白 山(はくさん)     81座目

(2,702m、 石川県・岐阜県)


弥陀ケ原からの御前峰

別当出合〜(砂防新道)〜御前峰〜(観光新道)〜別当出合

2000年8月4日(金)

8/3八王子−(夜行バス)−8/4 615金沢−850別当出合900〜(砂防新道)〜1147甚ノ助小屋1210〜1400室堂(泊)

 昨年の5月に、久しぶりに残雪の槍や穂高が見たくなって、燕岳から常念岳まで歩いて来たが、その時、残雪の山も良いが花がないのがチョッピリ寂しいと思った。今度アルプスへ行く時は花の季節に行こうと思った。

 そんなこともあって、今年の夏は高山植物で有名な加賀の白山へ行くことにした。白山は室堂小屋が建て替え中のため食事が出来ず、自炊になるという。自炊ならハイカーやツアーの団体さんは行かないだろうから、混雑を避けるなら今年がチャンスだと思った。

 昨夜、八王子から夜行バスに乗って今朝金沢駅へ6時15分に着いた。隣のバス停で別当出合行きのバスが待っていた。
 天気は快晴。今日も暑くなりそうである。
 白山の登山口である別当出合まで約2時間。ウトウトしながら8時50分に着いた。

 別当出合には休憩所や売店、トイレなどがあり、冷たい水も引かれていた。さすがは白山だと思った。売店で冷たい缶コーヒーを買ってパンを食べた。

 私が出かけようとした時、もう下って来た老夫婦がいた。
「もう、下って来たんですか? 早いですねえ・・・」と声をかけると、
「室堂を4時過ぎに出て観光新道を下って来ました」と云い、さらに、
「お花がきれいでしたよ」と云う言葉に、私は期待感で胸が高鳴った。

 9時ジャストに別当出合を出発。左手に帰りに下って来る予定の「観光新道」を見送って、「砂防新道」を進んで行くと、すぐに吊り橋があった。

 道はよく整備されて歩きやすかった。2週間前に伊吹山へ行った時は暑さでへばり、ぶっ倒れるかと思ったので、今日はへばらないように、ゆっくり休み休み行こうと思った。

 15分ほど歩くと山小屋のような立派なトイレがあった。そこを素通りして25分ほど歩いてから休憩した。ここは伊吹山とは違い樹木が茂って涼しい。沢の音も聞こえる。森林の中を歩くのはスキー場のゲレンデを登るのとは違って気持がいい。
 しかし、いくら日陰の道とはいえ、すぐに汗だくになってしまう。とにかく今日は絶対にバテないぞ、と気合いを入れながら登って行った。

「室堂まで4キロ、別当出合まで2キロ」と書かれた標識を過ぎると、樹木も背丈の低いダケカンバやクマザサになり、直接日射しを浴びるようになった。しかし、所々に日陰があったので助かった。

 その日陰で一服していると、熊除け鈴をぶら下げ、ラジオをかけながら登ってくる人がいた。熊もいないのにガランガランと響く鈴の音が暑苦しく、ラジオの音がやかましい。他人に迷惑を掛けていることに気付かないのだろうか。
 その人が遠ざかって静かになると、近くでウグイスが鳴きだした。やはり騒音より小鳥のさえずりの方がいい。

 甚ノ助小屋へ11時47分着。コースタイムが2時間30分なので休憩時間を入れれば上出来だった。日陰でお昼を食べ、冷たい水で顔を洗ってから出発した。12時10分発。

「室堂まで1・5キロ」の標識を過ぎた頃からお花が多くなった。最初はナナカマドの白い花が多かったが、ナナカマドが姿を消すと、今度はニッコウキスゲやハクサンフウロ、タカネナデシコなどが咲き乱れるようになってきた。



  
「黒ボコ岩」という変わった名前の岩(写真右)を通り過ぎると、斜面がなだらかになり、ひょっこりと弥陀ケ原へ飛び出した。
 そこは草原になっており、室堂の山小屋とその後方に白山の最高峰である御前峰がうっすらと見えた。  

 雪渓は眩しく光っているが、肝心な山頂がパッとしないのが残念だった。白山は御前峰や剣ケ峰、大汝峰などから成っているが、ここからは御前峰しか見えないようだ。
 ここまで来るとさすがに風が涼しくなって来た。

 室堂近くなるとヘリコプターがさかんに飛んでいた。高層ビルを建てるような長い鉄骨を運んでいた。その工事現場近くまで行くと、鉄筋の骨組みが出来上がっていた。見るからにホテルのような立派な建物だった。この小屋が完成したらぜひ泊まってみたいと思った

 その建設現場を右手に見て進み、小屋の30メートルほど手前まで来た時、雨がポツポツと落ちて来た。そして、アッというまに雷雨に襲われた。傘も雨具も出す暇もなく、受付があるプレハブ小屋へ飛び込んだ。(着いたのは2時頃だったと思う)。
 宿泊手続きを済ませると、学生風のアルバイトが宿泊棟へ案内してくれた。今日は8畳ほどの部屋に6人。一人一組の布団で余裕だった。

 今日中に山頂(御前峰)を往復して来ようと思っていたが、雷雨で諦めがついた。山頂は明朝にとっておくことにして、早速、缶ビールを買ってきて飲んだ。稲妻が光り、雷雨は1時間以上も降り続いた。

 4時頃になって「虹が出ている」と騒がしくなった。私もカメラを持って外へ出てみると、二重の虹がかかっていた。
 小屋の周りには黒ユリの花が群落なして咲いていた。

(写真は白山奥宮と御前峰)


二重の虹

クロユリ