二子山−2/2

 股峠へ戻って大休止。これからの大一番に備える。
 ストックをザックに仕舞い、西岳の絶壁に向かっていざ出陣。あの絶壁は途中まで登ったら、もう引き返せない、とある方のブログに書いてあった。全身の毛がよだつような緊張感を覚える。
 (下山して駐車場で会った方は、上級者コースを何度も下っていると言う。岩に慣れている人なら下れるそうだ)

 岩混じりの杉林を5、6分も登ると分岐があった。しかし、右手の道は5、6m先に「この先危険」の標識が立っていた。
 真っ直ぐ登って行くと、「上級者コース」と「一般コース」の分岐があった。股峠からちょうど10分だった。

 私は迷うことなく、上級者コースを登って行った。

 岩混じりの急登を7分(分岐から)も登ると、岩壁へぶち当たった。ここからが本番である。両手、両足をフル稼働し、慎重に登って行った。

 岩にはペンキマークがあるので迷うことはない。しかも、手を出した所から数センチ以内に手がかりがあるので、行き詰まることもない。
 とはいえ、足を滑らせたら一瞬にしてあの世行きである。一瞬たりとも気が抜けない。慎重に、慎重に、手足を進めて行った。

 垂直に近い所もあったが、それも3、4mほどで、ビビルこともなく登って行った。


 分岐から2、30分も登った時、爽やかな風が汗ばんだ頬を撫でるようになった。もう山頂が近いことを感じる。

 そして、しばらくすると、やっと岩壁から解放され、二足歩行が出来るようになった。

(途中から返り見た東岳)

 テッペン(西岳・東峰)へ着いたら、「上級者コースを登ったぞ〜!」と、雄叫びでも上げたかったが、どこが東峰の山頂か分からなかった。上部はボッテリした岩塊で、「ここが山頂」というハッキリしたものがない。

 どこが東峰の山頂か分からぬままに鞍部へ下ると、標識があり、一般コースと合流した。
 よく見ると、左手の大きな岩に踏み跡があったので東峰の山頂かと思って登ってみたが、山頂ではなく、もっと高い所があるので戻るように進んでみた。すると、今歩いて来た道へ戻ってしまい、ただ周遊しただけだった。



(分岐近くからの最高峰、中央峰)

(中央峰からの東峰)
 再び分岐へ戻り、気分を変えて最高峰である西岳・中央峰を目指して行った。

 あっという間に標識と三角点がある最高峰へ着いた。標識はなぜか反対側を向いていた。

「やっと西岳に登ったぞ〜!」と、ここで雄叫びを上げた。そして、一時ではあるが今までの緊張感から解放された。

 ここで昼食にしよう。コンビニのオイナリさんと缶コーヒーだけ、という貧しいランチである。

 11時30分、下山開始。
 ここは下山といっても、西峰(写真右)を越えねばならない。まるでゴジラの背のような痩せた岩稜を下って行く。左右とも垂直に切れ落ちた絶壁である。ざっと500mぐらいあるだろうか。

 しかし、ここはホールドがしっかりしているので安心感があった。ただ風雨が強い日はいやらしいだろうと思った。

 西峰へ11時50分ごろ着いた。ここで一服しながら、今下って来た中央峰を見ると、標識のところで2人組が休んでいるのが見えた。
 そして、しばらくすると、2組が痩せ尾根を下り出した。あんな所を歩いて来たかと思うと我ながら驚く。


(西峰からの中央峰、下っている2人が見える)

 さて、私も下ろう。しばらくは痩せた岩尾根を下って行く。
 サイレンが鳴り、その後に発破の音が響く。前方に見える白く削られたかのう山が、さらに発破で削られているのだ(セメント採掘のため)。痛々しいので、余り見ないようにした。

 途中の岩に、ペンキで×印があった。「行き止まりか?」と思ったら、×印の左下に薄ぼけたペンキで矢印があった。その矢印に従って左へ90度曲がって下って行く。

 ネットで見覚えがある鎖場へ出た。ここは全く問題ない。むしろ、ここから木と岩混じりの急斜面の方が嫌らしい。もし転げ落ちたら止まりそうもない。慎重に下って行った。トラロープもあった。

 やっと平らになった所へ降り立った。そこにネットで見覚えがある大きな岩、いや岩壁があった。クライマーのトレーニング場になっているらしい。

 実はここからが要注意。降り立った所から2、30mほど進むと分岐があった。右は踏み跡が薄く、直進は踏み跡が濃く目印が付いていたので、そのまま直進した。道は岩壁に沿うようになだらかに下って行く。

 5、6分も下ってから、「怪しい」と思って立ち止まった。この道はローソク岩へ行く道ではないか? 魚尾道よのうみち峠へ行くには岩壁から直角に遠ざかるはずである。そう思って引き返す。

 再び分岐へ戻り、右手の道を下って行った。杉林をグングン下って行くと伐採跡地へ出た。そして、やっと標識が見えて来た。そこが「魚尾道峠」だった。引き返して正解だった。ここからローソク岩・股峠への道もあったが、私が間違えて下った道と合流するかは不明。

(魚尾道峠の読み方については、「よのおみち峠」と「よのうみち峠」が入り乱れているが、ウイキペディアの【関東地方の峠一覧】には、『よのうみち峠』と書いてあるのでそのように記す)

 ここからは「志賀坂峠」を目指して下って行く。時々、振り返って二子山の写真を撮った。

 鉄塔まで来ると、東岳が大きく見え迫力が増した。見るからにアルペン的で恰好いい。
 最後の写真を撮り、ここから杉林の中へ突入して行く。「坂本」の標識が多くなって助かるが、肝心な所(分岐)に立ててほしいと思った。

 杉林が終わり雑木林になると、淡い新緑が目に染みた。そして、ジュウニヒトエの花を久しぶりに見た。
(十二単のように見えますか)

 国道299へ出た。ここを左へ曲がって下って行く。途中で二子山がバッチリ見えた。


(R299からの二子山)