「紅葉と温泉・みちのくの山旅」
船形山(ふながたやま)

(1,500m、山形・宮城)  148座

船形山の山頂。
今回デジカメが故障してしまい写真が全滅でした。イメージだけ見て下さい。

大滝野営場〜船形山〜升沢小屋〜三光の宮〜大滝野営場


神室山からの続き
2006年10月10日(火)

川渡温泉400−550大滝野営場610〜703鏡池分岐708〜813船形山835〜945升沢小屋〜1005瓶石(昼食)1025〜三光の宮〜1145大滝野営場

 朝4時に川渡温泉の宿を出発。
 色麻(しかま)町の清水小学校の前にあった「船形山登山口」の標識で左折。舗装された道を進んで行く。やがてダートのガタガタ道となった。車がバラバラに解体してしまうのではないかと心配するほどの悪路だった。

 最初の分岐は標識がなかった(たぶん)が、ここを右折する。あとは標識に従って行けば大滝駐車場へ着く。駐車場まで小学校から約21km。林道だけでも12km以上あった。

 林道の途中で、すっかり夜が明けた。キャンプ場周辺はブナの紅葉が綺麗だった。
 5時50分、駐車場着。すでに車が5、6台あった。

 6時10分出発。
 登山道へ入るとさらにブナの紅葉がすばらしかった。昨日、神室山で会った津久井から来たという方に、「船形の紅葉はどうでしたか」と聞いた時、彼が首を左右に振ったので全く期待していなかった。それだけに色鮮やかなブナの紅葉が目に沁みた。

 そのブナの紅葉を写真に撮ろうとしたが、どうもデジカメの調子が悪い。どうしちゃったんだろう。昨日、神室の下りで転んだ時、振動で壊れてしまったのだろうか。

 右手に前船形山見えるが、肝心な船形山は見えない。
 ここはぬかるみが多く、もう靴はドロだらけである。ここを暴風雨の中に登った津久井の方は大変だっただろう、と思った。

 背後から朝日を浴びた。今日は昨日のようなガスもなく、スカッと晴れ渡りまさに秋晴れである。ブナの紅葉が逆光に輝いて美しい。秋山のすばらしさをかみ締めながら登って行った。

 鏡池との分岐へ7時03分着。ここで一本。今日はコースが短いため急ぐ必要もない。

 前船形山の写真を撮りたいが、樹木が多くて写真が撮れない。

 小学生ぐらいの男の子を連れた親子が下って来た。昨夜は山頂の小屋へ泊まったという。親子で避難小屋へ泊まるなんて羨ましいと思った。

 展望台へ7時30分着。右手に薬師森が間近に見えた。
 ここから、かすかに沢の音が聞こえて来た。こんな所に沢があったかなァ・・、と思いながら5、6mほど登ると、登山道にわずかに水が流れていた。湧き水だろうか。それとも雨水だろうか。

 さらに登って行くと、足元に流れる水が多くなって来た。これはきっと湧き水に違いないと思って一口飲んでみると、冷たくてうまかった。ここは登山道というよりも、もともと沢なのだ。一抱えもある石がゴロゴロしており、その間をわずかな水が流れている。大雨の時は沢になってしまい登下山が大変だろうと思った。

 稜線の分岐へ8時04分着。

 前船形山(写真右)は充分眺めることが出来たが、肝心な船形山は未だに姿を見せない。
 分岐から左へ折れて1分ほど行くと、正面にボッテリした山が見えた。標識のようなものも見える。あれが山頂だろうか?

 私はあれが山頂でないことを期待した。余りにも平凡だからである。もっと立派な山頂であってほしいと願いながら、ハイマツが生えたなだらかな道を進んで行くと、標識と避難小屋があった。そこが山頂だった。


 山頂にいた1人の男性が、誰かが来るのを待っていたようで、私が着くなり片言の日本語で「シャッターを押して下さい」という。韓国人か中国人のようだった。

 せっかくなので避難小屋の中へ入ってみた。なかなか小奇麗な小屋だった。
 小屋の前から山頂を見ると、それなりの風格があった。それを演出しているのは石とハイマツだろうか。

 稜線上の紅葉は、先日の暴風雨でほとんど散ってしまい、枯れ枝になっていた。例年なら山頂から千畳敷一帯は真っ赤な絨毯を敷いたような見事な紅葉が見られるらしいが、今日は残念ながら見ることができなかった。
 しかし 、少し下ると紅葉が見られるようになってきた。


右の三角錐の山が蛇ケ岳
(拡大できます)

山頂を振り返る

千畳敷への下り

 20分ほど下ると蛇ケ岳との分岐があった。蛇ケ岳まで行こうか少し迷ったが、結局はそのまま升沢小屋を目指して下ることにした。

 この辺はまだまだ紅葉が残っていた。あの風雨によく耐えたものだ。紅葉を眺めながらのんびりと下って行った。

 登山道が次第に沢のようになり、チョロチョロと水が流れ出していた。下るにしたがって水が多くなり、本格的な沢下りのようになって来た。場所によってはナメ滝のようになっており、岩が滑るような気がしたが、ここは石や岩の表面が凸凹になっており、ほとんど滑る心配はなかった。

 さらに下って行くと、石から石へ飛び移るのも苦労するようになって来た。やはり水量が多いのだろう。こんな所を一昨日の大雨の時に下ったら大変なことになっただろう。

 地図を広げて見ると、千畳敷からは「沢の中を歩く」と書いてあった。事前に十分チェックしていれば驚くこともなかっただろうが、地図もロクくに見ない不届き者は突然の沢下りに驚いた。

 升沢小屋の近くまで下ると、単独行が登って来た。彼は「現在新築中の升沢小屋を見に来た」と言ったが、なるほど大工さんが釘を打つ音が聞こえて来た。

 その新築中の小屋の前で昼食にしようと思ったが、地面も資材も濡れていて腰を下ろす場所がない。仕方がなく、そのまま歩いて行った。
 20分ほど下ったところに蛇ケ岳との分岐があった。ここは瓶石というらしい。ここで昼食にした。今日はビールではなくヨーグルトを持って来た。ヨーグルトもなかなかいける。

 ここから5、6分歩いて振り返った時、やっと山頂が見えた。この山の由来である「船をひっくり返したような山容」がやっと見えた。ただ、周りに樹木が多すぎるのが残念だった。

 この辺からは紅葉したブナ林の中を下って行く。

 三光の宮との分岐まで来た時、三光の宮方面から単独の女性が登って来た。挨拶しながら言葉を交わすと、「三光の宮はすぐそこですから行った方がいいですよ」とのアドバイスに、行ってみることにした。

 1分ほどで標識があり、そこから1、2分登った岩場のテッペンに「三光の宮」があった。三光の宮とは、月と星と太陽を祀っているのだという。

 そこからは船形山の全景が見えた。まさに「船をひっくり返したような山容」だった。せっかく見えた全景だが、デジカメの故障でピンボケになってしまったのが本当に痛い。

 ここから大滝野営場へ向かって下って行った。

 途中で5、6人のパーティーが登って来た。こんな時間に登ってどこまで行くのだろうか。彼らに聞いてみると、「私達は山の中腹を楽しむ会なんです」との言葉が返って来た。なるほど、そんな楽しみ方もあったのか、と改めて山の楽しみ方を教えられたような気がした。

 大滝駐車場へ11時45分着。
 駐車場へ着く直前に、三脚を担いだ方に会った。その方が、帰りは「色麻町へ出るより升沢林道の方が近いから一緒に帰りましょう。どうせ帰り道で大和ICを通るから後ろに付いて来な」と言ってくれた。ご好意に甘えて大和ICまで、彼の車の後ろに付いて行った。

 やはり東北の人は親切でやさしい。そんな思いで高速に乗った。
 (大滝駐車場から色麻へ出るには林道が約12kmあるが、升沢は約4km程で凸凹も少なかった)