棒ノ折山・・2/2

 鎖場を登って行くと、滝の上部へ出た。じっくりと滝を見物する。実はこの滝が「白孔雀しろくじゃくノ滝」だっと知ったのはこの後だった。滝を過ぎた所に標識があったからだ。

 沢が細くなり、丸太橋で2回渡ると木段が見えた。ここでジャンバーを脱いだ。暑くてたまらん!私の場合はフリースなどというシャレタものではない。野良仕事用のジャンバーだ。

 左手にトンネルを見ながら木段を登ると道路へ出た。

 左に曲がると右手に木の長イスがあった。それを見ながら10メートルも進んでから、「やはり休んで行こう!」と引き返すと、そこが登山口だった。休憩しなかったら通り過ぎてしまうところだった。
 私は登山口には東屋があるはずだと思っていたが、東屋はなくイスだけが残っていたようだ。

 ここからは雑木林の中の木段を登って行く。
 5、6分も登ると左へトラバース。道が平らで歩きやすいが、余りにも人工的でまるで林道を歩いているようだった。

 予定より10分以上も遅れて岩茸いわたけ石へ着いた。ここは十字路になった分岐である。写真を撮っただけで権次入ごんじり峠へ向かって行った。

 ここからは支尾根になり、左は杉の植林帯、右は落葉樹の急斜面である。

 1つのピークを登ると、今度は木段になった。木段と足幅が合わず、歩きにくいこと極まりない。木段の脇には良く踏まれた道がついていた。私もその道を登って行った。こういう木段を造るのは国か地方か知らないが、いずれにしても税金の無駄使いではないか、と思った。

 ゴンジリ峠は広く、標識やベンチがあった。それにしても「ゴンジリ峠」とは変わった名前だと思った。

 ここから、広い道をわずかに下り、いよいよ本峰への登りになる。ゴルジュで追い越された若者2人がもう下って来た。

 急な斜面をヒーヒーしながら登り詰めると、パーと開けた棒ノ折山の山頂へ着いた。奥の方でゴルジュで被写体になってもらったご夫婦が食事をしているようだった。
 山頂からは武蔵や秩父の山が一望できるが、私にはほとんど分からない。私が分かったのは、武甲山、大持山、武川岳と、その奥に見えた榛名山ぐらいだった。


(棒ノ折山の山頂)

(もう一つの標識)

左から、大持山、武甲山、奥に榛名山、右が武川岳)

 この山頂には桜が多いので、桜が咲く季節はさぞかし賑わうだろうと思った。
 風が冷たいので東屋で軽く食事を済ませ、今、下って行ったばかりのご夫婦を追いかけるように私も下って行く。

 ゴンジリ峠からの木段は下りもキツイ。気合を入れて一歩ずつ下って行く。木段が壊れている所は巻いて行く。
 岩茸石近くなってやっと木段から解放された。

 ご夫婦は岩茸石の分岐から白谷沢を下って行ったが、私は滝ノ平尾根を下るため、岩茸石を回り込んで裏側へ出た。そこにはしっかりと踏まれた道が続いていた。ここからは稜線沿いの道をチンタラと歩いて行く。

 10分も歩くと林道へ出た。その林道を横断して登って行く。
 棒ノ折山の全景写真が撮りたいと思い、何度も振り返ったが、樹間からはボッテリした山容しか見えなかった。棒ノ折山の山頂直下のあの急な登りを考えると、もっと、すくっと立ち上がっても良さそうに思えるのだが・・・。

 もう全景写真を撮るのを諦めた時、展望台があった。周りはトラロープで囲われ、立入禁止と書かれていたが、ここから初めてゴンジリ峠と棒ノ折山が見えた。しかし、ここからも棒ノ折山はボッテリした山容だった。この山は奥多摩の方から見た方が良いのかも知れない。

(写真左:立入禁止の展望台)
(写真右:左がゴンジリ峠、右が棒ノ折山)

 展望台からわずかに下ると、また林道へ出た(2回目)。横断して下って行く。左手眼下に名栗湖が見え隠れする。

 また林道を横断(3回目)して薄暗い杉の植林帯へ入って行く。今日は木漏れ日があるので助かるが、曇った日や夕暮れ時は気味悪いだろう。この道を登って来る登山者もいた。私はここを登りに使わなくて正解だったと思った。私はこういう針葉樹林帯は苦手だから・・・。

 途中にベンチがあったので一服して行く。
 ここからは一気の下りかと思ったが、それほど急な下りではなかった。ジグを切って下って行く。所々に木の根が出っ張ったり、窪地があったり・・。でもこの程度ならどこにでもある。

 ちょうど12時のチャイムが鳴った時、民家がある河又へ着いた。赤い橋の奥に、今朝止めた駐車場のトイレと売店が見えた。

 私は白谷沢を登って滝ノ平尾根を下って来たが、白谷沢を下れば良かったかな?と思った。沢は下ってはいけないという鉄則があるが、白谷沢は足場もしっかりしており、ガイドブックにも初心者向けコースと書いてあった。あのゴルジュを下るのも面白かったかも知れない。