【上武国境】
大ナゲシ(1532m)〜赤岩岳(1520m?) ・・・1/2


赤岩峠付近から見た赤岩岳


2015年11月5日(木)

小倉沢登山口〜赤岩峠〜大ナゲシ〜赤岩岳〜小倉沢登山口

自宅−450相模原IC−入間IC−(R299・R140・R210)−708小倉沢登山口715〜830赤岩峠840〜901分岐〜951大ナゲシ1003〜1058赤岩峠1103〜1143赤岩岳1205〜1234赤岩峠〜1325登山口

 赤岩岳は上武国境(群馬県・上野村、埼玉県・大滝村)にあり、日本百名山である両神山から北西へ延びる八丁尾根、さらに八丁峠から西へP1、P2と岩峰が繋がる赤岩尾根の一番西側にある。ちなみにP7が赤岩岳だそうだ。
 大ナゲシは、さらに西の稜線から外れた北側(西上州)にある。

 私は、かつて八丁峠から両神山を登った時、背後に見えた赤岩尾根の岩峰群を見て「登ってみたい」と思ったが、ザイルがないと登れないと知って諦めた経緯がある。

 しかし、赤岩岳と大ナゲシならザイルがなくても登れることを知って、急遽、出掛けることにした。

 まずは圏央道の入間ICで降り、R299で秩父をめざし、R140、R210で中津峡、ニッチツ(日窒)鉱山を目指して行く。中津峡には紅葉を撮るカメラマンが何人かいたが、今年の紅葉はイマイチだった。

 ニッチツ近くなって一車線になったが、「こんな時間に下って来る車はないだろう」と思っていると、何と大型トラックが下って来て大慌て。擦れ違いが出来ずにバックする。鉱山は今でも操業しているそうだから鉱物を運んでいるのだろう。

 ニッチツを過ぎ、空き家の近くから正面に赤岩岳が見えた。前に来た時はあれを「両神山の稜線」だと思ってしまったが、あれが目指す赤岩岳である。
 心配した登山口は簡単に見つけることが出来た。右へ大きくカーブする左手に、通行止めの鎖が張ってあったので、20mほどバックして広い路肩へ車を止めた。しかし、車が一台もないというのは寂しい。

 鎖を張ったポールには、「赤岩口」とマジックで書いてあった。
 私がここで写真を撮っていると、スポーツカーが私の車の脇へ止めた。「よし!これで登るのは私一人ではない」、とホッとした。
 まずは廃屋となったニッチツの社宅の間を通って行く。朝でも一人で歩くのは気味悪い。
 そもそもこの鉱山は、 「1600年頃(慶長年間)、甲斐武田氏が金や砂金を採掘したのが始まりで、1765年(江戸時代)には、金採掘のため平賀源内が入山したという。

 最盛期(昭和30年代)には、2、3000人が住み、学校まであったというが、今や廃墟となり、雑草に覆われ、シシや化け物が出て来そうな感じだ。
 廃屋の間を登って行くと、すぐに「山火事用心」の赤い幕が見えて来た。あそこが登山口だ。

 登山口には「右→群馬県上野村ニ至ル、左←赤岩神社」と書かれた石標が建ち、古ぼけた案内板があった。それには、
「大ナゲシ方面に登山される方へ、大ナゲシ頂上直下は岩場となっております。鎖等は設置されていなく上級者向けのコースです。登山する場合、ザイル等の装備と技術が必要です(以下略)」

と書かれており、ザイルを持たない身には少々緊張感を覚える。

 ここからは針葉樹林帯を登って行く。
 20分も歩くと朝日が差して来た。たとえ木漏れ日であっても嬉しい。

 それから3、4分で針葉樹林帯を抜け出し雑木林になった。そして早速、紅葉したモミジがお出迎え。上部の紅葉に期待が膨らむ。

 そこからは支尾根を登って行く。途中で厚手のシャツを脱いだ。
 私の車の脇に止めたスポーツカーは、どうしたんだろう。一向に登って来る気配がない。

 急斜面をジグを切りながら登って行く。ガレの上に落ち葉が積もって歩きにくい。

 赤岩峠へ8時30分着。峠には小さな祠があった。ここで小休止。

 右手(東側)には樹木の間から赤岩岳がそそり立って見えた。赤岩岳へ行きたい気持ちを抑え、まずは大ナゲシへ行こう。


(赤岩岳の途中から見た大ナゲシ)

 峠からすぐに岩場を登り、なだらかに登って行く。最初のピークが分岐かと思ったが騙された。2つ目のピークを下っていると前方右手に大ナゲシが見えて来た。あの絶壁の周りが紅葉していれば絵になるんだがなあ・・・、紅葉はすでに終わっていた。

 分岐がある1493ピークまで地図では10分と書いてあるが、20分もかかってしまった。ここから大ナゲシの基部をめざして下って行く。こんなに下らされると帰りの登り返しが大変だ。下りながら大山や天丸山の下りを思い出した。

 下り切ったコルからは大ナゲシが見えない。急登を登ると分岐があった。帰りに間違えないよう地形を目に焼き付けた。
 木々の間から大ナゲシの絶壁が垣間見える。

 分岐から20分程で、やっと大ナゲシの絶壁の基部へ出た。ここで一休み。

 ストックをデポしてロープで岩場を登って行く。しかし、ここは思ったよりも嫌らしい。ロープに掴まりながらトラバースする所もあった。

 岩場を登り切ると、樹木が生えたなだらかな道になった。が、すぐに絶壁にぶち当たった。上はオーバーハングしているが、ここは正面突破しかあるまい。

 オーバーハングを右から巻くように登って行くと鎖があった。ヤレヤレ。


(オーバーハングの岩場)

(右から回り込むと鎖が・・・!)

 山頂付近にはドウダンツツジがいっぱいあったが、紅葉はしていない。紅葉せずに枯れてしまったようだ。

 山頂には三等三角点があった。山頂は360度の展望だった。西側には昨年登った大山や天丸山、帳付山がバッチリ見え、遠くには八ケ岳や北アルプスまで見えた。


(大ナゲシの山頂)

(赤岩峠方面)

(天丸山、帳付山方面)

 それよりも、これから登る赤岩岳が気になる。ここから見る赤岩岳は垂直のような壁だ。あんな所が本当に登れるのだろうか。

 ぼちぼち下ることにしよう。
 山頂直下の岩場は鎖があり、難なく降りられた。問題は次のロープ場である。登りでも嫌らしかった所を下るのはもっと嫌だ。と思っていた時、岩場の右手に巻道らしき踏み跡があった。騙されたつもりで下って行くと、何と鎖があるではないか。ここは旧道のようだが、あのロープ場に比べれば遥かに楽だ。鎖は3か所あったが、ストックをデポした岩場の基部へ出た。

 良く見れば、右手にロープが見えるが、左手にペンキマークと鎖があったのだ。

 稜線分岐(1493ピーク)へ約10分の登り返し。
 赤岩峠へ戻って小休止。次は赤岩岳である。