「遠い飲み屋」 南八ヶ岳

編笠山(2,524m)〜権現岳(2,715m)〜三ツ頭(2,580m)・・1/3

左から:編笠山、のろし場、西ギボシ、東ギボシ、尖がったのが権現岳

観音平〜編笠山〜青年小屋〜権現岳〜三ツ頭〜観音平


2012年9月12日(水)
観音平〜編笠山〜青年小屋

自宅640−730相模湖IC−小淵沢IC−910観音平930〜1021雲海展望台1035〜1118押手川1145〜1323編笠山1330〜1354遠い飲み屋(青年小屋泊)

 9月になってもまだまだ暑い日が続く。
 今日はバイトもないので「赤提灯」で一杯やろうと思い、朝6時40分に家を出た。それは「遠い遠い飲み屋」だからである。場所は八ケ岳南部、編笠山と権現岳の鞍部にある「青年小屋」である。

 私はまだ編笠山も権現岳も登ったことがなく、今年の5月に登ろうとしたが、ギボシの鎖場が凍結していると聞いて諦めた。今回はそのリベンジである。雪山ではないが、逆に、このクソ暑い時に登って「遠い飲み屋」で冷たいビールなんて最高ではないか!

 そして、翌日は権現岳へ登り、三ツ頭を周って帰って来るという、ちょっと贅沢な山旅である。

 
 昨日は山梨県東部に大雨注意報が出されていたが、どれほどの雨が降ったのだろうか。中央高速の路面は完璧に乾いていたが、双葉SAの駐車場には水溜りがあった。

 雨上がりのせいか、上空はスッキリとした青空が広がっているが、南アルプスや八ケ岳の上部は積乱雲のような白い雲に隠れていた。しかし、小淵沢ICへ近づくと、編笠と権現が姿を見せた。「お〜い、編笠、権現、待ってろよ〜!」

 観音平へ9時10分着。30台も置けそうな駐車場はほぼ満車状態だったが、何とか止めることが出来た。こんな季節でも登山者が多いのに驚く。ちょうど名古屋ナンバーのマイクロバスから降りた10人ほどが出かける所だった。

 登山口には「熊出没注意」の看板があった。私は八ケ岳には熊はいないだろうと思い、熊鈴もホイッスルも持って来なかった。


(観音平へ向かう途中から見えたギボシと権現岳)

(観音平の駐車場)

(登山口には熊出没注意が!)

 歩き出してすぐにツリガネニンジンやアザミ、トリカブトなどが咲いていた。そして展望台への道を左に見送って行く。
 ここはアカマツと落葉樹の混生林で、明るくて気持ちがいい。

 いつの間にか落葉樹が主になり、ポツン、ポツンとシラビソが生えている。良く見ればヤシオもあった。

 20分も登ると登山道に岩が現れ、さらに10分も登ると登山道の脇には大きな岩がゴロゴロしてきた。

 それにしても、一向に道がなだらかにならない。考えてみれば編笠山は富士山のような山容だから、平らな所や下り坂などある訳がない。

「お〜、またトリカブトだ〜!」と道端に咲くトリカブトに歓声を上げた。

 大きな岩の間をすり抜けると、2、3分で雲海へ着いた。雲海には団体さんが休んでいた。団体さんも「遠い飲み屋」を訪ねて来たのだろうか。そんなことはあるまい。私のような不純な動機ではなく、純粋に山を楽しみに来たのだろう。


(トリカブト)

(大きな岩の間を抜ける)

(雲海展望台)

 ここは、地図には「雲海展望台」と書いてある。展望は山麓方面しか利かないが、雲海を見るにはちょうど良いのかも知れない。ここにはベンチが幾つかあったが、日差しが強いので少し登った日陰で小休止。今日は急ぐ必要は全くない。明るいうちに飲み屋へ着けばいいのである。
 ここはモミジが少ないが落葉樹が多いので、紅葉も良いかも知れない、と思った。

「雲海」から歩き出すと、すぐにヤシオの群生があった。群生と言っても10本位だが、それでも花時は見事だろう。

 20分ほど登って少しなだらかになった所に、ポツンとベンチがあった。そして、そこからすぐに岩がゴロゴロした登りになり、周りはいつの間にか原生林になって来た。

 その原生林の少し開けた所が「押手川」の分岐になっていた。先客が4、5人いたが私と入れ替わるように出かけて行った。私はここで昼食にした。

 ここは周りが薄暗い原生林なので、たった一人でいると気味悪い。近くの標識に、「編笠山の原生林」とか「やまなし森林100選」と書いてあった。

 また、「押手川」の地名について、「昔、登山者が水を求めて手で苔を押したところ冷水が湧き出たことから、この名がついた」と書いてあった。

 押手川からは、急登になって来た。岩と木の根の嫌らしい登りだ。いつの間にか空は白い雲に覆われ、まるで夕暮れのように薄暗い。

 パッと見ではどこが登山道か分からないが、赤いリボンや緑のロープがあるので迷うことはない。しかし、このロープは登山者が道に迷わないためのものではなく、自然保護のため登山道の周りを踏み荒らすな、というロープである。

 ここはシャクナゲが多いが、花殻はあっても花芽がほとんどない。来年は花が少ないだろう。

 途中、少し開けた所で一服。低い雲が這い上がって来るのが分かる。この雲が早く上空まで上がって、私が山頂へ立つ頃に晴れてくれると良いんだが・・・。

 登りが一段ときつくなると梯子が現れ、そこを下山者が降りていた。もう7、8人の下山者に会った。

 やっと道幅(沢幅?)が狭くなり、ハイマツが現れた。もう山頂は近い。しかし道は一直線だ。ハイマツの中を登り詰めて行く。

 ハイマツの登りもなかなか先が見えない。心の臓をバグバグさせながら登って行くと、「山頂まで本当にホントにあとちょっと!」という看板があった。そして、「冷たいビールやあったかいビール??・・・」の文字に励まされて登って行った。


(梯子を降りる下山者)

(ハイマツの中の急登)

(冷たいビール、あったか〜いビール??)

 ついに山頂か!と思ったが、さらに岩と草に覆われた斜面があった。その斜面を右から巻いて行く。このトラバースにはウメバチソウや初めて見るハナイカリが沢山咲いていた。


(山頂を右側から巻いて行く)

(ウメバチソウ)

(ハナイカリ)

 そして、なだらかになった所に標識があり、左手奥に山頂が見えた。13時23分山頂着。山頂には15,6人の先客がいた。
 せっかく立った山頂であるが、ガスに覆われ何も見えない。本来なら権現岳や赤岳はもちろん、北アルプスから、中央、南アルプスまで見えるというから悔しい。

 山頂では腰も下ろさず、立ったまま一服していると、ガスの中に冷たいものが混じって来た。急いで小屋へ向かった。

 標識からはシャクナゲ街道になった。道の両側はシャクナゲだらけである。しかし、ここにも花芽がないと思っていると、ポツンと花芽があった。「あったゾ〜、ツボミがあったゾ〜!」

 (写真右は少なかった来年の花芽)   

 分岐から7、8分も下ると青年小屋が見えて来た。森林帯から抜け出すと大きな岩がゴロゴロ。その大きな岩に乗ったり跨いだりしながら下って行く。雨はいつの間にか止んでいた。

 青年小屋へ13時54分着。
 チェクインするなり、まずは缶ビールで乾杯! それは編笠山の初登頂と「遠い飲み屋」へ遥々やって来たことに対する乾杯である。


(編笠からゴ−ロ−を下って青年小屋へ)

(ついに「遠い飲み屋」へ到着)

 ビールを飲んで、すっかり出来上がった頃(15時半ごろ?)、青空が広がり編笠山や権現岳がバッチリ見えた。


(小屋からの編笠山)

(まだ咲いていたヤナギラン)

(小屋からのギボシと権現岳)

 私は、「遠い飲み屋」にかなり期待して来たが、フツ−の山小屋と変わらなかった。生ビールもスーパードライもなかった。そもそも、山小屋と居酒屋を間違えて来た方がいけない。
 この小屋は宿泊者でも水は一滴ももらえない。自分で水場へ行って汲んでくるしかない。

 今日の宿泊者は6、70人位だろうか。カーテン1枚で仕切った隣の団体さんが煩くて、なかなか寝付けなかった。
 夜は満天の星だった。