもそも5台が一度にアクセスできなくなっているのだから、ハードディスクが一度に壊れたとは考えにくい。パソコン側のeSATAインタフェースボードがおかしいのかとも思ったが、「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」を接続できるeSATAポートはポートマルチプライヤに対応している必要があり、我が家には他にポートマルチプライヤに対応したeSATAポートはない。そこでUSB接続をして試してみようかと思ったのだが、すっかり忘れていたのが、なんと「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」はeSATA接続専用なのだ。USB2.0で速度が遅くても検証はできるだろうと考えていたのだが、USBポート自体がなかったのだ。
 原因ははっきりしないが、「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」は2009年8月26日購入なので、丸4年。1日も休むことなく働いていたので、故障してもおかしくない。このあたりでUSB3.0に対応したケースに買い換えることとした。

5台収納の外付けHDDケースを探す

 それでは、製品を探してみよう。まずは同じセンチュリーの製品を見てみると、「ドライブドアSATAボックスUSB3.0 RAID 5BAY(EX35EU3R)」という製品を発見した。同じ「ドライブドアSATAボックス」であるだけでなく、デザインがうり二つであるため、安心感がある。USB3.0とeSATAの両対応だ。ところがこの製品、価格が30,800円と、これまで使ってきたのが21,750円であったことを考えるとかなり高い。USB3.0ポートが新たに追加されたことを考えても、9,000円の価格差は大きい。その原因はハードウェアでRAIDに対応していることだ(「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」はRAID機能は非搭載)。RAID 0、1、3、5、10、CLONEに設定ができると言うことだが、私の使い方からは不要だ。不要な機能のために価格がここまで高いのは考え物だ。そこで、他の製品も探してみることとした。
 条件としては以下のようになる。
  ●ハードディスクは5台内蔵が可能である事。
  ●USB3.0接続は必須。できればeSATA接続も欲しい。
  ●本体はハードディスク5台+αぐらいの大きさまでで、それほど巨大でないもの。
  ●RAID機能の有無は問わない(使わないが付いていても問題ない)。
  ●価格は2万円前後が望ましい。
 この条件で探してみると、以外と難しいことが分かった。何が難しいかというと、「5台」という事である。4台収納する製品はあるのだが、5台という製品は珍しいようだ。最悪4台でも妥協はできない事もないが、たいていの製品はRAID機能が付いていて、安くても28,000円程度である。なかなか難しいと思っていたところ、センチュリーの「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」という製品を見つけた。センチュリーの「裸族」シリーズは、たいてい簡易のケースとなっていて、クレードルに立てるだけの「裸族のお立ち台」シリーズや、前面や背面と背面が完全に開いているただの金属フレームのような、「裸族のアパート」シリーズなどがあるが、「裸族の集合住宅」シリーズは、きちんとした「ケース」で、ファンも付いている。「裸族のインテリジェントビル5Bay USB3.0+eSATAコンボ(CRIB535EU3)」と似ているが、こちらはRAID機能搭載で27,800円とやはり高価だ。その点、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」はRAID機能非搭載で17,800円とかなり安価だ。ハードディスクを5台収納可能で、USB3.0接続とeSATA接続の両対応だ。本体サイズも小さく、価格面でも条件を満たしている。この製品で決まりである。日本橋でんでんタウンの各パーツショップを回ったところ、「PCワンズ」で15,580円で購入することができた。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA」の外見を見る

 それでは「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」を見てみよう。本体サイズは幅が130mm、高さが185mm、奥行きが260mmである。3.5インチハードディスクのサイズは、製品によりミリ単位の差はあるが、幅が約102mm、高さが約26.1mm、奥行きが約147mmである。5台重ねると、102×130.5×147mmとなる。奥行きは仕方がないとして、幅と高さはハードディスクを5台収納することを考えるとかなりコンパクトだと言えるだろう。前面には5つのドアが並んでいる。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」では、前面全体にメッシュのフロントドアが付いていたが、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」は各ハードディスクの段が正面から見えている。このドアを開けてハードディスクを挿し込む形となる。1段ずつ独立しており、5段あるのが、いかにも5台のハードディスクを搭載できるのを主張して言る。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」は5段のハードディスクベイの最下段に、電源ボタンと5台それぞれのLEDアクセスランプがまとめて並んでいたが、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」は5段目のハードディスクベイの下にスペースが無い。一見すると全体がハードディスクベイとなっていて、上から下までドアとなっている感じだ。アクセスランプは、各ドライブベイの左上の隙間に細長く取り付けられている。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」のように、独立した場所に5つが並んでいるのではなく、それぞれにアクセスランプが付いているため、ある意味分かりやすくなったと言える。
 正面に電源ボタンが無くなったため、背面に電源スイッチが用意される。頻繁に電源をオン・オフする人には前面に電源ボタンがある方が便利だろうが、私の場合常に電源を入れているため電源ボタンを操作することはほとんどなく問題ないといえ、むしろ正面から見たときにすっきりしていて好印象だ。電源連動機能も搭載しているので、パソコンの電源を切ると「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の電源も切れるので安心だ。その電源だが、200W電源を内蔵していると言うことなので、高速なハードディスクを5台取り付けても安心だ。背面にはそれ以外に電源コネクタと、USBコネクタ、eSATAコネクタ、冷却ファンが並んでいる。ACアダプタ方式ではなく、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」に電源が内蔵されているため、電源コネクタはパソコンや液晶ディスプレイのような長方形の角を2カ所斜めに切り取ったような6角形をしたコネクタだ。一般的なコネクタなので、別途長いケーブルを用意することも可能だろう。USBコネクタもeSATAコネクタも一般的な形状で、市販のケーブルが利用できる。USBコネクタは、もちろんUSB3.0形状である。冷却ファンは6cmファンが2つ縦に並んでいる。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」はハードディスク用に8cmファン、電源用に4cmファンが使用されていたが、今回は同じサイズが2つとなっている。2500回転/分という事なので、冷却能力とノイズ量のバランスがとれているように感じる。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」のパッケージである。本体がハードディスクを5台収納する製品だけあって大きいので、箱も大きめだ。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」を正面から見たところである。5台のハードディスクベイが独立して見える。それぞれにアクセスランプが付く。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の背面である。電源コネクタやUSB3.0とeSATAのコネクタ、そして冷却用の8cmファンが2基並んでいる。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の上面である。この面には何もないが、つや消しのブラックなので高級感がある。

 ちなみに、これまで使ってきた「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」と比較してみると一回り小さくなった印象だ。こちらは152×210×280mmであり、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の130×185×260mmと比べても、全体に2cmずつとが小型化したような感じである。また前面はメッシュ状のフタが無くなった分ハードディスクベイがはっきりと分かり、パソコンの周辺機器らしさは強くなったが、光沢のあるブラックからつや消しのブラックになったため、落ち着いた雰囲気となり指紋なども気にならなくなった。

「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」(左)と「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」(右)を並べたところである。「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」が全体にコンパクトになっている。

「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」(左)と「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」(右)を正面から見たところである。全体を覆うメッシュ状のカバーが無いため、雰囲気はずいぶんと異なる。

「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」(左)と「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」(右)を正面から見たところである。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」のメッシュのフタを開けた状態である。ハードディスクベイの下のアクセスランプと電源ボタンのスペースが無い分高さが抑えられていると言うことが分かる。

「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」(左)と「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」(右)を上から見たところである。奥行きも20mm小さくなった。

「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」(左)と「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」(右)の背面である。各種コネクタが並んでいるのは同じだが、12cmファン+4cmファンから、8cmファン2台になったのが大きな違いだ。ちなみに「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」はファンを交換しているためオレンジ色に見える。

ハードディスクを取り付ける

 それでは、実際にハードディスクの取り付け作業を行ってみよう。「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」ではカートリッジ方式となっており、カートリッジにハードディスクをネジで固定し、カートリッジを挿し込む方式であった。一方、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」はカートリッジ不要で、直接ハードディスクを挿し込む方式となる。カートリッジが不要なため、ネジ止めなどの作業が不要である一方、ハードディスク自体をレール上でスライドさせて挿し込むため、ハードディスクがこすれたり、挿し込みに失敗するとハードディスクを壊す危険性もある。また、カートリッジ方式なら、カートリッジをロック機構を付けられるが、ハードディスクを直接挿し込むとなるとそうもいかない。フロントドアを閉めることで出てこないように押さえつけておき、フロントドアを開けるとバネで飛び出す様な構造にするのが一般的なようだが、製品の品質によっては、バネが強すぎてしばらくするとハードディスクがコネクタから外れたり、逆にバネが弱くて出てこないといったトラブルもあるらしい。
 それでは、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」にハードディスクを取り付けてみよう。前面のフロントドアは、専用のドアロックキーでロックされている。付属のキーを挿し込み90度回転させるとロックが外れる。とは言え、ただの三角形のネジ穴となっているだけで、工具を使っても開けられそうだし、製品間で共通のキーであるため、本格的な盗難防止などの意味は無い。どちらかと言えば、動作中に誤って開けてしまうことの無いようにするためのロックと言えるだろう。
 ロックを解除して、フロントドアのラッチを軽く引くと、ドアを開けることができる。内部は空間となっており、奥にSerialATAコネクタが見える。ここにハードディスクをそのまま挿し込んでいく。製品によってはここで挿し込みにくかったり、固すぎたりといった事があるようだが、問題なくスムーズに挿し込めた。ある程度奥まで挿し込んだら、フロントドアを閉めると、ハードディスクが奥まで押し込まれ、SerialATAコネクタに挿し込まれる。この辺りでも問題が発生する場合もある様だが、ここも問題なかった。しかし、ドアをそのまま押して閉めると、本来ならラッチ内部のロックがカチッとはまり、しっかり閉まるはずだが、手で押して閉めるだけだと、ラッチが少し引っ張った状態にまでしか戻らない事がわかった。ラッチを引っ張りつつドアを完全に閉めてから、ラッチから手を離す事でしっかり元の位置まで戻ってロックをかける事ができるため、問題なとは言えるのだが、ドアを閉めるだけでカチャッとしっかり閉まるのではない点に、一抹の不安があるとも言える。とはいえ、あとは付属のキーでドアロックを90度回してしっかりロックをかければ、しっかりフロントドアがロックされるため、ハードディスクが徐々に飛び出してきてしまうような不安はない。
 フロントドアのラッチの問題はあるものの、直接ハードディスクを挿し込めるため、非常に手軽で、ものの数分で5台のハードディスクを取り付けることができた。あとは電源コードを接続し、USB3.0又はeSATAのケーブルをパソコンにつなぎ、背面の電源をオンにするだけである。パソコンを起動すると、自動的に認識し5台のハードディスク全てが「コンピュータ」ウィンドウ上に表示された。動作音は思っていたほど大きくはない。回転数制御などはないが、2500rpmのファンで背面方向なのもあるだろう。確かに単独で聞くと動作音がするが、それもファンの回転音と言うよりは風切り音なので不快な音ではない。また、デスクトップパソコンの隣に置いて使うため、パソコンの動作音と混ざって分からなくなる。その程度の大きさの音なのである。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」付属の専用ドアロックキーでロックを外し、ラッチを引くとフロントドアを開けることができる。ここにハードディスクをそのまま挿し込んでいく。

ハードディスクをこの辺りまで挿し込んだら、あとはフロントドアを閉じていくとハードディスクが押し込まれ、SeriakATAコネクタに挿し込まれる。そのままフロントドアを完全に閉じ、ドアロックキーでロックをかければハードディスクが出てくる心配はない。

「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の付属品である。左からドアロックキー、電源ケーブル、eSATAケーブル、USB3.0ケーブルである。ケーブルは一通り付属しており安心だ。

「裸族のインナー」を試す

 「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」には、おもしろいものが付属している。それが「裸族のインナー」である。これは2.5インチハードディスクやSSDを3.5インチサイズに変換するためのアダプタだ。最近ではデスクトップパソコンにSSDを組み込むことも多く、そのため3.5インチベイに2.5インチハードディスク/SSDを取り付けられるアダプタが多数販売されている。しかし「裸族のインナー」がおもしろいのは、箱形のアダプタの内部に取り付けるようになっており、ネジ穴の位置だけでなく幅や奥行き、厚みまで3.5インチハードディスクと同じサイズになることである。しかも2.5インチハードディスク/SSDのコネクタをそのまま利用するのではなく、内部にSerialATAコネクタがあり、ここに2.5インチハードディスク/SSDを接続する事で、SerialATAコネクタの位置まで完全に3.5インチハードディスクと同じ位置になる。これにより、今回のようにスロットイン方式でハードディスクを取り付けるケースにも、2.5インチハードディスク/SSDが問題なく取り付けられるようになるという製品だ。この「裸族のインナー」は単体でも「CRIN2325」の型番で販売されているが、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」にも1つ付属するというのはなんともうれしいおまけである。
 この「裸族のインナー」は実際には側面の4面と上面の一部が金属パーツで3.5インチハードディスクサイズになっている。表側の2.5インチハードディスク/SSDを取り付ける部分と裏面は完全に開いているため、箱の開けて取り付けるのではなく、裏側から簡単に取り付けられる。裏側から見ると、2.5インチハードディスク/SSDの幅で金属板が立っているため、この間にはめると、ちょうどSerialATAのコネクタに接続できる。あとはネジ止めをして金属板に固定するだけである。ネジ穴の位置は、外側の金属フレームにも穴が開けられているため外側からドライバーでネジ止めか可能だが、ネジを手に持つスペースが小さいため、磁石になっているドライバーの方が作業はしやすいだろう。

「裸族のインナー」と付属のネジである。このネジは一般的なハードディスク固定用ネジで、これを使って「裸族のインナー」に2.5インチハードディスク/SSDを固定する。

「裸族のインナー」を裏側から見ると、3.5インチハードディスクサイズのフレームの中に、2.5インチハードディスク/SSDの幅に合わせて金属板が立っている。

「裸族のインナー」のSerialATAコネクタにSSDを挿し込んだ状態である。まだネジ止めしていないため固定できていない。

側面からネジ止めをする。外側のフレームにも穴が空いているため、ドライバを穴から通して内側のフレームにネジ止めできるが、手でネジを持つスペースはないため、磁石になっているドライバーの方が便利だ。

「裸族のインナー」の側面から見たところである。外側のフレームの穴の奥で、ネジ止めされていることが分かる。

SSDを取り付けた「裸族のインナー」である。ネジ4本でしっかり固定できた。

「裸族のインナー」(左)と一般的なハードディスク(右)をコネクタ側から見たところである。SerialATAのコネクタ位置が完全に一緒になっている。

「裸族のインナー」(左)と一般的なハードディスク(右)である。サイズもコネクタ位置も完全に同じである。

ベンチマークテストで速度をテストする

 それでは、ベンチマークテストを使用して、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の速度をテストしてみよう。「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」はeSATAとUSB3.0の両方でテストを行っている。さらに、これまで使用してきた「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)と、パソコンに内蔵した場合の速度とも比較してみよう。使用したベンチマークテストは、CrystalDiskMark3.0で、テストデータ1000MB、テスト回数5回としてテストを実行した物をさらに3回行った平均値としている。いずれのテストも、マウスコンピュータの「MDV-AGZ8000B」(CPU:Core i7-3770K(3.50GHz・TuboBoost時3.90GHz・4コア8スレッド)/チップセット:Intel Z77 Express/メモリ:8GB/OS:Windows 7 Premium)に接続している。パソコン内蔵のテストは、マザーボード上のSerialATA 6Gbpsポートに接続してテストを行った。USB3.0接続の場合は「MDV-AGZ8000B」標準搭載のUSB3.0ポートに接続した。eSATA接続の場合は、「MDV-AGZ8000B」のPCI Express x1スロットに増設したバッファロー「IFC-PCIE2ES」に接続している。テストに使用したドライブは、Seagateのハードディスク「ST3000DM001」とCFDのSSD「CSSD-S6M64NMQ」の2台である。Seagateの「ST3000DM001」は3TBのハードディスクで、1TBプラッタで7200回転と現時点で非常に高スペックなハードディスクであり、一般向けとしてはかなり高い性能を示す。ただ、それでも読み書き速度は200MB/s前後であるため、より高速なドライブとして、SSDでもテストしている。この「CSSD-S6M64NMQ」はCrucialの「RealSSD C300」という、大人気だったSSDのOEM品で、製品は同じ物だ。SerialATA3.0(6Gbps)に対応しており、読み込み速度は300MB/sを超える。ただ64GBと容量が少ない製品である事から、書き込み速度が遅いため、ハードディスクも同時にテストしているという訳である。


 それでは、シーケンシャルリード/ライトの性能を見てみよう。まずはハードディスクの方の結果である。「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」の速度は、eSATAよりもUSB3.0接続の方がかなり高速である事がわかる。ただし、この結果は「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」と同等が微妙に良い結果となっているため、eSATA接続が特別遅いという訳ではない。パソコンに接続したインタフェースボードの限界と言うことも考えられる。一方USB3.0接続では、リードが188.40MB/s、ライトが189.73MB/sと、パソコンに内蔵した場合と遜色ない性能を示している。USB3.0の転送速度の理論値が5Gbpsなので、当たり前と言えば当たり前だが、5台を1ポートで接続できるという製品であるため、内部的に速度低下があるのではと思っていたが、これはうれしい誤算だ、
 一方SSDでのテスト結果を見ると、今度はUSB3.0の方がeSATAよりやや遅いという不思議な結果となった。eSATA接続のリードの結果はハードディスクの際と変わらないので、やはりインタフェースの制限と考えられるが、USB3.0ではハードディスクで190MB/s近い速度を出しているにもかかわらず、これより遅くなる理由が分からない。SSD全体との相性が悪いのか、この「CSSD-S6M64NMQ」との相性が悪いのかは不明だ。


 続いて、ランダム512Kのリード/ライト性能である。ランダムアクセスではハードディスクの方は速度が大きく落ちるため、パソコンに内蔵する場合と速度の差がほとんど無くなっている。とは言え、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」のeSATA接続と「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」のeSATA接続はほぼ同等の速度である一方、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」のUSB3.0接続の方が10%程度高速である。「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」がUSB3.0接続の方が効率が良いのか、チップセットのUSB3.0ポートの方が拡張スロットに挿したカードを経由するより効率が良いのかは不明だ。とはいえ、ランダムアクセスとなると、パソコンに内蔵した場合とほぼ同じ速度が出ているため安心だ。
 一方SSDの結果は、シーケンシャルアクセスの時と同じような結果だ。SSDでは512K程度のランダムアクセスでは速度があまり落ちない事もあるが、ランダムアクセスでもUSB3.0接続の速度が遅いのは変わらない。SSDを接続する場合は気になる結果である。


 ランダム4Kのリード/ライト性能の結果である。ハードディスクでの結果を見る限りでは速度の差はほぼ無いと言っても良いだろう。ただ、SSDの結果を見ると、ランダム4Kリードに関しては、eSATA接続でもパソコンに内蔵した場合より遅く、USB3.0接続ではさらに速度が落ちるという結果である。やはり何らかの問題があるようだ。ただ、eSATA接続に限って言えば、これまで使っていた「ドライブドアSATAボックス5BAY(EX35ES5)」と同じ速度が出ており、「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」自体の性能は悪くないと言えるだろう。


 おまけとして、付属の「裸族のインナー(CRIN2535)」を経由した場合としなかった場合でテストを行ってみた。今回は速度の速いSSDのみでテストを行い、デスクトップパソコン「MDV-AGZ8000B」のマザーボード上のSerialATA端子に直接接続した場合と、「裸族のインナー(CRIN2535)」にはめた状態でマザーボード上のSerialATA端子に接続した場合でテストを行った。テスト内容などは前のテストと同じである。
 これを見ると、誤差と言える範囲でしか差が出ておらず、「裸族のインナー(CRIN2535)」を使用することにより速度が落ちると言うことはなさそうだ。実際、製品としては外形寸法を変え、SerialATAコネクタの位置を変えるだけの製品で、内部でチップを通して変換すると言ったことは行われていない。そのため、SerialATAの延長ケーブルをつないだような雰囲気だろう。もちろん非常に小さなレベルではノイズなどの関係で速度に差はあるのだろうが、テストで分かるほどの差にはならないだろう。速度低下がなく、スロットイン方式のハードディスクケースに2.5インチハードディスクやSSDを使える、「裸族のインナー(CRIN2535)」は便利な製品だと言えるだろう。



 今回は、外付けハードディスクケースの買い換えと言うことだったが、5台収納可能な製品は意外と珍しい。ましてやRAID機能が不要となると数はかなり限られる。その中で「裸族の集合住宅5Bay USB3.0&eSATA(CRSJ535EU3)」はこの珍しい製品で、しかもeSATAとUSB3.0という2つの高速規格に両対応で、状況に応じて好きな方を選択できるのも便利な点だ。本体も5台を収納できるにしては小型で、「裸族のインナー」が付属するのも親切だ。RAIDに非対応な分、価格も1万5千円台と安価なのもうれしい所だ。1台ずつ5つの外付けケースに入れるよりもコンパクトで、電源ケーブルももパソコンとの接続も1本ずつで、シンプルである。何台かの外付けハードディスクを接続しているという人や、安価にハードディスクを何台も増設したいという人におすすめできる製品である。



(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
センチュリー http://www.century.co.jp/
センチュリーのハードディスクのページ http://www.century.co.jp/products/pc/hdd-case/