帳付山 (ちょうづけやま)

(1,619m 群馬県・埼玉県)

諏訪山から見た帳付山は鋭峰で恰好いい

2014年5月8日(木)

社壇乗越〜(馬道)〜帳付山〜大山〜天丸山〜(馬道)〜社壇乗越


525社壇乗越540〜655馬道のコル705〜850帳付山905〜1010四八五ピーク(昼食)1025〜1038馬道のコル〜1114大山分岐〜1143大山1200〜1224大山分岐〜1231天丸山分岐1240〜1307天丸山1315〜1342天丸山分岐〜1354馬道のコル1405〜1458社壇乗越

 今日は上武国境にある帳付山である。この山は「西上州の秘峰」といわれているそうだ。
 当初は、天丸橋から大山、天丸山、そして帳付山へ行く予定だったが、昨夜泊まった不二野屋のご主人から、「帳付山は岩場だから疲れてから登るのは危険だ。つい先日も転落事故があって救助に行ったばかりだから・・」。

 そして、「社壇乗越しゃだんのっこしからまず帳付山を登って馬道うまみちのコルまで戻ってから、体力と時間があったら天丸山を登ればいい」とのアドバイスを頂いたので、素直にそのコースで行くことにした。

 宿を5時前に出発。まずは野栗沢温泉をめざして行く。

 野栗沢集落から朝日を浴びた大山がマッターホルンのように見えた。宿のご主人は、「今日は大山は諦めて別な日に来ればいい」と言っていたが、あのマッターホルンのような山容を見て、どうして諦められようか。私は天丸山を諦めてでもあの大山へ登りたいと思った。


 奥名郷の数軒しかない集落を過ぎ、天丸橋まで行くと車は1台もなかった。ヤレヤレ今日は一人ぼっちか!と思いながら天丸橋を見送って舗装された林道を登って行った。

 しかし社壇乗越が分からず、200〜300mも下ってから引き返すと、カーブミラーの下に「天丸山」と書かれた小さな標識があった。これでは天丸橋から登って来た場合、標識が見えない。

 とにかくここが社壇乗越のようなので路駐した。(2台分位のスペース)、5時25分着。
 今日も熊鈴を付けて、5時40分に出発。


 道幅の広い緩やかな馬道を歩いて行く。ここはかつては武州と結んだ交易路だったというから馬も沢山歩いたのだろう。

 左正面に朝日に輝く岩峰が見えて来た。天丸山だろうか。そして右手には目指す帳付山も見える。

 15分も歩くと雪渓が現れた。10mほどトラバースするが真ん中に倒木があり、それを跨いで行く。
 さらに10分も歩くとまた雪渓が現れた。ここも10mほどトラバースして行く。

 所々にミツバツツジが咲いていた。もう葉が出ているモノも多い。
 
 アカヤシオも見られるようになって来た。アカヤシオの写真を撮ろうとした時、天丸山がそそり立って見えた。「お〜!天丸が凄い!」と一人で歓声を上げた。
 馬道が急斜面になり、ジグを切って登って行くと、「馬道のコル」へ着いた。ここは右が帳付山、左が天丸山、大山の分岐で、帳付山を登ってからまたここへ戻って来ることになる。

 ここで一服してから右手の道を登って行く。途中から左へトラバースすると、アカヤシオが多くなって来た。しかしアカヤシオは昨日、諏訪山でゲップが出るほど見て来たので、さほど感動はない。

 今日は絶対に天丸山と大山の両方を登って帰りたいと思いながら、小さなピークを登って行った。そのピークで危うく左の尾根へ入ってしまう所だったが、古ぼけた標識があったので助かった。
 そこからすぐに「四八五」の石柱があるピークへ着いた。

 そこからは岩と木の根になり、左手は絶壁でアスレチックのようになって来た。昨日歩いた諏訪山や馬道とはエライ違いだ。
 今度は右側も切れ落ちた岩のヤセ尾根になった。


 岩棚へ出ると正面に堂々とした帳付山が見えた。ガイドブックには「帳付山は西上州マニア憧れの秘峰。重量感あふれる山容は哲学的な風貌だが、油断ならない岩稜を隠し持つ」と書いてあった。
 とにかく注意しながら行こう。

 大きな岩が現れた。「あれ、どうやって登るのだろう?」と思いながら近づいてみると、岩の基部から下って巻いて行く。巻くと言ってもアスレチック的だ。


 やっと岩棚へ出た。正面には、あの「哲学的な風貌」の帳付がピラミダルに見えた。振り返れば天丸山、大山まで見えた。

 ここからもイヤラシイ道だ。「こんな所を下りたくないな〜」とベソかきたくなるような所を下って行くと、トラロープがあってホッとした。

 ここが先日転落事故があったという場所のようだ。不二野屋のご主人が「ロープを追加して来た」と言っていたから、ここに違いない。

 一見、大した岩場には見えないが、ロープに掴まりながら太い木を跨ぐか潜るのは大変だ。もしロープが無ければ下れないのではないか。

 ここは、宿のご主人が「元気なうちに登れ」と言ったのが分かるような気がする。

 次第にアスレチック的な要素が少なくなって来たが、今度はルートハンティングが要求されるようになった。ピンクのリボンがあるが、何度も見失って引き返す。(引き返すと言っても10m位だが)。


 やっと急登が終わり、ヤセ細った岩稜を行くと三角点があり、そこから3分ほどで山頂へ着いた。時に8時50分。ついにピラミダルな山のテッペンへ立ったぞ〜!

 山頂から20mほど進んだ岩棚で休憩。ここからは昨日登った諏訪山が目の前に見えた。そしてその左手奥には雪をたらふく抱いた八ヶ岳も見える。もちろん天丸山も大山もバッチリだ。あの2つのテッペンは何が何でも登らねばならない。


 さて長居は無用。早く天丸山と大山へ行こう。
 下りは登り以上に気を付けなくてはならない。

 ロープ場を越え、四八五ピークで昼食。朝が早かったのでもうシャリバテだ。もっとも昼食といっても菓子パンだから食べるのも早い。何しろ上野村にはコンビニもないのでオニギリも買えない。

 馬道のコルの手前まで来ると、天丸山が輝いて見えた。