荒船山 (あらふねやま)

(1,422.5m、群馬・長野)  112座


荒波を行く船のように見えますか。右の絶壁が船尾の艫(トモ)岩。

内山峠〜一杯水〜トモ岩〜荒船山(行塚山)

2002年11月10日(日)

下仁田(宿)−737内山峠742〜845一杯水〜トモ岩〜行塚山(山頂)〜トモ岩〜1238内山峠−下仁田IC−川越IC−相模原

 荒船山は「荒波を行く船のように見える」ことから、この名が付いたという。
 私は昨日、妙義山の岩場を歩いている時、初めてこの山を見たが、確かに荒波を行く船のように見えた。それも小さな釣り船ではなく、航空母艦のように見えた。そして、あの空母のような山へ是非登ってみたいと思った。
(写真右は妙義山から撮ったもの)
 昨日は妙義山の金洞山を登って下仁田駅近くの旅館へ宿泊。
 今朝、その宿を出て内山峠に向かっている途中で、左前方に荒船山が見えて来た。最初は艫(とも)岩だけだったが、次第に山頂の行塚山も見えて来た。
 さらに進んで行くと、トモ岩がそそり立って見えた。急いで車を止めて写真を撮ったが逆光なのが残念だった。


(トモ岩が見えて来た)

(左手に山頂が・・・)

(迫力あるトモ岩)

 峠の茶屋を過ぎ、1つ目の林道を入って行く。ここからは標識がしっかりしているので迷うようなことはない。

 内山峠の広い駐車場(30台ほど置けるらしい)へ、7時37分に到着。思ったより車は少なく先客は5台だけだった。昨日はだいぶ雪が降ったようで、山は薄っすらと白い。

 セーターを着込んで、今日はゴッツイ靴を履いて7時42分に出発。今日も風が強く冷たい。登山道は北斜面のせいか雪が多く、凍ってバリバリだった。軽アイゼンかストックを持ってくれば良かったと思った。
 とにかく滑らないように、ゆっくりと一歩ずつ進んで行く。もっとも、ここで転んでも昨日の妙義山とは違い、ただ尻餅をつくだけで済む。

 稜線へ出ると、樹氷が朝日に輝いて綺麗だった。道は自然歩道で良く整備されて歩きやすいが、凍結した道で緊張する。下りはグジャグジャな道になるだろう。

 しばらく登ると標識があり、「荒船山頂1、7キロ、内山峠1、6キロ」と書いてあった。エッ、もう半分も来てしまったの!と驚く。

 風が強い稜線へ出ると樹氷が風に飛ばされ、それがキラキラと光って幻想的だったが、雪が降って来たのと変わらない。
 左手に浅間山が真っ白に見えた。

 (一杯水の手前から見たトモ岩。右側の尾根状を登る)

 荒船山の象徴とも言うべきトモ岩が真近になると、そこに一杯水があった。8時45分着。さっそくザックを置いて、コップを持って水汲みに行く。雪がまばらに着いた岩を2mほどトラバースしないと汲めない。水は特に美味しいとは思わなかった。

 ここからはトモ岩の絶壁を左に見ながら、岩尾根を登って行く。凍てついた岩場はいやらしいが、昨日の妙義山に比べれば何のその。

 急斜面を登りきると、平坦な道になり、やがて避難小屋が見えて来た。

 小屋の前が展望台になっており、7、8人の先客がいた。展望台は高さ350mのトモ岩の真上にあった。西上州の紅葉が眼下に見え、浅間山が大きく見えた。晴れた日は、遠くには北アルプスまで見えるらしいが、今日は生憎雲にかくれて見えない。


 腹ばいになってトモ岩を覗き込んで見た。まさに90度の絶壁で、こんな所で落ちたらひとたまりもない。     


(艫岩を見下ろす)


 展望台からの浅間山

 ここは風が強く寒くて長くは休んでいられなかった。すぐに小屋の前へ戻って一休み。

 私は荒船山は、てっきりトモ岩をクサリでよじ登るのかと思っていたが、たいした岩場もなく、すんなり来てしまったことに少々物足りなさを感じていた。トモ岩の上部が森林地帯になっていたことも期待外れだった。

 ここから、山頂である行塚山へ向かって平坦な森林地帯を歩いて行く。樹氷が光り輝き、実に神秘的な光景だった。(写真左)。

 星尾峠の分岐まで30分。そこから山頂までコースタイム10分となっているが、一段と雪が多い急登になった。

 人が歩いて踏み固まった所は滑るので、なるべく人が歩いていない所を選び、木や根っこにつかまりながら登って行った。下りが少々心配だ。

 山頂には4人の先客がいた。写真を撮ってもらい、一服。山頂は大きな樹木が多く視界は良くないが、オバさんが「北岳と甲斐駒が見える」と言うので、私も目を凝らしてみた。ちょっと遠すぎるがやはり北岳と甲斐駒だと思った。

 ここも樹氷が風で飛ばされサラサラと降りそそぐ。寒くてのんびりしていられない。すぐに下山する。枯れ枝を拾って杖代わりにして急斜面を下った。

 星尾峠との分岐で休憩。湯を沸かしてコーヒータイム。ここは陽だまりで樹氷もなく最高の日向ぼっこだった。コーヒーを飲んでいると、次から次と登山者が登って来た。やはりここは人気があるようだ。

 避難小屋まで来ると、5、60人がいて驚いた。地元(群馬県?長野県?)の町民登山らしい。

 一杯水までは枯れ枝の杖を使ったが、そこからは必要なくなった。凍結していた道もすっかり解けていた。
 駐車場へ12時38分着。駐車場には20台以上が止められ、路肩にも10台ぐらい止まっていた。

 帰りは「荒船の湯」で汗を流し、食事をしてからゆっくりと帰って来た。