有明山−2/2

 やっとハイマツが現れて来た。もう山頂は近いはずだ。

 ロープがぶら下がった岩場を登ると、パーと正面が開け、鳥居と祠が目に飛び込んで来た。山頂の一角である北岳の山頂だった。ここにある祠は松川村にある有明山社の奥社だという。

 ここで休憩。
 ピカピカの鳥居の脇に、「鳥居は雷の時に避雷針になる」と書いてあった。

 安曇野は雲海の下で見えなかったが、石の上に乗ると燕岳から餓鬼岳の稜線や常念まで続く稜線が見えた。餓鬼岳は来年登りたいと思っているのでアップで写真を撮った。



中央が燕岳

右の黒いピークが餓鬼岳

 北岳9時55分発。ここから中岳を目指して行く。
 祠の裏側から20mも下ると再び稜線へ出た。そこに「有明八面大神」の石碑があった。さらに数十メートル行くと三角点があり、岩場を過ぎるとすぐ祠がある中岳へ着いた。10時7分着。北岳から12分だった。


三角点、バックは大天井岳

中岳へ向かう途中の岩場

中岳

 この祠は穂高町の有明山神社の奥宮が祀られているという。
 ここから見ると北岳の方が少し高く見えるが、ここが山頂と見なされているようだ。

【中岳からの展望:拡大できます】

常念岳

大天井岳

燕岳

 ここで昼食にした。一人で食事をしていると20代の男女が登って来た。彼女は松本に住んでおり、一度でいいからこの有明山を登ってみたいと思っていたという。それで東京に住んでいるという彼氏を誘ったらしい。彼氏は東京から夜通し運転をして来たという。いつの時代もアッシー君は辛いようだ。

 そのアッシー君が石に乗って、「下にもう一つ祠が見えますよ」というので、3人で行ってみた。2、30m程先に古ぼけた祠があり、奥社と書いてあった。
 ここから南岳へ続く細い道があったが、今は行けないらしい。

 再び中岳へ戻って一服していると、60代半ばの女性が一人で登って来た。この山へ女性一人で登って来るとは、かなり年季が入っているのだろう。

 10時50分下山。一足先に下ることにした。往路を下るかと思うとウンザリする。
 中岳から見た時、北岳の方が高く見えると思ったピークは、実は北岳ではなく三角点があるピークだった。
 再び北岳のピークへ立ち、そのまま下って行った。

 ガスが大分這い上がって来た。燕岳などの稜線も半分は雲に隠れてしまった。雷が来る前に早く下ろう。

 稜線分岐からわずかに下った八合目の石柱の所で、水分補給のため休憩。
 支尾根へ出たところに、登る時には気づかなかったが四合目の石柱があった。

 その支尾根から離れて中房温泉へ下るようになると、沢の音が大きく聞こえるようになった。「サア、あとワンピッチだ!」と気合を入れるが空元気。ニコチンが切れたとばかりに休憩。

 ここは下りといっても飛ばす訳にはいかない。何しろ登りに喘いだ急登である。木の根やガレが滑るので登りと余り変わらない。一歩一歩慎重に下って行く。

 沢の音が大きくなり、中房温泉の屋根が見えて来た。駐車場も見える。サア、あと一息だ。
 登山口へ14時2分着。

 この山は評判通り、かなりシンドイ山だった。昼なお暗い森林地帯の急登に次ぐ急登で、ガレ、ザレ、岩場、クサリ場、トラロープに藪こぎ(少しだけ)と、何でも有りという感じである。丸太の階段やハシゴこそ短く少ないものの、読売新道の「超ミニ版」という感じがした。

(燕山荘から見た有明山)