二子山 (ふたごやま)

(1,166m、埼玉県)

登ったぞ〜上級者コ−ス!


魚尾道峠から坂本へ下る途中から見た二子山(右が東岳、左が西岳)


2012年5月8(火)
坂本〜股峠〜東岳〜股峠〜(上級者コ−ス)〜西岳〜魚尾道峠〜坂本

自宅435−(R16)−530飯能−(R299)−秩父−小鹿野−716坂本登山口728〜828股峠840〜913東岳930〜955股峠1005〜1015分岐〜(上級者コ−ス)〜1054一般コ−ス分岐1103〜1107西岳(昼食)1130〜1214鎖場〜1248魚尾道峠〜1326国道299−1335坂本登山口

 二子山という山は全国に数多くあり、秩父地方だけでも三座あるが、この山は埼玉県秩父郡小鹿野おがの町にある関東百名山である。しかし上武国境に近いことから、西上州の二子山、または両神山の近く(北東)にある二子山、と言った方が分かりやすいかも知れない。

 私は、以前からこの岩峰を一度は登ってみたいと思っていた。その憧れの岩峰を登るため、朝4時35分に家を出た。
 R16を飛ばし、飯能市からR299へ入って秩父市を目指して行く。しかし片側一車線が多く余り飛ばすことは出来ない。
 秩父市からは小鹿野を目指して行く。小鹿野の中心街を過ぎ、そのまま志賀坂峠を目指して行った。

 民家もなくなり、いかにも峠越えという感じで曲がりくねった道を登って行くと、正面の樹間から待望の二子山が見えた。まるで穂高の屏風岩が2つ並んでいるようで迫力があった。しかし、樹木が多すぎて写真は撮れなかった。

 すぐに、右手にポツンと民家が現れた。「こんな山ん中に?」と思ったが、それが「民宿登人」だった。この民宿のすぐ上の林道へ入ると、公衆トイレがあり、登山口があった。

「さて、車をどこへ止めようか」、と周りを見渡すと、5、60mほど先に車が1台止まっているのが見えた。大宮ナンバ−の隣に車を止めた。

(駐車場側から見た登山口、左下にトイレが見える)

 準備を済ませ、7時28分に出発。
 まずは杉林の中を登って行く。3、4分で沢へ出た。朽ちた丸太橋があった。その橋の手前で沢を飛び石で渡り、沢沿いに歩いて行く。新緑が眩しいほどだった。

 ここはスミレやチゴユリ、それにニリンソウなどがいっぱい咲いていた。特にニリンソウは群落で咲いていた。花好きな私には嬉しい。山はこうでなくちゃあ〜。
      

(スミレ)

(チゴユリ)

(ニリンソウ)

 再び沢を渡り返して沢沿いの杉林の中を進んで行く。ここは沢の左手が杉林で、右側が雑木林とハッキリしている。

 しかしその杉も次第になくなり、新緑の中を沢沿いに登って行くようになった。
(実はこの辺で右へ行く踏み跡があったが、直進の方にリボンがあり、踏み跡もしっかりしていたので沢沿いに登って行った)

 その後も3、4回渡渉しながら登って行き、沢が涸れると急登になった。

 ここはテープや標識が沢山あり、道に迷うことはない、と思った。(しかし結果的には肝心な分岐に標識がなかった)
 それに、このコースは夕立の直後などは沢が増水して登下山できないかも知れない、と思った。

 樹間から陽光を浴びた。淡い日差しだが、今日は天気予報では曇りと報じていたので有難い。
 さらに一気の登りになった。もう汗だくだ。足元に咲くニリンソウの群落が励ましてくれた。

 また峠の手前で右手からの道と合流した。この時、初めて予定していた道と違ったことに気付く。私はどうも沢沿いの道を来てしまったようだ。

 8時28分、股峠へ到着。

 ここは十字路になっており、右(東)が東岳、左が西岳である。真っ直ぐ行くと倉尾と標識に書いてあった。

 さらに西岳のコース案内板があった。上級者コースは絶壁を攀じ登るようだが、あんな絶壁をザイルなしで本当に登れるのだろうか。

 また、「ニリンソウ群生地、0m」と書かれた案内板があった。ここはニリンソウの群生地だったのだ。

 誰もいない股峠で休憩、水分を補給し、ニコチンも補給する。

 さて、東岳へ行こう。
 岩混じりの雑木林の中を登って行くと、ヒトリシズカが咲いていた。しかも群落である。花の写真を撮って10mも登って右手を見ると、何と西岳の岩峰がそそり立って見えるではないか。「お〜」と歓声を上げた。
 近くにイカリソウも咲いていた。
      

(ヒトリシズカ)

(西岳の岩峰)

(イカリソウ)

 途中で下山者に会った。登山口に止めてあった大宮ナンバーの方だった。
 その方に「西岳の上級者コースは、妙義山の上級コースと比較してどうですか」と聞いてみた。するとその方は、
「妙義山ほど難しくはないが、落ちたら助かりませんよ。岩場のホールドはしっかりしてますがねぇ・・・」、という。
 この時点で、私は「上級者コース」を行くか「一般コース」を行くか、決めかねていた。

 最大の難所といわれる鎖場が現れた。ここでストックを岩陰にデポして鎖に取り付いた。

 私が持っているガイドブックでは、「西岳よりも難しい」と書いてあったが、金属の足場があり、難なくクリアー。これが本当に最大の難所だろうか?
 ガイドブックは鎖や金属の足場がない時代に書かれたものかも知れない、と思った。もし鎖も金属の足場も無かったら、確かにヤバイだろう。

 ここからは両手、両足の四駆で登って行く。

 そして、岩場を登り切った所から振り向くと、西岳の岩峰が豪快にそそり立っていた。凄い迫力だ。あんな所をどうやって登るのだろうか。
 股峠にあった西岳のコース案内を思い浮かべながら凝視したが、やはりあの壁を直登するのは無理だ。一般コースで登ろう。
(画像にカーソルのポインターを置いて見比べて下さい。赤色が上級者コース、青が一般コース)


【結局は上級者コース(赤色)を登ってしまった!!】

 ここからは、二足歩行で岩稜を歩いて行く。
 山頂かと思ったピークの奥に、「俺が山頂だ!」というように、厳ついピークが見えた。
 そこから鞍部へわずかに下ると、リンドウの花が咲いていた。こんな時期にリンドウに会えるとは嬉しい。

 東岳らしきピークへ9時13分着。ここが本当に東岳の山頂だろうか。真っ赤に錆びて倒れ掛かった標識らしきモノと、かろうじて「1122」と判読できる板があるだけだった。(ここの標高が1,122m)


(厳つい東岳)

(フデリンドウ)

(味気ない山頂)

 登山道が先まで続いていたので進んで行った。しかし何もない。標高も低くなるばかりなので引き返す。
 再び東岳へ戻って休憩。
 ここから見る西岳が凄い。あのテッペンへ立てるかと思うと嬉しいが、あの垂直の岩壁は登りたくない。

 南西に両神山や赤岩尾根、大ナゲシ、天丸山、帳付山らしき峰々が見えるが、私にはどれが何山なのか分からない。


(両神山方面)

 今、大宮の方が、西岳の絶壁を登り切って山頂部を歩いているのが見える。私もあのテッペンへ立ちたいな〜!

 早く西岳へ行こう。9時30分、東岳発。
 下りは登り以上に注意しながら下って行く。ここで足を滑らせたり転んだりしたら一巻の終わりである。

 鎖場を過ぎ、ストックを回収して下り出すと、すぐに男性2人組の登山者に会った。その内の1人は、西岳の上級者コースを何度も登っているというので、大宮の方と同じように、「妙義山の上級コースと比較してどうですか」と聞いてみた。

 すると、「妙義山の上級コースを歩いているなら大丈夫ですよ。道もあるし、ホールドもしっかりしているから・・・。岩も今日なら乾いているから滑らないでしょう。あそこはオバさんでも登っていますから・・・!」と、心強いお言葉を頂く。
 そして、オバさんでも登っていると聞いて、俄然、ファイトが湧いてきた。よし!私も上級者コースを登ろう!