白雲山−2/2

 見晴へ9時ジャスト着。ここは名のごとく最高の見晴らし台だというが、あいにくガスが立ち込めてしまい展望は利かなかった。

 ここからは展望が利かないので、どこをどう歩いたのか分からない。とにかく岩場とクサリ場を越えて、石碑が建った「大のぞき」へ9時25分着。ここで初めて一服。

 私が一服していると、後から女性1人と男性2人のクライマーが登って来た。そして反対側から単独のオジさんが登って来た。ここは晴れていればさぞかし見晴らしがいいだろうと思った。
 休んでいる時、突然、ガスの切れ間から槍のような岩峰が現れた。天狗岳のようだった。

 9時36分発。
 30mのクサリを下り、左手の岩峰と右手の少しなだらかになった樹木帯の間につけられた道を、落ち葉を踏んで進んで行った。

 天狗岳へ10時5分着。視界はあまり利かず、せいぜい40メートルぐらいだろうか。

 タルキ沢分岐10時20分着。
 妙義山で一番高い相馬岳山頂へ10時40分着。反対側から登って来たという5人のクライマーが弁当を広げていたので私もここでお昼にすることにした。

 とにかくここへ来る間、場所はどこだったかハッキリしないが、実にいやらしいクサリ場があった。オーバーハングした一枚岩にクサリがぶら下がっていた。上が見えない状態での登りは本当に緊張した。穂高や剣でもあんな岩場はなかったような気がする。

 食事の後、一服していると10人ほどのパーテイーが登ってきた。「お疲れさ〜ん」と言って迎えたが、無言のまま通り過ぎて行った。何というパーティーだろう。挨拶も出来ないとは・・・。もしかしたら、緊張の連続で挨拶をする余裕もなかったのかも知れない。

 私もボチボチ下ろう。11時ジャスト発。
 ここからは反対側のホッキリをめざして行く。ガスが薄れ、少し明るくなってきた。

 クサリがない下りの岩場で苦戦した。腹這いになって足場を探したが分からずオタイタしている時、ちょうど下から登って来たクライマーが駆け寄って来て足場を教えてくれた。あ〜あ、助かった!

 紅葉がすばらしく、錦絵のようになってきた。その分、落ち葉も多く道が分かりにくいが、色とりどりの落葉でジュウタンのようだった。

 この尾根はバラ尾根という。いい名前だと思ったが、「茨」という字を書き、まさにイバラの尾根だった。
 そのバラ尾根にある「バラ尾根のピーク」はクサリがなく、岩と木の根に掴まりながら必死で登った。登りながら絶対にこんな所を下りたくないと思った。

 ピークの岩陰から人の声が聞こえてきた。大きな岩を回り込むと5,6人が休んでいた。
「このピークは何んて言うんですかねえ」と聞くと、「名前なんかないんじゃないですか。無名のピークですよ」と言われたが、実はそれが「バラ尾根のピーク」だった。12時15分着

 ピークからは金洞山の荒々しい岩峰が見えた。振り返れば必死で歩いて来た相馬岳が見え、眼下には紅葉した斜面が見えた。いずれもボンヤリとしか見えず、晴れていれば最高だろうと思った。


(金洞山)

(返り見る相馬岳・手前)

(裏妙義、中央左から烏帽子岩、赤岩、丁須ノ頭)


(稜線から見下ろす紅葉)

 そこから10分ほど下るとホッキリ(掘切)の分岐だった。立派な標識が立っており、中間道まで15分と書いてあった。
 中間道へ下る道は分かりづらい、と聞いていたが、心配するほどではなかった。

 中間道へ12時53分着。地べたへ座り込んでまずは一服。ここまで来てやっとホッとした。とにかく今日は緊張の連続だった。

 ここで真っ直ぐ駐車場へ戻るか、石門まで行ってみようか思案した。石門は30年も前に兄達と途中まで行ったことがあった。もう一度あの石門を見てみたかったが、天気が怪しくなって来たので次回にして妙義神社へ向かうことにした。

 中間道は紅葉見物のハイカーが大勢いた。ここは異様な岩峰群と紅葉が絵になった。

 駐車場へ14時15分着。
 帰りは「妙義ふれあいプラザ」の「もみじの湯」に浸かってから、ゆっくりと帰って来た。

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