『ヒメサユリ紀行 浅草岳・守門岳』
浅草岳(あさくさだけ)

(1,586m、新潟県)


日本でも新潟県・福島県・山形県にしか咲かないというヒメサユリ(姫小百合)


2005年6月25日(土)
登山口〜前岳〜浅草岳〜前岳〜桜ソネ〜登山口

相模原−川越IC−小出IC−大白川−(953)駐車場(1005)〜(1240)前岳〜(1300)浅草岳(1345)〜前岳〜(1440)カヘヨノポッチ〜(1555)八海山大神〜桜ソネ〜駐車場−守門温泉青雲館(泊)

 ヒメサユリを見るため浅草岳と守門(すもん)岳を登って来た。
 ヒメサユリ(姫小百合)は、山ユリより小さく、ニッコウキスゲよりも少し大きいピンク色のユリで、日本でも新潟、福島、山形の3県にしか咲かないという珍種である。

 浅草岳は、新潟県の入広瀬村と福島県の只見町の境にある名山で、標高は守門岳より48mほど高い。しかも守門岳と1、2を競うほどヒメサユリが多いと言われている。日本三百名山に選ばれているのでぜひ登ってみたいと思っていた。

 朝5時前にKさんが我が家の近くまで車で向かえに来てくれた。
 途中でNさんを乗せ、川越ICから関越道に乗り、小出ICへ向かった。

 いつもなら手に取るように見える榛名山や赤城山は今日はモヤって見えない。この時期は湿度が高いので視界が悪いのは仕方が無い。せめて雨が降らないことと、ヒメサユリが咲いていることを願った。今年は全国的に雪解けが遅いというので、ヒメサユリが咲いているか心配だった。

 小出ICからR252で大白川を目指して行く。途中、カーナビに導かれて守門村へ行ってしまい20分もウロウロしてしまったが、何とか大白川から五味沢へ出ることが出来た。右手に浅草山荘を見た時はホッとした。

 コンクリート色の安ぽそうな「ホテル大自然館」の前を通り、200台も置けそうな駐車場へ9時53分に到着。外は気温が高く蒸し暑かった。周りの山もモヤっていた。

 今日は、もしかしたらMさんも来ているかも知れないと思った。Mさんとは今日の集合場所である守門温泉へ16時ごろにチェツクインして一杯やろうと約束していたが、我々3人が抜け駆けで浅草岳へ登ることにしたので、チェックインが遅くなることを伝えたからだ。

 準備を済ませ、10時5分に出発。
 歩きながら3人でMさんの車を探したが見当たらなかった。てっきり来るものと思っていたので、ちょっぴり残念だった。
(実は駐車場で何気なく撮った写真にMさんの車が写っていた)

 舗装された道を10分ほど登って行くと、開けた所に小さな標識があった。そこがネズモチ平の登山口だった。以前はここや少し奥にある桜ソネの登山口へ駐車出来たらしい。

 登山道を10分ほど進んで行くと沢があった。水が豊富で音をたてて流れていた。私が持っているガイドブックには「浅草岳は水場がない」と書いてあったので意外だった。
 さらに進んで行くと今度は小さな流れがあった。そこで早くも休憩。冷たい沢水を一口飲み、顔を洗ってさっぱりした。自然の恵みに感謝した。

 しばらくは明るいブナ林が続く(写真左)。しかし、そのブナ林も次第に急登になって来た。

 今日はとにかく暑くてシンドイ。たとえ日陰の道とはいえ、もう全身汗だくだった。Kさんが「汗で体内の毒素が抜けて行くようだ」と言うと、「だから山登りは止められない」というNさん。二人とも元気がいい。私はもう息が上がり、おしゃべりする元気もない。

 道は一層キツくなり、私のペースは更に落ちた。それは急登と暑さのせいばかりではなく、今日は体調が悪いのだ。実は昨日、会社にいる時から身体がヘンだった。山へ登るのは無理かも知れないと思いながらも、「山の空気を吸えば直るかも知れない」という期待があった。そして、もしどうしてもダメなら一人で引き返そうと思っていた。
 二人に体調が悪いことを伝え、ペースが遅いことを詫びた。

 木の根っこや石につかまりながら、急登を登って行く。ふと振り向くと、背後に守門岳が見えた(写真右)。「おー、守門岳だー!」と歓声を上げた。少しモヤっていたが、斑模様になった残雪がアルペン的で目を惹いた。明日はあの稜線を歩けるかと思うと嬉しくなった。

 一歩一歩登って行くと、突然、左手にヒメサユリがあった(写真左)。しっかりと開いた花に思わずバンザーイ! 「まだ蕾かも知れない」と思っていただけに感激もひとしおだった。

 Kさん、Nさんも初めて見るヒメサユリに感激のようで、触ったり香りを嗅いだりしている。とにかく咲いていて良かった。

 そこから先にも所々に咲いていた。こんなにヒメサユリが咲いているのにどうして人が少ないのだろう、と思った。急登なので敬遠されているのだろうか。もったいないと思った。

 ヒメサユリを見て満足したものの、私のペースは依然と上がらず、二人に先に行ってもらうことにした。私はヒメサユリやイワカガミなどを見たり写真を撮ったりしながら、ゆっくりと登って行った。 (右の写真を拡大してご覧下さい)