(811m、南日高/北海道)
|
|
|
羽田−千歳〜R36〜日高自動車道〜R235〜浦河町〜R236(天馬街道)〜楽古岳の写真と楽古山荘入口の確認〜様似町の宿 |
花の百名山であるアポイ岳は、北海道・日高山脈の最南端にあり、標高こそ低 いが高山植物の宝庫といわれ固有種も多い。
その憧れのアポイ岳と、すぐ近くにあるピラミダルな山、楽古(らっこ)岳へ3泊4日で行くことにした。
アポイ岳は6月上旬が一番花が多いと聞いて、この時期を選んだのだが、天気予報はあまりカンバシクないようだ。
朝、家を出る時はどんよりした空模様だったが、羽田空港へ着く直前になって雨が降って来た。それも本降りである。嫌な予感がした。イヤな予感ほど当たるというが、はたしてどうなることやら・・・?
千歳空港へ着くと雨どころか晴れ間さえ見えた。ヨッシャ! このまま晴れてくれよ! と祈るような思いだった。
千歳空港からレンタカーでR36を南下して日高道へ乗った。この道路は幌尻岳へ行った6年前は厚真までしか開通していなかったが、今回は富川まで延びてい
た。しかも無料というのがいい。
その富川へ着いた時は、すっかり青空が広がっていた。明日は雨が降るという天気予報が信じられない。
R235は湾岸沿いを走るため、右手に太平洋、左手に牧場を見ながらのドライブであ る。道路の標識にも「馬の横断に注意」などと書かれている。いかにも日高らしい。
浦河まで来ると、正面の遥か遠くに三角錐の山が見えて来た。お〜!アポイだ!と歓声を上げながら車を止めて写真を撮った。(写真:右)
右側の海岸線から延びる尾根と、ピョコンとした山頂は間違いなくアポイ岳だと思った。ここからは距離が遠すぎてシルエットにしか見えないが、今夜の宿である 様似(さまに)町まで行けばバッチリと見えるだろう。(実はアポイ岳の全景を見たのはこれが最後だった)
浦河まで2時間半で来てしまい、このまま宿へ行くには早すぎるので、あさって登る予定の楽古岳の写真を撮り、 楽古岳山荘の入口を確認してから行こうと思い、R235から左折してR236(天馬街道)を走って行った。日高から帯広へ出る道である。
途中から一際目を惹くピラミダルな山が見えて来た(写真:左)。お〜!楽古岳だ! あの三角錐のトンガリ具合から見て楽古岳に間違いない。やっと楽古岳を見るこ とが出来て本当に嬉しい。あんなすばらしい山を見ると、俄然、ファイトが湧いてきた。 明後日は何が何でも登るぞ!と意気込む。
さらに進んで行くと、日高連峰南部の山々が連なって見えて来た。大パノラマに感激!(写真:右)
山はさほど高くはないが、山容がアルペン的で魅力的だ。写真を何枚も撮った。
楽古岳山荘の入口が分らぬままに、長い長いトンネルへ入ってしまい、出た所で引き返す。
地元の人に楽古岳山荘へ行く道を教えてもらいやっと分かった。ここには立派な標識(看板)があるのだが、道路から離れていることと、手前に大きな木があるため道路からはほとんど見えない。
要は、上杵臼(かみきねうす)という地名の所から右手(浦河から行く場合)
の細い道へ入るのだが、分からなかったら民家があるので聞くといい。
楽古岳の写真を撮り、楽古山荘入口も確認できたのでホッとした。それにしてもあの鋭く尖った楽古岳の山容が気に入った。久しぶりに心がときめいた。
再び浦河町へ出てR235を左折し、様似町をめざして行った。しかし、さっき見えたアポイ岳は山頂部分が雲に隠れて見えなかった。
様似の民宿の玄関前からアポイ岳が見えた。何度も外へ出て見たが、山頂にかかった雲は取れなかった。 (写真左:様似の宿から見たアポイ岳。中央やや右側に山頂があるのだが、雲に隠れて見えない) |
様似の宿500−510登山口520〜550二合 目〜645避難小屋700〜846アポイ岳〜幌満お花畑〜946合流点〜1012避難小屋(昼 食)1050〜1146登山口 |
朝起きて外へ出て見ると、雨は降っていないがドンヨリとした雲が空を覆っていた。アポイ岳は山裾さえも見えなかった。
昨夜の天気予報では「曇り後雨」と報じていたので、雨具のズボンを穿いて様似の宿を5時に出発した。
アポイ岳登山口にある登山者専用駐車場へ5時10分着。広い駐車場にはまだ1台も止まっていなかった。 うそ〜。これほど人気がある山なのに、1台も止まっていないとは信じられない。今日は平日だからだろうか。それとも時間が早いせいだろうか。 (写真の車は私のレンタカーです) | |
5時20分駐車場発。登山センターや遊園地のような所を左手に見ながら進んで行
くと、入山届があった。やはり今日はまだ誰も登っていなかった。 隣に「熊出没につき注意」の立て看板があった。「う〜ん。日高山脈は熊の生息地だからなあ・・」と、自分に言い聞かせながら歩き出す。 |
橋を渡った所にも「熊出没注意」の赤くデカイ看板が立っていた。ここはそんなに頻繁に熊が出没するのだろうか。まるで常時出没しているかのようだ。
「たとえ頻繁に出没するとしても、この時期の熊はもっと上部にいるはずだ。こんな麓まで降りては来ない」と自分に言い聞かせながら歩いて行った。
しかし、それにしても今日一番乗りというのは神経を使う。どこに熊がいるか分らないからだ。ホイッスルを吹き鳴らしながら歩いて行った。
登山道はなだらかで良く整備され、歩き易かった。ここには合目の標識と、適度な間隔で休憩所がありベンチが置いてあった。
沢がある所に休憩所があったので、そこで一服していく。
そこから2、3分も登ると三合目の標識があった。そして、そこにも熊除けの大きな鐘があった(二合目にもあった)。思い切り鐘を鳴らしていく。
(写真右が熊除けの鐘)
しばらく歩いてゆるやかなカーブを曲がった時、正面に熊がいた。全身が硬直した。立ち止まったまま見ていると、熊もじっとして動かない。勇気を出してホイッスルを吹き鳴らしてみたが、それでも動かなかった。
恐る恐る近づいてみると、何と木の根っこだった。(写真左)
このやろう!脅かしやがって!!
この山には熊がいるという先入観が、どうも臆病風を吹かせているようだ。橋の所にあったあの赤い看板がいけない。あの赤い看板が必要以上に緊張させている。
第5休憩所まで来た時、雨がポツポツと落ちて来た、と思ったら一気に降って来た。 あわてて雨具の上着を着込む。ストックと傘を持ち替えた。
ここからすぐに避難小屋(写真右)へ着いた。エッ、もう五合目の避難小屋? まだ四合目を過ぎていないのでは・・・。とにかく避難小屋へ入れるのは助かる。四合目は見落と したのかも知れない。
避難小屋へ入ると、もちろん誰もいなかった。小屋へ入って休憩していると、窓や屋根に叩き付ける雨と風の唸り声が凄い。この小屋は尾根上にあり、反対側(東側)は直接海風が吹き付けている。まるで台風のようだった。ここは晴れていれば“えりも岬”が見えるというから、えりも岬から吹上げているのだろう。
ここでしばし思案した。こんな強風の中を本当に登れるのだろうか。ヤセ尾根では風で吹き飛ばされてしまいそうだ。
下山することも考えた。しかし下山したら、もういつ来られるか分らない。雨に濡れることは覚悟して、とにかく耐風姿勢をとりながら行ける所まで行ってみよう。もし危険を感じるようならすぐ下山するということで、出掛けることにした。