好きだから好きって思う。

  愛してるから愛しいと思う。

  ……大好きなんだ。





 ひどく目覚めが悪かった。
 メダロット、機械のクセに、どうして夢なんて見るのか。
 ひどくその事が疎ましかった。
「……メタ、ビー…?」
 はっとベッドを振り仰いだ。起こしてしまったかと。
 しかし聞こえた深い呼吸にホッと安心した。
 メタビーはイッキを起こさないよう注意深く、部屋を出た。
 もう今日は、
 眠れそうになかった。



 空を見上げながら外を歩く。
 ジョインジョインと、接続部分が立てる音だけが辺りに響いた。
 辺りを月が照らしていた。
 ジョインジョインと音だけが響いた。



 背が伸びた。声が低くなった。掌が大きくなった。
 初めて会った時との相違点ならいくらでも上げられた。
 当たり前だ、
 イッキは人間なのだから。

 じっと自分の手を見つめた。

 自分も、変わっていないわけじゃない。
 パーツ、考え方、メダル。
 彼に始めた会った時とは、明らかに違う自分がいる。


 しかし
 その本質は違う。

 当たり前だ。自分はメダロットなのだから。


 ぎゅっと手を握り締めた。



 繋いだ手はいつか離される。

 メダロットは子供のもの。いつか子供は大人になる。
 彼もいつか、大人になる。子供の頃に大切だったモノを捨てて、大人になる。

 そうなった時、オレは……。



 ………もし
 もしこのまま消えてしまったら。
 彼は泣くだろうか。怒るだろうか。喜ぶだろうか。

 もし、このまま消えてしまったら、メダルさえも壊してしまえば、
 彼は、どうするだろうか。


 それでもいつかきっと過去になり、不意に思い出すだけの記憶になる。


「バカらし……。」

 頭部を振って公園のベンチに腰を下ろした。


 それでも不安が消えるわけでもなく


 後ろでに手をついて空を見上げた。

 ぽっかりと浮かぶ月と、何万年前から輝き続ける星たち。



  夜はまだ、
  明けない




■好きだけでどこまでいける?
■光
■ここにいること