芦別岳・・2/4

 やっと尾根へ出た。しかし、あのマッターホルンのような山容はまだ見えない。
 尾根は左手に見える夫婦岩を右側から回り込むように続いていた。ここでしばし休憩。

 (写真左は夫婦岩。岩というよりも岩峰といった方がふさわしい。写真下は穂高の屏風岩を思わせるような絶壁)

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 ここからは一旦下って、100メートル以上も登り返さねばならない。

 夫婦岩を回り込みながらピークを目指して登っている時、右手後方にゴジラの背のような岩峰群が見えた(写真右)。人工的に山を半分に切り裂いたようなケッタイな山だ。さっき若者に聞いたらキリンテだかキリシタンだとか教えてくれたが、すぐに忘れてしまった。(拡大写真は→こちら
(正しくはキリギシ山というらしい…地元の方がメールで教えてくれました)

 鞍部まで下ると、急登になった。これを登りきれば、きっと長年の夢だった北海道のマッターホルンが見えるに違いない。ペースはグーンと落ちたが、ペースが落ちるのは折り込み済みである。自分を励ましながら一歩一歩登って行った。振り向くと十勝岳らしい山が雲の間から見えた。

 10時10分、ついに登り切ると、目の前にマッターホルンが見えた。ヤッター・・・、バンザ〜イ・・・! これよ、これ、これ! これが見たい一心に6時間もかけて旧道を登って来たのよ・・・!

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 わずかに雲がかかっていたが、長年憧れていた山容に変わりはない。やっと念願が叶った。しばらく座り込んで雲が切れるのを待つことにした。

 しかし、5分もすると山頂が雲に隠れてしまった。さらに10分ほど粘ったが、一向に回復する兆しがないので歩き始める。とにかく長年の憧れの山容を見ることが出来て満足だった。これさえ見ればもう山頂なんて踏まなくてもかまわないと思った。

 ここからもアップダウンが続く。ケルンが積んであるピークへ10時55分着。ここは「山頂と登山口」の矢印はいたる所にあるが、「1453のピーク」などという標識は一切ない。時間はたっぷりあると思っていたが、ハッと気がついたらもう11時である。目標の13時30分までに山頂へ着くのは無理のようだ。

 下りの4人のパーティーに会った。山頂からここまで1時間30分だという。登りだと2時間半、いや3時間位かかるかも知れない。

 登山道がハイマツやクマザサに覆われるようになった。全く手入れをしていないので、どこに道があるのか見た限りでは分からない。とにかく、藪こぎをしながら踏み跡を追って行く。救いは藪の背丈が低いことと踏み跡がしっかりしていることだった。

(写真左:時々ガスの中から本峰が姿を見せる。この辺は名前も分からないピークを幾つも越えて行く。拡大写真は→こちら マッターホルンに見えますか?)

 次のピーク(多分、1579のピークだと思う)で、オニギリを1ケ食べた。もうシャリバテだが、食欲はない。
(写真右は登って来たピークを振り返る)

 12時15分発。もう山頂へ13時半どころか14時でも着かないだろうと思った。もう何時に着こうがいいやあ・・・。下りで暗くなったらへッドランプを点けて下ればいいんだから・・・。

 視界がかなり悪くなって来た。この下りはガレていた。
 この辺がキレットの核心部のようで、大小幾つものピークを越えて行く。今度こそ最後の登りかと思うと次のピークがあり、ガックリと力が抜けた。

(写真は旧道の核心部。幾つものピークを越えて行く。拡大写真は→こちら

 鞍部へ下り、遅い足取りで一歩一歩登って行く。この登りさえ登り切ってしまえば、今度こそなだらかになるだろう。

 ピークを登り切った所に男性2人が休んでいた。私がオニギリを食べている時に追い越して行った50代前半の2人連れだった。

 しばらくするとイソツツジやエゾツツジの群落があった。思わず足を止めて写真を撮った。
 次第にガスが切れ、山頂がクッキリと見えるようになって来た。山頂に立っている人まで見えそうだ。いずれにしてもあと一息だ!頑張ろう。

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 お花畑で写真を撮っていると、谷側の方から登って来たオジさんがいた。本谷を登って来たという。

 いよいよ山頂直下。