月 山(がっさん)       30座目

(1,984m、 山形県)


湯殿山へ下る途中から返り見た月山。


鳥海山から続く

1994年8月18日(木)
月山八合目〜月山〜湯殿山神社

鶴岡600−730月山八合目840〜月山〜湯殿山神社−山形−仙台−(新幹線)−東京

 6時前に鶴岡駅のバス停へ行った。彼もすぐにやって来た。

 月山八合目行きのバスは6時ちょうどに出発した。市内を抜け、山麓から山を登って行く。富士スバルラインのような立派な道をうねりながら登って行くが、いっこうに目指す月山が見えてこない。曇っている訳でもガスっている訳でもないのだが……。月山とはこんなに奧深い山なのだろうか。
 車窓からは最後まで山頂らしきものが見えないまま八合目へ着いた。(7時30分着)

 そこには立派なレストハウスがあった。そして、ここに会社の向山さんがいた。奥さんとお嬢さんも一緒だった。実はここで向山さんと会うのは偶然ではなく、予測していたことだった。
 私が会社で「お盆に月山へ行く」と言った時、向山さんが「お盆は鶴岡へ行っているので、都合がついたら行くかも知れない」と言っていた。奥さんの実家が鶴岡で、月山までは車ですぐだと言う。
 向山さんから、「9時から食堂が開くので、食事をしてから出かけたいので先に行ってほしい」と言われ、私達は8時40分頃出発した。

 ここも鳥海山と同じニセ高山帯だった。膝ほどの草木が一面を覆っていた。

 月山は、羽黒山や湯殿山とともに出羽三山といわれ、昔から信仰登山として登られているだけあって、登山道は石や岩を利用して良く整備されていた。しかし、思ったより登りがきつかった。昨日の疲れが抜けないこともあるが、昨日挫いた足首に痛みがあった。どうしても痛い方の左足をかばってしまうので、よけいに疲れるのかも知れない。

 昨日は、宿の近くの薬局で湿布薬とヤケドの薬を買い、足首に湿布をし、両腕と両脚にヤケドの薬を塗った。湿布をしながら、「明日は少々痛くても、這ってでも月山を登ろう」と思っていた。日焼けの方はヤケドのようになってしまったが、山が登れないということはない。(写真右:縦走路)

 そんなこともあって、後から登って来る小学生達にどんどん追い越された。余りにも私のペースが遅いので、連れに先に行くようにお願いした。

 いつの間にかガスが湧き始め、ガスの切れ間から時々残雪が見えた。ここは鳥海山よりも残雪が多かった。さすがに夏スキーで有名な所だと思った。

 仏生池小屋近くには紅柴色をしたハクサンフウロが咲いていた。今日は霧で花びらが濡れているせいか、いつもより綺麗に見えた。

 やっと山頂が見えて来た(写真左)。今朝バスに乗った時から山頂を一目みたいと思っていたが、やっと見えた。山のテッペンに建物が小さく見えた。山頂の神社であろう。

 山頂の手前にあった高台で、さっきまで一緒だった連れが待っていてくれた。

 彼にはもう一度、「足が痛く早く歩けないので、遠慮せず先に行ってほしい」とお願いした。彼は申し訳なさそうに、「じゃあ、またどこかの山で会いましょう」と言って先に登って行った。

 山頂には立派な神社があった。お賽銭を払って中へ入ると、さらに小さな鳥居があり、そこに山頂の石があった。この石がご神体のようで、ここで、もう一度お賽銭を払わないと中へ入れない。
「お金を払わないと山頂が踏めないなんておかしい」と思ったが、せっかく来たのでお賽銭を払って山頂を踏んだ。山頂の標高は1984メートルである。

 神社から出た所に小さな小屋があった。その周りだけ人が少なかったので、小屋の陰で昼食にした。パンを食べていると、異様な匂いが漂ってきた。よく見るとそれはトイレだった。
 そのトイレから湯殿山方面へ下ると、すぐ鍛冶小屋があった。小屋の周りで食事をしている人が大勢いた。私もここで昼食にすれば良かったと思ったが遅かった。

 ここから下って行くと、縦走路が長々と見えた(写真右)。姥ガ岳の方を見た時は「あんなに遠いのか」と、がっかりした。左手には月山リフトへ下る道が見えた。私もリフトで下りたいと思ったが、リフトで下ってもバスがないので、リフトで下る訳にはいかない。

 長々と見えた縦走路は、姥ガ岳を通らず、その手前で右側へトラバースしていたのでホッとした。

 途中の水場で休んでいると、後から来た10人ほどの白装束が近くで休憩した。私は白装束を見るのは初めてだった。まるで時代劇でも見ているようだった。白装束の中には20代の若者もいた。

 さらに下って行くと、道ばたにトイレのような小さな小屋が二つ建っていた(写真左)。

 近づいて行くと、それはトイレではなく「装束場」と書いてあった。背後にはどっしりとした湯殿山があった。「なるほど」と一人で納得した。ここで白装束に着替えてから、湯殿山や月山へ登るわけだ。

 ここから湯殿山神社までは、月光坂といわれる所で、鉄梯子やクサリ場などが続く急坂だった。しかし、アルプスの岩場にある梯子やクサリ場とは違い、安心して下ることが出来た。

 湯殿山神社本宮からは、登山者3人で湯殿山ホテルまでタクシーで行った。ここでバスを待つ間、山菜ソバを食べた。地元で採れたキノコがあふれるほど入っていて本当においしかった。

 バスで山形駅へ出たが、山形新幹線は大雨のため運転見合わせとのことで動いていなかった。ホームで2時間も待ったが、運転の見込みがないため、仙台へ出て東北新幹線で帰って来た。 (平成6年)

おまけ

朝日連峰(竜門小屋)から見た月山