会津朝日岳−3/3

 叶の高手へ向かって行くと、岩場の道になった。その両側が真っ赤な紅葉に彩れる。思わず息をのむ。「なんだ!これは!」と感嘆の声。とても信じられない。何とすばらしい紅葉だろうか。
 とにかく感動の連続で、写真ばかり撮っている。昨日、駐車場で会った3人組の1人が、写真を300枚位撮ったと言ったが、私もすでに200枚ぐらい撮ってしまった。

 ここの紅葉はモミジやナナカマドなどではない。ナラかクヌギのような葉が真っ赤に色付いている。普通のナラやクヌギなら茶褐色になるような気がするのだが、この葉は一体何だろう。タムシバだろうか。とにかくこんな見事な赤を見るのは初めてだ!
 (これはミヤマナラだったようだ!)。


 叶の高手かと思ったピークの奥に、もう一つピークがあり、やっと着いたと思ったら、その奥にもう一つピークがあった。そして、そのピークの奥に待望の会津朝日岳が見えた。
 大きな松の木が生えた「叶の高手」(写真左)へ8時41分着。ここで大休止とした。

 9時ジャストに出発。
 叶の高手から少し下ると、大クロベという太い木があった。そしてそこから見る会津朝日岳がすばらしかった。会津朝日岳には「登り上げたピーク」と「最高点のピーク」、そして三角点がある「本当の山頂」があるという。ここから見る山頂部はピークが幾つもあって、どれが山頂か分からなかった。

 そこから2〜3分も下ると、さらに一回り大きい大クロベがあった。この辺の紅葉は、すでに落葉しているものもあった。高度が高いからだろうと思っていたが、また黄葉のトンネルになって来た。とにかくすごい。こんなの見たことがない。感動の連続である。10m歩いては写真を撮り、また10m歩いては写真を撮る。もうきりがないから撮るのをやめよう。

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 避難小屋は叶の高手と会津朝日岳の鞍部にあると思っていたが、鞍部からかなり登った所に熊の平の標識があり、そこから階段を登り切った右手にあった。
 小屋は14、5人がいいところだろう。私は日帰りで来て正解だった。こんな山奥の小屋へ、たった一人で泊るのはいただけない。

 小屋からは本格的な登りになった。紅葉も少なくなり、落ち葉が多くなって来た。
 急登を登り切った所に、「バイウチの高手」の標識があった。ここからは、もう山頂は近い。ここで一息入れていく。

 岩場が現れた。山頂への最後の登りである。ロープがぶらさがった急登が続く。ガレ場もあった。振り返ると、今歩いてきた叶の高手方面の紅葉がすばらしかった。

 ロープが連続するが、補助的に使う程度である。ここは土とジャリが岩の上に乗っているので滑りやすい。

 最後はピークへ登り詰めるのかと思ったが、ピークの手前で右へトラバース。そして山頂らしいピークへ出た。これが最高点のピーク。ここから、さらに右へ進んで行くと、三角点と方位盤がある山頂へ着いた。山頂着、10時41分。


(山頂直下の岩場1)

(山頂直下の岩場2)

(三角点がある山頂)

  山頂からは浅草岳が大きく見えた。その奥に守門岳もボンヤリと見えた。どちらも懐かしく感じる。また越後駒ケ岳や中ノ岳、平ケ岳まで見えた。

 山頂の一角(北東側)が、絶壁になっている。上から覗き込むのも怖いほどのスラブである。御神楽岳にもすごいスラブがあったが、豪雪がもたらす結果なのだろう。


(山頂からの浅草岳)

(山頂の一角からスラブになっている)

 誰もいない山頂で食事をし、早々に引きあげる。11時22分下山。
 下りは時々写真を撮るだけで、一気に叶の高手まで来て休憩。ここでニコチンと水分補給。

 ここからは登り返しがなく、ただ下るのみである。紅葉を楽しみながら下って行った。
 駐車場へ13時58分着。駐車場にはポツンと私の車だけがあった。結局、今日は誰とも会わなかったが、熊とも会わなくてホッとした。

 とにかく、すごい紅葉だった。栗駒のような山全体が真っ赤になるのもいいが、黄色と赤がミックスした山もいい。黄葉のトンネルなんて最高だった。写真は私も200枚以上撮ってしまい、どれを載せたらいいか迷ってしまう。これも嬉しい悲鳴だ。