モバイルノートパソコン VAIO株式会社 VAIO Pro11 「VJP1111AR」 (2015年1月8日購入・2018年8月18日著)
筆者の現在のパソコン環境は、デスクトップパソコンと大型ノートパソコンとモバイルノートパソコンの3台体制である。普段の作業は大型ノートパソコンで行っている。一方、時間のかかる動画や画像の一括変換としてにはデスクトップパソコンを使用している他、大容量ハードディスクを複数台接続しているので、デジカメやビデオカメラ、スキャンしたデータなど大容量のデーターの保存場所としてもデスクトップを利用している。そして、持ち歩いて文書を打ったりホームページを閲覧したりするのはモバイルノートパソコンを利用している。現在、モバイルノートパソコンはマウスコンピュータのLuvBook Sシリーズ「LB-S210B」である。Core i3-2350M(2コア4スレッド/2.30GHz)と4GBのメモリを搭載し、11.6インチの1366×768ドットの液晶となっている。2012年1月9日と、購入は3年ほど前なので、まだまだ現役で、スペック的にも最高級ではないものの、十分な性能となっている。その上、ハードディスクをSSDに換装したことで快適性はアップし、モバイルノートとしては1.5kgは少々重いものの、まだまだ使う予定であった。 ところが、ここに来て予備機を1台捻出する必要が出てきた。親戚に入院する者が出て、病院でも使えそうな小型のパソコンを1台貸し出すことになったのだ。そもそも、そういった用途として、Acer の「Aspire One D250」があった。しかし、これは「ネットブックパソコン」という名称で小型・低価格なノートパソコンが流行った頃の製品で、CPUはAtom N280(1.66GHz)でメモリは2GB、1024×600ドットの10.1インチ液晶を内蔵しているというかなり低スペックの製品だ。OSがWindows XPであるためサポートを終了している上、ホームページを見るのにももたつき、デジカメの画像など開こうものなら10秒以上待たされるという、タブレット端末にも劣る使い勝手だ。さすがにこれを使うには無理があると言うことで、家族から要請があり、もう少し高性能な機種を予備機に回すことになった。そして、コンパクトで置き場所に困らず、それでいてある程度の性能がある「LB-S210B」を選んだのである。入院時の貸し出しだけで無く、家族のパソコンが故障した際にも買いに行くまでの間使えたり、一時的に発生する長時間かけて行う作業などのためにも、予備機は1台あると便利である。 しかし、モバイルノートパソコンが無くなってしまったので、急遽購入することとした。予備機を捻出した分、家からの補助もでると言うことで、低価格という事だけにこだわらず、機種を選びたいと思う。
それでは機種を選ぶ上での条件を考えてみよう。 1、液晶ディスプレイは11.6インチ程度がベストである。ただし、液晶は明るめで鮮やかな機種が望ましい。解像度は1920×1080ドットが必須である。 2、重量は、現状の1.5kgでは重く感じることから。もう少し軽い機種が望ましい。 3、CPUはそれほど高性能で無くて良いが、現状のよりは落としたくは無い。 4、ストレージはSSDを標準搭載、又はSSDに交換できる機種が望ましい。 5、USB3.0ポートは2ポート以上あるのが望ましい。 1に関しては、現在使っている機種の11.6インチでも視認性は悪くなく、それ以上大きくなると本体も大きくなり、鞄への収まりが悪いことから同サイズが良いと思われる。ただし、現在の機種の液晶はやや暗く、鮮やかさも低いため、光の当たるところで使うと画面が見にくかったり、旅行先で撮影した写真やビデオを見ると見にくかったりしてしまう。そのため、ある程度レベルの高い液晶が望ましい。また、解像度は1920×1080ドットがほぼ必須である。現在は1366×7688ドットなのだが、左右にウィンドウを並べて作業を行うことが多く、その場合に横が1366ドットでは狭いと感じるのだ。どうしてもという場合は妥協できるが、できるだけこだわりたい点だ。2に関しては、現状が1.5kgだが、やはり鞄に入れて持ち歩くとズシッと感じる。もう少し軽いと体への負担も小さいのだが。3のCPUは現状がCore i3-3250Mである。2コア4スレッドで2.3GHzと結構高性能だ。1〜2割程度の低下は許容できるが、元々処理性能不足で買い換えた機種であるため、大きく性能が落ちると元の木阿弥となってしまう。5に関しては、家にいる間は使っていないため、たまに外付けハードディスク間の転送やエラーチェックなどの作業を行わせる作業機として使う事がある。また最近の機種は有線LANポートが搭載していない事も考えると、USB3.0接続の有線LANアダプタを接続することもある。そういった事からUSB3.0ポートが1基では心許ない。優先順位は低いが2ポート以上が望ましい。
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メーカー | マウスコンピュータ | Acer | Acer | ASUS | VAIO | VAIO | VAIO | DELL | DELL | NEC | NEC | マウスコンピュータ | |
型番 | m-Tab MT-iPE1100WN |
Aspire Switch 10 SW5-012-F12P/S |
Aspire Switch 11 SW5-171-F34D |
ASUS TransBook T100TAM |
VAIO Pro 11 VJP1111AX |
VAIO Pro 11 VJP1111AJ |
VAIO Pro 13 VJP1311AH |
Inspiron 11 3000Series 2 in 1 |
New XPS 13 Graphic Pro | Lavie Tab W PC-TW710T2S |
Lavie U PC-LU350TSS |
LuvBook S LB-S210B |
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製品画像 | |||||||||||||
価格 | 69,800円 | 36,240円 | 89,430円 | 54,410円 | 118,584円 | 156,384円 | 156,384円 | 55,167円 | 129,384円 | 87,260円 | 129,380円 | 49,980円 | |
OS | Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 8.1 32bit |
Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 8.1 with Bing 32bit |
Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 8.1 64bit |
Windows 8.1 64bit |
Windows 8.1 with Bing 32bit |
Windows 8.1 Update 64bit |
Windows 7 Home Premium 64bit SP1 | |
Microsoft Office | − | − | − | Microsoft Office Home and Business 2013 |
− | − | − | − | − | Microsoft Office Home and Business 2013 |
Microsoft Office Home and Business 2013 |
− | |
CPU | 種類 | Pentium-3561Y | Atom Z3735F | Core i3-4012Y | Atom Z3775F | Core i3-4030U | Core i5-4210U | Core i5-4210U | Core i3-4010U | Core i5-5200U | Atom Z3795 | Core M 5Y10 | Core i3 2350M |
動作クロック(標準/最大) | 1.2GHz/− | 1.33GHz/1.83GHz | 1.5GHz/− | 1.33GHz/1.83GHz | 1.9GHz/− | 1.7GHz/2.7GHz | 1.7GHz/2.7GHz | 1.7GHz/− | 2.2GHz/2.7GHz | 1.6GHz/2.39GHz | 0.8GHz/2.0GHz | 2.3GHz | |
コア数/スレッド数 | 2/2 | 4/4 | 2/4 | 4/4 | 2/4 | 2/4 | 2/4 | 2/4 | 2/4 | 4/4 | 2/4 | 2/4 | |
CPUMarkスコア (マルチ/シングル) |
1235/643 | 919/327 | 2237/870 | 919/327 | 2753/1080 | 3438/1480 | 3438/1480 | 2437/960 | 3866/1554 | 1658/478 | 2617/1136 | 2643/1094 | |
メモリ(標準/最大) | 4GB/4GB | 2GB/2GB | 4GB/4GB | 2GB/2GB | 4GB/4GB | 8GB/8GB | 8GB/8GB | 4GB/4GB | 8GB/8GB | 4GB/4GB | 4GB/4GB | 4GB/8GB | |
グラフィック | Intel HD Graphics | Intel HD Graphics | Intel HD Graphics 4200 | Intel HD Graphics | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 5500 | Intel HD Graphics | Intel HD Graphics 5300 | Intel HD Graphics 3000 | |
ストレージ | 128GB SSD (M.2規格SerialATA) |
64GB eMMC(本体) 500GB HDD(キーボード) |
60GB SSD(本体) 500GB HDD(キーボード) |
64GB eMMC(本体) 500GB HDD(キーボード) |
128GB SSD | 256GB SSD | 256GB ハイスピードSSD (PCI Express x4接続) |
500GB HDD | 256GB SSD | 64GB eMMC | 128GB SSD | 256GB SSD | |
液晶 | サイズ | 11.6インチ | 10.1インチ | 11.6インチ | 10.1インチ | 11.6インチ | 11.6インチ | 13.3インチ | 11.6インチ | 13.3インチ | 10.1インチ | 11.6インチ | 11.6インチ |
解像度 | 1920×1080ドット | 1280×800ドット | 1920×1080ドット | 1366×768ドット | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット | 1366×768ドット | 1920×1080ドット | 1920×1200ドット | 1920×1080ドット | 1366×768ドット | |
タイプ | 広視野角液晶 | IPS液晶 | IPS液晶 | IPS液晶(グレア) | TRILUMINOS DISPLAY for mobile (低反射コート) IPS液晶 |
TRILUMINOS DISPLAY for mobile (低反射コート) IPS液晶 |
TRILUMINOS DISPLAY for mobile (低反射コート) IPS液晶 |
IPS TRuelife HDタッチパネルディスプレイ (360度裏返し対応) |
インフィニティ ディスプレイ 400cd/m2(非光沢) |
高輝度IPS液晶 | 高輝度IPS液晶 | 光沢液晶 | |
タッチ機能 | 静電容量方式10点 | あり | 静電容量方式10点 | あり | なし | なし | なし | あり | なし | あり | あり | なし | |
カードリーダー | mciroSDXCカード | microSD | microSD | mciroSDXCカード | SDXC(UHS対応) | SDXC(UHS対応) | SDXC(UHS対応) | SD | SDXC | microSDXC | microSDXC | SDXC | |
インタフェース | ディスプレイ | microHDMI | N/A | microHDMI | microHDMI | HDMI | HDMI | HDMI | HDMI | mini DisplayPort | microHDMI | microHDMI/WiDi | HDMI |
USB | USB3.0×1(フル) | microUSB2.0(本体) USB2.0(フル・キーボード) |
USB3.0(フル・本体) USB2.0(フル・キーボード) |
microUSB2.0(本体) USB3.0(フル・キーボード) |
USB3.0×2 | USB3.0×2 | USB3.0×2 | USB3.0×1 USB2.0×2 |
USB3.0×2 | USB2.0×1(フル) | USB3.0(本体) USB2.0(キーボード) |
USB3.0×1 USB2.0×2 |
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サウンド | ヘッドフォンマイク端子 (4極ミニプラグ) |
N/A | ヘッドフォンマイク端子 | ヘッドフォンマイク端子 | ヘッドフォン端子 | ヘッドフォン端子 | ヘッドフォン端子 | ヘッドフォンマイク端子 | ヘッドフォンマイク端子 | ヘッドフォンマイク端子 (4極ミニプラグ) |
ヘッドフォンマイク端子 (4極ミニプラグ) |
ヘッドフォン端子 マイク端子 |
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無線LAN | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11n/a/g/b | IEEE802.11n/a/g/b | IEEE802.11ac/n/a/g/b | IEEE802.11ac/n/a/g/b | IEEE802.11ac/n/a/g/b | IEEE802.11n/g/b | IEEE802.11ac/n/a/b/g | IEEE802.11n/a/g/b | IEEE802.11ac/n/a/g/b | IEEE802.11b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 + LE | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 + HS | Bluetooth 4.0 + HS | Bluetooth 4.0 + HS | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 4.0 | Bluetooth 3.0 + HS | |
Webカメラ | 100万画素(前面) 100万画素(背面) |
− | − | 126万画素 | 92万画素 Exmor R for PC |
92万画素 Exmor R for PC |
92万画素 Exmor R for PC |
あり(720p) | あり(720p) | 200万画素(前面) 800万画素(背面) |
200万画素(前面) 500万画素(背面) |
130万画素 | |
スピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオスピーカー | ステレオ(1W+1W) | ステレオ(0.5W+0.5W) | ステレオ(0.7W+0.7W) | ステレオスピーカー | |
マイク | モノラルマイク | モノラルマイク | モノラルマイク | モノラルマイク | デュアルマイク | デュアルマイク | デュアルマイク | N/A | N/A | マイク(3カ所) | − | モノラルマイク | |
センサー | 加速度センサー ライトセンサー 電子コンパス |
− | 照度センサー Gセンサー 電子コンパス ジャイロスコープ |
− | − | − | − | − | − | GPS 加速度センサ 地磁気センサ ジャイロセンサ 照度センサ搭載 |
速度センサ 地磁気センサ ジャイロセンサ 照度センサ |
− | |
キーボード | 着脱方式 | マグネット着脱式 | マグネット着脱式 | マグネット着脱式 | マグネット着脱式 | 着脱不可 | 着脱不可 | 着脱不可 | 着脱不可 | 着脱不可 | 溝にはめ込み式 (角度固定) |
溝にはめ込み式 (角度固定) |
− |
キー数 | 84キー | 87キー | 87キー | 87キー | 87キー (バックライト付き) |
87キー (バックライト付き) |
87キー (バックライト付き) |
N/A (防滴) |
N/A (バックライト付き) |
85キー | 86キー | 86キー | |
キーピッチ | 17mm | N/A | N/A | N/A | 16.95mm | 16.95mm | 19mm | N/A | 19mm | 18.5mm | 18.5mm | 17.5mm | |
ストローク | 1.5mm | N/A | N/A | N/A | 1.35mm | 1.35mm | 1.35mm | N/A | 1.3mm | 1.8mm | 1.8mm | N/A | |
バッテリー駆動時間 | 8.1時間 | 8時間 | 6.5時間 | 9.6時間 | 9.5時間 | 9.0時間 | 10.5時間 | 8時間18分 | 15時間(メーカー値) | 9.8時間 | 8.2時間 | 5.3時間 | |
背面スタンド | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | |
本体サイズ | 本体 | 296.3×189.8×11.4mm | 261.6×177.1×8.9mm | 298×192.4×10.6mm | 263×171×10.5 mm | − | − | − | − | − | 256.5×177×8.95mm | 301.1×192.5×9.6mm | − |
本体+キーボード | 297×199 ×19.5mm |
261.6×177.1 ×20.2mm |
298×192.4 ×25mm |
263×171 ×25.6 mm |
285×197 ×11.8〜15.8mm |
285×197 ×11.8〜15.8mm |
322×216 ×11.3〜15.8mm |
299.98×200.98 ×19.4mm |
304×200×9〜15mm | 256.5×197.4 ×16.8〜23.8mm |
301.1×216.7 ×17.4〜26.4mm |
288×195×36mm | |
重量 | 本体 | 810g | 585g | 850g | 570g | − | − | − | − | − | 598g | 795g | − |
本体+キーボード | 1.09kg | 1.17kg | 1.65kg | 1.17kg | 770g | 770g | 940g | 1.39kg | 1.18kg | 1.148kg | 1.355kg | 1.5kg |
以上が候補となる機種一覧である。候補としてはモバイルノートパソコンで高性能・軽量のものと、キーボードがドッキングしてノートパソコンとしても利用できるタブレットパソコンである。タブレットパソコンの場合は、キーボードとのセット販売と言うだけで無く、完全にドッキングできる機種に限定した。またBluetooth接続では不安定であるという話を良く聞くため、ドッキングすることで物理的に接続される機種とした。そういった機種は少なめであるため、性能にこだわらず候補としている。 一方、モバイルノートパソコンでは性能が低めの安価な機種は多数あるが、これらは省いた。キーボードから分離してタブレットとして使えるなら性能を犠牲にする選択肢もあるが、同じノートパソコン型で今より性能を大きく落とすという選択肢は無い。そこで、ある程度以上の性能の機種のみ候補とした。なお、タブレット型として有名なマイクロソフトのSurface Pro 3が入っていないが、液晶がワイドタイプで無い事が理由だ。どちらかと言えば横方向に広い方が使い勝手が良く、またキーボードが薄型すぎて使いづらく感じたため、キー入力が多い筆者の使い方とは合わないとして候補から外している。 まず、キーボードと分離できタブレットとして使用できる機種には2種類ある事が分かった。キーボードとドッキングした際に背面にスタンドが必要かどうかである。スタンドが無い方がノートパソコン的に使えるし、液晶(タブレット本体)の角度調整もしやすい。しかし、ノートパソコンと異なり液晶部分に本体が入っているため、こちら側に重量がある。キーボード部分が軽すぎると、液晶を倒したときにバランスを崩して後ろに倒れてしまう。そのため、キーボード側もある程度以上重くないといけないため、本体+キーボードの総重量が増えてしまう。見たところ、タブレット部分とほぼ同じ重量が必要なようだ。一方、液晶側(本体側)とのバランスを考えなければ、キーボード部分はかなり薄型・軽量にすることが出来、そうするとドッキング時の総重量も軽く薄型になる。しかし、そのままでは後ろに倒れてしまうため、背面にスタンドが必要になる。 今回候補となったうち、マウスコンピュータの「m-Tab MT-iPE1100WN」だけがスタンド有りのタイプだ。タブレット本体が810gながらキーボードドッキング時に1,09kgと280gしかアップしない。一方スタンドなしのタイプはAcerの「Aspire Switch 10」と「Aspire Switch 11」、ASUSの「TransBook T100TAM」、NECの「Lavie Tab W PC-TW710T2S」「Lavie U PC-LU350TSS」である。それぞれ、タブレット本体とキーボードドッキング時の重量が、585g/1.17kg、850g/1.65kg、570g/1.17kg、598g/1.148kg、795g/1.355kgとなり、キーボードドッキング時の重量はかなり増加する。キーボード側にハードディスクを内蔵したりUSBポートを内蔵したりという付加価値を付けるほか、「Lavie Tab W PC-TW710T2S」や「Lavie U PC-LU350TSS」の様に、ドッキング時の角度を固定することでキーボード側の重量を若干軽くしてもバランスが崩れないようにした機種もあるなど、各メーカー工夫されている。 もう一つ、性能面での違いがある。タブレット型の場合、CPUにAtomを使用している機種がほとんどだ。本体サイズやバッテリサイズに制限がある上に、発熱が大きいCPUを入れるとファンが必要になり、動作音が大きくなるなどの問題がある。しかし、性能面では大きく劣るほか、もう一つ問題がある。Atomは「Bay Trail-T」の開発コード名で呼ばれる新しいAtom Z3000シリーズになっているため、64bitのOSにも新たに対応している。しかし、Instant Go(スリープ時にも通信し続けるスタンバイモード)に対応したドライバの64bit版の開発が間に合っておらず、64bit版のWindowsのサポートは、しばらく経ってからとなる。そのため、現時点では32bit版のWindows 8を採用しているのである。すると、64bitアプリで動作しない可能性があるほか、ハードウェアなどでも64bit用のドライバしか提供されない製品があると動作しないなど、64bit Winddwsを採用した場合と比べて思わぬ所で問題が出る可能性もある。また、メモリも最大3GB程度までしか利用できない。Atomを採用している時点で、そこまでのメモリを使う重い作業をするかと言う疑問はあるが、主流の64bit版Windowsでない点は不安だ。またAtom搭載機では、ストレージにeMMCを採用している。これは、SSDの様なフラッシュメモリの記憶装置だが、SSDほど高速では無くやや速めの2.5インチハードディスクと言ったところだ。eMMCはSSDより安価で低消費電力でサイズも小さいためタブレットパソコンには採用されるものの、SSDより遅いのは気になるところだ。 まずは、分離してタブレットになるタイプの方から、「使える」レベルなのか検証してみよう。なお、CPU欄の「CPU Markスコア」は、PassMarkのベンチマークテスト「CPU Mark」のテスト結果であるが、あくまで「そのCPUを採用した機種の平均的なスコア」が分かるサイトからのもので、その機種でのCPU Markの結果では無い。それでも採用したCPUがどの程度の性能を持つか参考にはなるだろう。 まずは分離可能なタイプの中でも唯一背面スタンドが必要な、マウスコンピュータの「m-Tab MT-iPE1100WN」を検証してみよう。この機種は価格が69,800円と安いながら、AtomではなくPentium-3561Yを採用しているのがポイントだ。Core iシリーズよりは低価格で性能も低いが、Core iシリーズの流れを組む製品だけに、Atom Z3735Fよりコア数が半分で動作クロックが低く、TurboBoostも無いが、シングルスレッド性能で倍、マルチスレッド性能でも34%高い性能となっている。またメモリも4GBで、ストレージも128GBのSSDとなっている。液晶は11.6インチでフルHD対応、IPS液晶かどうかの記述は無いが「広視野角液晶」となっておりIPS液晶の可能性は高い。コストパフォーマンスは非常に高い。そこで、日本橋でんでんタウンの「マウスコンピュータ大阪ダイレクトショップ」に出向いて触ってみることとした。タブレット部分の見た目や液晶の明るさは合格点以上で、キーボードの配列も好感が持てる。しかし、実際に使ってみると問題があった。机の上で使う分には問題ないが、筆者は電車の中で膝や鞄の上に置いて使うことが多い。そういった状態で使ってみるとキーボードが安定しないのだ。鞄の中敷きの様な固いボードの上にキーを乗せた感じであるため、机の上のような固い面に置いて使えば問題ないのだが、膝や鞄の上では柔らか過ぎるのだ。また、タブレット部分もスタンドが必要となるが、膝や鞄の上ではバランスが悪く倒れそうになることがあった。また、後方にスタンドを立てるスペースが必要だがこれが思いの外大きな必要である事が分かった。、カフェの机の上や新幹線の机、ホテルの机などそういったスペースがとれない場合も多く、そうなるとどうしようも無くなってしまう。やはり背面スタンドが必要な機種は難しそうだ。価格とスペック面では非常に良かっただけに残念だ。 それではスタンドなしの機種はどうだろうか。どうしても重量が増すが、その中でも軽量なのはAcerの「Aspire Switch 10」、ASUSの「TransBook T100TAM」、NECの「Lavie Tab W PC-TW710T2S」である。それぞれ1.17kg、1.17kg、1.148kgと現在使っている機種の1.5kgと比べると軽くなる。しかし、いずれもAtom搭載で、前2機種がZ3735FでCPUMarkは919、「Lavie Tab W PC-TW710T2S」たけ動作クロックが高いZ3795だがCPUMarkが1658である。今使っているのがCore i3-2350MでCPUMarkが2643である事を考えると、Z3795でも性能は足りていない。その上、軽量な理由として液晶が10.1インチと小さい事もある。解像度も「Aspire Switch 10」は1280×800ドット、「TransBook T100TAM」は1366×768ドットである。「Lavie Tab W PC-TW710T2S」は1920×1200ドットとこの点は優秀だが、ストレージが64GBのeMMCだけというのはさみしい。逆に「Aspire Switch 10」と「TransBook T100TAM」はキーボードに500GBのハードディスクを搭載しているため、その点は優れているのだが。結局、キーボードから分離してタブレットとして使用できるという点は面白そうだが、そのために性能的にかなり妥協しなければならず、候補からは外すこととした。 それでは同じタイプながら、11.6インチ液晶でAtom以外のCPUを採用した機種はどうだろう。Acerの「Aspire Switch 11」はCore i3-4012Yを採用しCPUMarkは2237と、今使っている機種から15%ほど低下するだけだ。ストレージも本体に60GBのSSD、キーボードに500GBのHDDとなる。11.6インチのフルHD液晶でIPS液晶なので品質も良い。ただ、タブレット本体が850g、キーボードドッキング時は1.65kgと、現状の1.5kgよりさらに重くなるのはいただけない。前回も「少しぐらい重くなっても」と妥協した結果、持ち運びの際に後悔したので、これ以上の重量増加は妥協できない。 もう1機種、NECの「Lavie U PC-LU350TSS」である。CPUに最新のCore M-5Y10を採用し、標準動作クロックは0.8GHz(800MHz)と低く、TurboBoost時も2.0GHzと、今使っているCore i3-2350Mの2.3GHzよりも低い。2コア4スレッド動作というのも同じだ。しかし、世代が新しくなりクロックあたりの性能も向上したため、CPUMarkのスコアではほぼ同等を示しており、処理性能に不満は無い。メモリも4GBでストレージは128GB SSD、11.6インチのフルHD液晶で、高輝度のIPSタイプである。本体にUSB3.0が1基とキーボードにUSB2.0が1基と、分離可能タイプにしては多めだ。本体重量は795gで、キーボードと合わせても1.355kgと、今より150gは軽くなる。気になるのは本体をキーボードの溝にはめることでノートパソコン型にして使用する方式であるため、液晶の角度調整ができない点だ。そこで実際に店頭で確認してみると。液晶が広視野角のIPS方式であるため、多少斜めから見ても視認性はさほど悪くならず、また、キーボード側が軽いため心配されたバランスの悪さも無いことが分かった。液晶を閉じる際は一度溝から抜いて水平に挿し込む必要があるが、さほど手間ではなさそうだ。キーも入力しやすく動作も速い。Microsoft Officeが付いて129,380円というのは安くは無いが高くも無いと言ったところだ。分離可能タイプなら、この機種で決まりだろう。 ここで、問題になるのがそこまでしてタブレッド型に分離できる必要があるかという事だ。確かにタブレット型にできれば、横になって調べ物をしたり書籍を読んだりと便利だろう。しかし、すでに7.7インチ液晶のAndroidタブレッドを所持しているため、そこまで使う頻度が多いとは思えない。そのために犠牲にするものが多ければ、こだわる必要も無いかもしれない。 ここで、一覧表の中で通常のノートパソコン型の機種を見てみよう。VAIO株式会社の「VAIO Pro 11」と 「VAIO Pro 13」、DELLの「New XPS 13 Graphics Pro」の3機種である。いずれもカスタマイズできるが、購入する可能性のある構成で掲載している。また「VAIO Pro 11」は2パターンで比較している。まず、分離可能タイプで候補となった「Lavie U PC-LU350TSS」と同じ液晶サイズの「VAIO Pro 11」で見てみよう。Core i3-4030U(1.9GHz)のならCPUMarkのスコアが今使っている機種や「Lavie U PC-LU350TSS」とほぼ同等となる。メモリを4GBとしSSDを128GBとすると価格は118,584円。Microsoft Office無しなので、「Lavie U PC-LU350TSS」よりやや高めだ。とはいえ、液晶は11.6インチのフルHDで、「TRILUMINOUS DISPLAY for mobile」という名称のIPS液晶で、明るく広視野角なだけで無く色が鮮やかなのが特徴だ。そして、なにより重量が770gと、今使っている機種の半分「Lavie U PC-LU350TSS」と比べても600g近く軽いこととなる。サイズも「Lavie U PC-LU350TSS」の301.1×216.7×17.4〜26.4mmと比べると285×197×11.8〜15.8mmと、幅と奥行きはやや小さく、そしてかなり薄いことが分かる。SDカードスロットはmicroSDタイプではないし、USB3.0が2基使いやすい位置にあるなど、やはり使い勝手は上だ。また、さらにCore i5-4210U(1.7GHz/TurboBoost時2.7GHz)を選び、SSDも今と同サイズの256GBを選んで156,384円という構成にすることもできるなど、さらに上の性能を狙うことは可能だ。特にSSDの256GBというのは、現在使っていてぎりぎりなので、本当は128GBでは心配なのだ。こうなると、タブレット型に分離できる点と、軽さと使い勝手が良い点のどちらを取るかである。結局。冷静になってみればタブレット型に分離する機会はそうあるとは思えず、それよりも使い勝手の良さや持ち運んだときの体への負担を考えると、結局分離できない、普通のノートパソコン型が良いという結論になった。 さて、「VAIO Pro 11」には兄弟機の「VAIO Pro 13」がある。その名の通り、液晶ディスプレイが13.3インチとなる。その分、本体サイズが322×216×11.3〜15.8mmと大きくなるが厚くはなっていない。また、重量は940gと、今使っている機種より560gも軽く、重量の面では問題ない。面積的の大きくなっている分、キーピッチが16.95mmから19mmに大きくなり、入力しやすくなっている。しかし、それ以外はさすが兄弟機といったところで、液晶のタイプからカードスロットや各種端子、Webカメラや無線LANの機能まで全く同一だ。しかし、性能面に影響する違いが一つある。両機種ともSSDは小型のM.2タイプのものを採用している。しかし「VAIO Pro 11」は内部の接続は従来のHDDなどと同じSerialATAで、最大転送が6Gbps(実際は600MB/s)となり、SSDの性能に対してそろそろ頭打ちだ。一方「VAIO Pro 13」はPCI Express x4接続で、最大転送速度は20Gbpsとなる。実際、ベンチマークテストでも「VAIO Pro 11」は500MB/s台なのに対して、「VAIO Pro 13」は1000MB/s台となっており、使い勝手に影響しそうだ。本来は「VAIO Pro 13」の方が高いのだが、キャンペーンで「VAIO Pro 11」と同価格になっているのが悩ましいところだ。もう一つDELLの「New XPS 13 Graphics Pro」もある。こちらも13.3インチ液晶を搭載しているが、フレームを極限まで細くすることで304×200×9〜15mmと、「VAIO Pro 11」に近いサイズになっているのが特徴だ。つまり11.6インチ液晶の機種と同じ鞄への収まり具合で13.3インチ液晶の機種が使えるのである。しかし、重量は1.18kgと「VAIO Pro 13」よりさらに重く、「VIAO Pro 11」と比べると410gアップとなる。CPUはCore i5-5200Uで、1世代新しい上に動作クロックも2.2GHz(TurboBoost時は2.7GHz)と上がっているため、CPUMarkのスコアも高い。8GBのメモリと256GBのSSDだが、SSDは従来タイプだ。液晶は当然フルHDだが、インフィニティディスプレイという名称で、400cd/m2の明るさはかなりのものだ。USB端子の数や無線LAN、Bluetoothの性能などは同じだ。 こうなると、面積か重量を少し妥協して13.3インチ液晶が必要かと言うことになる。しかし、実際にモバイルと自宅での使用を兼用するわけでは無く、持ち運んで使う以外の用途が無いのが現状だ。そうなると、液晶サイズより携帯性が重視されるわけで、結果「VAIO Pro 11」がベストという結論に至った。
「VAIO Pro 11」は受注生産となっており、カスタマイズが可能だ。とはいえ、SONYからVAIO株式会社に移行した際に、カスタマイズできる項目がかなり限定された。その内容を見ていこう。 |
(黄色地の選択肢が今回選択した構成) | ||||
(+0円の構成を選んだ場合) |
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+0円 |
+5,400円 |
(Windows 8.1 Proダウングレード版) +5,400円 |
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+0円 |
+19,440円 |
+24,840円 |
+51,840円 |
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(Windows 8.1選択時のみ) +19,440円 |
(Windows 8.1選択時のみ) +24,840円 |
(Windows 8.1選択時のみ) +51,840円 |
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(2コア/4スレッド/1.90GHz/3MBキャッシュ) +0円 |
(2コア/4スレッド/1.70GHz/TB時2.70GHz/3MBキャッシュ) +10,800円 |
(2コア/4スレッド/2.0GHz/TB時3.1GHz/4MBキャッシュ) +21,600円 |
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(最大4GB) (Core i3/i5選択時のみ) +0円 |
(最大8GB) (Core i5/i7選択時のみ) +10,800円 |
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(Core i3/i5選択時のみ) +0円 |
(Core i5(メモリ8GB)/i7選択時のみ) +16,200円 |
(Core i7選択時のみ) +54,000円 |
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1920×1080ドット TRILUMINOS DISPLAY for mobile (低反射コート) +0円 |
1920×1080ドット TRILUMINOS DISPLAY for mobile タッチパネル搭載 (Core i5/i7選択時のみ) +10,800円 |
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(UHS対応) |
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(92万画素) |
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16.95mmキーピッチ 1,35mmキーストローク バックライト搭載 |
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+0円 |
+8,640円 |
以上がカスタマイズ項目である。OSに関しては、メインで使用する大型ノートを購入した際は、古いソフトウェアや使い勝手の面でWindows 7を使う事も可能なよう、Windows 8.1 Proのダウングレード権を使用してWindows 7 Professionalを選択した。こうすることで、Windows 7とWindows 8.1のどちらでも使用できるようにしたのだ。その結果、Windows 8.1でも問題が無いことが分かったため、今回はできるだけ価格を抑える事もあって、Windows 8.1 Update 64ビットを選んだ。Officeに関しては必要だが、パッケージ版を購入した方が2台までインストールが可能なので、実は割安である。これまで使ってきたモバイルパソコンのOfficeをアンインストールし、新しいパソコンでライセンス認証を取り直すだけだ。なので、「なし」を選ぶ事になる。 CPUに関しては、悩みどころである。Core i3-4030UでもCPUMarkのスコアは2753/1080(マルチコア/シングルコア動作時、以下同様)で、今使っているCore i3-2350Mの2643/1094と比べてほぼ同等性能だ。そのため、これでも問題ないとも言える。しかし、Core i5-4210Uへは+10,800円でCPUMarkのスコアは3438/1480と約25%向上する。TurboBoostに対応し、発熱に余裕があるときは動作クロックが2.7GHzまで向上するためだ。モバイルノートに性能は求めないとは言え、外出先や旅行先のホテルで簡単な画像編集やビデオの変換をしないとも限らない。また、逆に標準動作クロックは下がるので、軽い作業の時は消費電力や発熱が減り、バッテリ駆動時間に影響する可能性もある。せっかく新しいパソコンになるのに性能が向上しないのもさみしいので、Core i5-4210Uを選ぶ事とした。一方、もう10,800円高くなるCore i7-4510UのCPUMarkのスコアは3968/1678で15%の向上だが、Core i3-4030U→Core i5-4210Uの場合と比べるとコストパフォーマンスは悪い。Core i7でも数字の後がQMのものと異なり、UやMのものはCore i5と同じ2コア4スレッドで、キャッシュがやや多いのと、TurboBoost時の向上が大きくなっているという違いだけだ。もちろん標準動作クロックが向上している分性能は上がるが、Core i7の名前から想像するほどでは無い。今回はCore i5-4210Mにしておくことにした。 Core i5を選んだのでメモリは4GBと8GBが選択可能だ。それぞれ最大容量も4GBと8GBになっており、増設は不可能そうだ。特に小型のモバイルノートの場合、メモリはオンボードで交換不可という事が多いからだ。となると購入時に決めておく必要がある。4GBでも問題ないかとも思うのだが、次の選択肢「SSDの容量」を考えると8GBとなる。SSDは現在使っているのが256GBで結構ぎりぎりなので、256GBを選びたい。512GBはさすがに+54,000円で手が出ないが、256GBなら+16,200円である。しかし、256GBを選ぶためには、Core i5でメモリが8GBかCore i7でなくてはならない。それを考えるとメモリは8GBである。オーバースペックの気もするが、後で増設もできないし、よしとしよう。SSDは前述のように256GBとなる。 グラフィックはCPU内蔵のものとなる。ディスプレイは11.6インチ1920×1080ドットでTRILUMINOS DISPLAY for mobileである点は決まりなのだが、タッチパネルを搭載するかという選択肢がある。タッチパネルを付けると、金額が10,800円アップするだけで無く、本体重量も100gアップし、厚みも最薄部で2mm、最厚部で1.4mm厚くなる。また、タッチパネルであるため、低反射コートが行われない。770gに対しての100g増は大きく、タブレット型にもできないのでタッチパネルを使うとは思えず、そのために10,800円出すのも無駄な気がする。また低反射コートされていた方が映り込みが抑えられ液晶が見やすいはずだ。ここはタッチパネル無しを選んだ。 あとは、固定スペックが多い。光学ドライブはなし、カードリーダーはUHSの高速転送に対応したSDカードスロットを搭載、無線LANはIEEE802.11ac/n/a/b/g対応で高性能だが有線LANは非搭載だ。Bluetoothも搭載する。ステレオスピーカーとデュアルマイクとを搭載し、"Exmor R for PC" CMOS という裏面照射型CMOSをのWebカメラを搭載し明るく撮影できる。キーボードは日本語配列で、バックライトを搭載している。 後は、サポートである。3年保証は標準で付いているのがうれしいところだが、ベーシック保証からワイド保証にするかどうかだ。ベーシック保証は自然故障しか対象に含まれないが、ワイド保証なら破損・水ぬれ・火災も対象となる。モバイルパソコンだけあって、こういった事態も想定されるため3年ワイドに入りたいところだ。実は、ソニーから「3年ワイド無料クーポン」がもらえていた。しかし、VAIO株式会社に移行したため使えないかと思っていたが、購入がソニーストア経由であるためか使えるのだ。そこで、8,640円相当の3年ワイド保証は無料で付けられた。 合計は156,380円となる。さらに、今だけ5%オフキャンペーンをしており、7,819円引きとなり、148,561円となった。実質は3年ワイドの8,640円も割引なので、16,459円は安くなった事になるため、結構お得だった。送料は無料である。Core i5と256GBのSSDに8GBメモリで、綺麗なフルHDの液晶を搭載のモバイルパソコンが15万円弱で購入できたのは、結構安いと言えるのでは無いだろうか。ちなみに、Core i5に8GBメモリ、256GBのSSD、タッチパネル無しを選んだので、型番は「VJP1111AR」となる。
注文が2015年1月8日で、2015年1月17日に届けられた。ソニー時代と比べて特に遅くなった印象は無い。梱包用の段ボール箱の中から出てきたのは、黒に「VAIO Pro 11」のロゴが入った箱であった。シンプルながら格好良いデザインだ。早速開けると、「VAIO Pro 11」が見えた。取り出してみて、まず驚いたのは、その軽さだ。以前の機種より軽いというのは頭で理解していたが、想像以上に軽くて驚いた。同じ11.6インチ液晶を搭載した機種とは思えないほどだ。さすがに1.5kgから770gになったインパクトは大きい。そして次に薄い事に驚いた。底面に向かって斜めに面取りされている事もあって、特に薄い前方部分はかなりの薄さだ。また厚みのある後方部分ですら15.8mmしかないのだから、かなり薄く感じる。それでいて持ったときに、へこんだりたわんだりする事が無く、非常にしっかりしているのは、モバイルパソコンとしては非常にうれしいところだ。カーボン繊維を重ねることで、軽さと強さを両立させた「UDカーボン」を採用しているのが、この驚きにつながっているのだろう。
さて、本体の天板はつや消しのブラックで、非常に細かくザラザラとしているため、落ち着いた印象だ。光沢感のあるブルーの本体だったこれまでと比べると大人の印象になった。それと同時に滑りにくくなっている様だ。また、SONY時代から変わらず、大きく「VAIO」ロゴが入っている。しかも金属がはめ込まれているのだ。薄型軽量にするためにプリントにしたいところだろうが、高級感が違う。本体を裏返すと、裏面にも同じくVAIOロゴが大きく入っている。こちらは表面の加工をやや変えることでVAIOロゴが薄く見える様になっている。またメモリやストレージがオンボードで交換不可であるため、フタなどは一切無く、バッテリも交換不可なので、非常にすっきりしている。唯一、シートバッテリーを取り付けるコネクタがあるが、ここもフタをされているため気にならない。表面だけでなく通常は見ることがない裏面にまでネジが1本も無く、そこにVAIOロゴと言うのが、こだわりが感じられるデザインだ。
それでは液晶ディスプレイを開けてみよう。液晶ディスプレイを開けて感じるのは、その開き方の面白さだ。ただの2つ折り形状が開くのとは異なり、液晶ディスプレイを開けていくと、少し下に下がるように開いていく。表現が難しいのだが、液晶ディスプレイが本体の裏側に少し飛び出るように開いてくといった方が良いのだろうか。開いたときの液晶ディスプレイの底面に当たる部分にはゴム足が有り、これで支えることにより、本体後方が浮き上がる形となる。元々手前側が薄くなる形状のところに、キーボードが前に傾くため、机の上との段差が小さくなりキー入力しやすくなる。また、裏側にファンは無いとは言え、机の上から浮くことで放熱性も考慮されているようだ。また、デザイン面ではヒンジ部分が隠れるため、すっきりしているほか、液晶ディスプレイの高さが下がるためキーボードとの距離が縮まり、目線の移動が少なくてすむなど、良いことずくめである。 また、スピーカーが、このヒンジ部に埋め込まれている。ちょうどキーボード面の背面に当たる部分で、液晶ディスプレイが前述のように下がりながら開くので、キーボード面の背面との間に隙間ができる。そこから音が出ると液晶ディスプレイ面に反射して音が聞こえるという方式である。デザイン面と音質の両方を考えたデザインだ。音質は、起動後に確認してみよう。 液晶ディスプレイの下にもVAIOロゴが入っている。ソニー時代は、ここにSONYロゴが入っていたのだが、VAIO株式会社製になったことで、ここもVAIOに変更された。特に違和感は無い。液晶ディスプレイの上にはWebカメラが内蔵されている。カメラの周囲を金属パーツなどで大きく縁取りアピールするのではなく、カメラのレンズがそのまま埋め込まれただけで、液晶フレームに溶け込んでいる。このカメラ、「Exmor R for PC」という名前のソニーお得意の裏面照射型CMOSセンサーだ。ソニーではデジタルカメラやデジタルビデオカメラは「Exmor R」、スマートフォンには「Exmor R for mobile」というセンサーを採用しており、それのパソコン版だ。ソニーから独立しても「Exmor R」のブランド名はそのままだ。一般的なCMOSセンサーと比べると、暗いシーンでもノイズが少なく明るく撮影できるという。
キーボード面を見てみよう。一般的なアイソレーションキーボード(キー1つ1つが独立したキーボード)だが、光沢感のない黒いキーボード面に、光沢のある黒のキーボードはなかなかおしゃれである。キーピッチは16.95mmと、大型ノートパソコンの19mmよりやや小さいが、横幅が小さくなったキーも無く、すべてのキーが同じ大きさなのも、整然と並んでおり美しく見える。配列も一般的で、特殊な一のキーも無いので使いやすい。ちなみにキー自体のサイズは横が13mm、縦が12mmだが、一番下の段のみ縦が16mmとなっており、よく使うスペースキーなども使いやすくなっている。またカーソルキーはその半分の高さとはなるが、独立しているため打ち間違いが少なく使いやすいといえる。また、これまで使っていた「LB-S210B」は、再下段の左から順に「Fn」「Ctrl」となっていたが、これまで使ってきた機種では一番左が「Ctrl」になっていた。そのため、コピーやペーストのショートカットキー(「Ctrl」+「c」や「Ctrl」+「v」)を使用する際に、つい間違ってしまうことが多かった。確かにメーカーによって、どちらのキーが一番左かは異なっており、一概にどちらが正解とは言えないのだが、「Ctrl」が左端の機種が多く、これまで使ってきた機種もそうであったため、その形に慣れている。「VAIO Pro 11」は「Ctrl」が一番左になっているので、使いやすいのはうれしいところだ。 その手前にはタッチパッドがある。ジェスチャー機能にも対応しており、左右のクリックボタンが一体になっているタイプだ。そのため、大型になっており、使いやすそうだ。パームレスト部分はキーボード周りとは異なり、ヘアライン加工の半光沢ブラックとなっており、これもおしゃれだ。 キーボードの右側には電源ボタンがある。電源を入れると電源マークが緑に光るのだが、ちょうどキーボード面から側面にかけての角部分も緑に光る。そのため、液晶ディスプレイを閉じても電源の状態が分かるように工夫されてる。
本体側面を見ていこう。左右共に、前方は薄くなりすぎていて端子や排気口を作る余裕が無いため、後方に寄っている。右側面には手前からイヤホンマイク、USB3.0×2基、HDMI出力端子となっている。HDMIはminiやmicroではなく、通常サイズなのは使い勝手が良さそうだ。左側面は排気口と一番奥に電源コネクタがあるだけだ。排気口が右側にあるとマウスを使う手に温風が当たり不快だが、左側なので安心である。手前側は内側に大きく面取りされ、薄さを際立たせているが、実はその部分にSDカードスロットが配置される。持ち上げて見ないと気づかない場所で、はっきり言って使いやすいとは言えない。ただ、本体は薄型に作っていても、SDカードスロットの挿し込み口はシャッター式だ。使わないときにダミーカードを入れる方式だと、持ち運んで使うモバイルノートパソコンの場合無くしてしまう可能性が高く、シャッター式なのは安心だ。このあたりのこだわりはさすがといえる。
ついでに付属品を見てみよう。ACアダプタは非常に小型で、携帯に便利そうだ。そして面白いのは、パソコンに接続する側のケーブルが、側面から出ているのだ。なぜかと思うと、ACアダプタの先端部分にUSBポートが搭載され、周囲が何かはめ込めそうになっているのだ。実は、ここにはワイヤレスルーター「VJ8WAR100」(ソニー時代はVGP-WAR100)を取り付けられるのだ。「VJ8WAR100」はホテルなどで有線LANでのインターネットサービスしか提供されない場合に利用する「ホテル用ルータ」だ。「VAIO Pro 11」は有線LANポートが無いため、ホテルの有線LANを無線LANにするルーターが必要になる。しかし家庭用の無線LANルータの様な大きなものを持ち歩くわけにはいかない。そこで、単純に有線LANを無線LANにする機能に特化する事で、小型化したのが「ホテル用無線LANルータ」だ。LANポートはインターネット側のLANケーブルを接続するポートのみで、有線LANポートを分けることができず、PPPoE接続もできないが、その分小型で、またUSBバスパワーで動作するのが特徴だ。もちろんパソコンのUSBポートに有線LANアダプタを接続する方法もあるが、この方法なら少ないUSBポートを使用しないですむし、このパソコン以外にスマートフォンやタブレットを接続することもできる。そして「VJ8WAR100」はVAIO純正の「ホテル用無線LANルータ」である。純正品だけあって、ACアダプタの先端に取り付ける事が出来、見た目はACアダプタが少し長くなっただけの様に見え、完全に一体化する。また、ACアダプタにあるUSBポートから電源を取るため、別途電力供給のためにUSBケーブルをパソコンに接続したりする必要が無いというわけだ。かなりこだわったオプション製品と言えるだろう。このUSBポートは5Vで1A出力と、一般的なUSB充電器と同じ使用なので、スマホを充電するのにも使えて便利だろう。 それ以外に、HDMI−D-Sub15ピンの変換ケーブルが付属しているのも面白いところだ。確かに本体がここまで薄いとD-Sub15ピン端子を付ける余裕はなさそうだ。しかし外付けのディスプレイならHDMIに対応したものは多いが、プロジェクターなどはまだD-Sub接続の製品も多い。ビジネス利用も想定に入れて、変換ケーブルがオプションでは無く付属しているのだろう。
それでは、電源を付けて使ってみよう。電源ボタンを押すとボタンが緑色に光り電源が入った。SSDを搭載しているため、起動はかなり高速だ。初期設定も数手順で終了し、無事に起動した。まず起動して感じたのが液晶ディスプレイ美しさだ。モバイルパソコンというとどうしても薄型化・軽量化のために液晶ディスプレイはそれほど綺麗で無い事が多いが、「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」の液晶はこれまで使ってきたどの機種よりも綺麗に見える。まず明るいのは当然として、色が非常に鮮やかだ。写真や動画を見ると、そのコントラストの高さと色の鮮やかさのおかげで、非常に綺麗に見える。また白飛びや黒つぶれがかなり抑えられているので、暗い写真やシーンでも暗い中でしっかりと表現されている。色のバランスも良く、黄みがかっていたり、青白かったりする事も無いため、写真や動画が綺麗に見える。色の再現領域を大幅に拡大したという「TRILUMINOS DISPLAY for mobile」を採用しているだけはある。またIPS方式であるため視野角も広く、真横や真上から見てもほとんど色が変わらず見える。カフェで友人とパソコンを見ながら話をしたり、旅行先で撮影したビデオや写真を見る際も、綺麗に表示されるだけでなく、斜めから見ても綺麗に見えるのはうれしいところだ。これまで使っていた「LB-S210B」がコントラストが低めで、全体に白っぽく、視野角も狭かったため、特に差を感じるのだろう。もちろん、解像度も1920×1080ドットであり、これまでの1366×768ドットと比べると約2倍の解像度となるため、詳細に表示される。また表面が低反射コートがなされているため、半光沢液晶となっており、非光沢液晶よりも映像を表示したときに綺麗に見え、一方で光沢液晶より映り込みが抑えられるため、蛍光灯の光など映らず、見やすくなっている。
動作速度は、さすがにCore i5と8GBメモリでSSDを搭載しているため、キビキビした動作だ。実際にどの程度高速なのかはさておき、これまで使っていた「LB-S210B」よりはさらに高速に感じる。また、動画のエンコードなどを行わなければ、メインで使っている4コア8スレッドのCore i7のパソコンとも遜色ない様に感じた。 キーボードは、配列的には非常に打ちやすく、アイソレーションキーボードのおかげか、キーピッチが16.95mmというのもほとんど気にならない。Enterキーも一番右端に有り、打ち間違いは非常に少ない。一方で打鍵感は少々独特だ。これまで見てきたように本体の作りは非常にしっかりしているため、たわむ様なことは一切無く、またキー一つ一つのぐらつきもほとんど無いため、その点では優秀だ。ただ、本体を薄型化するためか、キーストロークが1.35mmと浅いため、キーを押すと思ったよりも早く底面に当たるイメージがある。そのため、これまでの強さでキーを押すと、跳ね返されるような感じになってしまい、キーを押したという感覚が薄いという違和感が出てしまう。そのため、最初のうちは軽く流れるようなキー入力ができないという状態に陥ってしまった。このあたりは薄型のパソコンでは仕方の無い事だろう。とはいえ、それも「慣れ」の問題で、数時間も入力作業をしていれば、自然とタッチが軽くなり、これまでのように入力できるようになった。ちなみにキーの入力音は小さめだ。カチャカチャと言った音が、これまで使ってきた「LB-S210B」や、自宅の大型ノートパソコンと比べてもかなり静かなので、持ち出して使う際にも気を遣わずすみそうなのは、さすが細かいところまで気が配られていると言えるだろう。 またキーボードにはバックライトが内蔵されているのは面白いところだ。「F6」キーの上あたりに照度センサーが内蔵され、自動的に点灯・消灯する。もちろん常時点灯にしたり、バックライトを使用しない設定にもできる。このバックライト、キーの周囲が光るだけかと思っていたら、キーの文字も光るのには驚いた。実際に部屋の電気を消して使用してみたが、結構キーがはっきりと光って見えるため、キー入力が問題なく行えた。それほど暗い環境で使用する事があるかは不明だが、薄暗いホテルの部屋中では光った方が便利かもしれないし、夜に寝ている人がいるため電気を消した中で作業することもあるかもしれない。また、ビジネス用途で使う人は、プロジェクターを使用するため電気を消した中で使用する場合にも重宝するだろう。
動作音に関しては、それほど負荷をかけない作業の場合非常に静かだ。テレビなどを点けていない自宅の場合、ファンの音かすかに聞こえる程度だ。カフェなどではまったく音は聞こえないと言える。一方、負荷をかけた際のファンの音はそれなりに大きい。ファン自体の回転音と言うよりは、風切り音や、薄い排気口から風が出る音のように感じる。モーター音では無く、どちらかと言えば空気清浄機や除湿器などの風の出る音に近い。本体がかなり薄型なので、空気の通り道もかなり狭いと思われ、風量が増えると風の音が大きくなってしまうのだろう。ベンチマークテストなどを行うとファンの回転数もかなり上がるため、テレビの音を2段階ほど上げなければならないほどだ。静かな公共の場所で負荷のかかる作業をする際は注意をした方が良さそうだ。なお、付属のソフト「VAIOの設定」では、「CPUとファン」という項目が有り、「パフォーマンス優先」「標準」「静かさ優先」の3段階がある。これを切り替えることにより、ファンの音が大きくならないようにできる。もちろんCPUやグラフィック機能は発熱量に併せて動作クロックを変動させるため、ファンの音を静かにするためには放熱量が減り、動作クロックは上がりにくくなると思われる。とはいえ、外出先で使用する際に思いの外うるさくなってしまった時は切り替えると良さそうだ。 スピーカーの音質に関しては、音楽を高音質で楽しむというほどではないものの、ここまで薄型の本体の割には驚くほど音質が良く、音量も大きめにできる。外出先でビデオを見たりしても問題ないだろう。ヒンジ部のキーボード面の背面にスピーカーを内蔵したため、奥行きのあるスピーカーが内蔵できているのではないかと思われる。自宅の大型ノートパソコンはスピーカーに特にこだわって異な事もあってか、「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」ほ方が高音質に感じる。
これまで使ってきたLuvBook Sシリーズ「LB-S210B」と、VAIO Pro 11「VJP1111AR」を比較してみよう。比較するまでも無く薄型で軽量、画面が綺麗である事は分かる。逆に、本体サイズは「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」285×197mmで、「LuvBook S(LB-S210B)」の288×195mmとほとんど変わらない。重ねてみるとサイズが同じであることがよく分かる。逆に厚みは「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」11.8〜15.8mmで、「LuvBook S(LB-S210B)」の36mmと比べると、最厚部でも半分以下になっている。重ねてみるとその違いがはっきりする。よくこれだけ薄く出来たものだと驚かされるほどだ。 液晶も同じ映像を表示してみると、その差がよく分かる。まず輝度が違う。柿の写真や風景写真など、明るさが全然違うことが分かる。「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」を見てから「LuvBook S(LB-S210B)」を見ると、窓の光やレシートなどの白い部分も薄いグレーに見えてしまう。さらに色域も全然違う。夜の風景の写真では「LuvBook S(LB-S210B)」では黒くつぶれてしまっている所が「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」ではしっかり描写されている。また、色のバランスも違う。「LuvBook S(LB-S210B)」では全体に青っぽく見え、白から黒へのグラデーションも中間色が青白くなってしまう。「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」では色調に違和感が無く、料理の写真なども美味しそうに見える。グラデーションも中間色がしっかりとグレーだ。ここまで違うとは正直驚きだ。小さな文字も、解像度の高い「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」の方がつぶれず見やすいことも分かる。また、液晶自体の比較ではないが、液晶ディスプレイの開く角度が「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」の方が大きい。というか一般的な角度まで開くのだ。「LuvBook S(LB-S210B)」は少し狭く、電車の中で膝の上などに置いて使う場合、使いにくかったのだ。その点では「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」は使いやすい。もちろん視野角が広いIPS液晶である事も関係しているだろう。
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「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」(右)と「LuvBook S(LB-S210B)」(左)の液晶を比較した物である。カメラで撮影すると少し大げさに写っているが、「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」が明るく、映像もつぶれず、左端のグラデーションも青白くならず綺麗である事が分かる。液晶の表示品質には大きな差がある。 |
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「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」(上)と「LuvBook S(LB-S210B)」(下)の比較である。液晶表示サンプルの右下の文字部分の拡大である。液晶解像度は「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」が1920×1080ドット、「LuvBook S(LB-S210B)」が1366×768ドットだけあって、「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」の4行目までつぶれずに見え、5行目でもしっかり読める。一方「LuvBook S(LB-S210B)」は3行目でもつぶれ、5行目では一部の文字が読めなくなっている。 |
それでは恒例のベンチマークテストを行い、「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」がどの程度の性能を持っているか検証してみよう。3機種と比較する事とした。まず、これまで使ってきたモバイルパソコンのマウスコンピュータ「LuvBook S LB-S210B」である。「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」のCore i5より下のCore i3を採用し、TurboBoostにより動作クロックが上がる機能は無いが、そもそも「VAIO Pro 11(VJP1111AR)」は低消費電力版なので動作クロックが低めだが、「LuvBook S LB-S210B」は標準消費電力版なので元々動作クロックが高い。今回の買い換えは性能向上が目的では無いが、どうなったのかは気になるところだ。もう一つはメインで使用している大型ノートパソコンであるマウスコンピュータの「m-book W MB-W800S」である。4コア8スレッドのCore i7を搭載し、専用のグラフィックチップも搭載するなど、性能重視だが、これと比べてどの程度の性能なのかも分かるはずだ。また一部のグラフィック性能を測るベンチマークテストでは、専用のグラフィックチップを使用する場合に加え、Core i7内蔵のグラフィック機能を使用した場合でもテストしている。なお、いずれのテストでも複数回実行した平均値とし、より正確な値が出るようにしている。各パソコンの詳しいスペックは以下の通りである。
それではベンチマークテストの結果である。まずはCPUの性能を調べるために、「CINEBENCH R15」の結果を見てみよう。このベンチマークテストでは、CPUの実行可能なスレッド数の最大を使う「CPUマルチコア」と、1コアの性能を見る「CPUシングルコア」がある。まず、「CPUマルチコア」を見てみると、「VAIO Pro 11」と「LuvBook S」がほぼ同性能となっていることが分かる。一方、「m-Book W」は3倍以上の性能だ。一方「CPUシングルコア」を見てみると、「VAIO Pro 11」は「LuvBook S」に対して約35%高い性能を示している。また、「m-Book W」との差も小さい。そこで、各パソコンが搭載するCPUをもう少し詳しく見ていこう。
まず、「CPUマルチスレッド」で「m-book W」が圧倒的に高性能だったのは、「VAIO Pro 11」と「LuvBook S」が2コア4スレッドである一方、「m-book W」は4コア8スレッドであり、単純に処理できる命令は倍となる事があげられる。もちろん動作クロックも最も高い。一方、「VAIO Pro 11」と「LuvBook S」では同じ2コア4スレッドなのに、「CPUマルチコア」と「CPUシングルコア」のテストで結果に違いがあるのはなぜだろうか。「CPUシングルコア」での違いは簡単だ。「VAIO Pro 11」はCore i5を搭載しているため、TurboBost機能により、動作クロックが2.7GHzまでアップする。一方「LuvBook S」はCore i3でTurboBoost機能は非搭載だ。そのため動作クロックは2.3GHzと劣る。単純に動作クロックで約17%の差があるわけだ。しかし実際のテスト結果の差はこれ以上だ。仮に「LuvBook S」のCore i3を2.7GHzにしたとしても、91.57ptsの計算で、まだ約15%「VAIO Pro 11」の方が性能が上だ。これは、「VAIO Pro 11」はモデルナンバーが4000番台で、「Haswell」と呼ばれる第4世代Intel Coreプロセッサである。一方「LuvBook S」はモデルナンバーが2000番台で「Sandy Bridge」と呼ばれる第2世代Intel Coreプロセッサである。つまり、「VAIO Pro 11」の搭載するCPUの方が2世代新しく、その分クロックあたりの性能も向上しているのである。この分で15%の性能向上と考えられる。 そのままいくと、「CPUマルチコア」の方も「VAIO Pro 11」の性能が高くなりそうだ。しかし実際には「LuvBoos S」と同じ性能しか出ていない。「TDP」の欄を見ると、「VAIO Pro」は15W、「LubBook S」は35Wとなっている。「TDP」とは、そのCPUの設計上想定される最大の発熱量で、パソコンはそのTDPに対応する放熱能力を持つように設計される事となる。つまり、「VAIO Pro 11」はより発熱の小さいCPUしか入らないという事だ。そのため、Core i5でも、モデルナンバーの末尾が「U」の低消費電力版となっている。低発熱にするためには動作クロックを下げる事になるため(電圧を下げる方法もあるが、そうなると動作クロックは低くなってしまうためそちらにしても動作クロックは下がる)、標準の動作クロックが1.7GHzと低めに設定してある。そして発熱に余裕があれば、2.7GHzまで上がるようになっているのである。一方「LuvBook S」は放熱能力に余裕が有るため、TDP35WのCPUが搭載できており、低消費電力版でないため、標準の動作クロックが2.3GHzと高めだ。TruboBoost機能はないため発熱に余裕があっても2.3GHzよりは上がらないが、2.3GHzというのは「VAIO Pro 11」の標準動作クロックよりかなり高い。「CPUシングルコア」のテストでは1コア分の動作であるため発熱に余裕が有り、「VAIO Pro 11」では2.7GHzまで動作クロックが上がったと思われ、「LuvBook S」の2.3GHzを上回り、さらに2世代新しい事もあって差が大きく出たと思われる。一方「CPUマルチコア」のテストでは2コアで4スレッド処理を行うため、発熱も大きくなる。そのため放熱に余裕が無くなり、「VAIO Pro 11」では2.7GHzまで上がらなくなっていると予想される。また、Core i5-4210UがTruboBoostで2.7GHzまで上がるのは1コア動作時で、2コア動作時は2.4GHzまでなので、実際にはTruboBoostで最高まで上がっても、「LuvBook S」との差は100MHzしかない事になる。ここで、実際にベンチマークテスト中の動作クロックの変動を1秒ごとに記録しグラフにしてみた。 |
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マルチスレッド時の動作クロックをを見てみると、当たり前だが「LuvBook S」は2コアとも2.3GHzにぴったり張り付いており、変動は無い(線が重なっており1本しか見えないがCore1とCore2は同じ2.3GHzに引かれている)。一方、「VAIO Pro 11」は変動が激しく、最高の2.4GHzを維持しているのは一瞬だけだ。結局、動作クロックでは、「LabBook S」を下回っている事の方が多い。1秒ごとの動作クロックの平均を出してみるとコア1が1.86GHz、コア2が1.89GHzであった。やはり、「VAIO Pro 11」は特に薄型に作られているため、放熱能力が小さく上がり度合いが小さいといえる。とりあえず、マルチスレッド処理を行うときは、TurboBoostは思いの外効きにくい事が分かった。またこれは気温20〜25度程度の春に計測しているが、夏場になればより放熱しにくくなり性能が落ちる事も、逆に冬場は性能が上がるなど、気温による差も出てくるかもしれない。とはいえ、平均では「LuvBoook S」に対して大きく動作クロックが劣る割には、テスト結果は同等を示しているのは、CPUの世代が新しいためだ。クロックあたりの性能の向上によって動作クロックの低さは補えており、マルチスレッド処理でも劣るわけでは無いのは安心だ。 |
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ちなみにシングルレッド時の動作クロックをを見てみよう。こちらも「LuvBook S」は2コアとも2.3GHzにぴったり張り付いており、変動は無い。一方「VAIO Pro 11」は、常に「LuvBook S」より高い動作クロックを維持しており、クロックあたりの性能が向上した事もあって、あのシングルコアテストの結果も納得と言える。気になるのは、動作クロックが2.4GHzの事が多く、時々2.7GHzになっている事だ。Core i5-4210UのTurboBoost時の動作クロックは2.7GHzだが、ここまでは一瞬上がるものの、すぐに2.4GHzに戻っている。2.4GHzというと2コア動作時のTurboBoostの上限値だ。これから考えるに、テスト自体はシングルスレッドでも、バックでWindowsが動作しているわけで、なかなか1コア動作にはならないのでは無いかと考えられる。特に今回は動作クロックを取得するプログラムが動作しており、もう1コアがこちらに使われてしまえば、2コア動作になってしまうのも当然だ。強制的にコア数を1コアのみに設定できれば2.7GHzに上がったままになるのだろうが、そういった設定は見つからなかった。マルチスレッドに対応していないアプリなどを使う場合は、シングルスレッド動作になるため発熱も抑えられで動作クロックも上がりやすいといえるが、一般的な使用では2.4GHzまでしか上がらない可能性はあるのは注意が必要だ。
Snadra Lite(2005.04.21.40)を使用して、CPU関連のテストを行ってみた。「CPU演算」と「CPUマルチメディア」の2種類があるが、どちらの場合でも「VAIO Pro 11」が「LavBook S」を上回っている。「CPU演算」では「VAIO Pro 11」は「LuvBook S」の114%の性能となっているが、「m-Book W」の33.7%の性能となっている。一方「CPUマルチメディア」では「VAIO Pro 11」は「LuvBook S」の130%の性能となっているが、「m-Book W」の43.7%の性能となっている。つまり、「CPUマルチメディア」の方が、「LavBook S」との差が広がり、「m-Book W」との差が小さくなっているのだ。CPUの世代が新しくなり、特にマルチメディア関連の処理性能の向上が図られたのかとも思ったが、そうなると同世代の「m-Book W」との差が小さくなった理由が分からない。マルチメディア系の処理ではコア数の影響が小さくなるのか、それともTurboBoostが効きやすくなるのか、理由はいろいろと考えられるが、分からない。少なくとも、「LuvBook S」との比較では、14〜30%ほど性能が向上していると言える。
次に内蔵SSDの性能を比較してみよう。Crystal Disk Markを使用し、シーケンシャル、ランダム512K、ランダム4Kの3種類でそれぞれリードとライト性能をテストしている。結果を検証する前に、内蔵されるSSDの性能を見てみよう。 |
VJP1111AR |
LB-S210B |
MB-W800S |
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MZNTD256HAGL |
SSD 840シリーズ MZ-7TD250B/IT |
Intel 530シリーズ SSDSC2BW240A4K5 |
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TLC |
MLC |
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SF-2281 |
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これを見ていると、リード性能に関しては「VAIO Pro 11」が最も高速なようだ。スペックを見ると、「VAIO Pro 11」が僅かながら一番低速となっているが、実際には、「VAIO Pro 11」ではスペック以上の値が出ており、他の2機種はそれより劣る結果となった。M.2接続のSSDだが、性能面で劣ることはなさそうだ。もっとも、「LuvBook S」に換装したSSDは、TLC方式のフラッシュメモリを採用した製品で、MLC方式と比べて性能は劣るが価格は安いというコストパフォーマンス重視の製品だし、「m-book W」の搭載したSSDのIntel 530シリーズは性能よりも安定性・信頼性重視の製品であるため、「VAIO Pro 11」搭載のSSDが特別高速というわけでも無い。 一方シーケンシャルライトの速度は微妙なところで最も遅くなっている。いずれも240〜256GBクラスの製品なので、より容量が多い製品と比べると並列書き込みの関係で速度が遅めになっている。唯一500GBクラスの製品と書き込み速度が同じ「m-Book W」が搭載するIntel 530シリーズが一歩抜きに出ているが公称値ほどではない。とはいえ、2.5インチハードディスクよりはかなり高速で、3.5インチハードディスクの最速クラスが210MB/s程度だという事を考えると、それよりも高速なので十分な速度と言える。 ランダム512Kの結果も、全体的に速度はやや落ちているが、傾向はシーケンシャルと同じだ。また、SSDはハードディスクほど速度は低下しないため、ランダムアクセスといえども全体的に高速な値を示している。一方ランダム4Kの結果は、「VAIO Pro 11」がリード、ライト共にトップとなる。特に書き込みに関してはTLC方式のフラッシュメモリを採用したSSDを搭載する「LuvBook S」は苦手なようで、「VAIO Pro 11」は倍以上の速度となっている。実際に使う上ではランダムアクセスが使い勝手に大きく影響するため、快適性では「VAIO Pro 11」が最も上とも言える。
続いて、3Dグラフィックのベンチマークテストを行ってみよう。まずは3DMark 2001SEである。「2001」の数字が示すとおり2001年に発表されたベンチマークテストなので今から14年前のテストだ。DirectX8.1世代のベンチマークテストであり、今となっては非常に軽いテストである。これを見ると、「VAIO Pro 11」はかろうじて「LavBook S」を超えているが、それほどの差は無いと言える。また、専用グラフィックチップを搭載する「m-Book W」と比べると44〜67%の性能となっている。
同じ3DMarkでも少し新しい3DMark06の結果を見てみよう。こちらはDirectX9世代のテストである。1280×1024ドットでのテストのみだが、「VAIO Pro 11」は「LuvBook S」をやや下回っている。また、CPU Scoreでは若干ながら上回っているため、グラフィックの性能自体に差があると言える。また、「m-Book W」は別次元の数値となっている。そこで、グラフィック機能のスペックを細かく見てみよう。 |
VJP1111AR |
LB-S210B |
MB-W800S |
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(DDR3) |
(DDR3) |
(DDR3) |
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これを見ると、「VAIO Pro 11」も「LuvBook S」もCPUに内蔵されたIntel HD Graphicsを採用しているが、CPUが「VAIO Pro 11」の方が2世代新しいため、内蔵されるグラフィック機能も、「LuvBook S」がIntel HD Graphics 3000なのに対して、「VAIO Pro 11」は同3000の次世代の同4000のさらに次世代の同4400を採用している。実行ユニット数が12基から20基に増えているほか、対応するメインメモリの速度が上がったため、バス帯域幅もやや広がっている。これだけを見ると、「VAIO Pro 11」ではさらに性能が上がっていてもおかしくなさそうだ。しかし実際には「LavBook S」と同程度となっている。理由は、搭載するCPUが低消費電力版であるためだ。発熱量に対する上限が低いため、CPU部分だけでなく、グラフィック機能部分でも動作クロックが低めとなっており、「LuvBook S」のベースクロック650MHz、最大1.15GHzと比べると、「VAIO Pro 11」はベースクロック200MHz、最大1.00GHzと低くなっている。最大まで上がれば差は小さいが、CPUとグラフィック機能の両方に高い負荷がかかるベンチマークテストでは、発熱量も増え、動作クロックが思うように上がらないと思われる。3DMark06で逆転されているのは、世代の新しい3DMark06の方が負荷が高く、動作クロックが上がらなかったためでは無いだろうか。そこで、3DMark06実行中のグラフィックコアの動作クロックを1秒ごとに記録しグラフにしてみた。 |
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これを見ると、全体的に「LuvBook S」が上回っている事が分かる。「LuvBook S」ではなぜか180秒から300秒あたりで、最低の650MHzに下がってしまっているが(何度実行しても同じ結果であった)、それ以外は最高の1150MHz付近にいることが多い。一方「VAIO Pro 11」は最高の1000MHzに達することはあるものの、小刻みに変動しており、また、550〜650MHzに下がってしまう事も多い。1秒ごとの動作クロックの平均を計算してみると、「VAIO Pro 11」が710MHz、「LuvBook S」が999MHzで差は結構大きい。「VAIO Pro 11」の方が実行ユニット数が12基から20基に増えたが、動作クロックが上がりにくいことで相殺されてしまっているようだ。
最新の3DMark(後ろに数字が付かなくなった)でもテストを行ってみよう。DirectX 11世代の「FIRE STRIKE」と「SKY DIVER」、DirectX 10世代の「CLOUD GATE」、DirectX 9世代の「ICE STORM」の4つのテストとなっているが、「CLOUD GATE」や「ICE STORM」でもDirectX 11上でDirectX 10相当又はDirectX 9相当の機能だけを利用している。そのためDirectX 10.1までしか対応しないIntel HD Graphics 3000となる「LavBook S」ではテストを実行できなかった。一方、「m-book W」専用グラフィックチップ「GeForce GTX 860M」以外に、CPU内蔵のグラフィック利用可能で、状況に応じて使い分けられている。そこで、強制的にCPU内蔵グラフィックを利用した場合でもテストを行っている。内蔵するのはIntel HD Graphics 4600で、世代的には「VAIO Pro 11」が内蔵するIntel HD Graphics 4400と同じだが、発熱量の上限に余裕があるため、ベースクロックが400MHz、最大が1.15GHzに上がっているタイプである。 さて、結果を見ると、「VAIO Pro 11」のスコアはかなり低く見える。「m-Book W」でGeForce GTX 860Mを利用した場合とは比べるまでも無く大きく劣るだけで無く、CPU内蔵グラフィックを使った場合との比較でも大きく劣る。FIRE STRIKEで55.0%、SKY DIVERで61.8%、CLOUD GATEで53.4%、ICE STORMで55.7%となっており、同じ実行ユニット数、メモリ帯域幅とは思えない差だ。やはり動作クロックが大きく影響していると思われ、専用グラフィックチップも冷却できる力を持つ「m-Book W」では最大の1.15GHzで動作しているのに対して、「VAIO Pro 11」は薄型の本体であるため、冷却能力がそれほど高く、前述のように動作クロックが最高の1.0GHzに達する事は少ない。別のベンチマークテストの結果なので正確では無いが、平均の710MHzを元に考えると、動作クロックは61.7%となる。「SKY DIVER」の結果に近いし、それ以外のテストでさらに差が付いたのはCPU性能の差も影響したと考えられる。
次に、ファイナルファンタジーXIのベンチマークテストである「Vana'Diel Bench 3」である。こちらも比較的軽めのテストとなるため、差が付きにくい。とはいえ、「VAIO Pro11」は「LuvBook S」をLowで56%、Highで47%上回っており、「m-Book W」に近いスコアが出ている。比較的軽めのゲームでは、「LuvBook S」に対して優位なようだ。
同じファイナルファンタジーのベンチマークテストでも新しい「ファイナルファンタジーXIV 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の結果を見てみよう。様々な設定が可能だが、プリセットの中からDirectX 9を使用した軽めのものと重めのもの、さらにDirectX 11を使用したテストも行っている。なお、「LuvBook S」に内蔵するグラフィックはDirectX 11に対応していないのでスコアが0になっている。 これを見ると、標準品質と最高画質のそれぞれで、1280×720ドットの場合は「VAIO Pro11」が「LuvBook S」を上回るスコアを示している。一方、1920×1080ドットでは差か縮まるか逆転されている。これはやはり放熱能力の関係で、解像度が低い方がGPUもCPUも負荷が小さいため発熱が小さく、そのために最大の動作クロックに上がりやすいためと思われる。ちなみに「m-book W」の専用グラフィック「GeForce GTX 860M」とは大きな差が開いているのは当然として、内蔵グラフィックでは標準品質の場合に「VAIO Pro11」の方が良いスコアを示している。「VAIO Pro11」と「m-book W」ではCPU内蔵グラフィック機能は同じ世代で、「m-book W」の方がベースクロックも最大クロックも高くなっている。本来なら近い性能は出ても「VAIO Pro11」の方が高いスコアが出ることは無いはずだが、不思議である。何かしら他の要因が関わっているのかもしれない。ちなみに、最高品質になると「m-book W」の方が4〜5割性能が高く、DirectX 11の最高品質では5倍以上の性能を示している。EU数を初めとする機能は同等で、動作クロックだけが異なってもここまでの性能差が出ることに驚きと言える。モバイルパソコンでは、搭載している機能より少し低めに考えておいた方が良さそうだ。
続いてBIOHAZARD 5のベンチマークテストである。DirectX 9を利用したテストの内テストAのスコアを掲載した。これを見ると、「VAIO Pro11」はどの解像度でも、僅かながら「LuvBook S」に劣る結果となった。30fpsを越えるのは1024×768ドットまでで、最低の800×600ドットでも60fpsには及ばなかった。「m-book W」のCPU内蔵グラフィックとの比較でも半分程度のスコアとなっている。高解像度になるほど差は多少縮まるが、その差は大きく、ましてや専用グラフィックのGeForce GXT 860Mと比べるとかなりの差となる。
BIOHAZRD 6のベンチマークテストでも傾向は変わらない。ちなみにDirectX 11を使用したテストであるため、「LuvBook S」では動作しない。傾向はBIOHAZARD 5の時と変わらないものの、「VAIO Pro11」と「m-book W」のCPU内蔵グラフィックとの差が縮まっている。特に高解像度ほど差は小さく、640×480ドットでは2倍以上だった差は、約1.59倍まで縮まる。一方、専用グラフィックGeForce GTX 860Mとの差は640×480ドットでは9.18倍の差があり、1920×1080ドットでは7.83倍となるが差は大きい。CPU内蔵グラフィック、特にモバイルノートでは新しめのゲームを快適に遊ぶのは難しそうだ。
「The Last Ramnantベンチマークテスト」の結果も見てみよう。このテストでは、「LuvBook S」との差も大きく、性能は振るわない。30fpsを越えるのは800×600ドットが限界で、1920×1080ドットでは7.78fpsとコマ送りのような表示になってしまう。
「S.T.A.L.L.E.R.:Clear Sky Benchmark」の結果である。Day、Night、Rain、Sunshaftsの4種類の天候でのテストが行えるが、4テストの平均値としている。また最も軽い設定の「Static lighting」と、最も重い設定の「Enhanced full dynamic lighting」でテストを行っている。「The Last Ramnantベンチマークテスト」よりはマシで、「VAIO Pro11」の結果は、「LuvBook S」をやや下回る程度だ。また一番軽い「Static lighting」なら、1920×1080ドットでも30fpsを越え、1024×768ドットでは60fpsも大きく越えている。このような設定によっては遊べないこともないタイトルもあるようだ。とはいえm-book Wの専用グラフィックでは「Enhanced full dynamic lighting」の1920×1080ドットでも60fpsを越えているため、綺麗で高解像度のグラフィックで遊ぶには、やはり専用グラフィックチップを搭載した機種が必要と言える。
ロストプラネット2のベンチマークテストである。DirectX 9の設定でテストAを実行したスコアである。640×480ドットのみ「VAIO Pro11」が「LuvBook S」を上回っているが、他の解像度ではやや下回る、他と同じ傾向だ。また、専用グラフィックチップを搭載する「m-book W」とは雲泥の差である。 今回はモバイルノートの買い換えとなった。前回は価格と性能重視で購入したが、今回はその不満点である、重量と液晶ディスプレイを改善した製品を選んだ。重量が半分以下になり、持ち歩く際の負担が劇的に少なくなったのは、想像以上に感動した点だ。また、液晶ディスプレイも高解像度であるだけだなく、高画質なので非常に見やすくなり、結果的に持ち歩いているときも使っているときも、どちらも便利になった。ここまで変化すれば買い換えた意味があったと言えるだろう。一方で処理速度面ではそれほど進化はないが、これはモバイルノートであるためそこまでの性能を求めないことと、前機種でも満足しており今回は同レベルの維持を目的としたため、ある意味希望通りと言える。逆に言うと、ここまで薄型の機種であれば、発熱の問題からどうしても性能が低い機種になりがちなところを、同レベルの性能の製品が購入できたのは素晴らしい進化といえるだろう。 「VAIO Pro 11」は軽量化、薄型化のために思い切った部分も存在するが、ここまで軽いのは正直驚きと言え、ある程度機能に制限があっても十分に納得できる軽さだ。それでいて、こだわる部分はこだわっている、製品の質の高さはさすがAIOブランドと言えるだろう。携帯するパソコンを探している人には文句なくお勧めできる一品だ。 (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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