帳付山−2/2

 馬道のコルを素通りして天丸方面へ向かって行く。

 歩きながら天丸と大山は、どちらを先に登るかを思案した。その結果、遠い方から先に攻めることにして、天丸分岐を素通りして行く。とにかく今朝、野栗沢から見たあのマッターホルンのような大山を登らずしては帰れない。

 少し登った所に倉門山の標識があり、そこから1、2分下った所に大山分岐があった。ここから見える大山が凄い迫力だ!

 ここからかなり下って行く。帰りの登り返しが思いやられる。下の方で人の声がした。

 鞍部まで下り、いよいよ大山の登りである。垂直のような岩場にロープがぶら下がっていた。

 それを登り切って次の岩を登ろうとした時、ペンキで×印があった。よく見ると左に矢印があった。
 その矢印に従って左へ回り込むと、上部にロープがぶら下がっていた。

 あっけなく岩場を登り詰めた。そこが山頂かと思ったが、これは前衛のピークで奥に2つの岩峰があった。

 アカヤシオが咲く痩せた岩尾根を通り、右の岩峰を巻いて行くと、ガレ場のような登りになり、すぐに山頂へ着いた。思わず「ヤッター」と雄叫びを上げた。とにかく今朝、野栗沢からマッターホルンのように見えたあの山のテッペンへ立ったのだ。


(山頂の周りはアカヤシオがいっぱい)

(大山から諏訪山、帳付山方面)

 標識の所にザックが2個あったが人影がない。よく見ると奥の方でアカヤシオの写真を撮っていた。ここはアカヤシオがいっぱい咲いていた。

 写真を撮っていたのは御夫婦で、「天丸橋から登って来たが、登山道が雪に埋もれ迷ってばかりいた。コースタイムの倍かかった」という。私は天丸橋から登らず正解だったと思った。
 御夫婦は、「これから天丸山へ行って天丸橋へ引き返す」という。

 私も次の目標は天丸山である。「天丸で会いましょう」と言って先に下り始める。

 鞍部まで下ると天丸橋へ下る分岐がある。ついこの道を下りたくなるが、これを下ると林道を4Kmも歩かねばならない。気合を入れて稜線まで登り返す。

 再び天丸山分岐へ立った。ここで水分補給。もう時間的には楽勝なので一服して行く。

 本日、3つ目のピーク、天丸山を目指して下って行く。天丸山は大山や帳付山より人気があり、知名度もあるようだ。
 大山ほどの急坂ではなく、すぐに鞍部へ着いた。ここから見上げる天丸山は垂直のように見える。こんな所が本当に登れるのだろうか?

 基部の左手にロープがぶら下がっていた。垂直のようなロープを登り、次のロープ場でストックをデポする。ここはストックは不要、四駆でなければ難しい。
 ここは大山よりも急斜面だ。両手でロープに掴まりながら必死で登って行った。


 登り切った所が山頂かと思ったが、20mほど先に山頂があった。「ついにやった!これで帳付、大山、天丸を登ったぞ〜!」
 とにかく3つのピークに立て嬉しい。もう心残りは何もない。

「ヤッホ〜!」と先ほどの御夫婦にエールを送ったが、山彦は返って来なかった。

 馬道のコルまで戻り、缶コーヒーでゆっくりとコーヒータイム。後は馬道を下るだけだ。
    
(天丸山分岐付近のアカヤシオ)