(1,727m、北海道) 135座
羽田空港−旭川空港−山部自然公園・ふれあいの家(泊) |
芦別岳は北海道のマッターホルンと言われ、北海道で唯一岩稜の山である。私はこの山を登ってみたいと思ってから早や5、6年が経つ。そして、やっとその夢が叶う時が来た。
今週は関東はハッキリしない天気が続いているが、北海道も愚図ついていたようだ。しかし、明日から北海道は晴れるという。あの憧れのマッターホルンは見られるだろうか。
羽田発15時ジャストのJALに乗って、旭川へ向かった。
旭川空港へ降り立つと、長袖のシャツを着ていても肌寒かった。さすがは北海道だ。
空港近くのレンタカーを借り、R237で富良野市を目指して行く。時間はすでに17時を過ぎていた。今日の宿は山部にある「山部自然公園ふれあいの家」である。食事が付かないため食堂を利用することになるが19時でオーダーストップだという。少々あせりが出る。
R237を走っていると左手に富良野岳らしい山が見えた。その隣に残雪が斑模様になったひときわ高い山があった。山頂は雲に隠れて見えないが、あれが十勝岳だろうと思った。山頂の雲が切れたら写真を撮ろうと思っていたが、一向に雲は切れない。
富良野市内のコンビニで、明日の朝食と昼食を買い込んだ。
その富良野市の中心街を過ぎると、右手に待望の芦別岳が見えて来た。急いで車を止めて写真を撮ったが、ここからはマッターホルンのようなには見えなかった。マッターホルンのように見えるのは、稜線上のある一定の方向(北尾根)からで、他の方向から見るとただの岩峰に過ぎない。
(左の写真:左のピークが山頂。右側の2つコブのように見えるのが夫婦岩)
ふれあいの家へ18時40分頃に着いた。オーダーストップの19時前に着けてホッとした。これで夕飯に有りつける。
玄関を潜ると、主人から「オーダーストップなんて有りませんよ。ごゆっくりどうぞ!」と言われる。富良野市のHPには19時オーダーストップとなっていた。市のHPはどうなってんだ!
さっそくここの名物であるジンギスカンを二人前注文し、生ビールを飲んで明日への英気を養った。
(写真右はふれあいの家から見た芦別岳。右に夫婦岩が見えるが本峰は見えない)
ふれあいの家400〜425旧道登山口430〜606ユーフレ分岐〜752夫婦岩分岐807〜857北尾根〜1010本峰が見えるピーク〜1055ケルンが積んであるピーク〜11581579のピーク(たぶん)1215〜1425芦別岳1500〜1815新登山口−富良野の民宿(泊) |
朝3時起床。4時出発。
ふれあいの家の脇から林道を歩いて行く。外はすっかり明るいが、熊は黎明と日没前後が一番活動的になるというので、鈴をジャラジャラ鳴らしながら歩いて行く。
道がなだらかなので、ついペースが上がってしまう。「ゆっくり、ゆっくり」と言い聞かせるように抑えながら歩いて行く。今日は何しろ13時間というロングコースなのだ。絶対にバテる訳にはいかない。
この芦別岳には新道と旧道があり、この旧道から登る場合、山頂まで7〜8時間、新道を下るのに3時間。合わせて10時間から11時間かかるが、私の場合は13時間みている。今まで13時間以上かかった山は、日本百名山の「平ケ岳」で13時間40分というのがあるが、それに次いでの長丁場である。とにかく「あせらず、へばらず」最後まで歩き続けなくてはいけない。
25分ほど歩くと林道の終点で、そこが旧道登山口になっていた。まだ車も登山者の姿もない。鳥の巣箱のような登山者カード入れを見ると、神奈川県の藤沢の人が「7月7、8日、旧道〜新道」と書いてあった。とっさに一番乗りでなくて良かったと思った(一番目は熊に出会う可能性が高いから)。
しかし、良く考えてみると「7、8日」ということは、一泊で登っているということに気がついた。昨夜はユーフレ小屋にでも泊まったのだろう。ということはユーフレ小屋までは私が一番目ということになる。 熊に出会わないよう細心の注意を払わねばならない。
ユーフレ川の左岸を登って行く。しばらくすると赤やピンクのテープに導かれて高巻きになった。かなりの急登である。石の上には真新しいペンキの印もあった。
HPでは「台風の被害で道が荒れている」と書いてあったが、荒れているというほどではない。むしろ人手が入らない自然道と思えばいい。
それにしても、こんなに登らされ、また下らされるのではたまらない。頑張り過ぎないように時々休憩しながら行こうと思い、早速、一服していると、単独のオジさんが登って来た。そのオジさんが先に行ったので、もう熊に脅えることはなくなった。
7時5分、初めて沢へ出た。沢は熊が出やすいので早速熊チェック。
道はすぐに高巻きになった。そして、鎖やロープを使って下ると再び沢へ出た。ユーフレ川も急流になって来た。上流へ来た証拠だろう。ここでも休憩を入れた。今日は汗をかいても暑いということはない。ここはやはり北海道である。空気が爽やかだ。ここで、ふと上を見ると滝があった。三段の滝らしい。
そこから1、2分歩くと、もう一つ滝があった。岩の窪みに石の祠があった。
ユーフレ小屋分岐(写真右)へ6時06分着。
ここにはユーフレ小屋と登山口の標識(矢印)はあるが、肝心な旧道(北尾根)の標識はない。北尾根の標識が壊れて無くなっていたのだ。
ここを右折して行く。ここまではいわばアプローチのようなもの。ここからが本格的な登りとなり、夫婦沢の右岸を登って行く。
途中で一本立てたが、この辺は大きなフキの葉などが多く、何となく熊が出て来そうで落ち着かない。
やがて夫婦沢の左にある支流を登るようになり、その左岸を登って行くと残雪が現れた。黄色い花が咲いていたので写真を撮っていると、高校生か大学生の7、8人のパーティーが登って来た。
道は再び夫婦沢へ戻り沢沿いに登って行く。
上部に雪渓が見えた。雪渓が沢を覆っていると水が汲めなくなるので、ここで1Lのポリタンを満タンにした。(水は宿で1L入れて来たが、ここで1L追加した)
左手に夫婦岩がチラチラ見えているが、なかなか夫婦岩分岐へ着かない。さらに登って行くと、夫婦岩が一際大きく迫力を増して来た。写真を撮ろうと思って場所を探している時、「夫婦岩分岐」へ着いた。7時52分着。
私が持っている古いガイドブックでは、ユーフレ分岐から1時間10分となっているが、30分以上もオーバーしてしまった。まだバテたとは思えないのだが・・・。
ここで夫婦岩の写真を撮って一服していると、今朝、ふれあいの家の前で会った若者が登って来た。今朝、ふれあいの家の駐車場で一人で芦別岳を眺めている青年がいた。彼は車中泊して起きたばかりのようで、「後から追いかけます」と言っていた。その彼は5時に出て来たという。かなりの健脚だ。この旧道を何度も登っているという彼から、いろいろとアドバイスを頂いた。
ここはシラネアオイが沢山咲いていた。そんな時、今まで見たことがない白いシラネアオイがあった。「白いシラネアオイ見っけ!」
普通のシラネアオイ |
白っぽいシラネアオイ |
普通のシラネアオイは、紫色をしているが、白い花を見るのは初めてのような気がする。これは大発見かも知れない! と思って写真を撮ったが、これは紫色の花が色あせて白っぽくなっただけで、珍しくも何ともないのかも知れない。
左手の夫婦岩が覆いかぶさるようになって来た。ここはクライマーにとって格好の岩場だというが、今日はクライマーの姿は見えなかった。