安平路山 (あんぺいじやま)

(2,363m、長野県)  193座

安平路避難小屋と安平路山(左)

摺古木休憩舎〜摺古木山〜安平路山・往復(2泊3日)

2011年6月15日(水)

飯田IC1230−R153−R256−R8(大平街道)−1322東沢林道通行止め1332〜(途中ヒッチハイク)〜1425摺古木自然休憩舎(泊)

 この山は中央アルプス南部にある日本二百名山である。この山は越百こすも山方面から見るとピラミダルで格好良いそうだが、私が越百山から南駒ケ岳へ登った時は生憎ガスで見ることが出来なかった。
 安平路山とは、「江戸時代の山師、安平により拓かれたことに由来する」という。

 この山へ登るには、大平おおだいら宿から摺古木すりこぎ山へ出るのが一般的で、その摺古木山にはシャクナゲが多く、ガイドブックには、『6月中旬になると山一面、真っ赤に染めることもある』と書いてあった。そこで、「どうせ行くならシャクナゲが満開の時に!」と思い、あえてこの時期を選んだのである。

 当初は、山頂直下にある安平路避難小屋へ泊まる予定だったが、1週間前になって「東沢林道が途中から車両通行止め」と知って急遽、摺古木休憩舎へ泊まることにした。2日目は山頂をピストンするか避難小屋へ泊まるかは天気次第ということで、2泊分の食料を詰め込んで出掛ける。

 朝、Nさんを迎えに行き、中央道で飯田インターをめざして行った。今日は雲が多く南アルプスも八ケ岳も見えない。せめて雨が降っていないのが救いだ。天気予報は明日の午後から崩れると報じている。

 飯田ICで降り、県道8号線の大平街道を走って行く。林道同然のうねった道で1車線の所も多い。所々に石仏などがあり、いかにも旧街道の趣があった。

 飯田峠からわずかに下って行くと、民家が1、2軒現われて来る。ここが大平宿である。この大平宿は、昭和45年に集団離村して無人の里となったが、飯田山岳会などが中心になって保存活動を起こし、今は農村生活を体験できる場として維持されているという。しかし人影は全くなく、廃墟のようで薄気味悪い。

「摺古木山」の標識(写真)に従って右手の東沢林道へ入って行くと、左手に旧学校とキャンプ場らしいものが見えた。

 東沢林道は悪路で名高いが、しばらくは舗装されている。舗装からダートのガタガタ道になってしばらくすると、ロープが張られていた。ロープは簡単に外れるが、命がけの運転はしたくないので潔くここへ車を置いて行くことにした。
 飯田ICからここまで52分。大平宿から2.6kmだった。

(写真の左側にロープが張られている。右はUターンスペース)

 ザックを担いで林道を歩いて行く。道はそれほど悪くはない。むしろ、あのロープが張られた場所までの方が悪かったような気がする。「車で来てしまえば良かったかなあ・・・」、という思いがよぎる。

 30分ほど歩いた時、後ろから軽トラが来た。手を挙げてお願いすると快く乗せてくれた。運転手のオジさんは、山菜採りに来たと言い、「あのロープからは自己責任で来た」という。

 途中で2台の車とすれ違った。あの車も「自己責任」で入って来たのだろう。軽トラの荷台でガタガタ揺られながら休憩舎へ着いた。これで約1時間短縮することが出来た。


 休憩舎には車が3台と、帰り支度をしていたバイクの青年がいた。こんなに車で来ているなら私達も車で来れば良かったと思った。帰りの林道歩きが思いやられる。

 バイクの青年は、シャクナゲの花を写真に撮るため、摺古木山を一周して来たが、シャクナゲはツボミばかりで一輪しか咲いていなかったと言った。
 休憩舎の周りにはスズランが満開に咲いていた。我が家のスズランはとっくに終わってしまったが、ここは1770mもあるので今がちょうど見頃である。

 小屋へザックを置いて水汲みに出掛ける。摺古木山へ向かって登り、水場まで6分。急坂を登り、なだらかになった30mほど先に小さな流れがあった。

 15時ごろになって、男性1人と若い女性4人のパーティーが下って来た。やはりシャクナゲを見に摺古木山を登って来たが、1週間ほど早過ぎたという。ちょっと残念。満開のシャクナゲは期待できそうもない。

 16時になるのを待って宴会を始める。小屋は我々2人で貸し切りだ。今日もNさんが持ってきた肉や野菜で鍋料理。旨いんだな〜これが! Nさんご馳走様!

 明日は午後から雨の予報なので、荷物をここへ置いて安平路山をピストンして来ることにした。

2011年6月16日(木)

摺古木休憩舎450〜547分岐552〜630展望台640〜700摺古木山708〜818白ビソ山〜846避難小屋855〜909水場〜947安平路山1025〜1058避難小屋1103〜1135白ビソ山1140〜1232摺古木山1245〜1310分岐〜1355摺古木休憩舎

 今日はいつ雨が降って来るか分からないので、雨具のズボンを穿き、4時50分に休憩舎を出発。ストックと缶ビールを持って登山道を登って行き、最初の沢で缶ビールを浸して行く。もちろん帰りに回収するが、キンキンに冷えることは間違いない。

 ここはイワカガミとマイズルソウが多い。マイズルソウはまだ蕾だが、イワカガミは道端を赤く染めている。私は未だに「イワカガミ」と「コイワカガミ」の区別がつかないので、全て「イワカガミ」ということにしておく。



(イワカガミ)

(イワカガミの群落)

(マイズルソウ)

 35分ほど経った時、2つ目の沢があった。豊富な水が流れていたが一跨ぎ。沢はその後も何箇所もあった。小さな流れで喉をうるおす。水が冷たくて旨い。ここは水に困ることはない。

 ある一角に、キバナノコマノツメの群落があった。コマノツメとは、葉を駒の蹄にたとえたことによるもので、この花だけは私にも判別できる。

 分岐へ5時47分着。ここからは展望台コースと直登コースがあるが、迷わずシャクナゲの群生地がある左手の展望コースを行く。

 10分も行くと沢を登るようになった(ここが最後の水場)。沢を登って枯れ沢を詰めて行くと尾根道になり、待望のシャクナゲが現われて来た。しかし、まだ蕾が固い。

 しかし、登るに従って咲き出した花もあった。日当たりが良いせいだろう。昨日の青年は「一輪しか咲いていなかった」と言ったが、たった一晩でこんなに違うものだろうか。それとも彼が気付かなかったのだろうか。

 それにしても、この蕾が一斉に開いたらさぞかし見事だろうと思った。来るのが1週間早過ぎた。

 背後に、どっしりとした恵那山が見えた。さらに、その左手には南アルプス深南部の光岳らしい山と双耳峰の池口岳が見えた。

(恵那山)

(南アルプス・深南部)