第175回
4TBハードディスク
Seagate 
ST4000DM000
(2014年1月23日購入・2017年2月14日著)



4TBハードディスクを手に入れる

 3.5インチハードディスクとしては2014年1月23日現在で4TBが最大容量だ。4TBハードディスクが登場したのは2011年12月なので、すでに2年以上が経過している事になる。最初の製品は日立GSTの「0S03361」で、しばらくはこの製品のみだったが、2013年2月にはSeagateの「ST4000DM000」、2013年9月にはWestern Digitalの「WD40EZRX」が発売になり、各社の製品が揃ってきた印象だ。とは言え、発売当初の価格は2万7千円前後で、その後若干は下がったものの、価格が下がっている2TBや3TB製品と比べるとコストパフォーマンスは低かったため、これまでは容量不足になっても3TB未満のハードディスクを3TBに置き換えたり、3TBを1台増やしたりして対応してきた。
 ところが今回、スキャンしたデータの保管場所にしていた3TBハードディスクがついに一杯になってしまった。2台にデーターを分散すると使いづらく、どうしても1台でこれ以上の容量が必要になってしまった。そこで、価格もやや下がってきたところで、ついに4TBハードディスクを購入する事とした。前述のように各社に4TBのラインナップがあるため、日本橋のでんでんタウンを回り価格を調べたところ、Seagateの「ST4000DM000」が最も安価であった。この3TB版である「ST3000DM001」は何台も購入して重宝しており、特に不満もないため、メーカー的にも問題ない。これを購入することとした。BUY MORE日本橋店で16,980円で購入した。ちなみに同時期の3TB版「ST3000DM001」は10,970円。GB単価はそれぞれ4,245円と3.657円で、やはり4TB版のコストパフォーマンスは悪いが、それでも発売当初よりはかなり安く買えたと言えるだろう。

ST4000DM000を見る

 それでは、「ST4000DM000」を見てみよう。一般的なハードディスクと同じデザインで、特に3TB版の「ST3000DM001」と同じに見える。しかし、型番を見れば分かるように、下3桁が「001」から「000」に変更されているのである。実は回転数に違いがあり、「ST3000DM001」では7200rpmであったが、「ST4000DM000」では5900rpmに落とされているのである。

型番
容量
回転数
プラッタ容量
ディスク枚数
キャッシュ
外形寸法
ST1000DM003
1TB
7200rpm
1TB
1枚
64MB
146.99×101.6×20.17mm
ST2000DM001
2TB
7200rpm
1TB
2枚
64MB
146.99×101.6×26.1mm
ST3000DM001
3TB
7200rpm
1TB
3枚
64MB
146.99×101.6×26.1mm
ST4000DM000
4TB
5900rpm
1TB
4枚
64MB
146.99×101.6×26.11mm

 このラインナップを見ると、プラッタ容量やキャッシュ容量は同等である事がわかる。そして、下3桁が003の1TBモデルは、厚みが一般的なハードディスクより薄くなっている。これはディスク枚数が1枚で実現できる事から可能になったものだ。一方下3桁が000の4TBモデルは、ディスク枚数が4枚となっているだけでなく、回転数が5900rpmに落とされている。プラッタ容量やキャッシュ容量が同じなので、実質的に回転数が遅くなった分、転送速度が遅くなってしまうはずだ。しかし、低速な製品としてよくある5400rpmではなく5900rpmとした辺りが、少しでも速度低下を防ごうというこだわりが感じられる。
 回転数は異なるが、2TBや3TBモデル、また他社のモデルとサイズは同じなので、問題なく一般的な3.5インチハードディスクとして使用できる。ある意味回転数が低い分だけ低消費電力で発熱も低く、扱いやすくなったとも言えるだろう。逆に言えば、プラッタ枚数が増えたために、そのまま7200rpmでは発熱が大きくなりすぎるため、回転数が落とされたという予想もできる。

「ST4000DM000」である。一般的な3.5インチハードディスクである。

「ST4000DM000」(左)と、「ST3000DM001」(右)である。「ST4000DM000」はプラッタ枚数が1枚増え、回転数が5900rpmに落とされているが、表面のへこみの形状まで同じだ。

「ST4000DM000」(右)と、「ST3000DM001」(左)のSerialATAコネクタ部分である。当然ながらコネクタの位置なども同じである。


「ST4000DM000」の速度をテストする

 それでは、肝心の転送速度をベンチマークテストを利用して比較してみよう。今回購入した「ST4000DM000」の他に、同メーカーの3TB版「ST3000DM001」でも比較としてテストを行った。 前述のように、こちらは回転数が7200rpmで、回転数の違いがどの程度の差になるのか分かるはずだ。使用したベンチマークテストは、CrystalDiskMark3.0で、テストデータ1000MB、テスト回数5回としてテストを実行した物をさらに3回行った平均値としている。いずれのテストも、マウスコンピュータの「MDV-AGZ8000B」(CPU:Core i7-3770K(3.50GHz・TuboBoost時3.90GHz・4コア8スレッド)/チップセット:Intel Z77 Express/メモリ:8GB/OS:Windows 7 Premium)のマザーボード上のSerial ATA 6Gbpsポートに接続してテストを行っている。


 まずはシーケンシャルアクセス性能を見てみよう。ST3000DM001に対してリードで86.2%、ライトで87.0%との性能となっている。回転数が低く、プラッタ容量などが同じなのだから仕方のないところだろう。ちなみに回転数は7200rpmと5900rpmで81.9%であり、回転数の割には検討していると言える。また160MB/sオーバーと言えば一昔前の7200rpmのドライブ並みであり十分に高速であると言える。


 続いてランダムアクセス性能である。まずは512Kの比較的大きなサイズのランダムアクセスである。「ST4000DM000」はリードが51.90MB/s、ライトが88.40MB/sであり、やはり「ST3000DM001」よりは劣るが、それぞれ86.8%と89.9%とシーケンシャルアクセスよりも差は縮まっている。


 続いて比較的小さな4Kのランダムアクセス性能である。こちらの差は86.8%と96.4%となっており、さらに差は小さくなっている。またQD32の方の結果ではほぼ同性能となっている。
 よってシーケンシャルアクセス性能は確かに回転数の差の分だけ劣るが、とはいっても十分に高速である。また、ランダムアクセス性能ではシークタイムなども重要となる事から、回転数の影響する割合が減っており、結果的に差は縮まっていると考えられる。


 今回は初めて4TBのハードディスクを購入したが、心配された性能低下も、元々がかなり高速なドライブだけに、回転数が落とされても十分高速であった。実際の使用上も遅いと感じることはなかった。確かに3TB版に比べるとコストパフォーマンスは悪いが、1台で4TBの容量が必要ならば十分に価値のある製品と言えるだろう。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
Seagateのページ http://www.seagate.com/jp/ja/